新・魔法少女リリカルなのは〜剣神と夜天の輝き   作:パッチェ

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どもパッチェです。

今の内に言っときます。映姫様はチーターです。めっちゃ強くしてます。
性格が完全に崩壊してます。原作の設定は期待しないで下さい。(いつものやつです)



☆☆

一度、愛されてしまえば、愛してしまえば、もう忘れることなど出来ないんだよ。

夏目友人帳 by露神






地霊殿 裏

「やはり来ましたね……」

 

 さとりは予定通りと思いながらも内心焦っていた。勇儀やパルスィですら額に大粒の汗をかいている。

 

「おや…?どうしましたか?」

 

 態とらしく尋ねる映姫の姿は無表情で不動立ち。その中で、胸の前に置かれた悔悟の棒(かいごのぼう)がチラチラと嫌でも目に入って来る。

 

「……何の用だよ映姫」

 

「何ですかその反応は……まるでわたしの登場は歓迎してないようですね」

 

「歓迎してないんだよ!!今、この場の現状においてお前はひじょ〜〜〜〜に面倒くさいんだ!!」

 

 力強く込めた勇儀の言霊は映姫に届く事はなかった。

 

「そんなの知りませんよ」

 

 勇儀の言葉を一蹴。

 

「言ったはずです。白か黒か……貴女達がこれからする行動に対して————わたしが決めるのです!」

 

 暴論とも取れる言葉だが、彼女はそれが出来る。

 彼女の持つ"白黒はっきりつける程度の能力は彼女が持っている絶対的な基準を元として決して迷う事がない。

 

 下手をしたら『カラスは黒い』という定義を彼女の一言で『カラスは白い』と変えられるレベルである。

 

 しかもこの能力を使われ問われた者は絶対に嘘はつけない。弁解も出来ない。一度下された判決を覆す事も不可能である。あるのは絶対的な平等と裁きのみである。

 

 

 ————故に彼女は閻魔

 

 

 ()()()()()()()()、それが故に誰も彼女に干渉出来ず、染められず、惑わせられない特殊な場面を除いて平等。

 

 だからこそ彼女は閻魔となった。

 

「さぁ、わたしの問いに答えてもらいますよ。貴女達は本当に()()()()()()のですか?」

 

『『…ッッ!!?』』

 

 閻魔の威光…とでも言おうか。

 神にも等しい魔力がさとり達を襲い絶対的な差があるのを感じる。

 

 

 

 

 —————だから何だ?

 

 

 

 

 今のさとり達はそれで怯む訳がない!止まる訳がない!もう逃げないと決めたのだ。

 

「閻魔……いえ、敢えてあの時の呼び名で言いましょう。映姫………私達は———向き合います」

 

「…………」

 

「さとりの言う通りだ!私達はいつまで逃げていた……私達はいつまであの日に囚われている……いつまで嘘を付いていると思っている!」

 

 さとりの決心に僅かにピクリと映姫は反応したものの依然としてだんまりを決め込む。

 

「お姉ちゃんの言う通りだよ!わたしはあの日から……ずっと逃げた。現実を見たくないから……誰も守ってくれないから…わたしは目の前のことから目を逸らした…」

 

 こいしが無意識に語る。

 

 目を潰した日からこいしは悟りを辞めた。心を見ることを忘れ、現実を見ることをなくし、少女の目に映るのは灰色だった。その目に光が当たる事はもう無いだろう…と思い続けていた。

 

 

 でも……でもあの少女に…はやてという少女にこいしは光を見た。

 

 

「わたしはもう逃げたくない!!!」

 

 それはこいしが無意識ではなく自分の意思で決めたのだ。もう無意識で決めるのはやめると……自分に嘘はつかないと。

 

「………そうですか」

 

 やっと口を開いた映姫の言葉はこれだけだった。

 

 

 

 

 

 その代わりに———

 

「わたしの力の前でもその決意は変わらないですか?」

 

「「変わらない!!!」」

 

 悔悟の棒を両手で胸の前に持ち脅そうとした、瞬間に帰ってきた返答に映姫は完全に固まった。

 

 一時の沈黙が訪れるが、溜息を吐いた映姫は悔悟の棒を降ろしてさとり達に真剣な眼差しで言った。

 

