ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
メイド服を身に包み、鏡の前で身だしなみを整えるシルヴィー・ホワイトが部屋から出ると、彼女を筆頭に同じ制服の姿の女性達が個室から続々と顔を出して出てきた。
ヒューマン、獣人、
「そういえば、今日は珍しくあのお方が私達よりもキッチンにいなかったわね」
「偶にそういうときもあるでしょ?ここにいなくても部屋の中で起きているんじゃないかしら」
「起きる頃にはほぼ毎日ある程度済ませてしまうから申し訳ないわ」
「今日みたいにゆっくりしてくれると申し訳なく感じることもないのだけれど」
「『早く作ればお前達と話が出来るだろう?』なんて言われると言いづらいニャー」
「多忙な時間の中で私達と話がしたいのは、私達の事を疎かにせず蔑ろにもしたくないからと仰っていましたし、一人の女性として大切にされているのだと実感した時は心が温かくなりましたわ」
「というか、ここにいる殆どが好意的でしょ?これからもあの人の傍に居たいって思うぐらいに」
「何を今更。でなければ他にも与えられた選択肢を選んでこの城に住んでいないでしょ」
「私は見知らぬ土地で約束された衣食住と援助を受けても、一人暮らす不安が嫌だから、という気持ちで心から安心できる場所に身を寄せたいからここにいるのだけれど。彼のことはもちろん嫌いではないわよ」
「それ以前に嫌う理由と要素を探す方が難しくない?」
「仕事を終わらせれば自由にさせてくれるからね。グータラ生活をさせてくれる一誠様に凄く感謝感謝」
「ふぁ・・・・・一日中寝てても小言も言わない」
「こんな人がそんな生活を送ってるというのに体形が崩れないって不思議よね」
「恨めしい・・・・・体重がほとんど変わらないのは一体なぜっ」
「体重という言葉にあれなんですけど、毎日義務付けられているあの体重計という道具は、私達女性の敵ですよね?喧嘩を売っているんじゃないかって数値を示すのですから」
「嫌でも現実を突き付けるアレに、色々と気を遣っているのにね。お菓子の量だって減らしているのに」
「量を減らしただけではダメなのでは?」
和気藹々とメイド達は話をしながらも調理をする手を止めずに朝食を作り続け、少しして『異世界食堂』の従業員達、アスナやシル達が起きてきて朝食作りの手伝いに加わり―――。
『・・・・・』
「・・・・・」
朝から異常事態が発生したのを一同は微妙な顔を浮かべてしまう。
「どういうことなんですか・・・・・?」
「分からない・・・・・部屋に入ったアイズ達も原因が分からないでいる」
「演技、とかじゃないですよね?」
「演技であれば些細な悪戯として済むはずなんだが、な」
何とも言えない面持ちの顔を向け合うアスナとリヴェリアは件の人物に視線を変える。朝食を済ませてから『異世界食堂』の従業員達とメイド達を除いて・・・・・。
「もう一度聞くわね?私達の事、誰だかわからないの?」
「うん」
「ここがどこかも?」
「うん」
ヘファイストスが椅子に座って話しかけている者―――子供に事情聴取をしているのだが、その子供は獣の耳と尻尾を除けば見知っている童顔の幼い男の子。
「自分の名前は言える?」
「兵藤一誠」
「何歳?」
「5才」
―――幼い子供が、一誠が、そう名乗った。
「・・・・・どうしましょう?」
「分からない。前回のこともあるからな」
「あー・・・・・」
ナァーザが誤って試作した赤子まで退化してしまう
「お姉さんは誰?」
「ヘファイストスよ」
「ヘファイストス?僕が知ってるヘファイストスのおじさんと同じ名前だね」
同性同名の神々が一誠の世界にいる話を聞いたが、同性じゃない神々の存在の一人を挙げられてヘファイストスは微妙な気持ちになるも話かけ続けた。
「じゃあ、他に何か覚えていることとかある?」
「うんと・・・・・あれ、昨日のことが思い出せない・・・・・?」
「今覚えていることとかは?それか知っていることとか言えるなら言ってちょうだい」
記憶に障害が?と子供になっている一誠の不調から予測を立てて訊くヘファイストスは更に質問を求めてみる。
「えっと、お父さんとお母さんに兄ちゃんにリーラさん、オーじいちゃんゼウスのお爺ちゃんポセイドンのお爺ちゃんにハーデスのお爺ちゃん、フレイヤお姉ちゃんガネーシャさんとインドラのおじさんとシヴァのお兄さんに―――」
