新・魔法少女リリカルなのは〜剣神と夜天の輝き   作:パッチェ

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どうもパッチェです。


本当に遅れて申し訳ございません。
ギリギリ今年中に更新が出来ました。本日は2話投稿しております。
27話のあとがきに今年事、来年の事を書いておりますので読んでくだされば幸いです。







26話 進化の真価

 

 

 

 

 一発触発の空気の中、先に動いた…いや発したのは、なのは側のデバイス達であった。

 

 

 《マスター、カードリッチロードを命じて下さい!》

 

 

「うん!レイジングハート!」「私もだね。バルディッシュ!」「了解、グラウディウス!」「分かったわ。フレイムアイズ!」「もちろん!スノーホワイト!」

 

 

『『『カードリッチロード!!』』』

 

 

 ガシャコンとデバイスのカードリッチが音を立てなのは達の魔力が跳ね上がる。その光景は夜達が警戒度を引き上げるには十分なものであった。

 

 

「デバイスが進化してるッスね……」

 

「そうだな。油断せずに行くぞ!」

 

「ん……油断無し」

 

「言われなくても!!」

 

 

 この場の全員が一度空を舞う中、自然と散り散りになり、己の相手と戦闘が開始される。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 〜〜ヴィータVSなのは〜〜

 

 

 

「へぇん!結局やるんじゃねぇーかよ!」

 

 

 後ろからついてくるなのはに皮肉のように言う。だが、それで止まるほどなのはの意思は柔くない。

 

 

「私が勝ったら話を聞かせてもらうよ!良いね!!」

 

「やれるもんなら……やってみろよ!」

 

 

 ヴィータは魔力で鉄球を作り出し、なのはに向かってアイゼンで打つ。それをなのはが避けたところを見るとヴィータはアイゼンをラケーテンフォルムに変え、

 

 

「うおおおおおおお!」

 

 

 雄叫びをあげながらアイゼンを振りまわし遠心力を使って、ラケーテンハンマーをなのはにぶつける。

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

 ラケーテンハンマーを放つヴィータはこれで終わりと思っていた。前回はこの攻撃でなのはを撃退したため今回も防げるはずは無いと思っていた。

 

 

 それが前回のままだったら………

 

 

 《【プロテクション・パワード】》

 

 レイジングハートの声に、なのはは右手から進化した防御魔法を発動する。

 

 

「グゥ……固え」

 

 

 前回は貫通され壊されたバリアはヴィータのラケーテンハンマーを完全に止め、レイジングハートがそのままバリアを爆発させる。

 

 

「ぐああああ…」

 

 

 至近距離で爆発を受けたヴィータは、その衝撃で吹き飛ばされる。そのままレイジングハートは追撃を指示する。

 

 

 《マスター。アクセルシューターを撃って下さい》

 

「うん。【アクセルシューター】」

 

 

 シュート!と合図をするとレイジングハートから12個の魔力弾が発射され、今までのディバインシューターより威力が高くなっていた。そのため一瞬制御を失うが、何も問題は無い。

 

 

 《コントロールをお願いします》

 

 

 レイジングハートの一言に冷静になったなのはは目をつぶり、グルグルとヴィータの周りを回っているアクセルシューターのコントロールを始める。

 

 

「アホか!こんなの制御出来るわけがねぇ!」

 

 

 目をつぶっているなのはにもう一度シュワルフリーベンを放つが、レイジングハートには確信がある。

 

 

 彼女は見てきた。

 ———自分の相棒がしてきた努力を!

 

 

 彼女は知っている。

 ———なのはの才能を!

 

 

 《出来ます。私のマスターなら》

 

 

 レイジングハートの言う通りになのはは一部のアクセルシューターで鉄球を撃ち砕いた。

 その光景に呆然と見ていたヴィータに、なのはははっきりと自分の意思を示した。

 

 

「約束だよ、私たちが勝ったら事情を聞かせてもらうって!」

 

 

 なのはは残りのアクセルシューターをヴィータにぶつける。ヴィータは【パンツァーヒンダネス】を使うが、ヴィータを守る赤い水晶はアクセルシューターでヒビが入りさっきまでの余裕はヴィータから無くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 〜〜シグナムVSフェイト〜〜

 

 

 

 

「はあああああ!!!」

 

「うらああああ!!!」

 

 

