剣豪出陣→ガシッ、ポカッ→敵は滅びる倶利伽羅天象♪
ボタンのかけ違いによって光の奴隷と化した武蔵による下総攻略劇。

※単なる一発ネタです

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ヴァルゼライド閣下のテーマソング『天神の雷霆』を聴きながらFGOを周回していた。
その時、ふと気が付いた。

武蔵ちゃんって、刀持ってるよね+生身でも強かったよね+刀光るよね+英霊剣豪の首を落とす事は出来たよね+天眼ってなんか不可能を可能にするよね=光の奴隷になった武蔵ちゃん……これだ!

という一発ネタ。ガンマレイも淫夢要素もありません。しかも剣豪シナリオうろ覚えです。テキトー過ぎてめっちゃ色んなものを無視したりしてます。でも書いた。書きたいから。
ボルガ博士、お許しください。


宮本武蔵「"宮本武蔵"なら出来たぞ?」

宮本武蔵は最強の剣豪である。

 

──それは周知の事実だ。

例えそれが偽りであっても、宮本武蔵といえば天下無双と連想するだろう。信じるか信じないかはともかくとして。

 

宮本武蔵は最強の剣豪と信じている。

 

──それは単なる願望だ。

それはその個人が宮本武蔵に最強であって欲しいと願っているだけに過ぎない。

 

宮本武蔵は最強の剣豪で"あらねばならない"。

 

──それは呪いだ。

一体、いつ、誰が、何処で、宮本武蔵に最強たれと呪いをかけたのか。

数ある世界の中全てで、宮本武蔵が絶対に最強であらねばならないなど普通に考えておかしい話だ。

そもそも、そんな事を強制される必要など無い。

 

女の宮本武蔵がいてもいいし、現代に蘇ったクローン武蔵がいてもいい。世界とはそういうものである。

 

 

 

……ならば。

 

"宮本武蔵は天下無双の最強剣豪であらねばならない"、と。

 

 

そいつの『頭の中にしか存在しない"誰か"』の為に。

 

宮本武蔵が最強である事を証明する者だって、いてもいいのだ。

 

 

もっと言えば。

 

 

『最強の宮本武蔵を知るが故に、宮本武蔵とは最強であらねばならないと思い、そして宮本武蔵が最強であると固く信じる"誰か"の為に、宮本武蔵が最強である事を証明する"宮本武蔵"』──

 

 

そんな意味不明なものですら、あり得るのだ。

 

 

 

 

遥か昔。遠い平行世界の亜種並行世界『屍山血河舞台 下総』にて……

 

プルガトリオ「終わりだ」

武蔵「まだだ」

プルガトリオ「は?」宿業ズバーッ

 

インフェルノ「終わりだ」

武蔵「まだだ」

インフェルノ「は?」宿業ズバーッ

 

パライソ「いざ、いざ、いざ──!」

武蔵「お前の慟哭もここで終わる」

パライソ「は?」宿業ズバーッ

 

衆合地獄「あら」

武蔵「貴様はここで必ず滅ぼす。何よりも危険な存在と理解した。故に必ず粉砕しよう──決して譲らん。"勝つ"のは俺だ」覚醒

衆合地獄「えっ」宿業ズバーッ

 

黒縄地獄「私に勝てるとでも」

武蔵「笑止。"勝つ"のは俺だ」覚醒

黒縄地獄「は?」宿業ズバーッ

 

段蔵「対象の殲滅を開始します」

武蔵「なるほど。絡繰か。恩返しと見た。だが殺す」

段蔵「えっ」ズンバラリン

 

リンボ「ふひひひ」五芒星ぼー

武蔵「まだだ」覚醒&気合と根性で英霊剣豪化振り切り

リンボ「」死んだフリ逃亡

 

エンピレオ「だが私は謝らない」

武蔵「──いざ、参る」覚醒

エンピレオ「やったぜ。」首&宿業ズバーッ

 

妖術師「異常者め」

武蔵「確かにそうだな。だが殺す」

妖術師「固有結界」

武蔵「まだだ」覚醒

妖術師「」城ごと首ズバーッ

 

