はぐるまfgo   作:夢ノ語部

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クオリティは投げ捨てるもの


f→1 まくあい そのさん

「てめぇら、ここに並べ。飯の時間だ」

 

 ああ、どうしてこんな事になったのか。

 アンティの気迫に逆らえる人はここにいない。

 ああ、アンティよ。カルデアスだけでなく、カルデアまで掌握しようというのか。

 

 猛烈な匂いの暴力が、脳髄を、胃を、揺さぶってくる。

 

 ああ、私はご飯を食べたあとだというのに、逆らえない。いや、逆らいたくない。

 魅了のスキルにかかったように、ふらふらと、管制室にいた全員が食事の乗ったお盆を受け取っていく。

 

 それと同時に、各自の体の汚れを歯車が吸い取り、手には蒸気が噴霧される。

 

 いつの間にか管制室の中央には歯車で出来た円卓が用意されていた。人数分の椅子もだ。

 我先にとそれぞれが椅子へと座っていく。

 

 その際、あまりにふらふらだったスタッフの一人が転けそうになったが、アンティがお盆もスタッフも華麗に助けていた。

「てめぇ……食事を無駄にすんじゃねっぞ。足元に気をつけねぇと、コレもんだぞ。あぁ?」

 

 ハードラックとダンスっちまうようなメンチが無ければ、ブラボーとスタンディングオベーションする所だったのだが、今のアンティに冗談は通じなさそうだ。

 素直に……食べようじゃないか。

 

「いただきます……っ!」

 

 ああ……

 これは……

 ……太……くっ

 

 おかわり……

 

 ◆◆◆

 

 時は遡り数時間前。

 遡りっつってもレイシフトじゃないぞ、普通に回想だぞ。

 

 冬木から生還後、2日目。

 私は普通に食堂で飯を食っていた。

 

 この食堂、食堂とは名ばかりで料理人がいない。料理人はレフボンバーでぶっ飛んだそうな。

 マスター以外は凍結もせずに死人でとるやんけ!

 と驚いたけど後の祭り。

 まぁ、料理人の優先度が低いのもなんとなく分かるし、私にはどうしようもなかったので、思ったよりも衝撃は無かった。

 

 お腹に入るなら美食である必要もない。私は普通の庶民なのだ。

 なので、自分で冷蔵庫にあった肉を焼いて適当にご飯を食べていた。

 

 その時だった。私の美少女レーダーが反応したのは!

 

「あ、先輩。朝ご飯ですか」

 

 マシュ! いや違う。マシュは美少女だが、私の守備範囲の少し上。ここまで強烈な反応ではない。

 

 では……?

 

 視線を下ろすと、そこに天使がいた。

 

 成長途中の華奢で柔らかそうな体に、きめ細やかな肌、黄色のワンピースが、光り輝く少女のロングヘアーを一層際立たせる。

 何、ここは天国? 実は私、冬木で死んでた可能性が微レ存?

 

 お迎え……ということは、合法的に抱きつけるっ!?

 さぁおいで私のエンジェルちゃん!

 

「うわぁ……」

「あのぉ、先輩?」

 

 ……。

 

 どうも一瞬、冷静さを失ったようだ。

 蔑みの目を見て冷静になるぐらいには、私はまだまともだった。ふぅ……。

 

 で、そこのエンジェルちゃんはどこの娘だい? 金髪だし所長の隠し子?

 

「えぇ……」

 

 おや、違うのか。所長も黙ってれば美人だし、金髪のスタッフって案外少ないから結構自信あったのに。

 

「先輩、アンティさんです」

 

 アンティ……?

 えっと、え? 歩く光の暴力みたいな格好は?

 

「クラウンさんも仮面さんも、ダ・ヴィンチちゃん預かりになっています」

「鎧だって、別に、好きで着てる訳じゃないわよ」

 

 あれって脱げるような構造に見えなかったんだけど……まぁいいか。

 

 クラウンもクルルカン先輩もいないって事は……これはチャンスなのでは?