「ごめんなさい、もう言わなくていいわ」
異世界の神々の名前を言われることを視野に入れていなかったので、こんな幼い子供の頃から出会っていたとは・・・・・そして、自分達の事を神として受け入れ難いという理由の一端が分かった気がしたので制止した。
「いま、さらっと神様の名前を言いましたね」
「ああ、至極当然のようにな」
二人もこれには唖然とせざるを得なかった。そこへフレイヤが興味津々に加わった。
「ねぇ、私はフレイヤって言うの」
「フレイヤ?フレイヤお姉ちゃんと同じ名前だね」
「そうね。それで、貴方が知るフレイヤと私、どっちが綺麗かしら?」
あ、実に人が困ることを聞いちゃったよこの女神は、と一誠の返答を気にしながら見守る一同に幼い一誠はこう言った。
「うんと、女の人にびしゅう?綺麗な人とか汚いとか関係ない、女の人の性格と行動をよく見てから判断しなさいってお母さんが言ってたからどっちが綺麗なのかわからないよ?」
「・・・・・」
ちょっぴり困ってる様子を見てみたく意地悪な質問をしたつもりが、まさかの清い教育による賜物の返事に少々吃驚した表情で言葉を失った。
「こ、子供とは思えない返事を・・・・・」
「幼い頃からどんな教育をしていたのか、少し分かった気がするな」
そして同時に、ある事に気が付く。
「本当に子どもに若返ってる?今までの記憶も一緒に?」
「十中八九、そうかもしれんな。しかし、一誠が子供になってる原因が未だ分からず仕舞いだ。前回はゾラードの力で何とかなっているのだが」
ふと、リヴェリアは脳裏にある事を思い浮かべてその確認の為に自分も事情聴取に加わる。
「質問していいか?お前の中にはドラゴンが宿ってはいまいか?」
「・・・・・どうして知ってるの?誰にも教えていないのに」
酷く吃驚した風に瞠目した瞳は見開く一誠。この頃には自身が宿っている存在も気づいているのかと、ならば話が早いと促しの言葉を掛ける。
「そのドラゴンと会話はできるか?」
「・・・・・ちょっと待ってて、あれ、知らないドラゴンがいっぱいいる?どうして?」
知らないドラゴン?まだであったことが無い頃のドラゴンのことかと思っていれば、小さな手の甲に宝玉が浮かび上がった。
『話は聞いていた。言っておくが今の状態の兵藤一誠は演技でも何でもない。どうやら本当に若返っているようだ。俺達にもその原因はわからぬが』
「魔法の類とかは?」
『それはない。兵藤一誠が何者かに魔法を受けた痕跡は皆無だ。ずっと見ていたから間違いない』
「魔法でもなければどうにか戻すことはできないか?」
『無理だ。この頃の兵藤一誠は・・・・・あー、誰か兵藤一誠の耳を押さえてくれ。ここから先の話は聞かせれないのでな』
ドラゴンの要求にヘファイストスが自身の膝の上に一誠を載せて、両手で小さな耳を押さえるように押し付ける。不思議そうに見上げる子供の顔に母性本能が擽られるが、今はそれどころではない。
『押さえたな?話の続きだ。この頃の兵藤一誠はドラゴンに転生していない、つまりは兵藤の一族の同年代の人間に虐げられていた時期だと思う。先ほど、鏡に映る自分の髪と目の色が変わっていることに驚いていたからな。つまりは―――』
「ドラゴンに転生する直前までの記憶しかない、と言いたいのか」
『そうだ。故に元の世界とこの世界で過ごした人生の記憶もないだろう』
見過ごすことはできない事実なのか、ドラゴンも協力の姿勢で対話を臨む。
『兎に角だ、ここが異世界であることを悟らせずにこの世界で過ごす他ない。まだ幼いから元の世界に居る家族と会えない寂しさを抱えてしまうのは致し方ないが、お前達しか頼れるものはいない。極力元の世界のことを語るなよ。俺も手伝ってやる。手始めに兵藤一誠に説明をしてやる』
ヘファイストスが手をどかしてドラゴンが嘘の説明をすることになった。案の定、信じられない不安の色を顔に浮かべどうすればいいのか手の甲の宝玉に尋ねる。
『しばらくはこの城に住むしかない。元の世界に帰るまではお前の周囲にいる者達がお前を助けてくれる』
「そう、なの・・・・・?」
『不安になるのも無理はないがお前の父親ならこう言うだろう。どんな困難や状況でも楽しめる者こそが勝ちだとな』
いや、それは無理があるだろうと誰もが思うことを一誠は悩んだ表情を浮かべながらもコクリと頷いた。
「うん・・・・・わかった」