 バチンッ!とレヴァンティンとバルディッシュが交差しお互いの一撃に火花が散る。

 

 

 互角の一撃にお互いが後ろに飛ぶとフェイトはプラズマランサーを放ちそれをシグナムは紫電一閃で全て弾くが、そのランサーをもう一度制御しシグナムに背後から放つ。

 

 

 それに気づいたシグナムはレヴァンティンを振るい炎の衝撃波でランサーを消すと、シグナムの目の前には攻撃をしようとしているフェイトがおり、

 

 《ハーケンフォルム》

 

 斧の形状から魔力刃で出来た鎌に変わる。フェイトに合わせるようにシグナムも声を荒げた。

 

 

「レヴァンティン!」

 

 《シュランゲフォルム》

 

 長剣からいくつもの節に分かれた蛇腹剣に変わり、お互いの一撃に爆発が起きる。

 

 

「くっ!」

 

「むっ!」

 

 

 この攻撃でフェイトには左腕に傷ができ、シグナムにも胸元を切られていた。

 

 

「強いなテスタロッサ……それにバルディッシュ!」

 

 

 シグナムは己と渡り合えるフェイトと傷を付けたバルディッシュを褒め称える。

 

 《サンキュー》

 

「貴女とレヴァンティンも……シグナム!」

 

 

 お礼を言うバルディッシュにフェイトも、シグナムとレヴァンティンに同じ事を言葉を返す。

 

 

「この身に成さぬべき事が無ければ、心躍る戦いだったはずが……仲間達と我が主の為今はそう言っておられん」

 

 

 シグナムはフェイトとの戦いを嘆きながら、レヴァンティンを鞘に収める。だが、剣先はフェイトに向けられている。

 

 

「殺さず自信が無い……この身の未熟を許してくれるか?」

 

「構いません。勝つのは私ですから……」

 

 

 お互いが言葉を交わし合い刃を向ける。

 これ以上の言葉はいらない。自分の思い、考えを示したいなら斬れ!その重みを示してみせろ!と、2人は自分の信念を貫くためにお互いに力を出し尽くすのであった。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 〜〜夜VS誠〜〜

 

 

 

 

 一定の距離を夜から保っている誠は、ディウスを片手に魔弾を放つ。

 

 

「【ディバインシューター】」

 

 

 誠は五十を超える魔力弾を操り、夜に向かって放つ。

 

 

「…領域……入った」

 

 

 夜が斬れる居合の領域に入った魔力弾は、誠には見えない速度の抜刀術で一つ残らず斬られ夜には当たらない。

 

 

 先程からこの光景が繰り返しになっていた。

 

 

 別に誠からすれば、これは当たり前の戦法である。誠自身剣術は出来なくはないが、シグナムに勝てる技量はもっていない。ならば、圧倒的技術を持ち格上である夜の土俵の上でやり合う理由はない。

 

 ()()()()()()()()……。

 

 只々その事を考え、じわじわと彼は土俵の外から攻撃していく。

 

 

 

 一方で夜は斬り込みのタイミングを見計らっている。

 

 

 淡々と放たれた魔力弾を斬る、斬る、斬る。夜はそれが全てである。何がきても斬る。何処から来ても斬る。

 誠が100の策で戦おうとするなら、夜は究極の1で応戦する。この場面もそうだ。

 

 

 誠は単純な魔力弾を放っているのでは無く、死角を狙い数の暴力で、緩急をつけて、魔力弾の中に魔法式を組み込み鎖が捕らえに、1つの中に無数のひらめきが夜を襲って来る。

 

 

「……あは♪」

 

 

 嗚呼、楽しい。

 斬っても斬っても斬っても斬っても斬っても、途絶えることのない攻撃が、計算尽くされたことがこの光景に至っている。

 

 

 彼はあるのだろう。特別な才があるのだろうと夜は感じた。だが、それはまだ芽が出た状態であり、自分では気付いてない事だと夜は思う。

 

 

 あれはまだ開花していないと、夜の経験と本能が感じ取り、どんな花を咲かせるのか興味もある。

 

 

(……あいつ……面白い…。…一度枯れた花が…死んで……蒔かれた種…が…再び…開花…前?)

