ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
北方に冒険をしてきて二日が経過した。【
「ねぇ、思ったんだけどイッセーの派閥だから【イッセー・ファミリア】にしないんだ?」
「アスナさん。俺でも羞恥心はあるのですけど?仮に【アスナ・ファミリア】って名前にされた時の感想を聞かせてくれるか?」
「・・・・・ごめん、恥ずかしい」
人名で派閥を呼称される想像は容易く、照れと羞恥が入り混じってあまり呼ばれたくないことは誰でもあることだろう。アスナもそうされるのは抵抗感があり同感した。
「でも、フリーって自由って意味だけれど無所属って思われるのもちょっとね」
「主神がいないから無所属なんだがな。いたらその神の派閥になるだろ?神の恩恵無しで集う俺達にそれっぽい名前が浮かばないんだよな。エレオノーラ達『銀色の獅子』みたいに」
「異世界に関することは?」とシルヴィーから指摘を受けても首を横に振る。
「団員達が全員、異邦人か転生者だったら考えられるけど期間限定なんだ。元の世界に送り帰してしまうから」
「うーん・・・・・このお城の名前みたいには?」
「・・・・・名は体で表す言葉があるのは知ってるよな?実際にこの城はその通りに表しているけれど、俺達を全体的にまとめてどんな名前で体を表せればいいのか分からないのが心情なんだ」
「イッセー様を愛する派閥名にすれば?」
「断固反対。一番呼ばれたくないソレだよ」
「ハ、ハハハ・・・・・私もちょっとそれは困るというか凄く恥ずかしいというか・・・・・」
イッセー様至上主義者派閥―――とちょっとそんな名前が脳裏に過ったシルヴィーに二人から拒否されたが、提案した本人も本気ではないので口を閉ざした。溜め息をアスナは吐いてから苦笑をうかべる。
「無難、かもしれないんだね」
「無難が一番だと思ってくれ。快楽主義の神々が冒険者にイタい二つ名を考えるぐらいならと」
「うん、わかった。フリーって意味は異世界から来た異邦人と転生者ぐらい知らないもんね」
「や、神々も神語として知っているそうだぞ。中には外国の言葉の挨拶も含まれてる」
「何で神様達が私達の世界の外国の言葉を言えるんだろう」
「俺の中の七不思議の一つとして数えてる」
確かに不思議な事の一つだとまた同感するアスナ。結局はこれからも名前を変えずにいこうと話し合いは終わった。特別格好いい名前じゃなくても普通、もしくは恥ずかしくない無難な名前でよければいい。それでも変えたほうが良いと団員達が考えているならば変える方針でいる。
「でも、転生者達が好きそうな名前は直ぐに思い浮かぶけどな」
「どんな?」
「唯我独尊天上天下」
「納得」と苦笑するアスナ。立ち上がる一誠に呼応し、ティータイムは終わりにしてシルヴィーに片づけを任せてもらい立ち上がり一緒にリビングキッチンを後にする。
「そういえば虹色の実をお酒にする話は?」
「話はつけた。いつ完成するか分からないけど完成が楽しみだ。俺は飲めないけどな」
「本当にお酒がダメなんだねイッセーって」
「梅酒なら飲めれるぞ。てか、それしか飲む気がない。あれは甘いから美味しいんだ」
意外な話を聞かされ興味を持ち、今度飲ませて欲しいと一誠に約束を取り着けれたアスナはこの後はどう過ごすか訊いた。
「私は部屋にいるけどイッセーは?」
「今年の運動会に向けて準備をするつもりだ」
「うんと、私も手伝ってあげようか?」
「結構大掛かりな事は多い。でも・・・・・そうだな。事務的な事、途中でもいいから頼めれるか?」
