ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚3

廃墟の区画の風景と溶け込んだ透明の城の鍛冶の工房とは別の作業部屋。綺麗でありながらどこか物が置けず乱雑に置かれていたり、二重の意味でつまれている部屋はこの世界の様々な物が所狭しとあった。ある種、ヴァリスやダンジョンから得た宝よりも異世界にしかない物が一誠にとって宝物であった。原産や現地しか得られない物は希少なコレクションとして集めている。そんな物々とした中で新たな魔道具(マジックアイテム)の開発を試みている少年は、点滅した腕輪の宝玉に気付く。通信相手に繋げると紅髪紅眼の女神の顔が映り出した。

 

『こんにちは。それにしても本当に繋がったわ。貴方の顔もよく見れる』

 

「試作品だろうと不備は無いぞ。用件は武器か?」

 

『ちょっと違うわ。とある冒険者が貴方の武器を見て貴方を紹介してほしいってバベルの店から報告が届いたの』

 

なんだそれは?と不思議そうにヘファイストスを見ると『よくあることよ』と女神は小さく口の端を上げた。

 

『椿もロキのところの【重傑(エルガルム)】』と直接契約してるし、貴方も紹介してほしい冒険者から契約を申し込んでくる可能性もあるわ」

 

鍛冶師(スミス)として大切なことよ、と【ヘファイストス・ファミリア】の末端の鍛冶師(スミス)の名が売れる機会でもあると言外する彼女だったが、当の本人はそんなこと心底どうでもよくて。「えー・・・・・面倒だなぁ・・・・・」と面倒臭そうに顔を顰め、ヘファイストスと呆れさせた。それでいいのかと、鍛冶の派閥に入った鍛冶師(スミス)とは思えない発言だった。

 

「俺が打った武器になんか不満でもあるなら聞きたくないんだけど?つーか、使い手が悪いだけじゃないかって話なんだけど」

 

『それは直接貴方が言いなさい。いいわね?今日、貴方の武器が売っている店に待っているとの事だから会いに行きなさい。主神としての命令よ』

 

「・・・・・行かないとダメ?」

 

『い き な さ い』

 

立体映像に映るヘファイストスの顔がドアップする。絶対に行かないと許さない、と気持ちがハッキリ伝わり、渋々と頷き重い腰を上げた。

 

 

【ヘファイストス・ファミリア】の店は北西のメインストリートにある支店だけでなく神が住まうバベルの中にも構えられていることを説明を受けた一誠。ダンジョンの出入り口のバベル一階の広間の中心にある、いくつも存在している円形の台座、その一つに乗る。大量の『魔石』が取り付けられて昇降する台座を、一誠から言わせれば昇降設備(エレベーター)だと思わせるそれで目的の階層に向かう。場所は四階層―――。

 

「直接来るのは初めてだけど、えーと」

 

「いっぱい武器がある」

 

陳列窓(ショートウィンドウ)の商品を一瞥しつつ値段を見ればこの階層は上級冒険者以上専用の装備が販売されていた。どれだけ安くても一〇〇〇万ヴァリス。高くて五〇〇〇万ヴァリスは越えようか越えまいかの値段が付けられている。自分が打った武器等はどれだけの値段で販売されているか知らないままアリサを連れて、ヘファイストスから教えられた店の前に辿り着いた。陳列窓(ショートウィンドウ)に視線を向けると、「あ、売られてる」と作った武器が数千万ヴァリスの値段で付けられていた。そして名前と属性付加済みとあの時一つ一つヘファイストスの前で説明した通り詳細が記されていた。きっとこの属性付加の武器に興味を持った冒険者が製作者に会ってみたいと思ったのだろう。だが、一誠にとってはやはりどうでもよく、さっさと会ってさっさと帰ろうという思いで店内に入る。綺麗な装飾と意匠が凝った店内は先達の鍛冶師(スミス)達が作っただろう武器や武具が並べられていると同時に、未だに誰かの手に渡る気配を微塵も感じさせない物ばかりの雰囲気を醸し出している店の中には二人組の男女以外誰もいなかった。高過ぎて手が出せない店は大丈夫なのかと杞憂するが自分には関係ないと―――。

 

「ねぇ、このヒョウドウイッセイってどんな人だろ・・・・・」

 

「うーん、勘違いだろうけど極東出身者ってことなんだろうなぁ」

 

どうやらあの男女が己を呼び出した本人らしい。全身型鎧(フルプレート)を着こんでいる一誠の存在は子連れのただの客として認識されているのか、一瞬目を向けてきたが直ぐに目の前の武器―――製作者の名が刻まれた一誠の武器を眺めていた。男の方は黒髪に黒眼の中背中肉のヒューマン、もう一人の女の方は山吹色の長髪に同色の瞳のヒューマン。なんとなく、二人の情報を前もって確認しようとした一誠の視界に飛び込む【ステータス】。そして、更に奥深くまで調べた結果。鎧の中で目を見開くほど絶句した。もしもこの情報が間違ってなければ、あの二人組は・・・・・。

