ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
炎と炎が意思を持ってぶつかり合いながら金属同士が衝突して火花を散らす。バサッと炎翼を羽ばたかせて空を駆ける相手に対して 、赤い色の翼を羽ばたいて飛翔する者が赤い髪を激しくなびかせて肉薄仕掛ると、牽制に炎の斬撃波を放たれた。
「あー、もうっ。それはいくらなんでもズルいと思うわ!」
ゆっくりと床に降りるアリーゼ・ローヴェル。対して素知らぬ顔で返すは一誠。
「これでもかなり手加減しているんだが?手加減なんてしなかったら理不尽極まりない攻撃をして完璧に負かしていたぞ」
「ぐぬっ・・・・・」
「あそこは逃げず、迎撃しながら迫ってくるんだったな。だから歯牙にも掛けれないんだ」
それよりも、ととあることを訊く。
「魔法の翼、慣れてきたようだな」
「ええ、ダンジョンの中じゃあ使用は限定されちゃうけど本当に凄く便利ね。気に入ったわ。空を飛べるって道具でなきゃできないもの」
新たな機動力を得てバサバサと翼を動かす、心底ご満悦なアリーゼは笑みを浮かべる。満足なら作った甲斐もあると彼女からエルフの少女へと振り返る。
「次はリューか?」
「はい、手加減無用でお願いします」
「手加減した方が良いと思うぞ。手ごたえを感じるだろうし」
「構いません」
空色の瞳に決意を宿して観客席の方へ行くアリーゼと入れ替わるリューと対峙する。本人の意向に従い、手加減なしで模擬戦を開始する。開始直後、彼女の周囲に数十人の一誠の分身体が忽然と現われて囲みだす。
「・・・・・」
「ま、お前が望んだ手加減無用だ。頑張れよ?」
「ま―――――ぐっ!?」
素早く掴まれ床に押し付けられ・・・・・分身体全員が一瞬の閃光を全身から迸った直後、ルームを震わす大爆発が生じた。一誠本人と観客席に爆風と衝撃波から護る防壁の魔方陣で防ぎ、一人黒コゲのエルフを残して無事に済んだ。
「え、えぐっ・・・・・!」
「ちょ、待って。今の何?彼が増えたと思ったら爆発したわよ!?」
「・・・・・人間爆弾と言うべきか」
席からの戦慄の声を他所にダークエルフみたいに真っ黒な身体になってもリューは立ち上がり、一瞬で懐に飛び込んできた男の拳で腹を殴られて壁にまで飛ばされる。更に追い打ちとばかり雷の魔法を放って攻撃をする。三分も経たずに二人の模擬戦はあっさりと幕を閉ざす。
「あいつ、本当に強すぎよ・・・・・」
「Lv.云々関係なく強いって本当ですのね」
「そう言う奴があいつの世界にごろごろいるのかー。アタシらの努力って何?って思っちまうぜ」
アリーゼ達【アストレア・ファミリア】と模擬戦を始めて数十分。散々一誠の凄さと強さを見せつけられてもうお腹いっぱいの状態。第二級の自分達でも勝てない異邦人に圧倒と圧巻。実力の差を思い知らされた。
「次ー誰だー?」
相手を待つ男の声に皆、聞こえない振りをすることにした。模擬戦を繰り返してリューを最後に全員が一誠と相手をした。強さを理解させられた時点であの男と模擬戦は遠慮したいところであるが。
「ほー、聞こえてるのに無視たぁ正義と秩序の【ファミリア】がすることとはな?―――理解した。次はお前ら全員と手加減なしで時間無制限の模擬戦をしてやろう」
『ちょっ、待って―――!?』
リューは気絶中なために退場。他全員が強制的に一誠と模擬戦を強いられ、手加減なしの攻撃を見舞われる。悪役のように高笑いする男と悲鳴を上げながら必死こいて抗う女性団員達の阿鼻叫喚の図が出来上がって―――。
「お、鬼・・・・・」
「悪魔だな・・・・・」
「イッセー、楽しそうに笑ってる」
「笑ってると言うよりも、嗤ってる・・・・・」
アスナ達もその光景を見て一部の人間を除きドン引きする。しばらくして一誠だけを残して死屍累々と化したアリーゼ達が出来上がり、治療の魔法を施して解散。先にどこかへとトレーニングルームからいなくなる一誠に続き、アイズ達もついていき、【アストレア・ファミリア】一同もこの場を後にしようと動く。
