はぐるまfgo   作:夢ノ語部

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ふゆき そのさん

 最初にぶっ飛ばされた時、反射速度(クロックダウン)は発動していた。それでも尚、反応しきれずにぶっ飛ばされた。

 一番装甲の硬い胸部、心臓を狙ってきたからぶっ飛ばされるだけですんだけど顔を狙われていたら、多分串刺しにされていた。

 

 だから怖くて……殴る時、つい(・・)力が入った。

 

 ああ、分かってる。私だって分かってる。私がどれだけ分かっていない(・・・・・・・)のかが分かってる。

 

 きっと、全力で殴るべき……いや、剣でも投げ輪(チャクラム)でも、もっと……殺しにかかるべきなんだわ。

 

 私だって魔物とかは結構殺してるし、何を言ってんのよって感じじゃん?

 でもあれ、人やで?

 幽霊とかさ、英霊とかさ、分からんけど、どう見ても、人なんやで。

 殺されそうになって腹はたった。今だって腹がたってる。ぐつぐつだ。

 でも、殺されそうだって、だからって。

 

『>>>くるよ』

 

 ええええい、ちくしょおお! 悩む時間ぐらいくれたっていいじゃんか!

 

 じゃららララララララ

 

 ちょ、どっっこに入れてたのよ、こんな大量の鎖ぃ!

 

 慌てて、当たる軌道で飛んできた鎖をはぐるまで反らす。

 他の鎖は瓦礫に刺さって、あ、槍を回収しやがった、この野郎。

 

「あaaaアアアアアァァァアアAAAAアアア!」

「っ! 隈取り(ベアークラッチ)!」

『――――(レディ)

 

 この鎖、足場なんだわ。

 反射速度(クロックダウン)が発動しても、見失いそうになる高速立体機動。

 

 でもなぁ

「見えてっのよぉ、らぁ!」

『>>>駄目だアンティ! 見るな!』

 

 え? 何?

 

 パキ

 

 あ?

 

 な、に? 体が、重……。

 殴り返そうとした腕が間に合わず、槍が顔に迫る。

 

『――――アンティ!』

『>>> 借りるよ!』

 

 ぐげっ!

 く、首、先輩、ゴキってゴキってぇ。

 

『>>>死ぬよりマシでしょ! ほら! まだっ! 一旦離脱するよっ!』

 

 うげげ、流石先輩。目を瞑って連撃を全部避けてる! なんで目を瞑ったのか全然分からんけど!

 あ、槍を踏み場にして、その勢いを使って距離をとった。

 

『――――御見事です』

『>>>お粗末さま。あいつ力も速さもあるけど技量が無いから、このぐらいならんとかなるよ』

 

 わたしにゃ無理っす。反射速度(クロックダウン)があっても向こうのほうが速いのに、どうなってんだ。

 目まで瞑って、キザな演出を忘れない辺り余裕が伺える。

 

『>>>誤解だ! 演出じゃないから! ほら、あいつメドゥーサだよメドゥーサ! 見たら石にされるんだ!』

 

 いいいいい、石に!?

 それってめっちゃヤバイじゃないのよ! だ、大丈夫なの私の体!?

 

『>>>時限結晶に流路を繋げて魔力を受け流したから石化まではいってないけど、体が動きづらくなったでしょ』

 

 ああ……なるほど。

 ところでメドゥーサって何?

『ああ、そっか、知るわけ無いよね』

『――――クルルカンの記憶野:及び聖杯からダウンロードした情報に該当項目有。表示します』

 

 聖杯からダウンロードした情報ってなんやねん、私貰っとらんぞぉ。聖杯「お前フォーリナーな!」って投げっぱなされた気しかせんのだが。

 

 えーっと

 ふむふむ……

 むぅ……

 ああ……

 ()……なのか

 

 ……

 

 ごめん、先輩。今は体返して。

 

『>>>ちょ! 何やってるんだ!』

『――――魔眼:流路防御壁を構築! 石化の呪いの遅滞を確認。しかし依然進行中! 危険です!』

 

 ぐぅっ! 体が重い!

 けどな、駄目だ。引けない。

 

「理不尽にさぁ、勝手に惚れられて逆ギレされて迫害されて狙われて、腹立つよなぁ」

 

 パキリパキリ

 音がする。だんだんと体が重く、硬くなっていく。

 

「でも、だったら! そんなあんたが! なんで理不尽振りまいてっのよ! って――――怒れたら、本当に楽なんだけどなぁもう!」

 

 

『――――アンティ?』

 

「この街の生体反応って、この街に来てから石像からしか出てないのよね」

「あんた、最初、マスターを狙わなかったわよね。私を狙うより仕留めれる可能性は高かったはず」

「んで、槍で突き刺すはずの私に、思いがけず石像が巻き込まれて、あんた動揺(・・)してたんでしょ。だから簡単に殴れたんだわ」

「何より、鎖も瓦礫にしか刺さってないのよね。こんっだけ石像がいっぱいあるのにさ」

 

『>>>……あ』

 

「あんた、守ろうとしてんのね」

「アぁあァ……a」

 

 ……はぁ、どーすっかなぁ。

 

「私はさぁ、全部守るなんて、言えるほど大した人間じゃあないけど。でも、このやり方は……間違ってると、思う」

「アアアぁぁあァ……」

 

 あー……くそったれ。

 

「分かるでしょあんたも! これで良いはずないでしょ! 食べ物も食えないわよ! お腹いっぱい食べてぐーすか寝て、そんで起きて一日過ごして! それで幸せなのよ、それが幸せなのよ! 守るならそこまで守んなくちゃ駄目なのよ!」

「あ、あ、あああああああああァァア!」

「あんたが何で聖杯の所に、人理修復に向かわないのか分かんない! あんたより強いのがいるとか、もっとどうしようもないぐらいの話なのかもしれない! どこで諦めたのか知らないけど! なぁ! 諦めて、良いわけねぇだろうが!」

「あああアアアああぁぁあああ嗚呼ア!!!」

 

 あーーーもう、うるっせえええええええ!

 

「あいつ、もっかいぶん殴って分からせる。力貸して」

『>>>は、はは』

「先輩?」

『――――アンティ、あなたは……』

「何よ」

 

『――――いえ、レディ:オーバー。アンティ。目標“ぶん殴って分からせる”。対メドゥーサ戦闘外装構築、展開します』

 

 これ、アナライズカード?

 いつもは透けて見えるんだけど、いつもよりでっかくて、不透明で……前見えんのやけど。クラウン?

 

『――――展開完了。画面表示:開始』

 

 アナライズカードが消えた。ん? 紫の人が見えてるけど体が重くない。

 これ、もしかして、アナライズカードにリアルタイムで絵が映ってんの?

 

『>>>ペルセウスは盾に映ったメドゥーサを見ながら戦ったけど、アナライズカードに映せば、盾と違って正面向いてでも戦えるでしょ』

『――――目視によって発動する、魔眼、魔術に対する防御効果を確認。

 ――――標準デバイスとして登録可能です。

 ――――固有名を登録しますか?』

 

「え、それこっちでもやんの? いつも通りテキトーに決めといて」

『――――防護デバイス“ペルセウスの盾”を設定しました』

「盾って、アナライズカードだし、ペッラペラやぞ……」

 

 

 さぁて、啖呵きっちゃったしさぁ。

「あんたの本当に守りたいもんをさ、守ってやれるって、力示さなきゃね」

 

 私、ちょこっと強いらしいぜ?




次、戦闘描写カットな。アンティ勝つから。

アニメじゃ槍メドゥーサさん、ワカメ壊してたけど仕方ないね。
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