 

「お前らか、俺に会いたいと言う奴は」

 

「え?」

 

黒髪の少年が振り返り一誠の姿を視界に入れた。少女もそうして真紅の龍を模した鎧の者に唖然となって目が丸くなった。よもや、子連れの全身鎧を着た人が鍛冶師(スミス)とは思っていなかったのか、二人揃って言葉を失っていた。

 

「君が、ヒョウドウイッセイ・・・・・なのか?」

 

「今はイッセーっと名乗っている。その名前はうっかり本名を刻んでしまっただけだ」

 

「本名・・・・・あの、あなたは極東の出身の人ですか?あ、自己紹介がまだだった。私はアスナ、こっちはキリト」

 

「よろしく。その答えに答えるとまぁ、極東出身になるな。お前らもそうなんだろう?その顔立ちは俺が知っている極東の容姿だ」

 

握手を交わしお互い極東出身者であることで会話が成立した。

 

「で、俺を紹介してほしかった理由は?直接契約か?」

 

「え、いや、この武器の製作者の名前が何となく俺とアスナが知っている極東の名前で、どんな人なのか会いたかったんだ」

 

要は興味と好奇心。鍛冶師(スミス)として呼び出されたわけではないと深い溜息を吐いた。

 

「・・・・・興味本位で呼び出されたらいい迷惑だ。こっちは忙しいってのによ」

 

呆れ顔でそう言われ、罪悪感を覚えたようで「あ、ごめんなさい・・・・・」とアスナが申し訳なさそうに謝り、キリトも謝罪の念を込めて頭を垂らす二人に「だが」と付け加えた。

 

「来ても良かったと今は思っている。因みに聞くが、お前らだけか極東から来た人間は」

 

「え、いえ、他にもいますけどどうしてですか?」

 

どうして他の仲間のことまで訊くのだろうかと思いながらも教えたアスナ。更に質問がされる。

 

「オラリオに来て何年目だ?」

 

「去年の春頃だ。今年で二年目になる」

 

「成程、俺より一年遅くか」

 

「あなたは三年前から?鍛冶師に?」

 

「違う、最初の二年は最大派閥にいたが他の派閥にも興味があってな。今年から鍛冶師になった」

 

そう聞いて「今年初めて鍛冶師でこの武器の出来は凄いな」と感心したキリトの隣でアスナは提案をした。

 

「あの、忙しいところを呼び出したお詫びと言っては何ですが。もしよければ昼食をご一緒しませんか?」

 

「昼食?どこでだ?」

 

「勿論、私達の【ファミリア】。【アルテミス・ファミリア】にご招待します」

 

柔和に微笑んで食事に誘うアスナ。キリトも異論はないと一誠とアリサを誘い、連れて行かれる形で東と南東のメインストリートに挟まれた区画―――地上の迷宮『ダイダロス通り』に来てしまった。度重なる区画整理で秩序が狂った、広域住宅街。都市の貧民層が住まうこの複雑怪奇な領域は、一度迷い込んだら最後、二度と出てこられないとまで言われている。区画整理を担当した当時の設計者の名が付けられたこの住宅地域は、人を惑わすという点ではある意味ダンジョンよりよっぽどダンジョンらしい。二人の【ファミリア】はそこにあると言うのだから少し目を疑った。

 

「ここ、初めて拠点として構えた時は毎日のように迷って大変だったんだ」

 

「キリト君が極度の方向音痴になっちゃったのかと迷いに迷って心配になっちゃった程にね」

 

「違うって。慣れない場所は誰だって迷うものさ。ナビ・・・・・地図が無いこの住宅地の中を最初から迷わず行けってのは難しいだけだ」

 

「はいはい、そういうことにしてあげます」

 

―――この夫婦円満みたいな幸せオーラを醸し出す二人に拳を握って思わず口走った。

 

「イチャつくなら俺のいないところでやってくれないかリア充共。帰るぞオイ」

 

地上迷宮の前で立ち止まって思い出話を楽しげに笑う二人は、申し訳なさそうに謝罪をしてようやく歩き出す。入り組んだ迷路を最初は迷ったと言った二人だが今では我が物顔で確りとした歩調で慣れた道のみ進んで行くこと数分が経った時。地上の迷宮の中に廃墟の教会が四人を出迎えた。教会の外には木製の机や背もたれがある丸太の椅子が数多くある。椅子の数からして十人以上の【ファミリア】の構成員がいることが把握できた。

 

「今何か作ってくるからキリト君と待っていてください」

 

アスナは一足早く教会の中に入っていなくなった。残された少年少女達は丸太の椅子に座り静寂な雰囲気を一時だけ保った。

 