「異邦人って誰も彼も強いってわけなの?」
「えっと、多分、彼だけだと思う。イッセーは同名の神様が存在する世界から来たから。それにあれでもまだ本気じゃないようだし」
「化け物かよ・・・・・」
アリーゼの問いに応えるこの場に残ったアスナの話を聞いて
「料理上手ですんごい物を作るし、Lv.云々関係なく強くて高身長にイケメンって、どんだけだよ」
そこで意識を覚醒したリューがライラに向かって一言。
「凄い物を作ると言えば、手先が器用なライラとは話が合うのではないですか?」
「おー、さくっと話し合ってみたぜ?そしたら意外に面白くて新しい作品の発想も思いつかせてくれたんだ」
今度一緒に作る約束もしてるんだー、とシニカルに笑う同僚に静かであるが主張する腰まで伸ばした黒い髪の少女。
「あの方の異邦の甘味も中々です。次の機会にはまた食べさせてもらえますしサンジョウノ、ナナジョウノ、キュウジョウノの者達と舞いもすることも約束してくれました」
「わお、もう皆イッセーと仲睦まじくなってるわね。リュー、貴方は?」
「それは・・・・・翼の手入れを頼まれました」
「「「お風呂で?」」」
ち、違いますっ!と気恥ずかしさで顔を朱に染めて否定するが、そんな反応をしてしまったので周囲はお盛んですなー、的な意味合いが籠った視線を向けられてしまう。
「あー、あいつに抱かれて一皮むけたかリューも」
「強制ではない分、安心してるけどね私達に対する扱い方」
「逆に自分の意思で求めれば応じるそうです。・・・・・真に快楽の快感は心地よいですよ。アストレア様は毎晩のようにイッセーと交わっていますし」
「「ま、毎晩・・・・・」」
神の眷族として【ファミリア】に入団してからの付き合いの長い女神が、初めて見た淫らで艶やかな表情を貞操を捧げて以降も毎晩しているのか。唖然と共にあれ以来男と身体を重ねていない一部除く女性団員達の下腹部があの時の事を思い出したかのように反応して疼き、熱が宿った。刻まれた快感は決して忘れられるものではない。忘れても呼び起こされるものだ。クールビューティなリューでも羞恥心とは違う意味で顔を赤くして自然と臍辺りの腹部に手を添えた。
「勿論私も共に閨を過ごしていただいています。ふふ、もはやこの身はあの殿方ではないと・・・・・」
何がでないとのかと問いただしたいが、輝夜の恍惚とした表情を見て何も言えなくなる。では、と極東出身の少女はアリーゼ達より早く先に進んでどこかへと向かう。そこは自室か街か定かではないが、彼女の背中を見つめる面々は少し主神に対して罪悪感を覚えた。
模擬戦からそれなりに時間が経った頃。カズマは一誠にある人物と引き合わされた。
「おー、お前が新しく来た日本人か。よろしくな新人」
「よ、よろしく」
大和大輔から朗らかに握手を求められカズマが応じる隣で話しかける一誠。
「こいつも別の世界の日本から転生してきた。海童はもう知ってるが大和は知らんだろ?【アマテラス・ファミリア】に所属している転生者だ」
「って、ことは何か特典を?」
「願ったぜ。主人公のアニメキャラクターの能力をな。でも、イッセーにコテンパンにブチのめされて最強の能力じゃないって思い知らされた」
自嘲的な溜息を吐かせる原因の一誠を見て、信じられないと感想を抱く。
「カズマだっけ?お前はどんな特典を願ったんだ?」
「えっと、女神です」
「・・・・・今なんて言った?」
「女神です」
思考と共に表情が硬直する大和。静かに何度も頷く海童が「気持ちは分かるぞ」と言いたげだった。そして停止した思考を再稼働できた大和がカズマを詰め寄った。