仕事―――『異世界食堂』以外にも手伝わせてくれる作業はアスナが思っていたより過酷だったのは余談である。それでも一緒に何かをすることが嬉しいと一誠と作業部屋へ向かった。
「春姫ちゃん、危ないっ」
『ギャギャギャッ!』
「こんっ!?あ、あうあうっ!?」
「こらー!春姫に何するんやっ!」
上層域にて
「大丈夫?春姫ちゃん」
「あう・・・・・申し訳ございません」
「ええんよ。無事ならそれで」
気落ちする春姫を救い慰めるユエルにソシエ。弱い的でも油断はするな。一誠の戦いの心構えを教えられてる三人はゴブリンやコボルトを中心に狩りを続けて戦い慣れを臨むが、得意不得意がやはりあった。
「やっぱり、春姫ちゃんは妖術使うんし後衛からうちらを・・・・・」
「ユエルちゃん、春姫ちゃんの妖術は人前で使うのはあかんって旦那様が言うとったよ」
「あ、せやったね」
一時的でも
「戦えるお二人が羨ましいです。私は何時も足手まといでになってしまいますから」
「そんなことあらへんよ。春姫しかできへんことがあるようにウチらしかできないことがあるんや。春姫のこと邪魔だとは少しも思っておらへんで?」
「足手まといでなんて言わんといてや。春姫ちゃんも苦手なことを一生懸命頑張ってるの、私達や旦那様も知っとるよ」
「ユエルちゃん、ソシエちゃん・・・・・」
励ます二人に哀愁漂わせてた春姫は、気持ちを奮い起たせてぎゅっと短剣の柄を握り締めた。非力な自分を何度も気にかけて励ます少女達に感謝と申し訳なさでもっと頑張ろうと思いを胸に、翠の瞳に力強い決意の意思を籠めた。
「が、頑張る!旦那様の為にも他の皆さんのためにも!」
「「うん、一緒に頑張ろう」」
おーっ!と拳を突き上げてやる気をみなぎらせる
『グオオオオオオオオオオオッ!?』
上層の10階にてインファント・ドラゴンと遭遇した。
キリュー・ドラゴニアは、戦闘を始めるや否や好戦的に声を上げながら飛び出し、上からの強襲を仕掛けた。鋭利な双剣で背中を切り刻みながら、顔が髪の色のように血で汚れても狂喜に笑み、その深紅色に輝く双眸と眼光は鋭く、ギラギラと戦意と殺気に満ちていた。
「・・・・・理性が吹っ飛んでいるなありゃ」
「フィンの魔法の類と似ている。あれは判断力を著しく低下させるがキリューは・・・・・理性を放棄しているのかもしれん」
彼女の戦いぶりを見ていた二人から懸念の言葉が出てくる。とても駆け出しの冒険者とは思えない精神状態に絶世の美女のハイエルフ、リヴェリアは憶測を挙げた。
「スキルよる影響か」
「ん」
問われた一誠は首肯する。背中から降りながら横腹に剣を突き付け切り裂き、あろうことか体内に潜り込んで攻撃する彼女を、絶叫の咆哮を上げる竜種のモンスターを見守りながら語る。
「【本能喚起】。好戦欲に伴う理性低下。攻撃をする度、全アビリティ能力が超高補正。
【竜の逆鱗】。怒りの丈、もしくは損傷を負う度に『力』が超絶効果上昇」
「・・・・・アイズにそのスキルが発現しないで安心した。昔のあの子のためにあるようなスキルだそれは」
「今はもう大丈夫だろ?」
「お前という存在のおかげでな」
胴体が真っ二つになったインファント・ドラゴンが地に沈んだ。一拍遅れて身体が灰燼と化して宙に舞う灰の中でキリューが佇むので二人は近寄る。
「キリュー、お疲れ」
「・・・・・っ!」
話しかける一誠に鋭い深紅の眼光を煌めかせ、腕を動かし剣を振るって攻撃をしてきた。味方への攻撃に難なく鷲掴みにして血塗れのキリューに汚れても構わないばかりに抱きしめて背中を優しく触れる。
「大丈夫、息を吸って冷静になれ」
「フー・・・・・ッ!フー・・・・・ッフー・・・・・」