「イッセーさんはLv.どのぐらいだ?」

 

「まだまだ1だ。お前は?」

 

「俺もそうなんだ。でも最大派閥にいたのなら意外と早く【ランクアップ】していそうなのにな。ほら、【ロキ・ファミリア】のところにいる少女何かがそんな感じで」

 

「ああ、アイズか。そりゃ当然だろ、『偉業』を果たしたんだからな俺の目の前で」

 

既にアイズの【ランクアップ】の事はオラリオに知られている。弱小の【ファミリア】が知っていてもおかしくない情報を目の前で立ち合った当事者が何ともなさげに述べたが、キリトの方はそうでなかった。

 

「え、最大派閥って【ロキ・ファミリア】だったんですかっ?」

 

「ん、そうだ」

 

「そんな凄い【ファミリア】にいたのに何で他の派閥に移ったんですか・・・・・?」

 

「色んな神様がいるんだ。直で過ごして知りたいだろ」

 

分からなくないが、別に移らなくてもいいんじゃないかと思いながらもキリトは一誠と雑談をかわす。オラリオに来て初めて戸惑い、右も左も分からなかった自分達に美しい女神が天の助けとばかりに手を差し伸べて冒険者となって今に至っている話や、同じ仲間の話を語ったり、今日まで過ごしてきた中で何が大変だったのかもアスナが戻ってくるまで会話は続いた。

 

「おまたせー。はい、イッセーさんとキリト君」

 

「おおっ、待ってました」

 

「ん、サンドイッチか。美人妻の手料理は美味しんだよな」

 

「や、やだ美人妻って・・・・・・っ。まだキリト君とはそんな・・・・・」

 

うん、やっぱりこいつらはリア充で間違いなしと目の前で二人して照れる様子をガン無視する。

 

「そういえば主神はどうしてる?会ってみたいんだけど」

 

「女神様はバイトに出かけてるの」

 

「俺達はまだ駆け出しの冒険者で弱小の派閥だから仕方がなくな。でも、俺達を助けてくれたあの女神様に感謝している」

 

関係は良好の様であったが、神がバイトをしているなど思いもしなかった事実は受け入れ難かった。半ば放心状態で「神の威厳はどうしたんだよ・・・・・」と嘆く一誠や不思議そうに声を掛けられてようやく覚醒した。顔を覆う鎧の頭部をガチャと外し、真紅の長髪を背中に流し、右眼に眼帯を付けた金色のスリット状の左眼を晒す一誠の顔が二人の視界に入った。

 

「・・・・・もしかして、同い年だったりするか?」

 

「いや。今年で19になるな」

 

「あ、年上なんだ」

 

顔の若さから推測して、恐る恐る訊ねるキリトに一誠の年齢は自分達より上だとアスナは朗らかに述べた。

 

「じゃあ、敬語はいいかな?年上だけどフレンドリーな感じで話がしたいから」

 

「別にかまわないぞ」

 

「そっか。それじゃこれからよろしくなイッセー」

 

同期の若い子供同士の食事会が始まる。パンにサラダや肉、チーズ、特製のソースを掛けたサンドイッチを咀嚼し、素直に美味しいと感じた。

 

「アリサ、美味いか?」

 

「うん、美味しい」

 

「よかったー。いっぱい食べてね?」

 

「この子はイッセーの家族か何か?」

 

「そうだな。そんな感じだ。ん、想像通りだ。美味い。家事はアスナがしてるのか?」

 

「他の女の子の友達もしてるの。男の人、キリト君たちじゃあちょっと心配で・・・・・」

 

「ああ、一人暮らしをして何時も簡単にパスタだけで済ませちゃいそうな感じだもんな」

 

アスナが顔を驚きで目を丸くした。

 

「凄いっ、うん、当たってるよ」

 

「・・・・・どうして初対面の相手に人の私生活を看破されるんだ」

 

「・・・・・雰囲気?」

 

キリトは頭を垂らし肩をガクリと落とした。隣で苦笑いするアスナが弁明もしないのは事実だからだろうか。故に一誠は呆れる。料理を作るならもう少し手を加えろと。

 

「言われたくなければもっと料理を作れるようにしないとなキリの字」

 

「それも待て、どうしてその名前を知って・・・・・っ!」

 

「え、本気で言われてんの?適当な渾名を言っただけなんだが」

 

「ぷっ、くふふふふ・・・・・!」

 

二人の会話のやり取りに笑いを堪え切れず噴いた少女に何とも居た堪れない気分のキリト。何故か恥ずかしくなって背を向けてサンドイッチを頬張る少年に「ごめん、ごめん」と謝るアスナは目尻に溜まった涙を指で拭う。

 

「ふぅーん?仲が良いんだな本当に。二人の出会いはどんな感じだったのか教えてほしいもんだ」

 