「はあああ!?女神?え、チートな能力や装備を貰える特典なのに転生させる神自身を特典で願えるもんなのか!?そんなゲームや小説でも見たこともなければ聞いたこともないぞ!そんなのアリか、しかも女神自身も神の力を振るえるならチートを越えたチートじゃないか!」
「ところがどっこい、うちの女神はな。知力が0で幸運値も低いステータスを裏切らない言動をしてくれてよ。余計な騒ぎを起こすわ、借金を作ったり増やしたり、人のことコケにしたりプークスクスと馬鹿にしたり、酒に溺れてゲロ吐くわ、女神なのに女としての魅力が0で自分じゃあどうしようもない時に直ぐに泣きじゃくって縋ってくるし、水の女神って自称してるのに花鳥風月ー!とかいって宴会芸の真似事したりトイレの女神様とか二つ名を呼ばれるようなことをしたり、他にも―――」
「・・・・・わかった、もう言わなくていい。かなり苦労しているのは聞いてよーくわかった。そうだよな、見た目が綺麗でも性格まで同じとは限らないよな。それなのにお前はチートな能力や装備無しで転生先の世界で苦労して頑張っているんだな。凄すぎるよカズマ、尊敬するぜ」
慰めも兼ねてカズマの肩に手を置いた大和に「ありがとうございます」と頭を俯いてそう零すカズマ。
「何とも言えない顔合わせを済ませたところであいつにも教えないのか?」
「・・・あいつ?もしかして他にも転生者の日本人がいるのか?」
一誠に向けた海童の話に気になりカズマも一誠に訊くと首肯する仕草をした。
「ああ、自称勇者だ。そいつは一見最強で無敵に思える装備を特典として願った転生者だ」
「ならチートだよな?」
「攻撃せず装備を奪えばチートじゃなくなるんだよ。そうすれば無敵から最弱になり下がって」
刹那。一誠が振り返っては振り下ろされた剣を両手で力強く挟んで受け止めた。明らかな攻撃の行為をした相手は全身型鎧を着込んだ、光輝勇であった。
「誰が最弱だ。俺は勇者の力を得た選ばれし人間だぞ」
「悪人でもない人の背後から斬りかかるのが勇者のやる事か?今度はこの剣を壊してやろうか」
両手に血のように赤い宝玉がある紫色の籠手を光と共に装着して禍々しいオーラを帯びる。そのオーラを見て冗談ではないことを悟ったか、舌打ちをして攻撃の意思を消した。武器から手を放す一誠は籠手を嵌めたまま親指で光輝に指す。
「こいつが三人目の日本人の転生者、光輝勇だ」
「えっとども、佐藤和真です」
「・・・・・ふん。今更転生者が増えようが俺の関係のない事だ。無駄なことに付き合わされる暇などない」
マントを翻して一誠達からさっさと離れていなくなった。
「取り敢えず、このオラリオにいる転生者はこんな感じだ。本当はもう一人いるけど牢屋の中にいるから会えないが」
「一体何を仕出かしたんだ?」
「冒険者のステータスを言葉通り奪い続けた。奪われた冒険者のステータスは初期になって大変な思いをまた零から頑張っている」
「それは、何てはた迷惑な・・・・・爆裂魔法を奪われたら絶対めぐみんが落ち込む」
想像も難しくないことで現実になったらと思えば嫌な汗が額に浮かぶカズマの言葉に大和は首を傾げた。カズマのパーティメンバーを知らない故に。
「めぐみん?何だ、その変な呼称は」
「13歳の少女の名前ですが何か」
「そ、そうか・・・・・異世界にはそういう名前の人間もいるんだな」
「因みにめぐみんだけ限らずめぐみんの一族も変な名前ばかりですが何か」
・・・・・もう何も言うまいと遠い目で思う大和だが。
「もう一人貴族の女騎士が仲間にいるんだけどそいつ、妄想癖が激しいドMだ」
「あれ、まともなパーティーの仲間がいない?」
「そのまともなじゃないパーティー仲間曰く、カズマも平気で仲間や他人の下着を奪う、クズマさん、カスマさん、ゲスマさんと言う三拍子が揃った不名誉な称号を持っているロリコンニートだそうだ」
こいつも常識的な奴じゃなかった!海堂も知らなかったようで、カズマを見る目が変わった。
