はぐるまfgo   作:夢ノ語部

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f→1 まくあい そのに

「まぁまぁ、良い話もある。王冠くんがカルデアスの完全な観察に成功した結果、なんと七つの特異点全ての時代の特定に成功した」

 

 代わりにその特異点に行く手段がなくなったけどね!

 

 ダ・ヴィンチちゃんの発言を各自確認して「エラーが! エラーが!」「マジだよ、ふへ、あかんでぇ……」「ああ、ママ、先立つ不孝をお許しくだ……あ、皆先立ってたわ」などと、阿鼻叫喚、絶望感のあふれるカルデア管制室。

 こういう状況でまとめるのは所長の仕事なんだろうけど、所長だけは未だにカルデアスショックから抜け出してない。

 生き返ったなら仕事しろ。

 

 いやぁ、アンティが何で泣いてるのか分かったわ。

 たかが知らない女性(男性だった訳だが)にクラウンを持ってかれてる程度(・・)で泣くような娘じゃないからすごい違和感あったのよね。

 

 多分、先輩だかクラウンから、レイシフトへの影響の話を聞いてて、取り返しのつかない事しちゃったー! ってテンパっちゃったんだわ。

 

 はぁ、全くもう。

 

「あ、あの、わ、私」

『>>>マスター』

 

 アホ。分かってるわい。

 私は、クラウンがいなくなってがら空きになっているアンティの頭に、手をポンと置いた。

 

 よくやった(・・・・・)

 

「え?」

 

 アンティのお陰で所長は生きてる。ありがとう。

 

「で、でも、レイシフトできなかったら今度はオルガマリーさんだけじゃなくて、皆……」

 

 アホ、勝手に殺すな。

 アンティのお陰で、今、皆で生きてんのよ。

 

「でも」

 

 この程度何とかするわ。ロマニが。

 

「ボクがかい、ぐっふぅ」

 

 余計な事を言いそうだったロマニをダ・ヴィンチちゃんが黙らせたのが見えた。よくやった。ロマニ空気読め。

 

 クラウンも、謝罪なんてしないの。私達に出来ない事をあんたはやったんだから。胸を張りな。

 

『――――……』

 

 はは、ちょっとノイズなんて出して戸惑ってるわ。

 

 あのね、アンティ以外は皆、誰だって本当に取り返しがつかないーなんて思っちゃーいないんだぜ。

 だって、誰も手ぇ、止めてないでしょ。

 

「あ……」

 

 管制室を見れば誰もが? あー、泣き続ける所長と、腹を抱えてうずくまるロマニ以外は、頭をかかえたり、発狂しそうになりながらもコンソールを叩いたり資料を読んだりしている。

 

 あたしらの仕事は、特異点を修復して、所長助けて、とりあえず一旦おやすみなのよ。

 あとは専門家にぶん投げちゃえば良いのよ。

 

「え、い、いいのかな?」

 

 いーのいーの。ね?

 

「王冠くんは解析に協力して貰いたいが、特異点を特定するのに使うはずだった時間が浮いたからね。何とかしてみせるよ」

 

 わお、頼もしい。

 って事だから、作業の邪魔にならないよう退散しようか。

 

 ロマニ、空いてる部屋教えて。出来れば工房か管制室の近くの。

「ああ、アンティの部屋だね。分かった準備しておくよ」

 

 マシュはアンティの案内ね。案内が終わったら、命令があるまで自室に戻って寝ること。

「は、はい! ……え? あの、私もこちらで何かお手伝いをしたいと」

 

 あー……お風呂もアンティと一緒に入ろうか。私も一緒で。

「いえ先輩。そういうことではなく……」

 

 あ、じゃあ、所長を連れて寝かしつける事。ここに居られちゃ気が散るばかりで邪魔だかんね。

 仕事しやすい環境を作るのがマシュの仕事。いいね!

「え、ええ、あの」

 

 じゃーレイシフト組は解散しまっす。しょーじき疲れて眠いっす。おつですー。

 

「あはは、立香くんおやすみ。こっちは任せて」

 

 ん、ロマニ、任せた。

 無理しない程度にね。

 

◆◆◆

 

 立香くんが出て行ったあと、マシュが所長をお姫様抱っこをして出ていって、それにアンティがついていった。

 マシュ、デミサーヴァントになったからなのは分かるけど、あの非力だった子が外見はそのままに、人一人を軽々と持ち上げるようになるなんて。慣れそうにないな。

 

「いやー凄いね」

「立香くんがかい?」

 

 さっきダ・ヴィンチちゃんに殴られた時の力が凄かった……なんて頭に過ぎったけど、言うのはやめておこう。

 

「一般採用だっていうから、よほど(・・・)なんだろうとは思っていたけど、あれはまるで」

「まるで人類最後のマスターになる為に来たようだ。ね」

 

 ……

 

「ああ、正直恐ろしいくらいだよ。どうしてあんなに冷静でいられるのか、僕には分からない」

「キミが寝ずに、ずっとカルデアで働いていた事も分かっていたようだしね。普通、こういう状況で他の人間を見る余裕なんてないものさ」

 

 オルガマリー所長の様子を思い出す。あれがきっと普通の反応なのだろう。

 

 僕とダ・ヴィンチちゃんは、立香くんの帰還に際して、極力平常であろうと考えていた。

 レイシフトが出来なくなった事も、最初は伝えるつもりは無かった。

 クラウンギアをダ・ヴィンチちゃんが確保していたのも、解析しているように見せかけて、立香くんにレイシフト不能の情報を伝えないように()すのが主目的だった。

 

 レイシフト不能などという些末ごとより、人類最後のマスターが壊れる方がダメージが深いと考えていたからだ。

 

「脅しているのがすぐバレたのは驚いたよ。開口一番、手の中の王冠返してあげて(・・・・・・・・・・・・)だからね。凄いなんて言葉じゃ言い表せない、あの子も一種の天才だよ」

 

 そしてレイシフトの話も伝えて大丈夫だと判断した。いや、伝えるべきだと判断した訳か。

 元々レイシフトの話は立香くんに伝わらないように、僕とダ・ヴィンチちゃんの所で止めていた情報だ。他のスタッフには後で伝えるつもりでいた。

 それは僕らへの批判、罵倒ですめばよし。スタッフから発狂や自殺者が出ることも覚悟していたのだ。

 

 それを、彼女はあっさりと覆した。

 

『だって、誰も手ぇ、止めてないでしょ』

 

 それは……レイシフト不能であるという現実を受け入れられない為に、その現実を見て、発狂に至るまでの行動だった筈だ。

 それを諦めずに何とかする為の行動にすり替えた。あの子の言葉で、何とかしようという気持ちがスタッフ間に生まれたのを感じた。

 

「人理修復。7つの特異点。聖杯探索(グランドオーダー)……行けると思うかい」

「彼女がマスターで、彼女の期待に私達が答えればね。さ、お仕事お仕事」

 

 ふぅ。忙しくなるね。




えーいくっそ、難しいな二次創作って!
アンティの出番を!アンティの出番を!

でもぐだ子も好きなんやもーん!
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