「・・・・・えっと、それはちょっと言えないかな」

 

「なんでだ?別に恥ずかしいわけでもなかろうに」

 

「いや、酷い言い方をするけどイッセーには言えないんだ。本当にどうしても」

 

申し訳なさそうにアスナが言い、困った顔でキリトは言葉を硬くして拒んだ。二人の甘酸っぱい出会いを秘密にするほど、過去に何か遭ったのか―――と勘繰るものだが一誠だけは気づいている。

 

「そっか、それは仕方がないな。同じ穴の狢同士、話を聞きたかったが」

 

意味深な言葉を耳にし「「え?」」と漏らす眼前の二人を他所に見えないところからある物を亜空間から取り出し、テーブルの上に置いた。

 

「これで理解する筈だ」

 

ソレは、二人にとって馴染みのある物だ。ソレは、この世界には絶対に無い『機械』の塊だ。そしてソレを目にした瞬間。二人は目を驚愕で見開いた。

 

「嘘、何で・・・・・っ!?」

 

「・・・・・もしかして・・・・・『お前も』なのか・・・・・?」

 

キリトとアスナの反応に一誠は大いに満足げに笑みを浮かべた。

 

「ん、お前の想像通りだろう。ただし、俺と同じなのかは別だが」

 

「別・・・・・?だけどこれは、この世界には無いものだろう」

 

「そうだ。だけど、一度ぐらいは考えた事はある筈だ。世界は一つだけじゃない事を」

 

「「―――――」」

 

確信した。キリトとアスナは―――この世界に迷い込んだ異邦人でありながら一誠がいた世界とはもっと別の異なる世界から来た異邦人なのだと。

 

「それと同じ穴の狢は俺達だけじゃなく、この子もそうなんだ」

 

「え、アリサちゃんもっ?」

 

「アラガミって化け物が世界中に跋扈している世界から来たそうだ。キリト達の世界には存在しているか?」

 

「いや、そんな名前の化け物は聞いたことも見たことも無い」

 

否定してアリサや一誠と異なる世界の人間だと知る。そして同時に他の可能性も浮上する。

 

(となると、別の世界から来た他の人間もどこかに点在して生きているな)

 

たまたま二人やその仲間達はこのダンジョンにいたに過ぎない奇跡と偶然に、己の境遇は二人だけのものではなかったことに安堵感を覚えたところで、キリトが真剣な面持ちで話しかけた。

 

「イッセー、君も俺達と同じ境遇なら元の世界に帰る方法を模索しないか」

 

「人間がそんなことできるのか?次元レベルだぞ。神様じゃなきゃどうにもならんぞ」

 

「分かってる。だけど、何時までもこの世界で生きていくわけにはいかないんだ」

 

「絶対に帰れなかったらこの世界で骨を埋める他ないぞ。それでもか」

 

「うん、今は仕方がないけど。今希望が見えた気がした。私達と同じ異世界から来たイッセーがいるなら、この世界には他にも異世界から来た人がいるって。その人達を探して皆でそれぞれの世界に帰る方法を探せるって」

 

アスナやキリトの目から強い憧憬の輝きを宿し、本気で言っているのだと一誠に伝える。

 

「貴方も帰る場所がある筈だよ。それは私達も同じ。だから、一緒に探さない?」

 

「それができる具体的な考えがあるなら話は別だ。けど、今は無いんだろう?」

 

「今は、ね。でも、この世界には神様がいる。神様の力で何とかなるんじゃないかって私達は考えているんだけれど。どう思う?」

 

淡い希望を抱くアスナの気持ちに眉根を寄せた一誠。

 

神の力(アルカナム)を封印して娯楽に飢えた人間臭い神連中なんか期待しても無意味だ!」

 

「「強く否定したっ!?」」

 

素っ頓狂に声を上げたあと「いや、そこは期待しようよ?」「ああ、神様なんだぜ?」「俺達が知っている神はバイトなんかするかよ?」「「それを言われると強く言い返せれない」」等と混迷する話は程なくして終わった。

 

「取り敢えず、二人・・・・・いや、お前達の気持ちは否定する気はない。俺も元の世界に帰る気持ちはあるし理解できる。だけど、仮に次元を超えることが可能になったとして望んだ場所に行ける確率は低いぞ。逆に元に戻れなくなって宇宙の中を彷徨う可能性もある。俺はそれが嫌だね」

 

腰を上げて立ち上がり、「ごちそうさま」と告げる。

 

「こっちはこっちで元の世界に帰れる方法を探す。それでお前達の世界の地球に戻すこともできるだろうからな」

 

「俺達と協力はしてくれないのか?」

 

「冒険者としてなら協力ぐらいはしてやるよ。同じ穴の狢のよしみだ。お前達の世界の話も聞きたいし友好的な関係を築きたい」

 