 

 アンティ、マスターの仕事に魔力供給というのがあるんだけど、

 

 ガツン

 

 ぉおお!? 歯車、歯車が飛んできた!

 

「ちょ、クラウン!?」

『――――不適切な発言を記録。制裁を実行』

『>>>仮面とか王冠が本体なのは間違いないけど、アンティの歯車法で同期中なのは変わらないからね』

 

 パスを通して、ここにいない筈の二人の声が聞こえる。

 つまり、保護者はいつでも見ているぞってことね。くぅ。痛いす……。

 はぁここは諦めるしかなさそうね。

 

 えっと、二人もご飯? サーヴァントは食べる必要がないって聞いてたんだけど。

 

「私は、英霊化したと言ってもデミサーヴァントですので、食事で栄養補給の必要があるとドクターが」

「え、サーヴァントってそうなの? 昨日ご飯抜いちゃったし普通にお腹減ってるんだけど」

 

 む、なんだろう、フォーリナーっていう謎クラスだからだろうか。

 昨日、空いた時間でちょぴっと勉強した知識が役に立たない。

 

 んじゃ適当に肉でも焼こうか?

 アンティは自分で作る?

 

「そのつもりだったけど、マスターは食べたの?」

 

 私は食事中……う?

「は?」

 

 

 アンティが私の朝ご飯を見た途端、私からアンティに流れる魔力が増えた。

 具体的にはメデューサと戦ってた時ぐらいに。

 

「肉とご飯……野菜は?」

 

 いや、そのえっと……。

 

「こんな良い肉を、食えるゴムみたいに焼いちゃって……」

 

 あ、あはは……。

 

「食え。で、座ってろ」

 

 あ、はい。

 

 ……。

 やっべえええええ! 逆らえないってこれは。

 な、何だろう、スタスタとキッチンに行ったけど。

 

 しないとは思ってるけど、包丁を持ち出して刺されそうな眼光だったわ。

 あんなに可愛らしい格好してるのに、やばいわぁ。目覚めそう。

 

「せ、先輩……」

「マーーーシュッ!」

「は、はい!」

 

 マシュがこっちに来ようとしたけど、アンティに呼ばれてキッチンに言っちゃった。んん、もぐもぐ。

 何があったんだろうもぐもぐ。とりあえずもぐもぐ。アンティが戻ってくる前にもぐもぐ。食べ終えるようにしよう。

 んんっ脂肪が、もぐ、噛み切れにゃあです。んぐんぐ。

 

◆◆◆

 

 在庫が減ってなくて、カルデアスタッフ(あいつら)食ってねぇ。というブチギレアンティの暴走は前述の通り。

 非常に美味でした。

 おかわりはスープとサラダだけにしとけと窘められたのもポイント高い。やばいわ。

 

 んで、管制室にダ・ヴィンチちゃんがいなかったもんだから、アンティの暴走は止まらない。

 私の読んだ資料って多分ダ・ヴィンチちゃんが書いてるから、食事いらないんだと思うんだけど。

 

 しかし声に出して止める勇気もなく、力の及ばないマスターは後ろをついていくだけだ。

 

『>>>そこは声に出して止めようよ!』

 

 さっきからクラウンとクルルカン先輩も止めたりしてるけど聞こえてないっぽいし、私が声かけても一緒だよ。

 

 ……そういえばアンティってご飯食べたのかな。

 

「こ、ここです」

 

 マシュ、ご苦労。

 後ろから威圧されながら先頭を歩いて道案内するのは、なんとも大変だったろう。

 

「たのもぅ!」

 

 ねぇ、アンティ。ご飯持ってきて、たのもぅは無いと思うの。




FGOGOAはアンリマユで心折れました。
アラフィフとレジスタンスのライダーが素敵でしたね
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