 

 

 どうも不思議な感覚だが、またそれも特別なのだろう。

 

 

(あの…砲撃子も……良い……ふふ…)

 

 

 思わず無意識的に夜の口角が上がる

 

 

「おいおい、笑う程暇か?」

 

「ん……?……笑う……誰が…?」

 

「んあ?………気づいてないのか(ボソッ」

 

 

 前回の襲撃から誠は思っていたが、どうも目の前の少年は情緒不安定なのかと。

 

 

(すずかみたいなタイプか……まぁそれは置いとこう)

 

 

 実際は誠自身、初めからこの戦闘で勝てるとは思っていない。確かに前回のリベンジもしたい。でもその挑戦は今では無い。夜が手加減をしているのか、力が出せないのかは誠は知らない。

 しかし、意思疎通ができる状態であるなら目の前の少年の目的も含めて、今更べきは対話……情報を集める。

 

 

 その為に誠は——()()()()()()()()()

 

 

「……ッッ??」

 

 

 いきなりの事に流石に夜も戸惑い動きが止まる。一方で誠は大剣を地面に刺し、ただその場に立つ。夜からしたら斬ってくれと言ってるようなものだ。

 

 

「……なんの…まね!」

 

「とりあえずお前と話がしたかったからな。俺はその為に何もしない」

 

「………」

 

 

 こいつは馬鹿だと夜は思うしか無い。

 戦場において話がしたいからと言って自分から剣を置く奴がいるのか………もしそのまま斬られたらどうするのか————

 

 

「———でもお前は斬ってないだろ」

 

「………む」

 

 

 ———心を読まれた。

 

 

「てかお前が本気で斬る気なら俺の首は速攻で落ちてるだろうしな。あははははは」

 

 

 自分が苦手なタイプだと夜は感じる。

 さとりの様に本当の意味で心を読んでいるなら対用は簡単なのだが、誠の様に1つの仕草、僅かに動いた表情、そんな簡単なもので心の奥底を見抜いてくる。このタイプは1番の夜の天敵だ。

 

 

「お前は……お前達はそういうタイプだ」

 

「……むぅ…」

 

「ククッ、なんだその膨れ顔」

 

「……はぁ…」

 

 

 夜はヤル気(殺る)が削がれたと言わんばかりに、夜刀を鞘に収める。

 

 

「ん……お前みたいなやつ…嫌い…」

 

「ありがとう。褒め言葉だ」

 

 

 満面の笑みの返しに夜刀は思った。《あ、こいつ性格クッソ悪いやつ》だと。夜に関しては未だ()()は無表情である。

 

 

「……それで…何…」

 

「ん?何がだ」

 

「……何を……何故…僕と…話…たい?」

 

 

 夜からしたら疑問が浮かんで仕方がなかった。

 ずっと誠からは殺意は感じても敵意は全く感じない。普通の人間なら前回の事で強い怨みを持っていてもいいぐらい痛めつけた。

 馬鹿みたいな正義中でも無い。

 

 

 ——夜には見えない。

 

 

 薄笑いを浮かべているように見える誠の表情の裏には何があるのか…。

 

 

「いや、別に深い意味は無い」

 

「……は…う?」

 

 

 《(あ、今の可愛い。保存しなきゃ)》

 

 《ああ、また誠の悪い癖が……》

 

 

 こてんと首を傾げる夜とポロリと出た可愛らしい声に夜刀は"夜の可愛い発言集"に保存し、ディウスは誠の発動した悪癖に無い手で頭を抑えた。

 

 

「実際俺自身そこまで戦闘に興味ないし、もともと勝てない試合はしたくねえー」

 

「…………なら」

 

「勘だな」

 

「……は…?」

 

「だから勘だ。直感ともいうが……まぁそうだな」

 

 

 別にふざけているわけではない。本気で言っている。考えている。そう確信している。

 ただ誠はそんなあるようで無いものを信じ通すほどの理解はない。だからこそ彼が動く理由は単純明快。

 

 

「あいつらがそう感じて思ってる。——それが俺の行動理由だ」

 

 

 なのは達が動いたから、と彼は言った。彼女達の勘は誠が1番信用しているものでもあるし、それを身を以て体験している。そこに疑う理由がない。もちろんそれだけではない。

 

 

 《貴方も素直に言えばいいじゃないですか、彼女達が傷つけられたから!とか、この前のリベンジだ!!とか、この子が昔の自分に似て——》

 

 《———うるせぇ!勘なんだよ勘!!別に気になったからとかじゃねぇ……》

 

