元傭兵の帰還生活   作:スパイク

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第四話です。


第4話 オワタ?あれはウソだ。

「警視庁特命係の杉下です。」

 

「同じく冠城です。」

 

「警察の方がこの醜いホームレスごときに何か御用ですか?」

 

「これは失敬。実はこの男性の目撃情報を集めていまして、昨日の夜の10時から11時の間に見覚えはありませんか?」

 

 

メガネの男は、コートの内ポケットから写真を取り出した。それに写っていたのは昨日の男だ。うん、見覚えはあるな

 

 

「いえ、見た覚えはありません。」

 

「そうですか。しかし妙ですねぇこの人物を見たと言っている方が、同じ時間に、同じ道で、同じ方向から貴方が歩いてくるのを見たという方がいるのですが、そこはどうなんでしょうか?」

 

「そう言われても、俺は強盗犯は見てませんよ」

 

「おや、僕は一言も強盗犯だとは言ってないのよく分りましたね。」

 

(ギクッ!)

 

「た、たまたまですよ。だって、今日の朝からずっとテレビとかで繰り返し報道してるじゃないですか。警察の人だからそのことで聞き込みをしていて私に聞きに来たのではっと考えただけですよ。」

 

 

つい流れで話してしまい一瞬焦るが、何とか持ち直す。

 

 

「そうですか、これは失礼しました。」

 

「同じ場所を通ったからといって犯を見てると限らないですよ。というか、犯人は捕まって事件は解決したんじゃないのですか?」

 

「そうもいかないのですよ。その犯人が強奪したお金がまだ見つかっていないのですよ。」

 

「誰かが持って行ったじゃないんですか。」

 

「はい、貴方がいったことを私たちは考えているのです!犯人は事件について凡そ認めているのですが、『盗んだ金を入れたバックを捨てた』と供述しているの場所で見つからないのですよ。もしかすると、誰かが既に発見して持ち去ってしまったと考えられるのですよ!」

 

「アンタらは俺が怪しいと?」

 

「いえ、貴方とは言ってませんよ。ただ、第三者の手によって持ち去られたという可能性は大いにあり得ると言ってるのです。些細な事でもいいのですが覚えていることはありませんか?」

 

 

(ウソだ。親切にしてこっちに寄り添ってきてるように見せかけて、内心で絶対俺のことを怪しんだろ)

 

 

「些細なことって言っても、昨日の夜は労働基準法なんてクソ食らえのブラックな工場で働いてクタクタだったんだ。疲れていて何にも覚えてないよ。」

 

「ちょっといいですか?」

 

 

杉下さんと話していると、横から冠城と名乗った男が話に割り込んできた。

 

 

「君、未成年だよね。なんで働いているのかな?」

 

「たしかに労働基準法によって、年少者については過酷な労働について禁止されています。ちょっとおかしくないですかねぇ」

 

「違いますよ。」

 

「はいぃ?」

 

「俺こう見えて二十歳(ハタチ)越えているんで問題ないですよ。」

 

「えっ、キミ二十歳越えているの?!」

 

「そうですよ見た目はこんなですけどね」

 

 

異世界での体感時間は40年を越しているだがこの世界に帰ってきた時、自分の容貌が転生する前と全く同じなのだ。そのせいで初対面の人からよく高校生と勘違いされ、おまけに働こうとしてもこの容貌せいで高校生か中学生と勘違いされて雇うことを拒否されたり、足元を見られたりと困っていたりする。

 

 

「そうですか!これは失礼いたしました。」

 

「いいんですよ。もう慣れたんで・・・」

 

「ということは君何歳なの?」

 

「今年で25歳になります。」

 

「そうですか。」

 

「ところで話を戻しますが、昨日の夜10時から11時の間に気付いたことはありませんか? ほんと些細なことでもいいんです。」

 

「さっきも言ったけど、昨日は疲れていてそんなこと一つも気付かなかったよ。それでいいいだろ。」

 

「わかりました。それでは失礼します。」

 

「それではお疲れ様です。「ああっと!」 どうしました?」

 

「一つよろしいでしょうか?」

 

「なんですか?」

 

「あなたの()()()()()()()させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「えっ?」

 

 

やばい! やばい! やばい! やばい! やばい! やばいィーーーーー!!!! 

ダンボールハウスの中には無警戒にも昨日拾った金の入ったバックがそのまま置いてあるのだ。今、彼らに我が家に入られると非常にまずい。今入られると確実に捕まる。なんとか話をそらさなければ!!