亜空間から亜麻袋を取り出し、二人の前に置いた。

 

「俺からの餞別だ。それで少しぐらいは生活の糧をとなるだろう」

 

「え、これってお金・・・・・?いいの?」

 

「世界は違えと同じ境遇の者がこの世界で死ぬなんて後味が悪い。だけど、今の俺は【ヘファイストス・ファミリア】の団員だからきちっと代価を払ってもらうぞ?俺が打てる最高で格好いい武具の一式が欲しいと言うならな」

 

「・・・・・ローン払いでもいいなら」

 

格好いい武器という誘惑に心が揺れ、「ちょっ、キリト君!」とどこか悲鳴を上げるアスナの反応がおかしくて一誠は笑った。

 

 

「ふぅむ・・・・・イッセーの世界とは違う、また別の世界から来た子供達がおったとはうちも初めて知ったで。アルテミたんもおったことも初耳や」

 

「ん、そうか。しかし驚いた。俺と同じ境遇の奴がいるなんてな。ロキ、この世界はどうなっている?―――まさかと思うが天界の神が面白半分で他の世界からランダムで喚び寄せているんじゃないだろうなぁ」

 

「む、無実やで!?地上におるうちら神々はそんなことできへんし、天界にいる神連中も異世界なんぞ存在すら知らへん!せやからうちを睨まんといて!」

 

キリトとアスナの存在を伝えに【ロキ・ファミリア】に訪れ、アイズも含めフィン達も執務室に集まって事の詳細を伝える一誠の口から出た言葉には驚いた。他にも別の世界から来てしまった人間がオラリオにいることは本当に知らないでいた様子だった。可能性の一つとして超越存在(デウスデア)の神々なら神秘の召喚の形で別の世界から招くことは可能だと理が適う発言と一緒に睥睨する一誠にタジタジなロキ。

 

「娯楽に飢えた神だからやりそうなことじゃからのぉ・・・・・」

 

「ガレス、それを言われるとうちら神は説得力が無くなるから止めてぇな!」

 

「娯楽に飢えてる神々だから全力でやりかねないけれどね」

 

「ロキ・・・・・」

 

「むー・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「うぉおおおいっ!?うちはホンマに無実やでー!?」

 

必死に弁解するロキは、ぜぇぜぇと疲労困憊してまで無実だと訴える。だが、実際にそんなことできそうなのは神々ぐらいだ。疑いたくなるのも分かる。

 

「イッセー。その者達もお前と同じ存在だったか?」

 

「半々だろうな。俺とアリサがいた世界、あいつらがいた世界とは、同じところはあるけれど違うところもあるようだ」

 

「なに?アリサもだと?」

 

あ、言ってなかったっけ?と今更のように思い出してアリサも異世界から来た異邦人だと伝えた。

 

「お前、何で黙っていたのだ。それと神アルテミスは知っているのか分かっているか?」

 

「俺の正体を教えるまでロキ以外信じないだろう?それとあの二人は素直っぽそうだった。信頼と信用で結ばれているなら知っていそうだが、俺と同じで秘匿している可能性もある」

 

「普通は黙っていればバレることもないやからなぁー。ってイッセー、『俺の時はお前らが言わせただろうが』的な視線を向けてくるの止めてくれへん?」

 

事実だから仕方がない、とフィンは執務机の上に行儀悪く胡坐掻いて座るロキに対して苦笑いしつつ口を開く。

 

「イッセーと彼等のように敢えて抱えている秘密を明かそうとしない人間は数多くいるだろう。その中で異世界からやってきた人間を探り当てるのはかなり至難の業だ。今回は君の名前に興味を持ったから見つけた様なものだけど、この世界中のどこかに存在する同じ境遇の者達はそうじゃない。イッセー、君はどうする?」

 

「どうするって今までどおりじゃないか?この世界に来てしまったからには自力で生きる他ないだろ。元の世界、故郷に帰れず無念を抱いたまま死んでな」

 

「君もその一人になるかもしれないのに?」

 

フィンの指摘に対して肩を竦めるだけで何も言わない一誠。徐に窓の外へ視線を向け、遠い目で見つめる。

 

「まぁ・・・・・俺はこの世界の人類の天敵だ。故に本性を明かしたらその瞬間から俺は人類の敵と認識されるから誰かと一緒に暮らすことはできない。アリサ以外とはな」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

孤独―――それが今の一誠に突き付けられた現実・・・・・。己の意思で別の世界に来たわけではない。人型のモンスターの幸せはこの世界では得られないと感じている一誠を、ロキ達は一様に口を閉ざしてただ目を向けることしかできない。ずっと一緒にいたいと述べたアイズも結婚をしたいかどうかは別の話になる。人間とモンスターが子供を成すなど精神が狂っていると言われても当然のこと。それらを全て考慮した上で一誠は一緒に暮らすことはできないと述べたのだった。フィン達もそれを悟って押し黙る。