 《……男のツンデレに需要は無いですよ》

 

 

 ディウスからの念話を無視して誠は目の前のことに集中する。もしこの発言で夜がキレて、本気で殺しにきたら首が飛ぶことは分かりきっているからだ。

 

 一方で、その夜は顔を伏せて動かない。

 

 

「…………」

 

 

 数秒後、夜は何も発しないまま顔を上げ、その中で———夜は夜刀の柄に手を置いた。

 

 

「…それもまた…一つだろう。…だが、…どんなに…馬鹿らしい…理由…でも…意味のある答えでも…、それが…通じる…のは…勝者……のみ……。故に……今…この場で刀を……交えない……と…いう理由…にはならない」

 

 

 自然と刀が抜かれる音が聞こえる。

 

 

「その…想いが本当なら…本物なら……———語れ、力で」

 

「やっぱそうなるよな………上等!!」

 

 

 誠もディウスを地面から抜き構える。

 

 

「我が…相対…する者よ。名乗ろう……僕は———剣神“八雲夜”我が技によって…お前の…意…を断ち斬ろう」

 

「そんな大それた名はないが、俺は“直江誠”………そうだな言うなれば、友の意の為に貴殿に土をつけよう」

 

 

 

『『いざ尋常に勝負!!』』

 

 

 

 ———1人は家族たる少女の命と家族のために

 

 

 

 ———1人は友たる少女達と共にあらんとするために

 

 

 

 理屈抜きの()()()()()譲れない思いが故の戦いが始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 〜藍VSリニス〜

 

 

 

 

 主達から少し離れた場所に2人の獣系美女が相対していた。無論自分の主がぶつかり合っているのは感じている。

 

 

「…主ヨルも戦っておられる。さぁやろうかのぅ」

 

「そうですね」

 

 

 二人の周りには大量の魔力弾と妖力弾が生成され弾幕合戦が開始されていた。元から魔力と知恵で勝負する2人が戦闘するのであれば簡単に予想できる場面だ。

 

 

「チッ!」

 

「クッ!」

 

 

 お互いの攻撃が相殺瞬間にリニスは管理局で支給されているストレージデバイスを構え

 

 

「【フォトンランサー】」

 

 

 槍状の魔力弾を藍に放つ。

 

 藍も指先に魔力を貯めスペリングを始めた。

 

 

「久しぶりに本気を出そう!綴る…炎は平等なりて善悪混沌一切合財を焼尽し、浄化しむる激しき慈悲なり 【第一階梯 火炎】」

 

 

 

 藍が〆ると空中に浮かぶ文字が魔法陣に変わりそこからの火炎がリニスのフォトンランサーを焼いた。

 

 

「何ですか今のは!?魔法!?」

 

「これは貴様らの機械に頼る様な魔法では無く、私が主ヨルの力になる為に編み出した【闇術】」

 

 

 藍の闇術とは自然界のエネルギーを操作し、ダメージを負わせたり、結界を構築したり、怪我を癒したりといわゆる魔法。闇術は詠唱に中空にスペリングが必要で隙が大きいが、何千年の戦闘経験でスペリングを高速詠唱で補っている。

 

 

「私は主ヨルのためにも負けられん!綴る…氷の子よ 雪の童よ そなたの息吹を貸しておくれ 小さな息吹で凍えさせておくれ【第一階梯 氷の息吹(ホワイトブレス)

 

 

 冷気放射的なものが轟々と唸りをあげリニスに襲いかかる。

 

 

 この攻撃は普通の使い魔であれば防げる攻撃ではなかった。しかしリニスは普通では無い。

 かつて大魔導師と言われたプレシアの使い魔であり、世界でも片手には入る使い魔である。

 

 藍にも負けられない理由があるならリニスにもある。一度は死にかけたが誠に救われリニスは決めたのだ!

 私は誠を守ると!新たな主として。プレシアをフェイトをアリシアをアルフをかつての家族を救ってくれた者を守ると!

 

 

 だからこそリニスも負けられない。———使い魔として!