武蔵「まだだ」覚醒

小次郎「まだだ」覚醒

武蔵「まだだ!」覚醒

小次郎「まだだ!」覚醒

武蔵「まだだッ!」覚醒

小次郎「まだだッ!」覚醒

武蔵「──"勝つ"のは俺だ」覚醒

小次郎「やったぜ。」首ズバーッ

 

リンボ「あいつヤダ帰る」

武蔵「貴様は数々の英霊の魂と生き様を穢した。なのに黒幕が残るとは世の常か。何故だ? 何なのだ、その不条理は? ふざけるな。死ねよ貴様。塵屑だろうが。苦悶の喘ぎを漏らしながら地獄の底まで堕ちるがいいッ!!」

リンボ「えっ」

 

 

ガシッ、ポカッ。

 

敵は滅びた倶利伽羅天象♪

 

 

なお村正くんの出番は無かった模様。

 

 

 

 

 

「ナニコレ」

 

唐突にそんな夢を見た藤丸立香だった。

確かに彼は、亜種並行世界『屍山血河舞台 下総』にて剪定事象によって帰る世界を失った、女性の宮本武蔵と共に復讐鬼と化して暴走した天草四郎時貞の野望を打ち砕き、『宮本武蔵と佐々木小次郎の一騎討ち』を見届けた……が。

 

「いや何アレ。バグキャラでしょ」

 

夢に出てきた宮本武蔵は、もはや異次元の存在だった。

 

第一戦、ランサー・プルガトリオ。

最初は互角だったが、しかしあまりにも卓越した技量を誇る彼には流石に追い詰められ──その刹那。

 

「まだだ」

 

その言葉と共に立ち上がり、凄まじい力でプルガトリオを圧倒、そのまま村正の刀を使わずに宿業を両断した。

もうおかしい。

というかアレ、自分の知る武蔵よりも強くないかアレ。てか本当に武蔵ちゃんなの? なんでか一人称は俺だし、立ち振る舞いも仕草も口調も全て男だが、女だったけど。

 

第二戦、アーチャー・インフェルノ。

弓は全弾迎撃され、近接戦でも不利、しかしやっとの事で鬼の力で不意を打ち、腹に刀を突き刺し、その刃を水平に抉った。無理矢理掻き回される傷口に、全身に燃え移る火……これでは負けるだろうと思った刹那──

 

「まだだ」

 

その言葉と共に反撃、一方的に素手で叩きのめした挙句、刀を筋肉で固定して蹴りを叩き込んで沈黙させた後、その刀を投擲して磔にし、宝具と思われる奥義をぶち込んで宿業を両断した。

いやふざけるなと。

インフェルノが唖然としていたが、立香も唖然とした。

 

しかも翌朝には傷の殆どが癒えていた。

立香は卒倒した。

 

 

第三戦、アサシン・パライソ。

アサシン──すなわち忍びを剣士にぶつけるのは如何なものかと思わなくもないのだが、それでも勝負は始まった。

が、開幕早々に──

 

「望まれずして呪われた者よ、お前の慟哭もここで終わる」

 

はいふざけるな武蔵無双じゃねーか。

蛇の行使も忍術も、一切させぬ程の猛攻。程なくしてパライソは宿業を両断された。

しかも終わってから「プルガトリオとインフェルノの方が強かった。やはり忍びには忍びをやらせておくべきというものであろう。全く主とやらはとんだ塵屑だ、本懐を遂げさせぬとは」とコメント。

立香は今度からサーヴァントへの無茶振りはよっぽどの事がない限りやめようと誓った。

 

第四戦、バーサーカー・衆合地獄。

彼女はあんまりにも、あんまりな戦いを迎える事となった。

たまたまだったのだろう、衆合地獄が兵士を嬲って遊んでいる時に武蔵が現れ、一眼見るや否や──

 

「貴様はここで必ず滅ぼす。何よりも危険な存在と理解した。故に必ず粉砕しよう──決して譲らん。"勝つ"のは俺だ」

 

──インフェルノで鬼に慣れたのか、彼女の怪力にはさほど目もくれず。骨抜きになる毒は気合と根性で耐えて、どうしようもない彼我の戦力差は覚醒する事で解決。

先の三戦と比べても爆発的に強くなりすぎた武蔵は、周りにいた兵士たちを巻き込んで鏖殺しながら、衆合地獄の宿業を両断した。

あっ、こいつとんでもないバカだ。立香は理解した。

 