 

「・・・・・なぁ、イッセー?」

 

「んじゃ、俺は帰るな。邪魔した」

 

扉から出る間もなく、足元に展開した魔方陣でいなくなった一誠に最後まで言えなかったロキの開き掛けた口は虚しくも閉じる。溜息を吐くガレスが開口一番に言う。

 

「同情、なぞしたら怒るかもしれんな・・・・・」

 

「現実と事実は変えようがない。それでも、彼は今後のことを考えて孤独な運命を進むか」

 

「言葉と心は通じる。しかし、それは仮の仮面を被っているから成せる」

 

「下界の子供達が全員、イッセーと打ち解けるわけじゃあらへん。寧ろ大いに逆や」

 

この世界での一誠はマイナスの存在でしかない。ダンジョンのモンスターより醜く見えてしまう恐れもある。人の皮を被ったモンスターがのうのうと人類と同じ土俵の上に立っているなどあってはならない必然の摂理だ。どうしようもない関係と状況。

 

「フィン、もしも【ファミリア】の皆にイッセーのこと教えたらどうなると思う?」

 

「誹謗中傷は間違いなく受ける。知っていて尚、どうして討伐しなかったのかと言われてもおかしくない。そして信用と信頼はガタ落ちだ。僕とロキ、団長と主神としてもね」

 

「んーやっぱ、そうなるんやなぁー」

 

言える筈のない秘密を明かすことは確実にデメリットが発生する。主神としてそれは絶対にあってはならない事で困った顔で天井を見上げる。

 

「イッセーの世界はモンスターと共存できる環境だったから幸せだったかもしれへんなぁ」

 

「残酷な世界に来てしまったのはもはやどうしようもない」

 

「自分を殺して相手の為に生きる彼がモンスターだなんて未だに信じられないけどね」

 

「世渡り上手ってことじゃろう。必要のない戦いを避け、余計な血を流したくない為に」

 

なんと憐れな人型モンスターなのだろうか。その一言で尽きるロキ達を見つめた顔を床に目を落として俯くアイズ。自分と同じで両親に会えない、それどころか人類の敵として誰かと一緒にいることはできない孤独さが永遠に纏わりつくその辛さは計り知れない。一緒に寝た事があるが、あれはモンスターとは露にも知らなかった時だ。それでも漆黒の翼竜(ワイヴァーン)との共闘を経て、一緒にいたい気持ちが湧いて好意に気付いた。しかし、やはり結婚まではまだ考えられない。でも、それでも・・・・・。

 

「・・・・・」

 

アイズはロキ達に見守る中で静かに執務室を後にする。

 

「ンー、ロキ。ちょっと僕と賭けをしない?」

 

「ええで、うちも吹っかけようと思ったところや」

 

彼女が完全に執務室から離れる気配を感じてから、困った顔をしながら片眼を瞑ってロキを見るフィンといたずらっ子の様な笑みを浮かべるロキを、古くから付き合いの長いリヴェリアとガレスも何となくだが察する。

 

 

 

―――その日の夜。闇夜に紛れて【ロキ・ファミリア】の正門から小さな影が出てきた。夜間の門番が正門にいないことを怪しんだが、バレずに済むなら越したことはないとそれなりに膨らんだバックパックと愛剣を携えて夜の街に向かって背中から魔法の翼を生やして飛ぶ。目指すは北と北西のメインストリートの区画に挟まれたあの廃墟の場所だ。地上と空からの移動の距離は段違いで速く直ぐに辿り着く。なので、翼を生やす影ことアイズは驚きで目を丸くした。

 

【ロキ・ファミリア】の団員達が何故か開いている透明の門の前で、物々しい得物を持って仁王立ちしているのだ。

 

「あ、来たぞ家出娘だ!」

 

「アイズちゃん、一緒に家に戻りましょー!」

 

直ぐに理解できた。そして連れ戻そうとある人物の命令でいるのだとことも。ならば、この場にこの状況の元凶もいるだろうと悟っても、

 

「邪魔・・・!」

 

押し通る。団員達も言葉で通じない相手ならやることは一つだと後衛や建物の陰から魔法を放った。空中に飛ぶ様々な属性の魔法がアイズに集中砲火する。下から縄や鎖などが投げられ捕らえようと動き出す。

 

「【母の風よ(エアリエル)】!」

 

全てを弾き、突破を図ろうとするその浅はかな考えは、団員達に紛れて隠れていた一人の筋骨隆々のドワーフの拳で潰された。

 

「うっ!?」

 