 

 

「貴女だけが思っていることではありません!【ジェットスマッシャー】」

 

 

 リニスが放つ淡い黄色の光輪が氷の息吹とぶつかり爆発する中リニスは藍に問いかける。

 

 

「今更ですが対話することはできないのでしょうか?此方は話をしたいと思っています」

 

「本当に今更だが……無理だな!こちらにメリットが無いし、お前達の言葉を信用する理由もない」

 

「………では戦うしか無いと?」

 

「…………」

 

 藍からの返事は無い。

 しかし日本には沈黙は肯定とみなすという言葉があるように無言はそれなのだろう。

 

 爆風が収まると同時に藍は決定的なこれ以上ない理由を叩きつけた。

 

 

「主が戦っているのに我らが戦わない理由があるか?」

 

 

 

 ————ッ!!

 

 

 

「………失礼しました。その通りですね。互いの主が戦っているということはそういうことですから」

 

 

 一礼するリニスは己の馬鹿な発言を恥じた。

 

 敬愛する主人が戦っているのに使い魔である自分は平和的解決を図ろうとしていたことに。問い質したことは間違いではないのかもしれない。側にはいない主も同じ事を問い質したかもしれない。———だが戦っている。

 

 

 ほら……答えはでた。

 

 

 ではもういいだろう。ここからやる事は理解しただろう。もう考えるのはやめだ。

 

 

「私はリニス…主人"直江誠“の使い魔です」

 

「我は八雲藍…主"八雲夜“の眷属だ」

 

 

 ———名を交わす。

 これだけで自分が、相手が、お互いが存在の証明がされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこにあるのは、ただ自分の主の想いのために……

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 〜レヴィVSアリサ&すずか〜

 

 

 

 

 高層ビルより高い高度で、火と氷の花が咲き乱れている中、一つの影は淡々と処理をしていく。

 

 

「いい加減諦めてくれないッスか?」

 

 

 レヴィは四方からの氷柱や火の玉を捌きながらすずかとアリサにそう言う。

 

 

「あんたがおとなしく捕まればいいのよ!【炎鳳翔】」

 

「私たちも戦いたく無いんです!【氷華】」

 

「……とか言いながらガンガン攻撃が飛んでくるッスけど!?」

 

 

 戦いたく無いという言葉と同時に飛んでくる火の鳥と氷の花弁をレヴィは空中走行で避ける。

 

 

「はぁ……仕方ないッス【忍法・カマイタチ】」

 

 

 短刀を手元で軽く振るうと風の刃が四つアリサとすずかに向かうが、アリサはアイズの炎で風の刃を燃やし斬りすずかは氷壁で防ぐ。これで終わると思っていたレヴィは防いだことに関心の声を上げた。

 

 

「おー、よく防いだッスね〜」

 

「ふん!こんなの効かないわ!」

 

「油断はダメだよアリサちゃん!」

 

「分かってるわよ。悔しいけどあの忍者は格上…油断は無いわ。アイズ!」

 

 《おうよ!フレイムモード》

 

 

 アリサはもう一度アイズを構え直してカードリッジによって進化したフレイムモードに変えると炎を纏ったアイズをレヴィに振り下ろした。それをレヴィは短刀受け止めるが、前回との違和感に気付く。

 

 

「これはッ!?」

 

 

 この前までのフレイムモードであれば一撃で炎が消えたいのに対しカードリッジを使ったフレイムモードは長時間の炎を纏うことが出来るようになっていた。その火炎がレヴィ襲ってくるのに対し、後方へ避ける事でダメージを避ける。

 

 

「これが新しいアイズよ!今よ、すずか!」

 

「うん!ここで決める【氷爪】」

 

 

 レヴィが避けた背後に待ち構えていた、すずかが右手の人差し指と中指が氷で覆われた爪でレヴィを突いたがいきなり煙が上がりレヴィが木に変わる。慌てて二人は周りを見渡すと少し離れていたビルの屋上に立っているレヴィを見つけた。

 

 

「いや〜惜しかったッスね。変わり身の術ッスよ」

 

 

 余裕感バリバリのレヴィだが、内心焦りが見えていた。

 

 

(ヤバかったッスね…いくらデバイスが進化したとはいえ此処まで動きが違うって……これだから才能を持つ者は怖いッス。それに今の時期は本気が出せないしこの地は自然が無いッス……どうするか…?)

