遊戯王ARC-V -Alternative- 作:ダーク・キメラ
今回の話はシューティング☆さんに書いていただきました
どうもありがとうございます。
ストロング石島VS榊遊矢のデュエル終了後、榊遊矢がインタビューを受けている映像が映っているモニターを軽く視界に収めながら、いくつものモニターや機械が置かれた司令室のような場所で、メガネで長身の青年は物思いに更けながら考え事をしている。彼は
「…ペンデュラム召喚…か」
「社長、分析結果、でました」
「出たか。結果は?」
「やはり召喚パターンはペンデュラム、反応が出たポイントは、ここですね」
「時間帯から考えても、このときの、ストロング石島と榊遊矢のデュエルでしょうね」
「そうか…なら、このデュエルのデータ入手、リアルソリッドヴィジョンのシステムログを確認してくれ」
「「「はい!」」」
その場にいた数人が返事をし、部屋を出ていく。…そして青年は再び考え事をする。今回の反応が意味することを。そして…。
「……あの男が残したデータ、そして今回の出来事…何か関係があるのか?」
ストロング石島に勝った翌日、雲はあるが絶妙な具合に浮かび、きれいな空を演出している。そんな中、榊遊矢はとても機嫌良く所属するデュエル塾、遊勝塾へと鼻歌を歌いながら向かって行く。そのうち軽くスキップしそうだ。何せ昨日はチャンピオンのストロング石島とデュエルをし、勝った、という事実があるからだ。微妙に記憶が飛んでいる部分があるが、そんなことは別に構わない、ちょっと重要っぽいけど大体どういうことかは分かっている。問題ないさ、と軽く考えているからだ。…その軽く考えている重要事項が後に惨事繋がることを、今はまだ知らない。
「よーし、今日も張り切っていくぞー!」
こんな感じでお調子者の榊遊矢、河原沿いにあるかなり特徴的な建物…宇宙ステーションとか著名な建築家が設計したと言っても思わず信じてしまいそうなあまりにも特徴的な構造をした遊勝塾へと到着、建物へと入っていき…数分後、絶叫を上げる。塾長の柊修造から、あることを告げられたからだ。
「えええええええええ!!!!ぺ、ペンデュラム召喚の、実演デュエル?!」
「え、どうした遊矢」
「あ、え、あ、えーっと…ど、どうして今?」
「ああ。昨日のデュエルの後からペンデュラム召喚を見たいって電話が殺到してな…他にも取材の申し込みとかもあったが、取材となるとお前との相談が必要だから、返事は待ってもらっている。うまくいけば塾生も増やせるし、遊矢のお父さんで、オレの先輩の榊遊勝が立ち上げたこの遊勝塾も盛り上げられる、一石二鳥だと思ってな」
この遊勝塾、元は榊遊矢の父親で元チャンピオンにしてエンタメデュエリストの榊遊勝が立ち上げ、塾長をしていたが…今現在その榊遊勝は行方不明、タイミングも合わさって悪い噂が立つ、現塾長の教え方が微妙など様々な要因が重なった結果、講師は塾長の柊修造ただ1人、塾生は遊矢、柚子、小学生の
「すぐにって電話が多くてね…どうせなら熱がまだ冷めないこのタイミングを逃す手はないわ!今回のこれで、遊勝塾の運命がかかっているわ!遊矢、がんばって!」
「いや、がんばってって言われても…」
「がんばって、遊矢兄ちゃん!」
「遊矢兄ちゃんならできるって!」
小学生二人のうち、太っている少年が原田フトシ、赤い髪の少女が鮎川アユ。どちらも元気いっぱいだ。
「いや…その……実はオレ、ペンデュラム召喚って、あんまりよく…分かって、ないんだ」
「…え…」
「「「「えぇーーーーーー!!!!!???」」」」
遊矢を除いた4人はもちろん叫ぶ。叫ぶしかない。昨日できてたじゃないか、あんまりよく分かってないってどういうことだよ…となるのが普通。もっとも昨日のも少し不可解なところはあるが。
「き、昨日できてたじゃない!?よく分かってないってどういうことよ!!」
