「寒ーーーーーいーーーーー!!」
凍えるような寒さの風で眠りから覚醒される。目覚めて初めて見たのは見慣れたコンクリートであった。寝ていた場所は一級河川に掛けられた大きな橋の下であった。どうやら風でダンボールで作った家が吹き飛ばされてしまい。硬いコンクリートの上にダンボールを引い寝ていた自分が露わとなってしまったようだ。
「クソッ、また最悪な一日の始まりだ。」
現実逃避したい現実を再び認識させられる。
「畜生・・・畜生!! なんでこうなるんだよ!」
自分が置かれている境遇を嘆く。しかし嘆いたところで何にもならない。
何故彼がホームレス生活となったか説明すると長くなる。しかし、彼は望んでホームレスとなったのではない。いや、誰も進んでホームレスとなる人は誰も居ないと思うが、彼には社会一般的なホームレスとは徹底的に違う部分がある。
「なんで、こんな状況になるんだよ神様よ」
彼は転生者である。よくあるように神様のミスによって死んでしまい違う世界に転生した経緯を持っていた。
「ホント前いた世界と同じくらいじ地獄じゃないのか。はあ~」
深ーい、深ーーい溜息をついたのであった。
溜息をついたところで現状は変わらないと改めて認識して、一日の生活費を稼ぐ為に町に繰り出す為の準備を始める。
▽▲△▽▲△▽▲△▽▲△
伊藤秋広は元転生者である、そして、元リンクス、レイヴン、『首輪付き』と呼ばれていた経歴を持つ男である
詰まるとこアーマードコアの世界に転生したのであった。好き好んでアーマードコアという世界に転生したのではない。トラックに跳ねられた後でお馴染みの神様に会うというシーンがあった。そこで元居た世界に生き返らせてほしいと望んだ。しかし、生き返るには条件があるといわれた。それはアーマードコアの世界への転生であった。ゲームはプレイしたことがあるが神様転生した所ではなかった。違うところにしてくれと頼んだがこの世界で主人公として転生し一定の条件を満たさない限り元の世界に生き返れないと言われた。仕方がなく神様の言う通りにアーマードコアの世界に転生したのであった。
ここで神様が出してきた条件というのは、fa、V、VDの三つの作品の世界で指定した年数を主人公として生きろと言ってきた。ようはゲームでプレイしたことを実際の生身の体で行えというものであった。
そして、主人公はそれを全て完遂した。
完遂したときの達成感はすさまじいものであった。なんせ体感時間で40年という時が立っていたのであった。
完遂した後、直ぐに神様に元の地球へ帰してくれと懇願した。すると神様は直ぐにで生き返らせると言ってくれた。ところがここで、元の世界は辞めたほうがいいと言われた。「ここまで来て何言ってるんだ」と問いただしたが理由を言ってはくれなかった。神様は、「ともかく辞めて違う平和な世界で人生をやり直した方が・・・」と言ってきたが、自分は約束通りしてくれと頼んだ。「ホントにいいのか?・・・」としつこかったが早くしてくれと催促した。結果、神様は自分の望みを聞いてくれた。その際、今までのアーマードコアの技術の知識とアーマードコアを含む様々な品を召喚することができる能力をくれた。「そんなものはいらない」言ったが、断っても持たせると言ってきたのであった。使わなければいいと思いそれ以上何も言わなかった。そして遂に地球へと帰ることができたのだ!
しかし、帰ったきた地球に自分の居場所はなかった。
自分がアーマードコアの世界で過ごした時間は地球では10年という月日が経っていたのであった。自分の住んでいた家に向うとそこには別の人間が住んでいた。自分は近所の人に家族がどうなったか聞いた。生き返った自分を見て動揺するのではと思ったが、そうはならなかった。近所の人曰く自分がトラックに跳ねられて病院に運ばれたと家族が聞き病院に走ったがそこには自分はいなかったようだ。病院のスタッフもいつの間にか消えていた言っていた。その後、家族は捜索願を警察に出したが見つからず結果死亡したということになったらしい。
それから家族は崩壊し始めたと近所の人言ってきた。自分が行方不明で死んだということで父と母は相当荒れたらしい。自分には妹が居るのだが、妹は必死に父と母の関係を睦まじめようと奮闘したらしい。しかし、妹の努力空しく父と母は離婚した。妹は高校生であった為、この地に残る父が親権を持った。母は実家へと帰ったが自分が死んだというショックで心が病んでしまい自殺したという。残された父と妹であったが、父が癌に罹り母を追うように母の死より2年後に死んだそうであった。残った妹は、両親が残した遺産でなんとか大学まで行き卒業し就職したらしい。その際に家を売却したみたいであった。
このことを聞いて言葉が出なかった。神様が必死に止めた理由が、家族がこのような状況であるということであったのだとこの時初めて理解した。
この時は凄まじい後悔に苛まれた。
あの時、神様の忠告を聞いていれば・・・。
あの時、この場所に帰ることに固執していなければ・・・。
こんな地獄を味わうことはなかったであろうと、何度も何度も何度も自分に問いただした。
しかし、自分に問いただしたところで何ら変わることはなかった。
仕方がなく妹に会いに行こうと考えた。しかし、どのような面で会いにけばいいのだと考えた。考えても見て欲しい自分が行方不明になったことが原因で家族が崩壊して妹は苦労をしたのだ。そんな中で原因である自分が生きてましたと言えばどうなるか? 結果は分かっている。妹は受け入れてはくれないだろう。
自分は妹に会いに行くことは諦めて、その場から立ち去ることにした。
それからいうと、落ち着ける場所を探し回って町を彷徨った結果この橋の下に落ち着いたのであった。
▽▲△▽▲△
「はあ~~。」
再び深ーい深ーい溜息をつく。溜息をつくと幸せが逃げるとよく言うが、今までのことを思い出すと溜息をつかずにはいられない。
そんなことを思いつつ出かける準備ができた。準備といっても崩れた
「はぁ~、行くか。」
元転生者、そして元リンクス、レイヴン、『首輪付き』と呼ばれていた男の新たな1日の始まりであった。