本日も二話投稿しております。
八神家が体を癒している中、同時刻。
なのは達はテスタロッサ家のリビングでクロノから守護騎士の説明を聞いていた。
「守護者達は闇の書に内蔵されたプログラムが人の形をとったもの。闇の書は転生と再生を繰り返すけどこの四人は闇の書と共に様々は主元に渡り歩いている」
「意思疎通の対話能力は今までの事件でも確認されているだけどね。感情を見せた例は無いの」
「闇の書の蒐集と主の護衛。彼等役目はそれだけですものね」
これが管理局のクロノ達が知っている情報だった。
「でも帽子の子…ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてたし…」
「シグナムからも人格を感じました。『成すべきことがあるって、仲間達と主のため』だって」
成すべきことか…、とクロノは暗い表情になる。
「多分仲間ってこの子達だよね…」
エイミィが守護者達の画像が映っているモニターに夜、藍、レヴィの画像をプラスする。
「ある意味1番の謎よね。私達でも管理局のデータベースにも知らない者達……お手上げね」
「言えるのは彼らはこの星に……この辺りにいる、という事ね。目的ははっきりしないけど……」
「どういうことだい?アイツらはその……闇の書?の偉大なる力を手に入れることだろ」
その通りなのだ。アルフの言う通り、力を入れ主に与えることがヴォルケンリッターの存在である。しかし何か引っかかるのだ。その違和感が過去の闇の書を知っているもの達は取り払えない。
「誠は何かないか?思ったことでも何でも感じた事でもいいから」
「ん?…ああ、大体の目的は見えてるな」
「へー、流石誠だね〜…………え?」
クロノは軽い気持ちで何か少しでもの情報を、と思って話を振ったつもりだったのだが、この誠という男は爆弾発言で返す。あまりの事にファイトも固まる。
「あはははははは〜まーくんらしいや!」
「ど、どういう事なの誠くん?」
「んーー俺の想像だよ。合ってるかどうかは分からん妄想さ」
「それでもいいから話しなさいな。貴方はそういうの当たる…いや、当てるでしょ」
へいへいと軽く手を振り誠は真剣な表情に変わる。
「そうだな…まず前提として夜…俺と戦った八雲夜は確実に闇の書の主では無いな。そしてクロノ、ヴォルケンリッターは過去に闇の書の争いにて死者を出してるのは間違いないな」
「……ああ、記録として死者は出ているし、彼らが直接殺したこともあった」
「それを踏まえて今回……今のところ死者は出てない。それどころかあれば殺さないようにしている戦い方だ」
「確かに……なの」
よくよく考えてみたらヴィータなんかはよく殺す!などと言っているがそんな殺意をなのははそこまで感じなかった。それこそ出会った頃のファイトの方が殺意が高かったくらいだ。
それにもし彼女らが非殺傷設定を解いていれば、過去ヴォルケンリッターと相対した者達のように殺されていたかもしれない。そう考えると体が震える。
「そこで考えるのは今のヴォルケンリッターと過去のヴォルケンリッターとの違いだな。何だと思う?」
「なるなるほどほど〜〜〜………主だね」
「
それは彼らが、人としての意思を与えられたか、元々もっていた物を浮かばせたか……俺としてはどっちも、と思っている。だが人の心を教えるというのは簡単じゃないし、1日2日じゃ無理だ。それこそ何日も何ヶ月も付き合ってないと…な」
「……ねぇ、それって………うわ最悪のパターンじゃん」
「え?どういう事姉さん」
何となくアリシアは見えてきたのか、うえぇ〜とした顔になっている。それに大人組も察してきた。
「転移頻度からこの辺りにいるのは分かっている。それはこの星に地球にいるという事だ。そして地球には俺たちが使っている魔法は存在しないに等しい。ということは……———主は魔道士ではない可能性があるってことだ。」
「おいおいそれって!!」
「俺的に今回の主が闇の書の力を求めてるとは何か思えねぇ。それに一つ気になってんだが………」
「珍しいね。誠がそこまで言い淀む何て」
「ああ……何てゆーか……んーーユーノなら分かるだろ。こう小骨が引っかかる感じ。あー……」
———
「「んん??」」
なのはとフェイトは全く理解できなかったが、ユーノとアリシアは頷きそれに同意した。
「それは僕も思ったよ。でも…………あ、そうか!確かに目的は見えてくるけど………その先が見えない」