「「お似合いのパーティーだよお前らは」」
「ちょ、そんな蔑んだ目で見ないでくれっ。事実だとしても!」
「おおー、ここが魔法使い専門のお店ですか」
「すごい・・・・・」
分身の一誠に案内されためぐみんは目を輝かし、興奮を覚える。北西のメインストリートを曲がった路地裏の奥深く。地下への階段を下り、傷んだ木の扉を開けた先にその怪しげな店はあった。室内は広く、薄暗い。天井にぶら下がったまるで火の玉のような魔石灯が、作り付けの棚に置かれた蛇や蜥蜴、蠍などといった不気味な生き物の瓶詰を照らし出している。店の奥では何かを煮詰めているのか、大きな鍋から赤い湯気が立ち上っていた。めぐみんやゆんゆんが異世界の魔法使いが通う店内を落ち着きなく見回す中、カウンターの奥にいる老婆が一誠を視認する。
「おや、久しぶりに見る顔だね」
「久しぶりだなレノア、邪魔するよ」
「今回は何の用だい。そこの小娘達のことかい」
「ああ、この二人は俺と同じ境遇で異世界から来た魔法使いだ。レノアに異世界の杖を見せに来たんだ。その感想を聞かせてくれないか?」
めぐみんへ目をやりレノアへ自身の杖を突き出してもらうと、黒いローブに長い白髪、そして鉤鼻の店主は、その皺だらけの口を一文字に結んでじっと観察する。細い人差し指を伸ばし杖や赤い宝玉に触れたりして調べる目つきでいると。
「見たこともない材質と高品質の魔宝石のような物だね。この結晶はお前の世界で何というんだい」
「マタナイトと言いますよ。しかし、この世界に魔法石という物があるのですね」
「認識の違いが浮かんでるよ。私ら
「だ、駄目です!売りに来たわけではありませんから!」
全力で拒絶するめぐみんに気を悪くした様子ではないレノア。
「それでレノア、この世界でもマタナイトみたいな結晶を作れるか?」
「完全に同じ物ってのは無理だね。高密度に魔力を封印するだけなら魔宝石と同じ原理で出来る筈だ」
「そう。ゆんゆん、マタナイトの使い道は杖に加えるだけか?」
「え、えっとそれだけでないですよ。魔法発動時にこのマナタイトから魔力を引き出す事で魔力の消費を肩代わりさせる事ができます。その代わり使い捨てのマジックアイテムであり、高価ですけど魔法使いの人にとっては必要なマジックアイテムです」
魔力を引き出す。そんな概念のあるアイテムが異世界で存在していることを知り、一誠は己の魔力で高密度に圧縮し始めた。突然何かを始めた男にめぐみん達はそれへ注視すること一分ぐらいが経った。
「・・・・・ん、こんな感じか?」
ころっと真紅の大星形十二面体の宝珠を手の平の中からカウンターに転がす。一誠を除く成り行きを見守っていた三人はその宝珠を見て唖然とした。
「自分の魔力でマナタイトのように作ったのですか?」
「いや、こうじゃないだろうな」
「ああ、そうだ。これは単に魔力の塊そのもの。マナタイトという鉱石か結晶で加工した物こそが魔宝石のように魔法の威力を高めてくれるだろう。この塊にはそんな効果はないよ」
「だよな。んじゃあ―――複製すっか」
今度は複数の翼を生やす中心に金色の宝玉と輪後光がある錫杖を発現して、手に取る一誠がめぐみんの杖に向かって錫杖を突き付ける。宝玉が輝きマナタイトも呼応して光った。そして同じ赤い結晶が分裂して一誠の手元に収まった。
「ええっ!どういうことですかそれ、マナタイトですか!?」
「ん、この杖は無限に創造できる能力がある。一度創造した物は無限に作り出すことが可能になるからこれでマナタイトは量産ができる。さて、どうやって加えようかな」
「私にも一つ寄こしてくれよ」
クリスとダクネスは南方の繁華街の一角に案内されていた。そこに存在する
「建物だけでも凄い圧巻だね」
「ああ、夜に訪れていたらさぞかし煌びやかな光を帯びていただろう」
オラリオの中にいるというのにまた別世界に迷い込んでしまったような錯覚を感じてしまう二人。中までは入らずさっさと別の場所へ足を運ぶ一誠に追従する。