「実はいうと、ペンデュラム召喚したときの記憶が、飛んでいて…」
「そ、それじゃあペンデュラム召喚できないの?!」
「その時どうしてたかは、テレビで流れたたから大体分かってて、できないってわけじゃないけど…」
「う~、どっちなんだよ遊矢兄ちゃん~」
「あー、いや…だから、ちょっと練習したい、です。さすがにこのままやったら大変なことになりそう…」
やってはいけない類のミスを犯したらこの塾がどうなるか分からない。さすがにすぐ潰れることはないがただでさえ経営は火の車、そこから灰になって真っ白に燃え尽きることもあり得る。ペンデュラム召喚のときの記憶が飛んでいることを軽く見ていたがかなり重い事態になってきた、ペンデュラム召喚についてもっと知るためにも練習が必要だ。
「…分かった。ただ、実演は1時間後。できるだけ急いでくれ。柚子、遊矢の練習に」
「話しは聴かせてもらった!」
「え、権現坂?!いつの間に」
「近くを通りがかったときにここから絶叫が聞こえてきてな…来てみればこうだ。遊矢!自分がしたことを分かってないとはどういうことだ!」
「いやオレでもそれは分かんないから困ってるんだって!」
「まあそれは別にもう構わん!行くぞ遊矢、練習に付き合おう」
「!ありがとう、権現坂」
ついさっき来た権現坂が先導する形となり、デュエルフィールドへと向かう遊矢と権現坂。権現坂は父親が塾長を務める権現坂道場の所属で跡取りだが、遊矢や柚子との縁から遊勝塾に来ることがある。何よりトレーニングの際にここの近くを通る、ここでデュエルをしていくことだって多いのだ。
「柚子、タツヤくん、アユちゃん、観覧スペースに行ってくれ。オレは見学に来た人達に対応しておく」
「お父さんだけじゃ不安だから私も一緒にいるわね」
「あ、すまない…」
「じゃあオレ達は見に行ってるぜ!」
「塾長も柚子お姉ちゃんもがんばってね!」
そして見学者の足止めと入塾希望の確認を塾長や柚子がしている間に練習のためデュエルをしていた…ところ、遊矢はさっそくあることに気が付いた。様々なモンスターカードが、ペンデュラムカードに変化しているのだ。例えば昨日、ペンデュラム召喚をする直前に召喚した《
「…あれ?」
「どうした、遊矢」
「いや…いろんなカードがペンデュラムに変わってる…《オッドアイズ》や、《時読みの魔術師》、《星読みの魔術師》だけだと思ってたけど…」
「デッキを確認していないのか」
「いや~、つい…」
…このとき、気が付いていれば…この後起きる悲劇を、避けられていたであろう。あってはならない、間違いを。
こうして1時間後、とうとう実演のときがやってきた。見学者はどこのデュエル塾にも所属していない小学校低学年を中心に高学年ぐらいの小学生ばかりだ。そして今回のデュエル、遊矢の相手は柊柚子だ。そして遊矢はというと…ペンデュラム召喚をしっかり理解しようと必死だ。かなり表情が強張っている。
「(ペンデュラム召喚は、この…スケールの数字が重要で、ペンデュラムゾーンに置かれたペンデュラムモンスターにあるスケールの数字の間にあるレベルのモンスターが出せる…スケール1とスケール8なら、2から7、スケール2からスケール7なら3から6、ペンデュラムモンスターは破壊されたらエクストラデッキに表側で送られる…よし、覚えた)」
「遊矢!準備はいいわね!」
「え?あ、ああ!」
「うーん……それなら…フッフッフ…このストロング柚子が相手よ榊遊矢!」
「す、ストロング柚子って、もしかしてそれストロング石島の真似…」
「さあかかって来なさい!!」
そう言い、身構えている自分の幼馴染みである柚子を見て、遊矢はすぐに緊張を解そうとしていると分かり…気合いを入れ直すため、両頬を叩く。軽く後が残るが、気合いが入り、デュエルに集中できそうだ。
「ああ、行くぞ!」
[準備はいいな二人とも!行くぞ!アクションフィールド、オン!《プレーン・プレーン》!]