 

 

 前回とよりも強い二人に実際は余裕が無いレヴィ。しかもレヴィの戦い方"忍法術(シャーマニック・スペル)は大自然の力を使う。自然があればあるほど強くなるレヴィだが、今の場所はビル街のために力が出せずにいた。

 

 この後どうするか考えいると、背後から冷気を感じたため短刀を持っている手を背中に回して氷の爪を防ぐ。

 

 

「速いッスね!?忍者の背後を取るとは中々ッス」

 

「貴女は格上ですから。逃げてばかりじゃ勝てませんし」

 

「そりゃどうもッス…(ちょっと…キツイッスね。)」

 

 

 すずかは素直な気持ちで言っているのだろうが、レヴィからすればそんな言葉を素直に受け取っていける余裕な無い。しかもすずかは力の差があることで、それが燃料となり、力を増していく。

 

 

「だからもっと攻めます!【アイスチェーンバインド】」

 

 

 すずかが屋上の床を足のつま先で鳴らした瞬間、床に蒼の色でできた魔法陣から氷で出来た鎖がレヴィの身体を蓑虫のように縛る。

 

 

「これは……やられたッス」

 

「やったわね!すずか」

 

 

 今、この場に来たアリサが歓喜の声を上げる。2人でレヴィの前に立ち、もう何もできない状態であろう、と勝ちの意識が生まれる。

 

 

「これで動きは封じました。あなた達の目的を教えてください!」

 

「目的……ッスね〜、どうしてそんな事聞くッスか?管理局員だからッスか?」

 

「違います。確かに管理局と一緒にいますが、私達はお話したいんです」

 

「話をしなきゃわからない事だってあるでしょう!私達はそうやってきたのよ!」

 

 

 ———話がしたい。

 その言葉に疑問しかないレヴィは可笑しなことを言うと、心の中で少し笑ってしまう。ただの愚か者か、馬鹿なお人好しか。

 

 

「………でも自分達は悪い事をしてるッスよ?」

 

「悪い事をしてる人が悪い人だとは言えないでしょう。それにあなた達からは嫌な感じがしませんから」

 

 

 すずかは知っている。

 欲望にまみれた醜い者達を。夜の一族と言う家系に生まれたすずかは、自らを王と思い好き勝手にしている者達を見て育ってきた。

 

 ———そう言う人たちはただ醜いのだ。

 

 しかし襲われたとは言えヴィータやレヴィからはそれを感じなかった。なのは達の中でも悪意という部分に1番敏感なすずかがそう感じている時点で少なくとも一般的な極悪人ではないのである。

 

 だからこそなのはがフェイトと分かり合えたように、レヴィや他の者達ともすずかは分かり合いたいと思っていた。

 

 

(成る程……この歳でそこまで悟っているとはどんな人生を歩んできたッスかね〜)

 

 

 そう思うレヴィはすずかが一瞬見せた養豚場の豚を見る目に少し同乗した。多分本当の悪というものを、この少女は見て来たのだろうと、それを打ち破って乗り越えて、この場に立っているのだろう。そして確かに———

 

 

「———自分は悪では無いッスよ!」

 

「う、うそ…!?」

 

 

 レヴィから伸びている影が飛び出してレヴィを包んだ。それは言葉通り光景である。まるで捕食しているような光景にアリサは恐怖のようなものが背中に伝わるのを感じる。

 

 

「一つ間違いがあるッスね」

 

「バインドが!?」

 

 

 影から声が発しているように思えるほど、レヴィの身体は影と同化しているように見える。顔の所々は見えるが、全身の9割が黒だ。まるで夜の闇のように。

 

 

「な、何が間違いがあるって言うのよ!」

 

 

 恐怖を押し込めてアリサが言葉を放つが、その喉はカラカラで、潤いが欲しくなる。

 そんな恐怖の権化のような姿をしながらもレヴィの見える表情はまだ慈愛あった。

 

 

「自分は悪や善、正義なんかじゃダメなんッスよ。———自分は影…そう、あの方の影じゃないといけないッス」

 

 

 それが長年連れ添って来た主だから。あの時に誓った覚悟なのだから。影であることが風間レヴィという存在なんだ。

 

 

 

 だからこそ———

 

 

 

 

「……戦うしか無いんですか?」

 

「そうッスよ。あの方の為に………残りの時間を幸せに過ごしてもらうために……譲れないッスよ!」

 

 

 レヴィの目が短刀を構える姿が、本気である事が分かり、アリサとすずかも覚悟を決める。

 

 