荒い深呼吸は徐々に治まっていきやがてリヴェリアから見ると、深紅色の瞳が金色に戻って知性の光を宿したのが見受けれる。それが理性を取り戻した表れでキリューが口を開いた。
「・・・・・すまない」
「大丈夫そうだな」
「ああ・・・・・また攻撃をしてしまった」
「意識はあるだけマシだ。意識を集中して低下する理性を維持するように努力できればいい」
キリューの頭を撫でながら労いの言葉を送り、彼女の服や肌の汚れを魔法で綺麗にする。体力回復のポーションを手渡し飲ませる。
「お前は私に何を求めているかたまに分からなくなる」
「生き甲斐が無いお前を勿体ないからな」
「私が勿体ない・・・・・。周りの人間と接するができない私がか」
「できてるだろ。じゃなきゃ、店で接客なんてできない」
「そういう意味ではない。戦いの中での話だ。さっきのように私はお前を攻撃した。自分の意思と関係なくだ。だから私は、私達
鳥のように、蝙蝠のように翼を背中に折り畳む。
「お前の一族はどれ程の数がいるのだ?」
「私の一族、いや部族は親兄弟親戚も含めて100人前後。さらに多くの他部族がいて離れ離れで密かに暮らしている」
数が少ないって言われている理由は見た人がその一つの部族だけだったからかもしれないな。
と感想を抱く一誠は質問を繰り返した。
「その髪の色は他の部族とキリューの部族も同じか?」
「そうではないな。他の部族の中にはヒューマンを浚って種の繁栄を維持しているし、部族同士の交流で子供を産む。この髪は父と母の血を受け継いだ証だ」
「忌み嫌われている理由の一つが今さらっと言ったなおい。でも、尚更不思議だな。キリューがその部族から離れるなんて。閉鎖的な村とかじゃない限り外の世界に出ようと考えはないかと思うけど」
首をかしげる素朴な疑問はリヴェリアも同感で、話してくれるなら伺う姿勢でいる。キリューは少し躊躇する様子を見せるが語ってくれた。
「・・・・・
「竜と化する?」
「ああ、お前が竜のモンスターになることを差しているのかもしれないな。私を含め、翼を有した同族が生まれたのは数十年振りだそうだ。だからお前がモンスターに姿を変えたときは驚いた。あの伝承は本当なのかと」
「だが、イッセーは異邦人の者だ。お前達の伝承と似ているが
リヴェリアの指摘にコクリと頷くキリュー。
「信じられない話だが、その話は本当なんだろう。しかし、それでも伝承は馬鹿にできない。たまに思うのだ、お前が私達一族の祖先ではないかと」
「何故に俺がお前らの祖先にならなきゃならないんだ」
「自分でも何でだかわからないが、直感的に思っている。会ったことはないが長老達を纏める最長老は千年前の太古から生きている者だと聞く」
「その者は神か?」
「いや同族だ。しかもまだ見た目が若いとか」
リヴェリアが一誠を意味深に見つめるも、一誠自身は腕を組んで悩ましげに眉根を寄せた。
「キリュー達の寿命ってどのぐらいだ?」
「わからない。私の親は百年以上は生きているらしいが、実際本当かどうか定かじゃないものの・・・・・私は六十年以上生きているから本当なんだろうと思ってはいる」
「はっ?」
またさらっととんでもないことを瑞々しい口唇から言うキリュー。リヴェリアの口から間が抜けた声が漏れる。「嘘ではないぞ」と彼女の発言にもう一度、真意を求める目で一誠を見ると首肯する仕草を視界に映る。
虚言を語る者ではないため、真実でも衝撃的な事実であるから驚きは禁じ得なかった。
「(ファンタジーな話には長命種の亜人なんて珍しくないが、それはエルフやドワーフに吸血鬼、竜の血を引く竜人とドラゴニュートと同一視されていないマイナー的な種族だ。小説によっては同一視されるけど、長命の種族だったりじゃなかったりするがこの世界のドラゴニュートはそうなんだな)」