そしてそのまま、第五戦、ライダー・黒縄地獄。

 

……が、圧倒的強者である彼女を前に武蔵は、何故か衆合地獄と戦った時よりも更に強くなっていた。

凄まじい武と、意味不明なまでに不条理な気合と根性のぶつかり合い。それでも耐久性に優れた黒縄地獄が有利になって──

 

「否、"勝つ"のは俺だ──」

 

二重覚醒を果たし、黒縄地獄の全能力を上回って圧倒。最後は宝具を真っ向から奥義で打ち破ってその宿業を両断した。

バカじゃねーの? 立香は呆れた。

 

その後、遂に現れた厭離穢土城。

もちろん武蔵は単身で乗り込み、自身の首を狙う加藤段蔵と対決。

 

「絡繰、恩返し。なるほど、お前は純粋なのだろう。その心を否定出来まい。──だが、殺す」

 

もはや死刑宣告。

段蔵の絡繰特有の攻撃すら一切通用せず、あっけなくバラバラにされてしまった。最後の自爆攻撃すら涼しい顔で止められ、立香の知る段蔵と武蔵──そして小太郎の戦いとは全く違う、あまりにも虚しい結果に終わった。

 

そして──

 

「はははははは見える、見える、貴方の魂が見える! 妖術師殿同様、多少は戸惑っていようが我が前には丸裸も同じ! フフ、思い出しますねえ。胤舜といい誰といい彼といい、こうするときには必ず苦悶の表情を浮かべたものです。

拒絶しようとして足掻く! ですが無意味無意味どうしようもないのです!」

「はははははははははははははは! 魂も意思もすべて、すべて、すべてすべてすべて! 私が新たに作り替えて差し上げる! さようなら新免武蔵、はじめまして新たなる英霊剣豪!

生きながらして英霊剣豪となるのもいと可笑し! 貴方には、そう、無間地獄あたりが──」

 

五芒星で動きを封じられた武蔵に、キャスター・リンボが英霊剣豪に作り変えんと迫る。

今度こそ終わりだ──その刹那。

 

「俺は"宮本武蔵"だ、"最強の剣豪であらねばならない"。そう信じる"誰か"の為に、俺は勝つ」

「正気ですか? 最強の証明のためだけに殺戮を繰り返すなど、既に剣豪ですらない!」

「狂っているとも。この過ちは地獄で永劫贖おう。責めも受け入れる。逃げも隠れもせず、真正面からありとあらゆる罰を受けよう。だが、その罪深さを前に何故膝を屈しなければならぬ。

泣き叫んで赦しを請えと? 額を地に擦り付けてすまなかったと叫べと? 器が足りぬから誰かに託して諦めろと? 嗤わせる。

勝者の義務と権利は、貫き通すこと──故に大志を抱いて飛翔し続けるのだ。

宿業は英霊剣豪よりも重く低俗なものだが、しかしそれを誇りへと変えよう。俺は必ずこの選択が最強を信じる人々に夢を与えると信じている。

人々からの信頼と願いと意志を──実現せんと願う限り、俺は不敗だ。

そう──"勝つ"のは、俺だ!」

 

まさかの気合と根性で五芒星の呪縛を振り切り、英霊剣豪への作り変えを乗り越えて自分を維持し、覚醒した武蔵。

キャスター・リンボは至近距離で奥義を喰らい、何も出来ずに退場した。

いやふざけるなよお前。御都合主義にもほどがあるだろ。立香は訝しんだ。立香には英雄譚は分からぬ。だがこれはあまりにも不条理すぎるであろうということだけは理解していた。

 

 

第七戦、セイバー・エンピレオ。

そこは剣豪だけが許される世界。死闘に次ぐ死闘。

片方が「まだだ」と吼えれば、片方が「応とも」と応えて互いに限界を超えて死闘は続く。

 

しかし、エンピレオは現実を知り過ぎていた。

故に──

 

「まだだ」

 

限界を知らぬ武蔵が、死闘の末に宿業を両断した。

 