「こう言う時は美鈴さんが名乗り合うと言ってたッスね………自分は夜さんの眷属の一人"風間レヴィ」

 

 

「レヴィさん……私は"月村すずかです」

 

「私は"アリサ・バニングスよ!」

 

 

「それじゃあお互いの刃をぶつけていくッスよ!!」

 

 

 

 一人の少女は主のために譲れない想いを守るため、その影として………。

 

 

 

 

 二人の少女は友人の想いを……共に憧れた背中を真似て、闇に立ち向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 〜ザフィーラVSアルフ〜

 

 

 

 地上で殴り合いをする二人の獣。二匹の獣。荒々しく拳を振るう姿は鏡に映った己のようだ。

 

 

「———はああああ!!」

 

「———ふぬん!!」

 

 

 アルフの魔力の纏った拳をザフィーラは腕を横にしてガードする。それに合わせてザフィーラがカウンターの拳を放つが、アルフの拳がまた相殺する。

 

 

「あんたは主人の使い魔か!?」

 

「ベルカでは騎士に仕える者を使い魔と呼ばぬ!主の牙…そして盾…主の守護獣だ!」

 

「どっちも一緒じゃないか!!」

 

 

 お互い拳がぶつかり魔力の暴発により軽い爆発が起きる。

 黒い煙が顔近くに舞い踊る為2人は一度距離を取った。その間ザフィーラはバックステップで避ける時に上空で戦う仲間達の姿を捉えた。

 

 

 ザフィーラは戦いながら念話を使用しシャマルに撤退の意思を伝える。

 

 

 《状況はあまり良く無い。ヴィータやシグナム…夜や眷属達が負けるとは思わんがここは退くべきだ!シャマルなんとか出来るか?》

 

 《何とかしたいけど……局員が結界を維持しているの…私の魔力じゃ破れない。シグナムのファルケンかヴィータのギガント級の魔力を出さないと無理よ》

 

 《こっちは皆無理だ。やむを得んあれを使うしか…》

 

 《分かってるけど……でも———》

 

 《ッ!?……シャマル!?どうしたシャマル!?》

 

 

 話の途中で念話が急に切れ返答が返ってこない。今すぐに駆けつけたいが目の前には赤い獣が牙を立てて突撃してくる。

 

 

(く!一体何があった!?)

 

 

 助けに行けないことを悔やみながらも、ザフィーラはまず目の前の敵を潰すことを優先とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 一方、そのシャマルは———

 

 

 

「——捜索指定ロストロギアの所持により貴女を逮捕します。抵抗しなければ弁護の機会が貴女にはある。同意するなら武装の解除を!」

 

 

 漆黒の執務官ことクロノがシャマルの後頭部にデバイスを突きつけ、完全な優位な立ち位置にいた。

 シャマルは結界の外からできるだけのサポートをシグナム達にしていたが故に背後からのクロノに気づかなかった。

 

 

(マズイ!?いつの間に局員が!?ここで捕まったらみんなに迷惑が掛かっちゃう……どうする…考えるのよシャマル!!)

 

 

 最悪の状況にシャマルは、フル回転で思考を回しどう切り抜けるがを考える。確実に動いたら撃たれる。魔法を使うにも、発動までのラグがあり過ぎる。どう転んでも詰み、その言葉が脳内をよぎった瞬間だった。

 

 

 

 

「———はあっ!」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 突如として、いきなりの攻撃に反応できなかったクロノは謎の仮面を付けた男の蹴りを食らう。その衝撃でシャマルからある程度の距離が生まれる。

 

 

「グハァ!れ、連中の仲間か!?」

 

 仮面の男に睨みつけるような目で、そう言うクロノの無視して仮面の男はシャマルに、まるで命令するかように言った。

 

 

「———使え」

 

 

「え?」

 

 

 一瞬、何のことを言っているか分からなかったが、次の台詞によりシャマルの警戒心はMaxになった。

 

 

「闇の書の力を使って結界を破壊しろ!」

 

「でもあれは!?」

 

 

 この時、シャマルは闇の書の力を使うことに驚いたのではなく、その事を知っている仮面の男に驚いている。何を勘違いしたのか、仮面な男は——

 

 

「使用してページはまた増やせばいい。仲間がやられてからは遅かろう?」

 

「………チッ」

 

 