「・・・・・イッセー」
「ん?」
「何を思い更けているのかわからないが、キリューの尾を触れるのは止めてやれ。今にでも崩れ落ちそうになっている」
おお?と今気づいたとキリューを見れば、紅潮した顔で一誠を睨みつけながら身体を震わせていた。両手には彼女の赤い尾を持っていて肌触りを堪能していた様子だった。
「ごめん、無意識に触ってたみたいだわ。―――改めて触っていい?」
「もう触るなっ。言っとくが、これが
ばっと尻尾を一誠の手から離して真っ赤な顔で言うので、どんな触り方をしたんだ俺は?リヴェリアにそう意味を込めた眼差しを向けると呆れた風に息を吐かれた。
「キリュー、諦めた方がいい。イッセーの手にかかれば女の心を盗むのに訳がないのだからな」
「リリア、盗むってのは心外なんだけど」
「ではなんだ」
「欲張りな龍なもので、綺麗な宝石を集めて独占しているだけだ」
「ほう、ではその宝石を狙う輩がいたら?」
「魂までそいつを塵すら残さず燃やし尽くすよ」
龍の翼を生やして二人を包み込んで、汚い獣声を上げながら現れたオークへ向かって口から劫火の炎を放った。あっという間に巨大な体を炎が包み込み、灰燼すらならずに焼失するモンスターを見てキリューは愕然とする。
「こんな風にだ」
「・・・・・独占欲が強いドラゴンから宝石を奪われることはないようだな」
「当然だ。奪われたら世界の果てでも追いかけて見つけて取り戻す。キリュー、お前もその一つだからな」
「っ・・・・・」
面と面を向ってはっきり言われて緊張感に似た気持ちで息を呑む。この男なら絶対にやりかねない強い意思が念で伝わり、本気を感じたからだ。
「さて、話はここまでにして次行こうか」
「・・・・・ああ」
モンスターを倒して強さを得るため、キリュー・ドラゴニアは双剣を手に取った。
「いらっしゃいませ、ようこそ『異世界食堂』へ!」
店内に入ってきた客達に満面のスマイルで迎える女性店員たち。『異世界食堂』に働いてから数年経ち、多忙に追われながらも足を運んでくれた人達のために料理を作り、笑顔と共に提供する。時には雑談を交わして交流を築き、また贔屓してくれるように最高のおもてなしを心掛ける。
「はぁ~・・・・・朝早くから客が来て大変ニャ~」
「そうニャ~・・・・・夜になると酒や飯に植えた冒険者共が押し寄せてきて・・・・・はぁ~、憂鬱ニャア」
「あ、こら、そこの猫匹。店主やミア母さんがいないからってサボるなよ」
今日は初めて店の大黒柱と言えるべきの二人の存在がいない珍しい日。店員達だけ切り盛りをすることになって
「団体のお客様が入りまーす」
入り口で新しい客を案内するのは、栗毛の髪を揺らすアスナだ。従業員の中では異世界から来た異邦人の女性であり、看板娘でもある。ヒューマンながら整った顔だちは勿論のこと、愛想がなく取っ付きにくいフレア・フローラ異なり、分け隔てなく接する振る舞いが純朴な町娘として男性客の間で人気を博している。したたかで物怖じしない彼女の笑顔の前では、荒々しい冒険者もついつい顔もだらしなくさせてしまうほどだ。
不在の店の主人である店主と副店主のミア、そしてアスナ達店員の手で、『異世界食堂』は今日も切り盛りされていく。
「「いただきます!」」
団体の若い者達が注文した料理が届いたら直ぐに食べ始める。好みはバラバラで朝から贅沢に値段が高い料理を頼んだ客もいればそうでもない客がいたり、
「あのすみません。俺の頼んだ料理がまだ届いていませんが」
「え?あ、す、すみませんっ。ただいまご用意してきます。えと、ご注文は何でしょうか?」