「ねね、今夜カジノに遊び行ってもいいかな?」
「正装の服で行かないと入れないからな」
「つまりはドレスを身に包まないといけないのか。このオラリオに貴族がいるのか?」
「オラリオの外から王侯貴族がやってくるんだ。そんで長くそして大量の金をカジノに費やせばブロンズ、シルバー、ゴールドのカードが発行されて、普段は入れないカジノの中に入る権利も得られる」
話をしながらポケットからゴールドカードを取り出して見せつける。
「特にこのゴールドカードがなければ
「グラン・カジノ・・・・・やっぱり他のカジノより凄いの?」
「一部の冒険者や神々、『エルドラド・リゾート』のオーナーから招待される諸外国や諸都市の王侯貴族しか入れないからな。他のカジノとのレベルも大きく違ってくる。そして―――そのオーナーにはきな臭い匂いが付きまとっている」
少し穏やかではない話を交えるとダクネスの表情が若干引き締まり、クリスは興味深そうにきな臭い話を更に訊こうとする。
「オーナーのきな臭いって?」
「間接的な話だが、多くの女性を囲っているって話だ。一人や二人だけじゃすまさない、城にいる同棲や同居してる皆と同じぐらいだ」
「・・・カジノのオーナーがどうしてそこまで女の人を集めれたのか。お金でものを言わせて?」
「ん、それかギャンブルで集めたかだ。でも、今のところ被害の声は上がってないから誰も知らないしすることもできない。だが、できたならこっそりと金庫から莫大な金を手に入れたいもんだな」
うわー、悪い事を考えてる顔だーとクリスは面白そうに笑うが、対してダクネスがオーナーに己の豊かな身体を弄び尽くす想像を膨らませて興奮していた。一誠はガン無視している。
「君は調べようとはしないの?」
「オーナーがいる場所は治外法権。オラリオの権力でも通用しないから潜入がバレたら命の保証はない。―――それでもいいなら、首を突っ込んでやってもいいが―――どうする?」
一種の命懸けの冒険をすることになるぞと、問われるクリスはふっと小さく笑った。
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その日の夕方頃、カジノへ行く選抜をするために声を掛けようとした矢先。バ二ルが耳打ちをしてきた。
「主よ。我輩とポンコツ店主も連れていくことを吉と出た。是非とも連れてってはくれないか?」
「カジノは悪感情で満ちてるからバ二ルにとっては夕食会場みたいなもんだからか?」
「フハハハ!大変その通りであると同時に我輩の全てを見通す力を以ってすれば事が順調に進む」
「そこまで深く突っ込むつもりはないぞ。相手に動きが出なければそれでお終いだからな」
暗に動向を許す一誠が誘った『エルドラド・リゾート』行きのメンバーは調査の役割を与えられたルノア、クロエ、差し当たって万が一のことを考えてクリスとバニルを除く面々に伝える。
「ということだ。カジノ中を潜入するが動きあるまで好きに遊んでいてくれ」
「うん、わかったよ。しっかし
「ニュフフ、そんな細かいことを考えずさっさと行こうニャ!イッセーのおかげでカジノで荒稼ぎができる!そこでミャーはガッポガッポと大金を得て見せるのニャ!」
ルノア等がフランチェスカ・マキャベリに用意してもらったドレスを着飾りに向かう中、シルに声を掛けた。
「オーナーは好色家のようだ。大胆なドレスを着てもらうようにしてくれ」
「私の目の前にも好色家がいますけどね?」
「慕ってる女を囲えて幸せを満喫しているだけだから」
言い返される言葉によって照れた顔で微笑するシルを見送り―――。
「さてバニル。面白おかしく相手を心の底から悔しがらせ残念がらせる予定を考えようか」
「極上の悪感情を味わえるなら喜んで」
悪い笑みを浮かべる二人はよからぬ企みを考える。