シトリー家の末っ子   作:黒椿

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2 ハヤテの実力

ハヤテは敵が近づいてくると自分の太もものポーチから杖を取り出す。

 

 

(魔力調整終了...魔法陣展開...敵距離80...これきついなぁ、相手完全に僕の出方を伺ってるじゃないか。)

 

 

三首の生物は真ん中の頭がハヤテを見つめ、左の首がその他の場所を見ていた、しかし右の首は一切動く事なく目を瞑っていた。

 

 

『ゴァァァ!』

『ガララ!』

 

真ん中の首が鳴くと左の首も鳴き出しハヤテへと完璧な敵意を剥き出しにする。

 

 

その直後真ん中の首よりハヤテに向かって炎を吐き出した。

 

 

ハヤテはギリギリの所でその炎を避けると風の魔力を展開し自身の周りに纏う。

 

 

「炎まで吐くってきつくないかい?これ?僕の風でどこまで防げるかわかったもんじゃないし。本当に最悪だよ。」

 

 

ハヤテは悪態をつくとともに自身の後方に数十は在ろう魔法陣を展開する。

 

 

「ブラストアロー」

 

ハヤテがそう言うと後ろの魔法陣より鋭く研ぎ澄まさた風が無数に発射される。

 

 

その攻撃を受けた三首の生物は全ての攻撃を弾き返し、ハヤテの方を向き左の首が何かを吐き出す。

 

 

ハヤテはその吐き出しだものを避けるとハヤテがいた場所は溶けていた。

 

 

「酸?!なんで酸なんて吐けるのさ!」

 

 

もはや訳が分からなかった、それはそうだろうハヤテとて火を吐くまでは許容できる、しかし酸となるとそれを体内に生成出来る生物は限られてくる。

 

 

この生物は一体何がありこの様な姿に変貌させられたのかハヤテは作ったものは何の意図がありこの生物を作ったのかこの時は知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーくん早く帰ってこないかなぁ。」

「お姉様さっきからハヤテの事ばかり心配して全く仕事が進んでいませんよ。」

「そういう、ソーたんだって呼んでる本逆さよ?」

 

 

そう言われソーナは顔を赤らめて読んでいる本を元に戻す。

 

 

「そんな事は良いのです、お姉様が仕事をしてないのが問題だと私は言っているんだすよ。」

「だってはーくんの事心配なんだもん!」

 

二人がそんなやり取りをしているとドアが唐突に開く。

 

 

「失礼するよ、セラフォルー」

 

 

ドアからは紅色の髪をした男が入ってきた。

 

 

「サーゼクスちゃんどうしたの?こんな時間に?」

「いや、実はねここ最近物騒な話を聞いたものでね。」

「物騒な話ですか?あっお久しぶりですサーゼクス様」

「やあ、久しぶりだねソーナ。物騒な話といってもね何処から合成生物を作り出す研究施設が最近壊されたみたいなんだ。」

「ええ、その話なら聞いたわよ?サーゼクスちゃん。」

 

 

サーゼクスはセラフォルーの返事の後に少し困った顔をして話を続ける。

 

 

「実はその施設から一匹合成生物が逃げ出した様でね、どうやら近隣の村近くに潜伏しているという情報を聞いたんだ。」

「まさか、サーゼクス様それってハヤテが行った村の...」

「実はそのまさかなのさ...正直僕も焦っている。」

 

 

セラフォルーはその話を聞くや否や部屋から直ぐに走り去る。

 

 

「さて、どうやら僕らも追いかけなければ追いつけそうにないね、ソーナ急ごうか。」

「はい。」

 

 

サーゼクスがソーナの手を握りセラフォルーを追いかける。

二人がシトリー家を出るまでそこにはセラフォルーを抑える女性が馬車を控えさせて待っていた。

 

 

「サーゼクス様、馬車の用意が出来ています。セラフォルー様とご一緒にどうぞ。」

 

 

四人が馬車に乗ると目的地に向かって走り出す。

 

 

「サーゼクスちゃん、その合成生物は一体どんな生物なの?」

「どうやら、竜たちを模倣して作られたようだ、真ん中の頭を火を吐き、左の頭は酸を吐く、さらにいつも眠っているように見える右はいつも敵を感知するようだ。」

「そっ、そんな...それじゃハヤテが本当に危ない!」

「はーくんは賢い子だから多分出会ってもなんとか逃げてるはず。そうよ、リオンがついてるんだから危ないなんて事はないはずよ!」

 

 

セラフォルーが安心させるように自分の考えを言葉にすると、ソーナが口を開く。

 

 

「お姉様、今回はリオンはハヤテの手伝いをしないようにお父様から言われています...しかもリオンは多分村の防衛に回っているでしょうから...」

 

 

ソーナの言葉は段々と小さくなっていく。

 

 

「それなら尚の事急ごう。」

 

 

サーゼクスの言葉通り馬車は速度を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふぅ、不味いなこれ魔力が枯渇しかけてるしあいつ僕のことを感知してるみたいだね...そろそろ動かないとここも危ないか。リオン達と合流できれば良いんだろうけど村の近くにいる時点でリオン達との合流は厳しいか。)

 

 

ハヤテが思考を巡らせていると段々と足音が近づいてくる。

 

 

ハヤテはなけなしの魔力を絞り出し風を追い風にして自身の速度を上げるが合成生物はその事に気がついたのか遂に魔力を解放した。

 

(あっ、これ死んだんじゃね?)