風ごと殴られ、咄嗟に構えた剣を持っていた手が痺れても吹き飛ぶ体は何とか宙で留めた。その直後。真下から矢のごとく飛んできた小柄の小人族(パルゥム)の槍が光り、魔法の翼が見るも無残に裂かれ瞠目するアイズに浮遊力が失ってしまい、地面に落ちてしまった。

 

「な、何で・・・・・」

 

「分からないのかい?なら、敢えて口で言わせてもらうよ」

 

槍の柄でトントンと肩に叩く小人族(パルゥム)は口を開く。

 

「無断で荷物を纏めて家出するいけない子供を迎えに来たんだ」

 

「そう言うことじゃアイズ。今回はちっとばかし何の理由もなく家出なぞリヴェリアではなくとも儂等も黙ってはおれんわい」

 

「フィン、ガレス・・・・・・」

 

フィンとガレス、そして団員達。【ファミリア】総出であろうがなかろうが、今日に限ってどうしてここまでするのか理解に苦しみ混乱する。少女の家出を邪魔する最難関の相手に分かってもらえるわけがないと思いながらも言うしかない。

 

「家出、なんかじゃない」

 

「では、なんだい?」

 

「私は、イッセーと一緒にいるって言った」

 

「もう彼は【ロキ・ファミリア】じゃない。【ヘファイストス・ファミリア】の団員だ。関わるなとは言わないけど、それでも派閥同士の問題を起こしてはいけない決まりがあるのは教えられて知っている筈だアイズ。その荷物を持ってイッセーと一緒に暮らすと言うのは団長として見過ごすことはできないよ」

 

「じゃあ、アリサは?ずっとイッセーと住んでた」

 

「まだ【ロキ・ファミリア】だったから許していた。でも、今はそうじゃない。現在アリサの引き取りの説得をロキとリヴェリアがしている真っ最中だ。そこに君まで住み着くことになろうとすれば団長として看過できないよ」

 

至極尤もな理由であり、当然の行動だと話を聞いている第三者がいれば納得できていただろう。が、アイズも言われずとも分かっている。その上で、アイズは行動をしているのだった。荷物を地面に置いて剣を構える。実力行使だ。

 

「皆に迷惑を掛けない。だから、そこどいてっ」

 

「ンー、どけない」

 

「どいて!」

 

「退いてほしかったら僕達を倒して行くしかないよ。でも、それは無謀という話だアイズ。今の君は絶対に僕とガレスという壁は超えることもできない」

 

スッと槍を夜天に衝き掲げた。その意味は直ぐに分かった。

 

「まずは家出をしようとした君へのお仕置きだ」

 

槍をアイズに向かって振り下ろし、狙いを定める様に突き付けた矢先。魔法の咆哮が放たれた。明らかにフィン達の言動がおかしい。しかし、悠長にそれを考える時間は無い。迫りくる魔法の雨に風を纏って移動する。フィンやガレスと戦っても勝てないのは身をもって経験済みだ。なら、戦わずして行くしかないとどうしてもそう思わずにはいられない。魔法の雨を弾き、横から遠回りに門の向こうへと行こうとするも。

 

「止まって見えるよアイズ」

 

「!?」

 

門から漏れる光を背後にアイズを捉える碧眼の瞳は、横薙ぎに槍を振り払って風の防御がないような凄まじい打撃を与え、弾き飛ばす。石柱を壊しながら吹き飛ぶ少女は意識を必死に繋げ、意志の強い光を絶やさずフィンを見据えながらも別の方角から行こうとする。しかし―――。

 

「考えがぬるいわい」

 

もう一人の巨大な壁に阻まれる。ドワーフという種族とは思えない目では終えない動きでアイズの頭を鷲掴みするほど大きな手の張り手は風ごとバンッ!と幼い身体に叩かれまた吹き飛び瓦礫と化した壁に激突する。槍の打撃よりよっぽど体中に響いたようで地面に横たわる体に纏う風の魔法が弱弱しくなった。

 

「あ・・・・・くっ」

 

激痛に体が苛まれるも、まだ諦めの色が浮かんでいない顔と死んでいない光を孕ます双眸が剣を地面に突き立て、ゆっくりと立ち上がる少女から見て取れる。それでも二人は阻む。三度目の魔法の雨がアイズに向かって降り注ぐ。また同じように弱弱しい風の勢いを戻して―――フィンとガレスに飛び掛かった。

 

「ぁあああああああああああっ!!!」

 

「自棄になったかな?」

 

「そうは思えんがのぉ」

 

彼女の考えが分からずともやることは変わりないとガレスが動く。これで完全に止めると腕に筋肉を盛り上げる。多少の痛手は仕方がないとフィンも目を瞑った。そして、アイズとガレスが直撃する直前。アイズは全力で剣にだけ風を纏い、駆け出した足を全力で止めて後ろへ飛んだ直後に剛腕な腕が風を纏う剣に直撃した。本来のダメージを何割か減らした『技術』にガレスは驚いたように目を丸くした。それでも第一級冒険者の力は確実に少女の体にダメージを与えた。それでも―――。