 

天守閣にて待ち構える、妖術師。

復讐鬼と化した天草四郎時貞。彼の話を聞き、なるほどと呟く武蔵。

 

「分かった。その復讐心を尊重する。力、言葉、なんであろうと好きに尽くせ。されど止まらん。宮本武蔵が最強であると信じる"誰か"の為に。"勝つ"のは俺だ」

 

敬意は払おう、理解も示そう、その来歴も悼もう。

──だが、殺す。

宮本武蔵が最強と信じる"誰か"を守るために。

 

そしてあっさりと追い詰められた妖術師は、虎の子の固有結界を発動させるが──

 

「まだだ」

 

お約束のように限界を超えた武蔵は、固有結界ごと妖術師の首を落とした。

立香の目は死んでいた。

 

 

 

 

最終戦。

 

「現れたか、宿敵よ」

「現れたぞ、宿敵よ」

 

二人の剣士が、構えて。

 

「──"勝つ"のは、俺だ」

「──いいや、私さ」

 

終焉の決闘が始まった。

 

「「まだだ」」

「「まだだ!」」

「「まだだッ!」」

 

お互いに限界を超え、覚醒を繰り返し、空位を超えたその先へと至る。

刀が世界を裂き、因果を裂き、宿敵を滅ぼさんとする。

武蔵と小次郎の激突──それは無限の剣と一の剣のぶつかり合い。

そして一と無限、その答えが出せなくなった世界はオーバーフローし、消滅する。

 

だが、この武蔵の奥義は一の剣ではない。

彼女の『宮本武蔵を最強と信じる"誰か"』の為にある奥義──それは死の剣。

"勝つ"のは、宮本武蔵だ()──その証明。

最強の前に立ったのならば、死ね──

 

そして武蔵と小次郎の決闘は、武蔵の勝利で幕を閉じる事で知られる。

 

故に、それらの要因が重なり──

 

「……此度も、負けたか」

「何度でも来るがいい、宿敵よ。俺とお前の聖戦は因果などに縛られるものではない。今回は、伝説通りの結末になってしまったが……」

「次こそ、"勝つ"のは私だ──」

「いいや、俺だ──」

 

 

伝説通りの結末を迎えるのであった。

 

 

 

そして全てが終わったと思っていたら、キャスター・リンボは生きていた!

帰ろうとするリンボの眼前に現れたのは──

 

「貴様は数々の英霊の魂と生き様を穢した。なのに黒幕が残るとは世の常か。何故だ? 何なのだ、その不条理は? ふざけるな。死ねよ貴様。塵屑だろうが。苦悶の喘ぎを漏らしながら地獄の底まで堕ちるがいいッ!!」

 

────宮 本 武 蔵 ! !────

 

「いざ、参る」

 

リンボが行動するよりも早く、剣を抜き──

 

「無双の轟く戦場に、敵は無く──」

 

 

「──貴様の命は此処で散る!!」

 

刹那にて奥義を見舞う。

 

「秘剣抜刀──二天一流、倶利伽羅伊舎那天」

 

立香の知る武蔵とはまた違う、謎めいた奥義にして宝具。

刹那にてリンボを鏖殺した武蔵は──

 

「狂い哭け、貴様の末路は敗者だ」

 

勝者として、静かに宣言した。

 

 

 

「バグキャラじゃねーか」

 

回想を終えて立香は再び呟いた。

たった一人で解決したとかなんだよ。というか宮本武蔵を最強と信じる"誰か"って誰だよ。てかお前自分が狂ってるって自覚あるよね? なのになんで止まらないの。いやもうなんかもうほんとおかしいよなお前。トンチキかよ。

 

「……ガチャ回そ」

 

あんな無限にガッツとバフをかけまくってデバフやバフや格の違いを無かったことにするバグキャラをすぐに忘れよう。

今は爆死でもなんでもいい、とにかく気分を変えねばならない。

そうしなければ精神の均衡が取れなかった立香は召喚ルームへと入り、なけなしの聖晶石で『星5きてー早くきてー』と祈りながら回す。

 

そして現れたのは──宮本武蔵!!!