「・・・・・牛丼です」
全員分を運んだつもりがたった一人を除いてまだであったことに気づかなかった。後に「人数を確かめたのにいつの間に一人増えた」とその日に起きた出来事を報告書に記されて読んだ店主とミアは、客と店員の数え間違い、確認不足と結論を出した。今後も同じミスをしないように店主が店の改造を視野に入れた。
「困ったわね。一日に一回はこの店で食べる日課になっちゃっているわ」
「そう?私的には嬉しい困った感じなんだけどな」
「白崎に同感だぜ。学生の俺達が昼からこんな贅沢に飯を食べられる機会はそうそうにないんだからな」
「だがあまり悠長にしていられない。俺達は冒険者をしながら元の世界に帰る方法を探さなければいけないんだ」
「・・・・・」
ハジメは本当にその方法がこの世界にあるのか、と疑問を押し黙って口にせず代わりにカレーハンバーグを食べ続けた。その気持ちは他のクラスメート達も抱いているが、暗黙の了承のごとく誰も具体的な追及の発言をしない。
「いらっしゃいませ、お、自称転生勇者、光輝勇じゃん」
「自称と言うな!俺は勇者の存在だぞ!」
「はいはい勇者勇者。席に案内すっから静かにしてろよ」
細部にまで装飾が施され、白と蒼と金を基調に彩られた白銀の全身甲冑、まるで神話の騎士が身に着けていそうな豪奢な鎧だ。風に煽られてバタバタとはためくだろうマントは空を思わせる群青色、内側にはまるで夜空を切り抜いたような煌めきがマントの中に見え、星空のよう。背中には精緻なデザインで装飾された大きな逆三角形の大きな盾を担ぎ、背中の腰元には神々しい程の存在感を放つ大きな剣を提げている男、光輝勇が店にやってきた。
勇者と言う単語に反応する天之河光輝。ハジメ達も口に料理を運ぼうとする手を止めて彼の者へ意識と視線を向けた。店の中で一番浮いている装備を着こみ、マントを揺らしながら移動して案内された席に座る。
「・・・・・おい」
「なんだ?」
「この店はまだラーメンはないのか」
光輝勇の発言は異邦人と転生者のみしか知り得ない料理。ラーメン!?と聞いておっかなびっくりをしたハジメ達は、この人も異邦人の人かと思っていたら、問われた海童は肩をすくめた。
「まだ未定のようだぜ。だからカップラーメンがあるんじゃないか」
「ち、使えない奴だ」
「店主をディスるならお前が作れって。ま、俺同様にラーメンなんて作れないだろうけどよ。で、注文は?」
「鰻重」と答えた客に含みのある笑みを浮かべて離れていった店員。
「・・・・・俺達と同じ異世界から来た人なのかもしれないな」
「勇者と名乗っているみたいけど、どうしてなのかしら」
「わからないが、もしかすると俺達みたいに神に騙されているのだとしたら放っておけないな」
「でも、そうじゃなかったら・・・・・あ、あのっ」
直ぐ傍に通りかかったアスナを呼び止める香織。
「何かな?追加の注文?」
「えと、あの凄い鎧を着ている人って・・・・・」
「ああ、あの人ね?あの人は光輝勇って名前の転生者なの」
「転生者。確か、死んだ人が神様にチートの能力を貰って甦った人」
ハジメの言葉に首肯するアスナ。
「うん、そうだよ。彼は勇者として甦っているみたいだよ」
「何で勇者に?」
「憧れていたからじゃないかな?でも今は神の派閥の冒険者として生きているから、他派閥同士の干渉は控えてね。実力的に君達より強いことは確かだから」
忠告を残して仕事に戻る栗毛の店員の後ろ姿を見送って顔を見合わせる四人。勇者に相応しい願いを神に頼んだ転生者、という認識をして他派閥の冒険者として干渉はあまりしないことを心掛けることにした。