 

(あきらめ、ないっ)

 

全身が千切れそうなほどの痛みがアイズにこれ以上戦うなと警告を発するが、奥歯を力の限り噛み締めてそれを無視する。吹き飛ばされている体はある場所にぶつかろうとしている。その場所を一瞬で確認して体勢を整える。これが最後だと言わんばかりに風を吹きあがらせる。宙で回転し両足を崩壊しかけている壁に着壁する。この感じはあの時と同じだ。一誠の手で漆黒の竜に向かって投げて貰った時と同じ―――それを一人で再現しようとアイズは金の双眸をガレスとフィンに強い眼差しを送った。

 

 

―――いま私が出せる最大出力!

 

 

「【母の風よ(テンペスト)】!」

 

「―――ふむ、どうやらお主らは幼い子供に寄ってたかって大人げないことをしているな?まぁ、行って来い小娘よ」

 

どこからともなく吹く風の猛威が突如、ガレス達に襲いかかった。声と共に荒ぶる風が開き続ける門へ向かって一直線に飛び出すアイズを包み込んで背を押し、小型の嵐となってフィン達に突貫する。その凄まじい風は周囲のものを吹き飛ばし、団員達は培った経験上「あれはヤバい!」と察知して左右に緊急回避する中でもガレスは最後の砦として阻む。

 

「どいて、ガレスッ!」

 

「どいてほしくば儂を超えてからせんかこの家出(バカ)娘がぁっ!!!!!」

 

神風の嵐の咆哮が唸った。両腕を広げ猛り狂う風を受け止めるガレスとの三度目の衝突は、あまりにも凄まじい風の激流を凌ぐのに必死で冒険者達が顔を腕で覆い、フィン以外は結果を見逃してしまった。

 

「【吹き荒れろ(テンペスト)】!」

 

「むぅうううっ!?」

 

―――風は誰しも止めることは絶対に不可能。受け止めていた体や掴みかかろうとしていた手と腕がアイズを包む風に弾かれ、自由な風の通り道たる門の向こうへ他の団員達を吹き飛ばしながら行ってしまった。その後、直ぐに何者かが門の中に入って行った。

 

「あ・・・・・っ!」

 

ついに門の中に入り、アイズを守る風は解かれ、地面に滑り落ちる。もう全力中の全力を出し切ったからだからは力を込めることはできない。『精神枯渇(マインドゼロ)』にも等しい症状が襲う。

 

「っ・・・・・」

 

いか、なく、ちゃ・・・・・。

 

体が汚れようと無様な姿を晒そうと、強さを求める以外の少女を突き動かす原動が目の前にある。手放せない剣が今になって凄く重く感じる。それでも両腕を前に出して体を地面に擦らせながら移動する。朦朧とする意識で目の前が霞んでいても目的の湖はまだ遠い。だが、全身に蓄積しているダメージと体力と魔力の激しい消費で少女は何時しか重たい瞼に抗えず目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

「むぅ、気絶しておるのかこやつ」

 

一拍遅れて左眼に眼帯を付けた褐色肌の少女がアイズを見下ろす。

 

「しかし、理由は何であれ見事であったぞ【人形姫】」

 

あのドワーフを吹き飛ばすとは!と一人で笑い、アイズの体をパンパンに詰まっているバックパックの反対側の肩に担ぎ、歩き始め森の向こうへと姿を消す頃。

 

 

 

 

 

「ガレス、大丈夫かい?」

 

「まったく、何故あやつがこのタイミングでやってきおったのだ。ここに来させんよう見張っていた連中は何をしておったんじゃ」

 

大の字になって夜空に輝く満月と星を見上げる己に見下ろすフィンへ向かって愚痴を零す。今回の件は周りにも騒動で迷惑を掛けるかも知れない配慮で、あらゆる考慮を想定して対応したつもりが二人でも予想外なことであったようだ。

 

「大方、強行突破されたんだろうね。理由は多分似たようなもんだろうけど本当に横槍を入れられた」

 

上半身を起こした、癖になってしまったかもしれない苦笑いをガレスに投げかけ、「まったくじゃわい」と溜息を吐くドワーフは、怪我人の搬送と事の収拾を片づける団員達を見渡す目を最後にフィンに向けた。

 

「で、賭けの方はどうなんじゃ」

 

「ンー、引き分けかな。彼女の介入があったもののあの娘は自力で僕らを超えた。僕は止められる方で賭けていたんだけどね。ロキは止められない方だ」

 

「あやつのせいで引き分けとは、アイズも酷じゃな」

 

「勝手にあの娘を対象に賭けてる僕等はもっと酷いけどね」と非を認める小人族(パルゥム)にドワーフはもう一度息を吐く。

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