 

「あぁ、武蔵ちゃんだ!! 本物の武蔵ちゃんだ!!!」

 

喜んで跳ねて、さあと手を差し出すと。

 

……開かれた武蔵の瞳は、あまりにも冷たかった。

まるで、"何か自分にとって大切な事以外興味無い"ような瞳で……

 

「新免武蔵守藤原玄信だ。その宿を借りるぞ」

 

それは、夢で聞いた声。

 

 

つまり藤丸立香は、あのバグキャラ武蔵を召喚したのだ。

 

 

 

 

 

立香の目の前が真っ暗になった。




光の奴隷と化した武蔵のステータス表

クラス:セイバー
真名:"宮本武蔵"
身長/体重:167cm/56kg
属性:混沌・善/狂
カテゴリ:人
地域:日本
出典:史実
時代:──
性別:女性
特技:努力、鍛錬
好きなもの:無し
嫌いなもの:無し
天敵:無し

■ステータス
筋力:B
耐久:C
機敏:B
魔力:E
幸運:C
宝具:B

■クラス別スキル
対魔力:C
魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

■スキル
第五勢:B
平行世界の女性の宮本武蔵のものよりもランクが低下しているのは、単に練度の差である。
剣士としての技量から見れば誤差に過ぎないが、しかし彼女との大きな差とも言える。

天眼:A
天眼は「目的を果たす力」とされる特殊な魔眼。
一つの事柄を成しえると決めたらその成就のために全身全霊を傾け、必ず達成するもの。
自己の全存在を視線にのせ、目的に投射するもの、といってもよい。
武蔵の場合は『己が天下無双の最強剣豪、宮本武蔵であらねばならない』事に向けられている。──そう、天眼を所持しているが故に彼女は光の奴隷と化した。

戦闘続行:EX
戦闘を続行する為の能力。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
武蔵の場合は彼女の「宮本武蔵は天下無双かつ最強無敗でなくてはならない」という認識により、戦闘に限って霊核が破損しても完全に破壊されない限りは自己修復され、決定的な致命傷も放っておけば多少回復する。
──"勝つ"のは、俺だ。

狂気:EX
根本から狂っている事を示すスキル。
"宮本武蔵"の場合は、彼女の異次元の域にまで達した"天下無双の最強剣豪、宮本武蔵であらねばならない"という脅迫概念、そして開き直り過ぎた精神と、逸脱した気合と根性故にもたらされるもの。つまり根本の精神性が人間を逸脱して邪神の狂気の域にすら達している。
凡人でありながら"天下無双の最強剣豪、宮本武蔵"であらねばという異常なまでの強迫観念に縛られ、そして摩耗せず実現し続ける精神的強さを持つ異常者である彼女は、常識で見れば狂っているのだが、本人がその異常を理解しつつもそれが真っ当であるが故に正気である。
自分は宮本武蔵の一人に過ぎず、故に弱い宮本武蔵がいてもいいはずだ。だから自分が最強でなくても納得しよう。
──"だが、俺は天下無双の最強剣豪、宮本武蔵であらねばならない"。名も知れぬ"誰か"がそれを望んでいる。俺はその望みを叶える。その為ならば、民であろうと戦士であろうと親友であろうと、我が前に立ち塞がる一切の試練を殺す。──誰に望まれた訳でもなく。
過去は振り返らなければ後悔すらしない。だが一度決めてしまったら最後、いずれ報いるからとその過程であらゆるものを傷つけ、願いの根本が揺らいだとしても決してその歩みを止めないし、止められない。分かっていても、共感は出来ない。
それこそが"宮本武蔵"を天下無双(殺戮機械)足らしめる狂気(正気)の歪み(理由)である。
このスキルを取り外す事は出来ない。