一瞬言葉を詰まらせたがユーノは理解した。
それは脱出ゲームの出口を見つけた訳ではなく、脱出したら海に囲まれた無人島であり、そこからどう帰るかを考えるようなものである。
「は、話についていけないの……」
「まぁ、なのちゃんはまだ分かんないよね。……フェイトもか。じゃあ説明するとね、2人は何の為にヴォルケンリッターとその仲間達が蒐集してると思う?」
「それは……闇の書を完成させるためじゃ……」
「そう頁を埋めて闇の書の完成。管理局の大まかな記録には【頁(666)を全て埋めれば力が手に入る】ってなってる。けどね、その力が何かとは何処にも無かったの。それこそヴォルケンリッターの情報はあるのに闇の書の情報はほぼ無いんだよねぇ〜」
「それにここで大切なのは、"どうして蒐集するのか"ではなく"完成したらどうなるのか"なんだ」
「要するに重要な点を纏めると———」
1・目的は闇の書の完成
2・完成した後が不明
3・闇の書とは何なのか
「まぁ、大まかにこの3つだな」
「「な、成る程」」
3人による大演説に少しは理解したのか、なのはとフェイトは肩に力を入れて返事を返す。
一方でクロノはこの話で思うところがあったのか、思い出したかのようにユーノと誠にある提案を出した。
「本局に闇の書の情報があるかもしれない場所があるんだが探すのが苦労するんだ。そこでそう言うのに得意な二人に行って欲しいだが………どうだ?」
「行くのはいいぜ。ただ……そういうのはもっと早く言え!」
「誠に同意……まぁ行くけど」
「あはは……すまないな。でも行ってくれるのは助かるよ」
男子の青春というか、そんな空気を感じとった保護者達は涙ながらに語っていた。
《誠に…………あの誠に男の友だちが……うぅ》
《分かる…分かるわよリニスちゃん。クロノも年が近い同性の友達がいなくて……》
《あんた達って………色々苦労してたのね》
プレシアという親バカが親バカに同情の目で見ていたのはなんとも笑えるものだ。最終的にリニスも手伝いで誠達について行くことになるのだがそれはまた別の話。
「そういえば今日はアリサとすずかはいないのか?君達はいつも一緒のイメージなのだが…」
「あれ?クロノくん聞いてなかったの?」
「ん?何のことだ」
アリサちゃんとすずかちゃんは———
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「ああ!?あたしのカートに赤甲羅がぁ!?」
「ふふふ、そう簡単にゴールはさせへんで!」
「にゃああああ!今度は三連続!?」
「あははは…ごめんね」
「………そんないい笑顔で言われても説得力無いわよ」
赤い帽子をかぶっているおじさんの某カートゲームで真っ白に燃え尽きているアリサ。
はやては今すずかの家に泊まりにきていた。はやてにとって初めての友達とお泊まりは緊張もあったがすずかが呼んだアリサのコミュ力もあってゲームで遊ぶくらいに仲良くなっていた。
「それにしてもすずかちゃんの部屋は本だらけやな〜」
はやてはキョロキョロと周りを見ると四方八方に本棚が並んでいた。すずかもはやてに負けず劣らずかなりの本の虫である。
「読みたい本があるとついつい買っちゃて…。はやてちゃんも読書家だよね」
「まぁ私の場合は外に出られへんから本しかなかったからな。でも本は好きやでー」
燃え尽きているアリサを無視して本の話をする二人。
「最近は何読んでいるの?」
「そうやな〜『
「あっ!それ私も読んだことがあるよ。悲しいお話だよね」
「確かにな〜」
そんな話をしているとアリサがいきなり声を上げ、コントローラーを強く握りしめた。
「あんた達、早く続きをするわよ!今度こそあたしが一位になるんだから!!」
そんな事を言うアリサに苦笑しつつ時間いっぱい甲羅をぶつけるのであった。
「はやては好きな人とかいるの?」
寝る前のベットの上でいきなりそう質問する。
どんなに変態でもツンデレでも病んでいても女子は三度の飯より恋愛話が好きなのだ。
「いきなりやな……別にいない訳やないけど……」
「え?いるの!!」
「ほお〜どんな奴なのよ。聞かせなさい」
ニヤニヤ顔で詰め寄る二人。いい獲物を見つけたと思っていたがこの獲物は逆に捕食者だった。
「それがな〜めっちゃ可愛いんや!男の子とは思えないぐらい可愛ええんや!腰まで伸びた銀髪に透き通ったピンクの色の目。無表情からのたまにツンツンしているけどデレた時の表情がなんて言うか萌えちゃうか色々な液体が止まらなくてな!しかも私より身長が低くて……」
