新・魔法少女リリカルなのは〜剣神と夜天の輝き   作:パッチェ

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前作と同じように砂漠の所は飛ばします。


30話 想いは痛み

 

 

 

 

 

 冷たい風が吹き抜ける冬の朝。

 まだ日が登らぬ時

 

 

「あーも、何なんだよあいつら!!」

 

「全くだ!また、テスタロッサとの勝負を邪魔してきた」

 

 

 仮面の男に対しての不満が爆発しているヴィータとシグナム。前日にヴォルケンリッター達は三度目の戦闘をしているとまた仮面の男に一対一の勝負を邪魔され、特にシグナムは憤怒している。

 

 

「やはりこの前殺しとけば……」

 

「流石に、今回は私も美鈴に同意だ!な、ヴィータ!」

 

「え、ああ……ウンソウダネ(何こいつら!?怖!」

 

 

 確かにヴィータもイラついてはいるが、ここまで残虐な事は考えてないので同意を求める二人に引いていた。

 

 

「…ごめんね…僕も行ければ…良かった」

 

 

 藍の膝に座る夜はしょんぼりとして落ち込む。

 

 

「バカ!ヨルはまだ体調悪いだろ!暫くは休んでろよ」

 

「そうッス。夜さん、今は安静ッスよ」

 

 

 他の者達もうんうんと頷く。

 前回の蒐集で身体にガタがきていた夜は皆から絶対安静の言葉を受け最近は蒐集に行けていなかった。それでも夜は『痛みは無い』『もう血は吐かない』とアピールするが保護者達は許さなかった。

 

 

「最低でも後3日は休んでもらいます」

 

「……え?…でも…」

 

「ダメです!まだ魔力も回復してないんですから……まだ身体は痛むのでしょう…」

 

「………あぃ」

 

 

 渋る夜だったが、藍が見せた悲しみの表情に頷くしかなかった。

 

 

 

 

 その後は、未だに邪魔をしてくる仮面の男について色々な議論を交わしていると時計の針は朝の9時を指していた。

 

 

「はやてちゃん起きてこないわね?疲れているのかしら?」

 

「最近は外に出ることが多かったからだろう」

 

「でも流石に遅いですね?朝ご飯もまだですし私がちょっと見てきます」

 

「はやてが眠いなら寝かせていいんじゃないか?」

 

 

 ヴィータの言うことも最もなのだが、いつも8時前には起きているはやてが、この時間まで起きてこないことが珍しすぎて心配なのだ。

 

 

「せっかく朝ご飯も作ってありますし、冷めては美味しく無いでしょうから、一応起こしに行ってきますね」

 

「そうだな。主はやてを頼むぞ」

 

 

 そう言って美鈴は二階のはやての部屋に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はやてちゃんが寝坊なんて珍しいですね)

 

 

 そう思いながら美鈴ははやての部屋に向かうための階段を登るが、何か嫌な予感がする。

 

 

(最近は友達の家に泊まったりで私たち以外と触れ合う機会が多かったからか疲れが溜まっていたんですかね?)

 

 

 そう思いたい。

 しかし何故かいつもと変わらない足取りのはずなのに、階段を登るのがゆっくりに感じる。———気づけばドアの前

 

 

「さあ、はやてちゃんの部屋に入り…ま…す」

 

 

 ドアを開けようと、ドアノブに手をかけた時に美鈴にある違和感を覚える。

 

 

(あれ?はやてちゃんの気が感じ…………られない!?)

 

 

 ゾッと背筋が凍りつく。

 顔から血の気か引き、急いでドアを開けると———

 

 

 

 

「はやて………ちゃん?」

 

 

 

 

 美鈴の目の前には車椅子から落ちて胸を抑えるはやてが倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 〜海鳴大学病院〜

 

 

 診察室にて——

 

 

「うん、何も異常はないわね」

 

「そう…ですか。良かった」

 

 

 石田の言葉に皆はひとまず安心する。

 

 

「だから言うたやん。私は大丈夫や」

 

 

 笑いながらそう言うはやては、ベッドのヘッド部分を起き上がらせて、背もたれにしながら座っている。

 

 その姿はいつもの優しい笑顔のはやてだが、誰もはやての言葉を信じてはいなかった。

 

 美鈴が倒れていたはやて見つけた後、急いではやてを抱え、夜のスキマで病院に連れてきた。

 意識を失うほどだ。重症だと誰もが思い、皆が心配した。実際はやてが目を覚ましたのは夕方の5時だ。

 美鈴が見つけてから少なくとも8時間は意識が無い事になる。

 

 

 

 ———もうみんなは分かっている。

 はやての性格上、迷惑を掛けないようにと思いやせ我慢をしているんだと…

 

 

「それじゃあ私はこれで失礼するわ。あっ、夜くんと紅さんはちょっと来てくれるかしら?」

 

「「??」」

 

 

 何事かと不思議そうにしているが、素直に夜と美鈴は石田について行った。

 

 

 

 

 残ったメンバーは石田から言われた言葉をはやてに伝える。

 

 

「え………入院!?」

 

