元傭兵の帰還生活   作:スパイク

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第3話 ネコババ

〝ネコババ″

 

 ネコババという犯罪はないが、遺失物横領罪か窃盗罪がなりえる。どちらの場合も最悪の場合、懲役刑が科せられる可能性がある立派な犯罪である。

 

だが、ここにいる男、我らが主人公である伊藤秋広(いとうあきひろ)は、スリが捨てたバックを拾って交番に届けずダンボールハウスまで持ってきてしまっている。明らかにアウトである。

 

良い子は、決してマネしてはダメだぞ!

 

 

 

▽▲△▽▲△▽▲△▽▲△

 

 

 

「さて、どうしたものかな」

 

 秋広は目の前に拾ったバックの中身を見ながら考えこんでいた。ネコババは千円や1万円のレベルなら今の現状なら躊躇いなく我が物とするが、流石に大量の諭吉の札束をネコババするのは気が引けた。

一番手っ取り早い解決方法としては警察に届けるのが一番ではある。だが、しかし、犯人が捕まっていない現状で自分がこの札束を交番に届けるとその場で逮捕という可能性はある。

親切心で届けた人物を犯人として仕立て上げるような屑警官はいないと思うがゼロではない。最近の警察官は出世欲が異常に高く強引な手段で出世している輩がいるとホームレス間の話で聞いていた。

 

もしそんな輩に大金を持って出頭してきた前科持ちのホームレスが目の前にいたら、しかも犯人が捕まっていないとしたら・・・

 

ああ、考えるだけで恐ろしい。

 

 

「よし!捨てようこんな大金!こんなもの不幸な元だ!」

 

 

そう決意しバックを持ち川に向かおうとした! だが、ふと思った。このバック、自分の痕跡だらけじゃないかと。

 

 

「もし、このまま捨てたらどうなる?」

 

バックを捨てる→警察がバックを発見→鑑識→伊藤秋広の指紋を見つける→犯人が捕まっていない→伊藤秋広は前科持ちである→容疑者認定→逮捕

 

「や、やばい、痕跡を消さなければ!    ・・・だけど、どうすればいいんだ?」

 

また、ここで新たな問題が発生した。上手な痕跡の消し方をしらないのだ。下手に残すと警察はそれを元に必ず見つけ出すに違いない。いまの日本の警察は、精神が腐っていてもこの部分に関してはマジである。

 

「届けるのもダメ、捨てるのもダメ、残るは、燃やして存在をなかったことにするか・・・・・・んなことできるわけないか。燃やしたら消防呼ばれるし・・・」

 

いろいろ考えること一分、結論は出た。

 

「よし、決めた! 現状維持だ! 犯人見つかるまでなにもしない。以上!」

 

犯人が捕まるまでなにもしないという。日本人がいつも使う具体的な決定案をしっかりとださないという悪い癖の典型例であるが、現状維持となった。

 

「まあ、寝て明日考えるか・・・」

 

諸々のことを明日に考えるとして、硬いコンクリートの上に引いたダンボールの上に横になり、寝ることにした。

 

 

 

 

▽▲△▽▲△▽▲△▽▲△

 

 

 

 

次の日

 

いつも通りの朝であった。朝起きて、身支度をし、今日生きるための賃金を得るために町にでるという流れだ。

普通に街を出たが、これっといって町に変わった様子を感じることはなく、町中で見かける警官も変わった動きをしてはいなかった。

ただ、朝通りかかった電気屋のテレビは、どれもニュース番組は昨日の夜に大金が盗まれたという報道で一色であった。

そのニュース番組で知ったのだが、どうやらあの大金はとある資産家のお金だったらしい。昨日の午後、銀行でお金をおろした後、車に乗せるところ襲われて盗まれたらしい。どうやって盗まれたというなど、自分には関係なく、盗んだ犯人が捕まったかどうかだけが気になっていた。ニュースによるとまだ捕まっていないようであった・・・

 

そして夕方、仕事帰りに同じ電気屋のテレビの前を通ると、ニュースで犯人が捕まったと報道が流れていた。

この報道をきいて、頭の中の悩みが一つ解決した。自分が盗んだ犯人扱いということはまずなくなった。なんせ捕まった犯人が罪を認めているのだから警察に届けても犯人扱いはされないのだから。

 

「さて、次の問題はあれをどうするかというだけだな…ん?」

 

 

いつもの通りに橋の下のマイホームに帰宅すると、見かけぬ二人が橋の下のダンボールで出来たマイホームをいろいろと外から見て回っていた。一人はテラードカラーのチェスターフィールドコートを来た眼鏡の紳士風の男、そいてもう一人は、同じくコートを来たダンディな風格を持つ男であった。見た目から年齢は、眼鏡の男>ダンディな男という感じであった。

 

何をしているのか、一応警戒しつつ近づいて声を掛けた。

 

 

「アンタらは何をしてるんだ。そこは俺のうちだが何かようがあるのか?」

 

「これは失礼。私たちはこういうものでして・・・」

 

 

眼鏡の男性が言葉を返すと、二人は胸ポケットから黒い手帳を出し、それを開いて自分に提示してきた。そこにあったのは警察の紋章と制服を着た写真・・・

 

 

 

 

「私たちは警察の者です。」

 

 

 

 

 俺、オワタ

 

 

 

 

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