「………ここは?」
俺は真っ白な空間にいた。
比喩でもなんでもない、本当に、ただ真っ白なだけの空間だ。
何でこんな所にいるのか分からないし、それどころか直前に何をしていたのかも覚えていない。
「まあ、ずっとここにいても仕方ないしなあ……」
とりあえず歩いてみる。
足場はあるようで、数歩歩いてもなんともなかった。
「そういや、二次創作とかでこういう展開あったような……」
神様とかが出てきて転生させてくれるんだよな、なんて面白そうな。
まあそんな展開ある訳ないけど。
「よう、転生させてやろうか?」
ある訳があったらしい。
振り向くと一人の男がいた。
どうやら、その男が神様っぽいのは一目見てよく分かった。
だって、服の真ん中に神様って書いてあるし。どこの界○様だ。さすがに触角みたいのは生えてないけど。
「……で、何て言った界○様?」
「俺は界○じゃねえ!」
間違えた、神様だった。
「ったく………まあいいや。俺はお前を転生させてやるって言ったんだ」
……………は?
「いや、神様もどきにそんなこと言われても」
「もどきじゃねえ!」
いや、服に神様なんて書いてある時点で怪しいだろ。
……でも、他には誰も居なさそうだしなあ…
「で、転生ってことは?」
「……お前を別の世界で新しい人生を送らせるってことだよ。それくらいは知ってるだろ?」
「ああ、いや、そういうことじゃなくて……」
俺は少し前から思っていた疑問を口にする。
「それってつまり、俺死んだってこと?」
神様は少し黙ってから、
「……ああ、そうだよ。じゃなきゃ俺に会ってないし、こんなことも言わない」
……にしては、死んだ時の記憶が全然無いな。
「俺どうやって死んだんだ?」
「タンクローリーの下敷きになって潰れた」
そりゃまた貴重な死に方したな俺。
っていうか、俺本当に死んだのか……全然実感が無いな。
「いきなり死んだ奴はみんなそうだ。気にすんな」
そう言って、神様は俺に笑いかける。
案外いいやつなのかもしれない。
「ま、本来死ぬのは別の奴だったんだが」
「………? というと?」
オイ、この流れでいくとまさか……
「俺がお前を間違って殺しゴフゥ!?」
神様の顔を思いっきり殴った。殴り所が良かったのか、3mぐらい吹っ飛んでいった。
飛びすぎだろ。
「イテテ……いきなりどうしたんだよ。ケガでもしたらどうすんだ」
こっちはケガどころじゃないけどな。タンクローリーに潰されてペシャンコだけどな。
いやだって、間違えて人殺すか普通?
仮にも神様なんだから、そこらへんはちゃんとしてほしいと思う俺は間違っていない。
「生き返ることは出来ないのか?」
殴られて顔が赤い神様に聞いた。
「……ああ、それだけは絶対に出来ない」
「だよなあ……」
「だから俺が転生させてやるって言ってんだ」
神様は胸を張りながらそう言う。
なんでお前が上から目線で語るんだ。間違って殺しといて何様のつもりだ。
「神様」
……もういいや。
「分かった。転生するよ」
「おし来た。どの世界に行きたいんだ? 基本的にはどの二次世界にも行けるからな」
「そうだなぁ……」
いざ選ぶとなると中々悩むな……。やっぱり行くんだったら戦闘があるところがいいし。
「となると……やっぱりFateシリーズかなあ……」
俺はいわゆる二次系統の作品ではFateシリーズが一番好きである。と言っても、比べられる程アニメとかを見ている訳ではないが。
Fateシリーズが好きな理由は、設定が面白いからである。宝具の名前や詳細は一応全て覚えている。
なので、あの世界に行けるとなると確かに嬉しいのだがーー、
「……いや、駄目だな」
個人的な考えとして、先の展開が分かったり、敵の能力を最初から知っているのは面白くない。
となると、
「それなりに戦闘があってなおかつ、俺が少ししか知らなくて面白そうな所ってどこかあるか?」
「ちょっと待てよ……」
神様は目を閉じた。
しばらくすると目を開けて、
「めだかボックスとかは? 名前ぐらいは聞いたことあるだろ?」
「めだかボックス……ああ、週刊少年ジャンプの漫画だっけ?」
「そうそう。もう連載は少し前に終わったけどな。あそこならちょうどいいんじゃないか?」
ちなみに、俺は生前ジャンプは読んでいなかった。読んでいたのは確か中学三年ぐらいまでだったから、もう五年近く前だ。故に、めだかボックスの内容はほとんど知らない。かろうじてある知識も、黒神めだかという主人公の名前ぐらいだ。
「まあ、ちょうどいいか。そこにするよ」
「あいよ。能力はどうする?」
「というと?」
「あっちの世界じゃスキルって言うらしいけどな。不死になるスキルからみかんの皮が簡単に剥けるスキルまで、色々あるみたいだ」
「色々ありすぎだろ……」
そこまでバリエーション豊富だとかえって悩むな……。やっぱりチートがいいんだろうが、やはり最初から強過ぎても面白くない。
「んじゃ、変わったチート頼む」
「サラッと言ったが中々難しいぞそれ……まあ、期待に添えられるような物を贈っとくけどな」
すると、俺の体の周りに光の渦が現れた。
「お前は転生世界では歳をとらないからな。存分に楽しんできな」
「随分と親切なんだな?」
その言葉に神様は苦笑する。
「俺が殺したのは事実だからな。ケジメはつけるさ」
光の渦が輝きを増す。
「そうそう、お前は原作開始二十年前に転生するからな。まあ、そんな訳でーー」
俺の視界を白い光が満たしてゆく。
「ーー転生人生、波瀾万丈に生きてきな」
光が白い世界をさらに輝きで染めーー、
俺は新天地へと、旅立った。
「痛ってぇ~……」
一人の男が頭を抱えて唸っていた。
周りは木々に囲まれ、昼間だというのに薄暗い。
時は《めだかボックス》開始より二十年前。
男ーー風成 龍軌はそんな状況で二度目の人生を開始する。
はじめましてになります。
投稿は初ですが、それなりに頑張っていくつもりなので、応援してくだされば。