塾長の宣言と共にリアルソリッドヴィジョンが展開され、デュエルフィールドが広大な草原へと変化し、遊矢と柚子は手早くアクションカードをそれぞれ2種類選択する。遊矢は《回避》、《調星》とストロング石島のときと同じものを、柚子は《トップウインド》、《奇跡》の2枚を選択した。
選ばれたカード
○遊矢
・《回避》
・《調星》
○柚子
・《トップウインド》
・《奇跡》
トップウインド アクション魔法
①自分及び相手フィールドの表側攻撃表示のモンスター1体ずつを対象に発動できる。そのモンスターを表側守備表示に変更する。この効果で表示形式を変更したモンスターは次の相手ターンの終了時まで、表示形式を変更できない。
奇跡 アクション魔法
①自分フィールドのモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはこのターン、戦闘では破壊されず、そのモンスターの戦闘によって発生する戦闘ダメージは半分となる。
・フィールドのアクションカード
・《回避》 2/2
・《奇跡》 2/2
・《トップウインド》 2/2
・《調星》 2/2
・《???》 2/2
・《???》 2/2
・《???》 2/2
・《???》 2/2
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」
「「アクショーン…」」
「「デュエル!」」
柚子 LP 4000
遊矢 LP 4000
アクションデュエル恒例の口上と共にアクションカードがフィールドに飛び散り、デュエルが開始される。先攻は柚子だ。遊矢が先攻のほうがいいのでは?というが、ペンデュラム召喚は手札消費が激しくなりやすい、なのでドローできる後攻を選んだのだ。
「まずは私の先攻!手札から魔法カード、《独奏の第1楽章》を発動!このカードは私のフィールドにモンスターがいないときに発動できて、デッキからレベル4以下の《幻奏》モンスター1体を特殊召喚する!さあ来て!《幻奏の音女アリア》!」
《幻奏の音女アリア》 ☆4 ATK 1600
さっそくデッキから紫の短髪の少女が現れ、軽く歌声を出す。頭にはヘ音記号のようなものがついている。なお、特殊召喚されたアリアは自分フィールドの《幻奏》モンスターに効果対象と戦闘破壊に対する耐性を与える効果を持ち、一工夫しなければ突破は難しい。…リリースすればいいじゃんとか言わない。
「続いて、自分フィールドに《幻奏》モンスターがいるとこで、手札から《幻奏の音女ソナタ》を特殊召喚!そして手札から《幻奏の音女ソロ》を通常召喚!特殊召喚した《幻奏の音女ソナタ》がフィールドに居る限り、私の天使族モンスターの攻撃力、守備力を500ポイントアップさせる!」
《幻奏の音女アリア》 ☆4 ATK 1600→2100
《幻奏の音女ソナタ》 ☆3 ATK 1200→1700
《幻奏の音女ソロ》 ☆4 ATK 1600→2100
青い8分音符を、髪を含めた体のところどころにつけた緑色の長い髪をした少女、ソナタと腕に連桁の音符をつけた、髪が少しハ音記号に似た黄緑の髪をした少女、ソロが現れ、歌声を奏でる。そしてソナタの歌声がアリア、ソナタ、ソロに力を与え、その力を上げる。
「これでターンエンド!」
柚子 手札1 LP 4000
【モンスター】
《幻奏の音女アリア》ATK 2100、《幻奏の音女ソナタ》ATK 1700、《幻奏の音女ソロ》ATK 2100
【魔法・罠】
なし
「よーし…Ladies and Gentlemen!観客の皆様、これより榊遊矢によるエンタメデュエルの開幕です!ではまずは私のターン、ドロー!さて、皆さまは何を楽しみにここに来ました?」
「決まってるよ!」
「ペンデュラム召喚!」
「さあ早く早くー!」
口調を変えスイッチにし、エンタメデュエルを行うため意識を集中する。無論、エンタメデュエルの本髄、楽しませることを忘れないようにしながら。
「ではさっそく参りましょう!私は手札から、スケール8の《時読みの魔術師》と、スケール5の《
《時読みの魔術師》Pスケール (8)→(4)
《時読みの魔術師》と頭にシャンプー容器の上部をつけた犬が光の柱に現れる。だが今まさにやらかしていることに気が付かない榊遊矢。そしてそのまま、ペンデュラム召喚へとデュエルは進む。止めるものなんていない、ここには進めるものしかいないのだ。
