大聖杯の上に建つ柳洞寺の、その屋根の上。弓兵はその様子を捉えていた。
「ふん。キャスターめ」
盾の少女とマスターがスケルトンと戦っている最中、狙撃するタイミングを図っていたのだがキャスターが乱入してきた事でその思惑は潰えた
奴め、こちらに気づいた上で撃ってみろと挑発してきていたな。
全く腹立たしい事だが、盾の少女やカルデアのマスターを狙っても、奴は防いで見せただろう。
それでも見返りは大きいからと、カルデアのマスターを狙ってみたのだが、奴め「こっちじゃねえだろ」などと、口の動きで伝えてきた。
「あの金ピカ女を撃ってみろ」
は。
味方になりそうな集団に、オレをぶつけて試金石にしようという発想は実にケルトらしい。
オレの弓で倒れる程度では、かの王には実力不足で足手まといだというのだろう。舐めてくれる。
思惑に乗るのが癪だというのもあるが、
その思惑は当たり、中々に面白い光景が見れた。
車輪のような物による立体機動。
所々男性的な動きをするのは人格交代か、そういった戦闘用人格を作る魔術も珍しくはないが、どうだろうか。
あのランサーを圧倒する怪力も脅威だ。それと、初手のランサーの攻撃を受けた防御力も感嘆に値する。
何より最後のランサーを飲み込んだ巨大な歯車。あれは……。
「……やれやれ、中々骨の折れる仕事だな」
……ところで
観戦中にキャスターが「え? 見てるだけなの? あの金ピカ娘のおヘソに虜なのアーチャーさん。あ、つるペタなお胸の方でしたっけ、小さいのが好きなんでしたね、ぷぷ」などと更に挑発を重ねてきたのは後で殺す。
ルーン魔術の詠唱のように見せかけてるが、貴様
「ん? な、何だあれは」
少し目を離した隙に、奴らの周りにテーブルに椅子に調理台が現れていた。
鍋もフライパンも包丁も、肉に人参にじゃがいもに……? いやあれは似てるがじゃがいもじゃないな、なんだアレは。
休息をとるのは大切だが、まさかあの金ピカ女が調理するのか? さっきまで動き回っていて泥が付着している……。
!?
汚れが歯車に飲み込まれて、しかも手は煮沸消毒しただと! なるほど、これなら食材を衛生的に扱える。
! なんだと、あの包丁さばき……コックの英霊だとでも……。
あの包丁は……。
【 小僧、お痛は、あかんえ? 】
がっ! インテリジェンスソ……包丁だとっ!
ぐっ、解析しきれない、駄目だ、くそっ。
せめて……その、憑依経験を……! 解析……!
未知の食材、調理方法が……っ!
がくっ
◆◆◆
バッグ歯車とは!
時限結晶とアンティのスキルがなんかアレしてできた不思議空間のことである!
無限に物が入って時が止まるぞ!
でも意思持ってる奴らは普通に会話しとるぞ!
所長が「時間操作とか無限の空間とかまるで魔法じゃない! ありえないわ!」と発狂していたが、皆これを華麗にスルー。
アンティ達は魔法と魔術の違いも知らないっぽいし仕方ないね。
それより何よりどういう物が入ってるのかが気になる。
そう伝えたところ、アンティによる調理が始まった。
いきなりだったので他の面々は呆気にとられていたが、私は調理を始めた気持ちが理解できた。
【 ほれ食え、ほれ飲め。調理酒しかないが、これはなかなかイケる酒よ 】
< そーう? せめてナトリ酒くらい置いて欲しいわぁ >
{{ あら、ヨトギサキさん、腕をあげましたね。この煮物おいしいです }}
『ガルンッ』
メド『では一献。んぐ……ふぅ、これは調理酒にフルーツを漬けたのですね。中々に美味です』
新人歓迎会やってるからだよ!
なんだよ! この不思議空間なんだよ! そりゃー心労で疲れたところにこんなん聞いてたら腹立つよね。
アンティ、手のとこにプシュっと蒸気が出たと思ったら、歯車が大量に出てきた。その歯車からテーブルに調理台に各自の椅子にまな板、鍋にフライパンに包丁に、にんじんやらジャガイモやらお肉やら魚やら、木の実に、調味料? どこの文字かな。
いやー出るわ出るわ。よく見たら蒸気も手首の歯車から出てきたのね。
包丁とフライパンの所で、中の声で2つほど慌てて消えたのは何だろう。意思を持った道具……? めっちゃ飲食してましたけど。
あと……。
「はぐはぐはぐはぐ、こりゃうめえな! 嬢ちゃんおかわり!」
「はいよ、ちゃんと噛んで食べな! 残すなよ!」
キャスターが馴染みすぎてる事に突っ込めばいいのか、アンティがプロの料理人顔負けの調理スピードと完成度を見せたことに驚けばいいのか……。
英霊って魔力で限界してるんだから、バッグ歯車の中身のこの食材って、私の魔力とかカルデアの電力が元なのでは……。色々頭をよぎったけど、
美味しいから良いよね! おかわり!
『>>>良いのかなぁ』
良いんだよ。
良いのかなぁ
ガバ二次ガバ二次