「は、はやてもういいわ。あんたが危ないって事は分かったから…」
暴走し始めたはやてを止めるアリサ。すずかも顔を引きつらせて苦笑いをしている。
「そうか?これから長くなるのに…」
((まだ長いの!?良かった止めて良かった……))
残念そうにするはやてを止めて良かったとつくづく思う二人。
この後もアリサとすずかの恋愛話をしたりと楽しい時間を過ごすのだった。
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何とひどくつまらない夜空だろうか。月も雲もない真っ黒に染まった空。まるで今の自分を表してるようで…。
「…………はぁ」
「こんな時間にお酒ですか?」
「む?美鈴か」
「ご一緒しても?」
「ああ、一人酒もつまらないからな」
深夜2時。二階のベランダで酒片手に息を吐くシグナムに声をかける美鈴は、自分もコップいっぱいに入った酒を口に含み味わいながら喉を潤す。
「夜とヴィータの様子はどうだ?」
「今のところは二人仲良く寝ています。夜様に関しては疲れと疲労で身体が持たなかったんでしょう」
「そうか…」
先ほど帰ってきた夜とヴィータは、シャマルが連れ帰ってきた時二人とも血だらけでその時家にいたシグナムと美鈴は大いに慌てたのだ。
「……そんなに思い詰めた顔でどうしましたか?」
先ほどから一言づつしか喋らず暗い表情をしているシグナムに問いかける。
暫しの間無言だったが大きく息を吐くとその心中を話し始めた。
「……多分私は怖いのだろうな」
「怖い…ですか?」
意外、シグナムの言葉にはそれしか思いつかない。
「ああ。最近主はやての体調は蒐集し始めてからよくなられている」
「確かに麻痺の侵食は止まっていますね」
「———だがそれだけなんだ」
この言葉で美鈴はシグナムが何を思っているのか分かった。
はやての病気、闇の書の侵食は止まってはいるが治ってはいない。ただ止まっただけ。未だにはやては痛みに襲われているし、相当無理している部分があるのだろう。
「それに頁を増やすたびに主はやてが苦しんでいる様に見える……」
「それは……」
この事はシグナムだけでは無く、ヴィータと夜以外が感じている事だった。
頁を集めるほど侵食は止まるが何かに苦しむはやて。その姿に大人組は不安を感じていた。
「……いや、、ヴィータと夜も多分気付いてはいるのだろうな。だが彼奴らは私たちの中で一番主はやての為に動いている」
———信じたくはないのだろう。
他の者達も助けたいと思っているが、その思いが一番強いのがヴィータと夜だ。
一番はやてに懐き、一番はやてと居たのがヴィータと夜だ。だからこそ傷だらけになっても戦ってきた。
だがもし蒐集のせいではやてが苦しみ助けられなかったら…と思うとシグナムは怖いのだろう。
何が起こるか分からないから………
「そうですね………」
シグナムの思いも考えも美鈴には分かる…分かるが仕方ないのだ。
「……シグナムさんの考えも分かります。が、私たちはこれしか出来ることがない。今できることをするしかないんです」
「………そうだな。私達にはこれしか主はやての為にできる事はないな」
そう答えるシグナム。いや、この答えしか出ない。
———彼等は知らないのだ。
何百年何千年と生きてる彼等は誰かを助けるということを知らないのだ。武器を片手に血塗れになりながら人を殺し傷付け戦場を渡り歩き彼等は生きてきた。だから知らない助けるという行為をした事がないのだから。
彼等にとって今の幸せは天国でもあり地獄でもある。
でも彼等は、幸せを……居場所を教えて感じさせてくれた"八神はやてという存在を守りたいと思っている。それが歪んだ想いでも。どれだけを傷付けていこうと傷付こうと守ると誓ったのだから。
だからこそ———
「———戦いを続けよう」
「決意は固まりましたか?」
「ああ、さっきまでの自分は将として情けないな…」
「そんな事はありません。
これは心から出た言葉だ。
決して…………決して
「……そうだなお前達も頼りにしている」
明るい表情で返事をする。
シグナムはこの時の会話を……美鈴の言葉を忘れはしないだろう。否、忘れてはならない。
それが———未来への道である。
【あとがき】
誠達の予想は結構ゴリ押し理論でお願いします。ジョジョみたいなものです。
本日はもう一話