「これで私は、レベル6と7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!出でよ、私のモンスター達!」
【ブー!ブー!】
…揺れるペンデュラムも天空に描かれる光のアークも現れず、デュエルディスクは警告音を出し、ペンデュラム召喚のための処理は行われない。…遊矢は気付いていない、いやこれはあるまじきミスだ。何せ、自分のデッキに入っているカードの効果を完全に把握しきれていないなどデュエリストとしてはあるまじき行いだからだ。エンタメデュエリストなら効果も含め人を楽しませるためなおさらだ。
「…ぺ、ペンデュラム召喚!」
【ブー!ブー!】
「あれ?」
「なんだどうした?」
「ペンデュラムできないの?」
「なーんだ、つまんないの」
「やっぱあれズルだったんだ」
「(あ、あれ?!な、なんで?!ちゃんと、オッドアイズを召喚できるスケールのはずだよな?!オレ間違えて………)」
「え、あれ?!(と、《時読みの魔術師》の数字が、8じゃなくて4?!どういうこと?!)」
観客からブーイングが上がる中、遊矢、柚子の頭の中は大混乱。特に遊矢は結構自信を持ってペンデュラム召喚を行ったが結果はこれ。混乱する中、デュエルディスクのプレートにあるペンデュラムモンスターをしっかり確認し……とうとう気が付いた、自分がおかした重大なミスに。それに気づいたとき、遊矢自身でも自分の顔が一気に蒼褪めていくのが分かるように思えた。
「あっ…(《時読みの魔術師》って、片方が《魔術師》か《オッドアイズ》じゃないとスケールが4になるのか?!)」
「あって何遊矢」
ヤバイ、殺される、これがバレたら柚子に後で殺される…遊矢の頭は急激に冷え一気に恐怖が押し寄せる。柚子は結構過激だ。殺されるはさすがに言い過ぎだが確実に痛い目を見るのは避けられない。《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をペンデュラム召喚したいがためにこうしたがこうなってしまいとても焦っている。とにかくこの場はどうにかして切りぬけなければ…。
「もう行こう」
「え、ちょっと!まだデュエルは…」
「どーせ負けだって」
「ストロング石島のときもズルしたんだな」
「ざーんねん、ペンデュラム召喚見れると思ったのに」
「も~!遊矢兄ちゃん何やってんだよー!」
「でも何か様子がおかしくない?」
見学者の感情は一気に期待から失望へと変わり、ドンドン帰っていく。そして遊矢の様子がおかしいのは主に恐怖からだ。間違いなく柚子の怒りが大噴火する。せめてバレないようにしなければならない、バレたらこの後柚子にハリセンで何度も叩かれるのは避けられない。
「は、ははは!ペンデュラム召喚は次のターンまでお楽しみに!私はモンスターを1体セット、カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
遊矢 手札2 LP 4000
《時読みの魔術師》(4)=《EMバブル・ドッグ》(5)
【モンスター】
セットモンスター×1
【魔法・罠】
リバース×1
若干上ずった声を出し、必死にエンタメデュエルをしようとして逃げるように素早くターンを終え、その場からアクションカードを捜しに走り出す。…その様子を見て、幼馴染みである柚子は気が付いた。あ、こいつやらかしたなと。
「…ゆ・う・や~!!!」
「ひっ!」
今回に関しては、場所はともかく遊矢が悪い。練習中に《時読みの魔術師》、そして同等のスケール変動効果を持つ《星読みの魔術師》を《魔術師》、《オッドアイズ》以外のペンデュラムモンスターと組み合わせてペンデュラムスケールをセッティングしたことがなかったとはいえ、これは重大なミスだ。キレないわけがない。
「覚悟しなさい遊矢!私のターン、ドロー!バトル!《幻奏の音女アリア》でセットモンスターを攻撃!!」
『ヒッポ~!!』
柚子の怒りを受けてか柚子のモンスターの表情が険しく見える気がするがきっと気のせいだ。気のせいだからセットモンスターの《EMディスカバー・ヒッポ》の姿が露わになってディスカバー・ヒッポがビックリして逃げ出そうとして破壊されたのも気のせいだ、そうだと思いたい遊矢。