 

 

もはやハヤテは逃げる事すら許されない状況まで追い込まれる。

 

 

しかしハヤテは諦めない。死ぬことを自分自身が許容しない最後の最後まで相手を足止めし村への被害を出さないことを最優先に考え行動をする。

 

 

(さて、これからどうするべきかだね。速度的には僕の方が上、でもあいつが僕に追いつくのは時間の問題かな?一応風をこの付近一帯に巡らせておくか?でも意味があるのか?)

 

 

ハヤテに思考を纏めるられる時間などほとんどないしかしハヤテはこの短時間で自分の命を落とさず、生物を倒す方法を探し出さなければならない。

 

 

 

ハヤテが風を一帯に巡らせるとそこには魔力が自然と集まったいる場所を発見する、魔界においてこのような場所は確かに無いわけではないが珍しかった。

 

 

そしてこの場所こそハヤテが生き残るのに最適な場所でもあった。

 

 

(...!?ここならあれが使えるか?もしここが予想通りの場所ならいける筈、ならあいつの足を少しだけでも止められれば僕が今から準備を始めれば間に合う!)

 

 

ハヤテは杖を無造作に振り風を木々に当て切り倒す。

 

 

時間稼ぎになど殆どならないだろうが少しでも奴の足を止められれば良かった...何故ならその少しの時間でハヤテの魔法は完成するのだから。

 

 

(魔力を最大まで使って...魔法陣の設置...そして最後に術式を書き換えて...これで多分大丈夫だ。)

 

 

ハヤテは魔力の溜まる場所まで着くと魔法陣を設置しその後ろまで引くと相手が来るまでひたすら待っていた。

 

 

その少しした後に奴はやってきた。

 

 

『グァァ!』

『グルル!』

『ガララ!』

 

ハヤテは自分の目を疑った何故なら先程まで目を閉じていた右の首が目を開き鳴いているのだから。

 

 

もはやハヤテを探す必要などないかのように三首がハヤテを見つめる。

 

 

ハヤテは三首が射程圏内まで入るまで動かず牽制を続ける。

 

 

三首が射程圏内に入るのとハヤテは呪文の名を唱える。

 

 

【暴風結界】

 

 

ハヤテはその大呪文を唱え三首をその場に捕らえる事に成功する。

 

 

「死ぬかと思った...この結界に気づいてリオン達がきてくれると助かるな。」

 

 

ハヤテがその場で座り込んでいると風に気づいたようでリオン達が合流してきた。

 

 

『ハヤテー生きとるんかー!』

『ハヤテ?!無事?!』

 

 

二人がどうやら心配しながらハヤテの元にやってくる。

 

 

「火傷なんかは酷いけどどうにか生きてるよ。」

『ほんなら良かったわ、しかしなんやこいつ?生物にしても色々おかしいやん?』

『そうね、よく見たら所々に継ぎ目なんかが見えるわね。』

 

 

戦闘を行なっているときは気づかなかったがよく見るも三首には所々に継ぎ目や怪我が多くあった。

 

 

「とりあえず、この子はセラ姉さんに報告しないとね。何処まで僕の結界が持つかわからないし。」

『その事なんやけどなどうやらこっちにセラフォルー様向かってるみたいやで?』

「本当かい?それはそれで助かるけども無茶したから色々言われそうだなぁ。」

『遅かれ早かれ怒られる運命なんやからしっかり怒られぇや。』

『ネイ〜、黒髪ツインテールの女の人が来たらここまで案内してくれへん?わいらはここでこいつ見張っとくから。』

『ええ、良いけど私が行って大丈夫なの?』

『眷属としての顔合わせって考えればいけるやろ!大丈夫や行ってくるんや!』

 

 

そうリオンがネイに早く行くように急かす。

 

 

ネイは嫌々とそれを承諾し村の方へと移動して行った。

 

 

『んで?ハヤテ自分何考えとるん?あれ使えばもうちょい楽やったやろ?』

「あれはそうそう使うものじゃないし、今の僕じゃ使えないよ。」

『まっ、ハヤテがそういうんならそういう事にしといたるわ。』

 

 

リオンとハヤテはセラフォルー達が到着するまで三首をずっと二人で見張っていた。

 

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