「でも、ラーメンか・・・・・食いてぇーな」
「作らないのはカップラーメンがあるから我慢しなさいってことなのかな?」
「理由はあの男しかわからないが」
「異世界でも日本の料理が食べられるだけ私達は幸運に恵まれているわよ。あまり贅沢は言えないわ」
「うん、そうだね。自分で作れるなら自分で作って食べろって言われそうだよ」
それは確かに、と香織や雫が同感と相槌を打った。
「できれば、ダンジョンの中でもこの料理を食べたいわね」
「「「「激しく同意」」」」
雫が吐露した発言は天之河光輝や坂上龍太郎も同意と口にした。その願望が後日叶うことになろうとはこの日、四人は思いもしないでいたのだった。
―――†―――†―――†―――
キリューとダンジョン探索を終えて地上に戻り、空が朱色に染まった時間帯に城の庭園へ戻った時、三人は目を疑った。地上から数Mの樹木にヤシのようにいくつも虹色の実が生えていたそれは、明らかに以上な成長を遂げていたのだ。それも成熟した証とばかり芳醇な甘い香りを発して漂わせている。
「・・・・・なんだと」
「種を植えて三日しか経っていないはずだ。あれは直ぐに成長する植物なのか?」
「・・・・・驚いたな。取り合えず、あの実から香る匂いも発してるから直ぐに採取しよう。モンスターが来る可能性がある」
数個の虹色の実を採って城の中へと保管した。その後、デメテルヘ通信を入れて虹色の実の事で確認したところ。
『まだ芽も出ていないわよ?』
「そうか。変なこと聞いてごめんな」
『もしかして、そっちはもう成長したの?』
「てか、実も成っていて驚いた」
続いてダンジョンの中で植えて、成長記録を頼んでいた『銀色の獅子』団にも通信を入れたところ。今日の報告はまだだったので聞いたら。
『実ってはいないが樹木になるほど成長しているぞ。ダンジョンは地上の植物の成長を速める事が出来るのだな。驚いた』
・・・・・どういうことだ?
「神デメテルの農場の所に植えた種はまだ、ダンジョンの方は樹木になるほど成長を遂げ、ここの庭園では三日で実った。イッセー、あの種に水を与えただけなのだろう?」
三つの異なる結果にリヴェリアの問い掛けでこの三日の間にどうしてきたかを思い返す。思い当たることがあった。
「・・・・・それと異世界の栄養剤を毎日三回はあげてた」
「・・・・・それだな」
いや、でも最後に与えた時でも芽が出ていなかったぞ?流石に異世界の栄養剤にここまでの効果があるなんて考えにくい。
では、何かの切っ掛けで急成長を遂げた?
んー・・・・・わからん。この辺りの土や植物はダンジョンから持ってきた物だから関係あるとは・・・・・。
・・・・・その栄養剤とやら以外にも庭園に撒かれていたり挿されている栄養剤があるが、その関係は?
「「・・・・・」」
キリューの一言でよもやと異世界の栄養剤とダンジョン内の
「育った」
「育ったな」
三日で、目の前で急成長した虹色の実を見て唖然としたのは記憶に新しい。そのお陰でストックが確保できマキャベリに商品としてゼリーを提供した矢先に。
「イッセー、この実の商品をもっと増量できまいか。王公貴族に高い値打ちで売れるぞこれは」
目新しい商品を見つけ、瞳をキラキラ輝かせた。結果―――あることを考えついた。
「考えたことがなかったな。異世界の道具とこの世界の道具を合わせた調合・開発なんて」
「したら色んな凄いものが出来ちゃう?」
「試してみないことにはな。一先ず作ってみようかな。出来そうなものから。さて何を作ろうか・・・・・?」
後に様々な物を作りあげてみせたイッセーの名が忽ち有名となり、触発された一人の少女が密かにライバル視をした。