「まぁ……地上に出ていいですよ」

 

「「「軽いなおい!!!」」」

 

「いや…別に止める気はありませんでしたし…あ、別に貴方達だけが夜と一緒遊んで、お泊まりして、料理作って楽しそうな日を過ごしたのをうらん…ゲフン…羨ましいから嫌がらせ…ゲフン…わたしも遊びたかった!!」

 

「「「本音がダダ漏れな件について!?」」」

 

 もう完全に駄々っ子になっている映姫をみてパルスィは信じられないものを見る目になっている。

 

「え………え?誰これ?さっきのカリスマの塊だった姿は何処に?」

 

 もはや別人と言ってもいいほど雰囲気すら変わっている。1人動揺するパルスィだが、残りを3人はやっぱりか…と残念なものを見る目に変わる。

 

「あー……パルスィは閻魔の映姫しか知らなかったよな…。ぶっちゃけ言うとこっちが本性だ」

 

 勇儀の言葉に唖然として、再び映姫に視線を向けるが何やらブツブツとリアクションを付けながら一人で喋っている。

 

「いつもさとり達の方に行って……わたしの所にも来て欲しいのです。そりゃ余り来れない理由は分かってますが偶には夜の温もりが欲しい!!だってわたしあの場で末っ子なんですよ!!それが今じゃわたしが一番出世したのに…姉達はみんな引きこもって……それなのに夜と遊んでるなんてずるいです!!」

 

「「……ケホ!?(吐血」」

 

 グサッと何箇所かさとり達に言葉の槍が突き刺さる。

 

「嗚呼、よる……ヨル……夜ぅぅぅ!!」

 

 因みに映姫はこれが正常である。

 普段は生真面目で頭が固いと言われる仕事人だが、これが夜が絡んでくるとダメになる。

 彼女の基準は全て『夜』前提に変わり、まさに夜に狂い夜の為に狂うと言ってもいい。

 

 それが許されるのか?と言われると許されていると言うしかない。彼女は閻魔になる条件で『八雲夜以外は平等に』『八雲夜は贔屓する』という閻魔にあるまじき要求を十王達に叩きつけた。

 十王達はそれを容認するしかなく、まぁ夜の事情が特殊すぎるという理由で彼女は閻魔になった。

 

 それでもその本質は変わる事なく、閻魔になる前は『ストーカー地蔵』と言われていた本質を知り合いの前だけに出しているのだ。

 

 

 

 

 そんな夜を愛す映姫だからこそ彼女はさとり達を試したのだ。

 

 

 

「……別に貴方達を信じてない訳じゃありません」

 

「……映姫」

 

 さっきまでのふざけた空気は変わって、映姫の真剣な眼差しがさとり達を射抜く。

 

「…貴方達は……姉達は…みんな塞ぎ込んでしまいました。わたしは……ずっと逃げていた……わたしが……わたし達が…」

 

 ————嫌いです

 

「わたしは閻魔です。あの日から……閻魔となった日から夜を救おうとしている者たちを見てきました。知っていました」

 

 ————知っている。

 

 ————人生を魂を賭けて夜の為に

 

 ————命を対価にのせたモノを

 

「わたしは見ている事しかできません。夜が苦しんでいる時も悲しんでいる時も絶望している時も見ている事しか出来ない!!」

 

 自分の力がどんなに強い能力でも、自分の基準、定義に無いことは何も出来ない。いつも感じていた無力感。

 

「わたしは夜が好きです。あの時間が好きでした!だからこそ半端な覚悟で貴方達が夜の元に行き、何も出来なかった時をわたしは見たくない!!」

 

 ————みんな壊れちゃう

 

「だからわたしは貴方達を『ごめんさない映姫…』……さと姉……」

 

 さと姉……こう呼ばれたのはいつぶりだろうか。

 泣き叫ぶ映姫をさとりは抱きしめて落ち着かせる。勇儀やこいしも映姫の乱れた姿に罪悪感が押し寄せる。

 

 分かっている。一番映姫が夜の為にと心身をボロボロにしながら働いてきたのだ。今、その思いが溢れ出しているのだろう。

 

 だから次は……

 

「お姉ちゃん達に任せて…」

 

「……さと姉」

 

