続かんって言ってるのに続けちゃうやんか。
英霊って凄い。
骸骨とか出てきた途端に、
シュタン
って音がしたと思ったらもう倒せている。
マシュがデミサーヴァントになって、身の丈ほどもある大盾を片手で振り回して、骸骨をバカスカ倒してくれていたから、英霊ってすげーって思っていたのだけど。
これはもう格が違う。
骸骨じゃあ戦いにすらなってない。
所長も「特異点修復キタワァ」ってほくほく顔である。
まぁ、私達はそんな風に余裕かましてるけど、アンティにはそんなに余裕がある訳ではなさそうだけど。
大丈夫?
「うううっ、気持ち悪いよぉぉ、先輩の故郷やばいよぉぉ」
『>>>いや僕もこっちの世界に魔術? があるなんて知らなかったし、骸骨とかいなかったからね。あ、後ろ』
シュタン
おおっと、顔の横を何かが通り過ぎましたよ。振り向けば骸骨が2体倒れている。
こんなにテンパってるのに、簡単に骸骨を倒せるほどの実力があって、何故テンパるのだろうか。
「もうヤダ、おうち帰りゅ」
半泣きなアンティには悪いけど、それはものすごく困る。
所長が「使い魔の癖にくぁwせdrftgyふじこlp」と発狂したのも凄い困るが、それ以前にアンティがいないと絶対死ぬ。
「ぐぬぬ」
まぁまぁ、すぐに特異点修復しちゃえば、気持ち悪いのからおさらば出来るんだし。お願い、ね。
「……がんばる」
そうそう、頑張ろう。カルデアに帰ったら気持ちいい事が待ってるよ。
「うん。んんん?」
『>>>駄目だこの娘、はやくなんとかしないと』
うへへ、特異点修復がんばろー。
……この時、私は理解していなかった。いや、多分この場の誰もが理解していなかったのだろう。
アンティがあまりに簡単に骸骨を倒した事で勘違いしていたのだ。
アンティこそ強者なのだと。
◆◆◆
「何よ……これは」
その光景を見てアンティがつぶやく。
ああ、やはり彼女は強い。私は、声にも出来なかった。
石、石、石、石。
逃げ惑い絶望し諦めて泣き叫び、地獄のままに時が止まったかのような石像達。
ああ、悪趣味な石像だ。
「クラウン」
『――――解。石像から生命体反応感知。呪いによる状態異常と推定』
あれは、生きている。
意識があるのか、無いのか。
どちらにせよこれは地獄と言うに相応しい光景だった。
うっ、あかん、吐きそう……。
『みんな! 無事かい!?』
お、通信が回復した。はは、ナイスタイミング。びっくりしたのと、風景から目を離せた事で乙女の尊厳が守られた。
なんというかロマニの声って気が抜けるよね。
『ひどい!』
褒め言葉、褒め言葉。
ふぅっと息を吐いて、気を抜いたときだった。
『あ! そんな事より
へ?
気付いた時には、アンティが横にすっ飛んでいた。
石像をいくつか巻き込み、ぶつかった衝撃で砕いていく。更に、元はビルが建っていたのか大量の瓦礫があった場所に
アンティ?
元々アンティの立っていた場所には紫色の女性がいた。女性? いや、あれは……。
怪物だ。
「アaアアアアアアアアアaaaaaAAA!」
「先輩!」
マシュが怪物と私の間に割って入った。
この特異点で何度も見た姿だ。剣の嵐も防ぎきり、敵が多くともその大盾が揺るぐことはなかった。
その大盾が大きく上方に跳ね上げられるのが見えた。
「あ……」
マシュ?
槍が、マシュを貫こうと……あ。
ぎゅういいいいぎぎぎぎぎぎいん!
「なっ!?」
何!?
「はぐる……ま?」
マシュの背中に隠れて、私はその時、何が起きたのか分からなかった。
だけど、誰がやったのかはよく分かった。
キンッ!
「こんの、よくも、やりやがッッたな、ああん!」
……口悪いよぅ。
続かんですよ?