「続けてソナタ、ソロでダイレクトアタック!!」
「えーっとアクションカード…はない!速攻魔法、《カバーカーニバル》!《カバートークン》3体を特殊召喚!」
『『『カバー!』』』
《カバートークン》×3 DEF 0
カバー!と現れたサンバの恰好のカバ3匹。その場でカバカバ鳴きながら陽気に踊る。これでこのターン、ダメージは受けないで済む。
「ならソナタ、ソロで《カバートークン》2体を攻撃!!」
攻撃対象にされたカバートークンは、攻撃対象になった途端にビックリして逃げ出そうとして破壊される。さっきも見た光景だ、《幻奏の音女》たちの表情が変わらず険しく見えるのはきっと柚子の怒りが強くてそう見えるだけだ、そう必死に思う遊矢。だが現実は非情、表情が険しいのは事実だ。
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
柚子 手札1 LP 4000
【モンスター】
《幻奏の音女アリア》ATK 2100、《幻奏の音女ソナタ》ATK 1700、《幻奏の音女ソロ》ATK 2100
【魔法・罠】
リバース×1
「待ちなさい遊矢ー!!」
「い、いえ待ちません!私のターン、ドロー!…ほっ…皆さま、ご心配をおかけして申し訳ありません!少々トラブルはありましたが、これよりペンデュラム召喚を行いたいと思います!」
皆さま、と言っても観客となる見学者は一人を残して全員帰り、それを塾長が止めようと必死になるも効果がなく、観覧スペースにはフトシとアユ、そしてその2人と年が近い少年1人を残すのみとなっている。ペンデュラム召喚ができないと分かれば帰ってしまうような人しかいなかったのだ、1人の少年を除いて。
「遊矢兄ちゃんみんな帰っちゃったよー!」
「1人残ってるけどみんな帰ったよー!」
「……では速攻魔法、《サイクロン》を発動!ペンデュラムゾーンの《
ペンデュラムの練習で学んだ事についてもう1つあった。どうやらペンデュラムカードはセッティングをする場合、それは魔法カードを発動する行為として扱わるらしく、フィールドでも魔法カードとして扱われる様だ。そしてペンデュラムカードが置いてある場所は(ペンデュラムゾーンとでも呼ぶべきか)フィールドに2ヶ所あり、そこにカードがあると新しいカードを置くことが出来ない。他のペンデュラムカードに変えたければ《サイクロン》の様なカードで除去しなければならないのだ。
《時読みの魔術師》 (4)→(8)
「…はー、そういうこと…《時読みの魔術師》の効果、ちゃんと覚えてなかったわね」
「うっ…スケールは4から8、これでレベル5から7のモンスターが同時に召喚可能!今度こそ揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れよ、私のモンスター!」
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《時読みの魔術師》、2体のペンデュラムモンスターが浮かぶ光の柱の間に今度こそペンデュラムが現れて揺れ、光のアークが描かれる。そしてその中心から1つの光が舞い降りる。
「レベル7!《
《EMキングベアー》 ☆7 ATK 2200
それは、王冠を被り、マントをつけ、立派な服を着た…クマだ。目からやる気をあまり感じられないため王とは思えないが、これでもちゃんとキングである。…王様である。しかしペンデュラム召喚の成功により、観覧スペースの3人は小学生なのも相まって興奮気味だ。
「来たー!ペンデュラム召喚!」
「しびれるぅ~!」
「これが、ペンデュラム召喚!」
「…や、やったじゃない遊矢」
「バトル!そしてバトルフェイズに入ったことで《EMキングベアー》の効果発動!このカードの攻撃力は、私のバトルフェイズ中には私のフィールドの《
《EMキングベアー》 ATK 2200→2300
「いけ、《
「手札の《幻奏の音女スコア》を墓地へ送り、効果発動!このカードは私の幻奏モンスターが戦闘を行うダメージ計算時に墓地へ送ることで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力をターンの終わりまで0にする!」
「…えっ…」
《EMキングベアー》 ATK 2300→0