「そう簡単に信じられないのは分かっているわ。でもお願い……」

 

 ———私達は絶対に夜達を救ってみせる

 

 

「だから見ていて……悲劇の物語じゃなく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———ハッピーエンドの物語を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____________________

 

 

 ______________

 

 

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 〜地底の出口〜

 

 

「行くんですね……」

 

 それは閻魔としての言葉か、かつての家族としての言葉かは分からない。でも映姫として心配しているのだろう。その心は伝わっている。

 

「安心しろよ映姫。偶には姉ちゃん達活躍すっから」

 

「うん……勇姉」

 

 カカッと笑う勇儀を見上げる映姫は側から見ると完全に恋人のようなあれだ。

 

「ほんと…あれ誰だろうね…いつも説教ばっかの閻魔の双子じゃないのかい?」

 

「……そこの猫ペットは後で説教です」

 

 いきなり閻魔モードに、ニャニャニャ!!?と下手なことを言ったお燐は後で一日中の説教が始まる事に怯えだす。

 

「ま、頑張んない程度に頑張りなさい…命懸けで!」

 

「ふふ、何よそれ。まぁ分かっているわよ……私達は最終的にどうしようもないわ……でも希望への道は作れるでしょう」

 

 いつだって私達は踏み台。最後は人間が……これって最早方程式よね…っと言うさとりに、そうだなと大体が頷く。

 

「それじゃあお燐、お空地霊殿の管理はお願いね」

 

 お任せくださいというペット達にさとりは微笑むだけだ。

 

「キスメとヤマメも鬼達の相手よろしくな!」

 

 勇儀の声に後ろで土蜘蛛の妖怪"黒谷ヤマメと桶に入って生活をしている"キスメのはーいという返事が聞こえてくる。

 

「行きましょうか」

 

 さとり達の前には本当の光が………何百年ぶりの地上の光が見え始める。

 

「頼みましたよ…こいしも」

 

「うん…映姫ちゃん」

 

(この2人の仲は良くわかりませんね?)

 

 そのまま2人は無言でグータッチをする。この2人の間には何があるのかさとり達ですら昔からよく分からない。でも何か悪い仲では無いのだろうとは感じる。

 

「そんじゃどうするさとり?」

 

「そうですね……ま、映姫風に言うなら引きこもっている妹達を引きずり出しに行きましょうか」

 

「ああ……大変そうだなぁー」

 

 大体のメンバーが分かったのかこいしは棒読みで遠い目だ。でもやる事は分かりきっているのだ、後は進むしかない。

 

 

「「「じゃあ映姫……」」」

 

 

 

 ———行ってきます

 

 

 

「…ッ!?」

 

 3人の揃った言葉に映姫は懐かしさと過去を思い出す。今度はあの日のメンバーで……家族で戻ってくることを願って映姫は言った。

 

 

 

 ———行ってらっしゃい!

 

 

 

 と……もう叶わぬと思った幻を祓うような満面の笑みで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、絶対に失敗出来ないわね」

 

「んまぁ、あんなの想いもの託されて……私らが出来なかったら姉としての立場がなくなるな」

 

「もう無かったりして♪」

 

 久しぶりの太陽の日を浴びながら話す姿は何とも呑気そうだ。だが、真剣な表情である。

 

 

 

「さ、行くわよ…まだ引きこもってる妹達を起こしに!!」

 

 

 彼女達は止まらない。

 

 全ては最愛の人のために。

 あの日取りこぼしたモノを拾いに行く。そして新たなる道を創り出す。

 

 

 

 

 あの子がまた笑って歩んでいけるような未来への希望を持って………

 

 

 

 

 ———全てを託そう!光ある子らにへと……

 

 

 

 

 






【あとがき】


前回と違って夜の過去が少しずつ分かってきてますねぇ〜〜。

こんな映姫様でも可愛いよね♪
因みに映姫様のヤマザナドゥが付いてないのは、楽園(幻想郷)が無いからです。まぁ、東方の原作は殆ど改変しますので悪しからず。そこは2次創作ですし♪


すっごい矛盾ありそう。
それすらも我は回収してみせる!(無理ゲーだなうん)


では次回から闇の書編に入ります。作者は今から布団に入ります。

これで一旦地霊殿編は終了
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