 

 

「いまちょっと散らかっていまして、人様に見せられるような状態じゃないんですよ。」

 

「これは、残念。私、以前からホームレスの住宅の中についてとても興味がありましてね、いい機会ですのでみせて貰いたいと思ったのですよ。」

 

「流石にプライベート空間をみせるわけにいかないですよ。アハハハ・・・。令状でもあるんですか?」

 

「令状もなにも、君、ここは国の私有地だよ。関係ないような気がするんだけどな」

 

 

そうだったー!! 違法占拠してるのこっちだった!令状なんて関係なかった。

 

 

「見られてこまるものがあるのかな?」

 

「いえ、そんなものはありません。人様に見せること失礼な物があるだけです。」

 

「でしたら構いません。散らかっていても見させていただきたいです。」

 

「ちょっ、勝手に見ようとしないで!」

 

 

杉下さんが我が家をのぞき込もうとする。それを自分の体を大の字にして塞ぐ。しかし、こんどは冠城さんが体でカバーしてない所から中を覗きこもうとアプローチをしてくる。

 

 

「冠城さんやめてくれ何もないから除くのをヤメテ!」

 

「といっても、その焦り具合からして何か隠しているのでは。」

 

「なにも無いですって!」

 

「だったら見せて貰っていいじゃないですか。」

 

「いや、恥ずかしいものがあるからやめてください。」

 

「はいぃ? ()()()()()()()とは何でしょうか?」

 

「そ、それは・・・」

 

「いえ、中には何もないとおっしゃりましたが、そこまで隠しているのは何でしょうか? ちょっと気になりましてね」

 

「内緒ですよ。」

 

「内緒ですか。もしかして、警察に見られては困るものがあるのですか?」

 

「そんなものはない。」

 

「でしたら何故そこまで見せたがらないのですか?」

 

「それは・・・・・・。」

 

「「それは?」」

 

 

「エロ本が散らかっているからです。」

 

 

「エロ本・・・・・・」

 

 

なんか冠城さんが変な反応示したように見えたが無視。

 

 

「そうですよ。ハウスの中一杯にエロ本が転がっているのですよ。そんなの人様に見せるわけにいきませんよ。」

 

「そうですか。では、そのエロ本は()()()()()()()()ですか?」

 

「はぁ!?」

 

「ちょっ 右京さん!?」

 

「いえ、エロ本と言っても幅広いジャンルがあります。二次元と三次元の区別から、漫画、カラーイラスト、熟女、メイド、巫女、ケモノ、コスプレ、SM、調教、奴隷、ア〇ル、拡張、変わったものでマトリョーシ姦等々の幅広いジャンルがあります。その中で貴方は一体どの様なものを嗜んでるのか気になりましてね。細かい所まで気になるのが僕の悪い癖。」

 

 

突如、性癖について聞かれた上、見た目から想像できない言葉が杉下さんの口から次々と繰り出されたことに、冠城さんと俺に衝撃が走った。

 

 

「そんなの答えるわけねーだろ、バカヤロー!!!!」

 

 

俺が叫んだ声は橋や堤防に反響して周囲に響き、鳥たちは一斉に空に飛び立ち、河川敷で遊んでいた小さな子供は泣きだし、堤防を自転車で走っていた爺さんがズッコケた。

 

「そうですか、それは残念。冠城君、要件はすべて済みましたので帰りしましょうか。」

 

「待ってください右京さん。」

 

右京さんと冠城さんの二人の警官は帰って行ったのであった。その後、二人の警官の後ろ姿が完全に見えなくなると何とも言えぬ倦怠感が体に降りかかった。

 

「何とかやり過ごしたァ~~・・・・・・」

 

 右京が我が家の中に興味を持って中を見ようとした時は完全に終わったと感じたが、何とか切り抜けることが出来た。が、今後は警察にマークされてしまうと思った。理由は簡単、俺には前歴があるからだ。警察は前歴を持っている奴を真っ先に怪しむ。遅かれ早かれあの二人が自分のことを調べるだろう。なんせ、我が家の中を入れさせまいと攻防している時に冠城さんがこっそりとスマホで自分のことを撮っていたから、写真で調べれば一発でわかるだろう。そうするとこの事件を捜査している警察全体に伝わり自分への警戒が一気に上がる。決定的な証拠がないから、すぐ逮捕というわけではないだろうが重要参考人として四六時中監視されることになるかもしれない。そう考えると非常に厄介である。もし警察に見張られるようになってしまえば、いま持っている爆弾()を捨てることもできず、使うことも出来なくなってしまう。決断は監視が付いていない今しかない。

 

「どうするかなぁ~」

 

考える。ひたすら考える。拾ったお金を使うべきか、捨てるべきか、非常に悩む。この金さえあれば贅沢とはいかないが、ホームレス生活から脱却することができる。しかし、警察に怪しまれることは大である。捨てるとすれば、捨てる場所さえ考えれば警察は自分のことを怪しまれずにすむ。しかし、ホームレス生活がこれからも続くことになる。

 

「うーーーーーん・・・・・・。よし決めた。」

 

 

 

▽▲△▽▲△▽▲△▽▲△

 

 

 

「冠城くん、彼の顔写真は撮ることはできましたか?」

 

「はい、ばっちりと。」

 

 

秋広と右京が互いに牽制していた際、こっそりと冠城がスマホで撮影していたのであった。

 

 

「では、本庁に帰り次第彼について調べてください。」

 

「わかりました。右京さんは彼が盗まれた金を所持していると考えているのですか?」

 

「いえ、ただ彼のあせりようから何か重要なことを隠しているのではないかと考えたわけです。」

 

 

この二人はまだ知らない。伊藤秋広が盗まれた金を所持しているということ以上の秘密を抱かえていることに・・・

 

 

 

 

 

 

 




 
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