光の殉教者:B+
特定個人を愛することなく、光のため、未来のため、自分以外の"誰か"のため、 己がこれと定めた道をどこまでも雄々しく他者を轢殺し鏖殺し、全て死に絶えさせながら突き進む者が生まれながらに所持するもの。
"宮本武蔵"の場合は、彼女にとって上位にあたると認識した存在と戦闘した場合、『ステータスが1ランク上昇』『自身の攻撃が天眼によりあらゆる障害を貫通する』『無条件でA+++ランクの無空に到達する』『追い詰められる程攻撃防御共にバフがかけられる』『敵が何らかの事情で覚醒した場合、追い詰められた時に限って同様に覚醒する』『瀕死時には「まだだ」と覚醒、消滅しかかっていても戦闘終了まで絶対に消滅せずステータスに++の補正』の効果を与える。
戦闘が終了すればこれらの補正は消え去るが、その事態において全ての闘争が終了していない場合に限り、霊核は何とか保たれる。
摩耗する事なく最強たらんと振る舞う強靭な精神は、あらゆる不可能や不条理を、気合と根性を伴った天眼で破壊して粉砕する。
要するに突き抜けて迷惑になったとんでもないバカ専用のスキル。
このスキルを取り外す事は出来ない。

闇の逆襲者:──
本来ならば彼女はこちら側の人間だが、天眼により光の殉教者と化している。
このスキルは取り外す事は出来ない。

■宝具
二天一流・倶利伽羅伊舎那天
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:???
最大補足:???

"宮本武蔵"の宝具は、平行世界の宮本武蔵の宝具である『六道五輪・倶利伽羅天象』とは性質がまったく異なる。
そもそも、六道五輪は空位に達したからこそ操れる奥義。彼女の天眼を最大限に活用した、究極の一、無二を越える零の剣。全ての始まりである天元を斬り、一点でも勝利の可能性があればそれを手繰り寄せ、他の可能性を全てなかった事にするという無茶苦茶な技であるのに対し、こちらは光の奴隷である彼女の天眼が『自身の勝利をもたらし、剣で斬られた相手は死ぬ』という死の剣である。理屈も何も無く、最強無敗でなければならないという強迫観念を現実に変える意味不明な技。
はっきり言えば天眼の力を借りたとはいえ、人の身で権能一歩手前まで至っている。
因果逆転の呪いを持つ槍とは似て非なる。

■真名『"宮本武蔵"』
剪定事象によって帰る世界を失った、女性の宮本武蔵。その平行存在であり、"天下無双の最強剣士、宮本武蔵"たらんとする女性。
性同一性障害者であり、立ち振る舞いも仕草も口調も全て男性のそれ。一応、女性として見られるのは仕方ないと諦めている。女性だと指摘されると肉体ならばまぁ……と許すが精神もそうあるべきと指摘された瞬間、例えマスターに令呪を三角使われようとも気合と根性で引き千切り絶対に抹殺する。

自他共に厳しい、まさしくストイックな剣豪というべき性格。求めるものは死合いくらいなもので、"宮本武蔵"が最強である事の証明以外に興味が無い。
友人はいたそうだが、それについて語る事は無い。
異聞帯の出身とも思われるが、詳細は不明。

その正体は、父に捨てられた時に平行世界の宮本武蔵と出会い、その末路を知って狂い哭いた、負け犬の武蔵。身体も弱く、才能も無く、天眼しか目立ったもののない弱者。
しかし宮本武蔵の完成形を見たことにより、『宮本武蔵は最強無敗の天下無双の剣豪であるのだから、俺もそうあらねばならない。宮本武蔵を知る"誰か"の為にも』と暴走、天眼により光の奴隷と化した。
故にその本質は常識を理解して間違いを認識し、自分は宮本武蔵に相応しくないどころか剣豪としても塵屑であると知りながらも、歪みに歪んで狂った正気に従い宮本武蔵が最強である事を証明し続ける、普通の感性の異常者となっている。

そして彼女は後ろを振り返る事なく、彼女の頭の中にしか存在しない『宮本武蔵こそ最強と信じる"誰か"の為に』、馬鹿正直に前に突き進み、「まだだ」と立ち上がって試練に挑み続ける。"宮本武蔵"として最強の剣豪たる宮本武蔵を体現し続け、何が何でも絶対に止まることはない。

"──だが宮本武蔵は最強である"こそが彼女の真理であり、己が前に立ち塞がり武蔵を最強たらしめない試練を、老若男女皆平等に鏖殺し轢殺し、総て死に絶えさせる殺戮の勝利者である。

宮本武蔵ごっこガチ勢な宮本武蔵


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