遊矢 LP 4000→2300
キングベアーは手を組み、腕を振り下ろしソナタを攻撃しようとした、しかし!ソナタの背後から突如として現れた青い髪の少女の歌を聴いたキングベアーは思わず聞き入ってしまい、あっけなくソナタによって破壊されてしまう。遊矢の手札は0、フィールドにはトークン1体、アクションカードは1ターンに1枚、万事休すだ。
「…これで、ターンエンド」
遊矢 手札0 LP 2300
【モンスター】
《カバートークン》DEF0
【魔法・罠】
なし
「さあ覚悟しなさい!私のターン、ドロー!」
「(まだだ!柚子は《奇跡》を選んでいたし、オレは《回避》を選んだ、なら今見えるあのアクションカードがそのどっちかなら、1700のソナタ、2100のどっちかで攻撃を受け、モンスターが増えない限り、オレのライフはギリギリ残る!!)届け―!!!」
「手札から《幻奏の音女ソナタ》を特殊召喚!バトル!ソナタで、カバートークンを攻撃!!」
「あっ…」
《幻奏の音女アリア》 ☆4 ATK 2100→2600
《幻奏の音女ソナタ》 ☆3 ATK 1700→2200
《幻奏の音女ソロ》 ☆4 ATK 2100→2600
《幻奏の音女ソナタ》 ☆3 ATK 1200→2200
アクションカードに手が届いたのも束の間、新たにモンスターを増えないなど希望的観測にもほどがあると言わんばかりにソナタが特殊召喚される。とはいえ柚子の幻奏には上級モンスターが何体かいるため別にそう思っても仕方ない。だが現実は無情、よりにもよって2体目のソナタが特殊召喚され、幻奏モンスターの攻撃力は合計1000アップした状態となる。そんな中、遊矢が手にしたアクションカードは…。
「…アクションマジック、《回避》…」
「もう1体のソナタでカバートークンを攻撃!そのままアリアでダイレクトアタック!」
遊矢 LP 2300→0
柚子 WINNER
憐れにも《カバートークン》は回避して間もなく同じ顔に攻撃され破壊、そのままアリアの攻撃が遊矢を直撃、ライフは0となりデュエルは終了。ペンデュラム召喚の実演デュエル、気付けば遊矢の完封負けで終わったのだった。
「遊矢ー!自分のカード効果を把握してなかったってどういうことよ!!」
「いだ!…だ、だからごめんってば。テレビで効果言ってたから、その、うっかり、確認するのを忘れてて」
「うっかり、じゃない!」
「いだあ!」
どこから取り出したのか柚子は、遊矢の頭をハリセンでバシバシ叩く。見ている側はいつもどこからハリセンを出したんだろうと疑問に思いつつ巻き込まれないよう離れたところで見ているが、やられている側からはただ痛い、それ以上でもそれ以下でもない。そんなデュエルフィールドの状況を見て、観覧スペースのアユ、フトシは、はあー、と溜め息、一方もう1人の少年は苦笑している。そんな観覧スペースに、塾長が暗い顔をしてやってきた。どうやら止められなかった様子。
「はー、ダメだ、もう…ん?君は…」
「は、はい。
「…え?…い、いいのかい?ほ、本当に?本当に、いいのかい?」
「はい。遊矢さんのペンデュラム召喚もしっかり見られました、何より…楽しそうですから。他の塾も見ましたけど、ここなら他にはないこともいっぱい学べると思ったので…よろしく、お願いします!」
「ほ、本当にいいのかい?い、いいならこの入塾届けに記入を…ああ、でもその前にこの入塾届けを家に持ち帰って、ご両親とちゃんと話しをしてそれで記入やハンコを押して持ってきてくれ。柚子―!!遊矢―!!この子が入ってくれると言ってくれたぞーー!!!」
「「え?!ホント!!?」いだ!」
柚子も遊矢も思わず塾長を見た。そして遊矢は顔を上げた途端に止まることのできなかった柚子のハリセンを受ける。だが今回のハリセンはどうやらここまでのようだ。柚子の顔は先ほどの険しい表情と変わってキラキラした目の笑顔になっている。
「1人だけでもいないよりはずっといい!やったわ遊矢!」
「ああ!」
こうして遊勝塾に山城タツヤという新たな仲間が入り、これで5人…そのうち小学生が3人となった。間違いなく小学生3人は仲良しになれることだろう。
《EMキングベアー》……当時はあんな驚異的なカードになるとは思わなかったよ
今だと《時読みの魔術師》と《星読みの魔術師》のペンデュラム効果忘れる人いそう