「うん。また少し入院だって」

 

「別に大丈夫なのに…」

 

 

 あからさまな嫌!という顔をする。

 

 

「何が大丈夫だ……お前は倒れていたんだぞ。今は医者の言うことを聞いておけ」

 

「で、でも……私が入院したら誰が家事するん?」

 

 

 入院するのが嫌なのか、何かと理由とつけて拒否したい。しかし藍達からするとここは素直に入院しててほしい。故に、はやての抜け道を彼女らはことごとく塞いでいく。

 

 

「それは大丈夫よ!私がするわ!」

 

「ええ、シャマルがしてくれます。料理以外は」

 

「ええッ!?」

 

「料理だけは絶対にさせないッスから。夜さんも含めて……」

 

 

 大事なことなので二回言った。そこだけは絶対に譲れない部分だ。

 

 

「えぇーと…それじゃあ……」

 

「安心してくれはやて。毎日会いに来るから!」

 

 

 何か入院しないでする理由を考えたが、考えつく前にヴィータに潰された。しかもヴィータの純粋な思いから発せられた言葉は、はやても納得するしかなかった。

 

 

「そうか…それは嬉しいなぁ。ヴィータはええ子や」

 

「うにゃ!?な、なんだよはやて♪」

 

 

 はやてはヴィータを抱きしめていい子いい子と撫でるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 夜の時間、私はみんなが居なくなり、広い個室に独りぼっちだ。ベットに寝転ぶが眠たくはならない。

 

 

「はぁ、なんで入院なんやろ」

 

 

 私は鬱な気持ちになる。

 こんな時間は嫌いだ。一人の時間は嫌いだ。また昔に戻ったように……孤独な時に戻った様な気持ちになるから。

 

 

「………ッ!?」

 

 

 また、胸が痛くなる。

 それは物理的に精神的に痛みが襲ってくる。胸のあたりが、胸の奥が———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———痛い…………痛い苦しい痛い痛い痛い苦しい痛い痛い痛い苦しい痛い痛い痛い痛い苦しい痛い痛い痛い痛い痛い苦しい痛い痛い痛い痛い痛い苦しい痛い痛い痛い苦しい痛い痛い苦しい痛い痛い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう……イヤや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 孤独に耐えきれない思いが脳裏に浮かぶ。

 

  ———その時だった

 

 

「……はやて……大丈夫?」

 

「……へ?」

 

 

 誰もいないはずの背後から、蕩けるような声質で語りかけ、体温を帯びた小さな体がはやてを包み込んできた。

 

 

「よ、夜君?なんで抱きついているん?てか、なんでいるんや?」

 

 

 色々と言いたいことがあるが、はやては夜からの抱きつきにあたふたと慌て始めた。

 

 

「……ん、それは……ね」

 

 

 

 これはちょっと前の出来事。

 

 夜は石田に呼ばれ、はやてとは違う場所の診断室に入ると、第一声が、———貴方も入院ね♪だった。

 

 

 理由はいたって簡単、不眠症、胃潰瘍、風邪などその他諸々。

 

 

 夜からしたら何故知ってる!?となっているが、こういう時の医者はとことん頑固で意思を曲げない為、大人しく言うことを聞いとくしかない。ある不老不死の医者で身にしみている。

 

 それに美鈴すらも『夜様大人しく入院して下さいね』と、威圧的に釘を刺してきた。

 

 

「精密検査も明日するからね♪」

 

 

 こうなったら夜に逃げ場はない。美鈴が手回ししたのか、はやてと同じ病室で大人しく寝るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ということ」

 

「そ、そうか…」

 

 

 確かに最近はよく寝込んでいた。

 記憶を辿れば、はやてが月村邸から帰った時から熱を出してベットの上だった。相当無理をしていたのだろうか。いや、よく昔から体調は崩していた。今更だ。

 そんな事を考えてしまうが、すぐに考えるのをやめた。何故なら———この暖かさに身を任せたい。

 

 

 

「もう……大丈夫…一人にしない…よ」

 

 

 

 ———この甘い言葉に安らぎを感じたから。

 

 

 

「無理…しないで……はやては…甘えていい…の。僕たち…を…頼って…。決して——1人にしないから」

 

「—ッ!?」

 

 

 一人は……孤独は辛いものだ。人は一人では生きてはいけない。

 それは人だけに限らない……龍も狐も人神も神も悪魔も魔女も吸血鬼も鬼も妖怪も妖精も誰も…意思がある生物というのは、誰かが隣にいないと壊れてしまう。だから———

 

 

「僕が…いる。一緒に……いる!」

 

「……ほんまに?」

 

「……うん…はやてが望むなら…いくら…でも」

 

 

 

 ———永遠にでも

 

 

 

「…絶対やで」

 

「……ん」

 

 

 

 ———貴女が望む限り

 

 

 

「ずっと……すっと…やで」

 

「………もち!」

 

 

 

 交わした約束は違えない。

 貴女が覚えてる限り、僕は君と共にありたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———僕はそう願ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






【あとがき】


一緒いたい。王達が望むのはただそれだけ。





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