 完全な部外者に言われるのは癪だったが、それを思っていられる程状況は良くはない。仕方なくといったところだがシャマルは闇の書の力を使う事を決めた。

 

 

 《みんな、今から結界破壊の砲撃を放つわ!上手く避けて撤退を!》

 

 

 不意打ちの一声。普通なら一瞬でも動きが止まったり戸惑いが生まれるが、彼らは違った。

 

 

 《おう!(ッス、ん、》

 

 

 前もって言っておいた訳ではない。戦闘中に話したのはザフィーラだけだ。それでもシャマルの意思は一つの線のように曲がることなく確実に伝わった。

 そのまま———詠唱を始める。

 

 

「闇の書よ、 守護者シャマルが命じます。眼下の敵を打ち砕く力を、今、ここに。撃って、【破壊の雷】」

 

 

 結界の上空でバチバチと音を立てる闇の玉が、結界に落ちる。ピキピキと結界は崩壊し始めた。

 

 

 この現状にヴォルケンリッター者達も即座に反応する。

 

 

「すまんテスタロッサ。この勝負預ける!」

 

「シグナム!?」

 

 

 まさか彼女から逃げるとは思ってなかったフェイトは驚きのあまりシグナムを逃してしまう。

 

 

 

 一方でヴィータは騎士らしく、我、認めたりと言わんばかりに平たい胸を張って、珍しく自らの名を放った。

 

 

「あたしはヴォルケンリッター鉄鎚の騎士 “ヴィータ”!!あんたの名は?」

 

「なのは……高町なのは」

 

「高町なにゃ…なにょ…えーい呼びにくい!」

 

「逆ギレ!?」

 

「ともあれ勝負は預けた!次は殺すかんな!絶対だ!」

 

 

 理不尽な!?と思っていた間にヴィータはなのはから距離を取って、大声で叫びながら夜闇に消えていった。

 

 

 

「……もう……時間」

 

「え?……ちょっ!まっ———!!」

 

 

「リニスよ。今回はここまでだ!」

 

「な——!?」

 

「お主の主を守らぬと、この魔法は当たればヤバイぞ」

 

 

「それじゃあ自分は撤退するッス」

 

「あ!逃げるのッ!?」

 

「次は話をしてもらいます!」

 

「そうなると良いッスね………」

 

 

 夜達も各々一言残して姿をくらました。誠達はその背を見ることもなく……。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 一方で結界の外ではクロノが仮面の男に足止めをくらっていた。クロノから見て金髪の女性が何か攻撃系の魔法を使用したのは分かっている。

 それを止めようと動こうとするクロノだが、目の前の仮面の男に邪魔させて動けない。

 

 

「お前もアイツらの仲間か!」

 

「…………」

 

「答えろ!!」

 

 

 無言の返事にクロノは杖型デバイスの先を向けた。それに対して仮面の男の返答は見ていろ、ただそれだけだった。

 

「今は動くな……時を待て。それが正しいといつか分かる!」

 

「何ッ!?」

 

 

 先程の一撃から考えて、この仮面の男は自分より格上だとクロノは感じた。いくら金髪の女性に意識を持っていっていたといっても周囲のことを警戒はしていた。それでも何も引っかからなかったと言うことはそれだけの実力を持っているということ。

 

 

(クッ……みんな無事でいてくれ……)

 

 

 下手に手を出せないクロノは見てることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒の雷が落ちている結界の中は、嵐が来たかの様な光景へとなっている。その威力は小規模な都市であれば簡単に全てが破壊され吹き飛んだであろう。

 無論なのは達にも、その脅威は向かって来た。

 

 

「此方に来なさい!!」

 

「こっちだよ!」

 

 

 リニスが誠、アリサ、すずかを守り、アルフとユーノがなのは、フェイトを守って無事でいた。

 

 

「何でアルフがここに…?」

 

「アイツが……守護獣とやらが丁寧に教えてくれてね…」

 

 

 フェイトの疑問にグヌヌと唸りながら答えるアルフ。その答えのお陰で一つの謎は解決されたが、1番の謎はより深まるばかりであった。

 

 

 

 

 ———仲間を守ってやれ、直撃を受けると危険だ、ねぇ〜。

 

 

 

 

「あんにゃろう…一体何が目的なんだい…」

 

 

 

 アルフの脳裏にはザフィーラのある言葉が残り続けていた。こうして二度目の戦闘は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 





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