え、いいの?と思うぐらい納得する一同に向かってドラゴンが一言。
『言っておくが、兵藤一誠は純粋な子供として育てられていた。もしも悪影響が及ぼす、もしくはこの者に身の危険を晒すようなことをしたら・・・・・元の世界の兵藤一誠の家族の怒りを買うと知れ。いいな』
「・・・・・ダンジョンに連れて行くことは可能か?」
『好きにしろ』
ドラゴンの怒りを買うのは絶対に回避したいがために、一誠と交流ある神々も招集した会議を開くことになった。
「前回は赤子で今度は身も心も子供って、イッセーはトラブルに好かれとるんかいな」
「子供のイッセーって、見慣れてるから珍しくはないけれどどう違うの?」
「記憶も子供の頃しかなくて、この世界で過ごした記憶がなくなっている状態よ。だから本当の意味で一誠は子供になっちゃっているわ。そうなった原因は不明な状況でね」
「本当の意味で子供になっているイッセー・・・・・見てみたい」
「実際、状況はどうなのだ?」
「気を遣うけれどそれほど苦労はしていないみたいよ。というより、子供の彼が可愛いから皆して積極的にお世話をしたがっているわ」
「えっと、私はアスナって言うの。よろしくね?」
「アスナお姉ちゃん?」
「お姉ちゃん・・・・・」
「私、アイズだよ」
「アリサ」
「ラトラです」
「えっと、アイズお姉ちゃんとアリサお姉ちゃんとラトラお姉ちゃんだね」
「「「お姉ちゃん・・・・・!」」」
「私はリヴェリアだ」
「リヴェリア・・・・・うーん・・・・・」
「どうした?」
「エルフ、だよね?耳が凄く長い人はエルフだってお父さんとお母さんから教えてくれたから」
「ああ、私はエルフだ。しかし、それがどうした?」
「じゃあ、エルフは長生きしてるからおばあちゃん・・・あ、でも・・・・・顔が綺麗だからお姉さん・・・どっちなの?」
リヴェリアが凍結したように硬直し、子供の質問に非常に答え辛い極まりないでいた。
「・・・・・これ、同じエルフのアリシアやフィルヴィスとアウラにも悩むんじゃないかしら」
「嫌なことを言わないでアキ!?」
「わ、私達は大丈夫だ」
「え、ええ・・・・・まだそこまでの年齢を積み重ねて生きていません」
「あのその言い方だと事実言えど、リヴェリア様に不敬な発言をしているのでは?」
レイラ・ユーリーの一言でフィルヴィスとアウラは、はっ!?と失言に気付き恐る恐る
「どうしたエルフ。子供の質問に答えられないほど難しいか。己の年齢を忘れていなければ簡単に言えるだろう。世間知らずの年増、癇癪持ちの『おばあちゃん』ならば尚更のこと」
「・・・・・黙れよ、アルフィア・・・・・!」
「おばあちゃん・・・?」
「ああ、その通りだ。決してお姉さんではないからな」
「はーい、よろしくお願いします。リヴェリアおばあちゃん」
してやったりと風に幼い一誠にリヴェリアを老婆扱いにしたアルフィアだった。
「~~~~~~!!!」
あのリヴェリアが感情を剥き出しになってアルフィアを睨みつける様は憤怒しているのが誰の目でも見ても明らかだった。
「リ、リヴェリア様がご乱心に!」
「い、一体どうすれば・・・・・!」
「「あ、あのリヴェリア様がお怒りを・・・・・!」」
その場にいるエルフ一同は激しく動揺した。崇拝、尊敬、憧憬の相手の初めて見る怒りの感情にオロオロしてしまい、どう対応をすればいいのか戸惑うしかできないのであった。
「んと、じゃあ・・・・・お姉さんも、おばあちゃんなの?髪の毛が真っ白・・・あ、灰色―――」
純粋な目がアルフィアを見ながら素朴な疑問を投げた一誠の目は彼女の手が掻き消えたのを見た。
ドゴォッ!
ぶつけた疑問に対して返ってきたのは拳であって一誠は反応する暇もなく床に叩きつけられた。
『ちょっ―――!?』
躊躇なく一誠と言えど幼くなってしまった子供に対する無慈悲な暴力に全員が全員、目を限界まで見開いて思考が停止しかけるほど吃驚、驚愕、愕然した。レイラは直ぐに抱き起すと目を回して気絶している子供を見てアルフィアに叱咤した。
「ア、アルフィアさん!いくらなんでもそれは駄目です!」
「私は相手が童でも容赦はしないのでな」
「ええっ!?」
「アルフィア、お前の不治の病を治した者にそれは駄目だろ。恩を仇で返しているものだぞ。しかも今は記憶が逆行してただの幼い子供としている」
「姉さん、最低です。この子に謝って下さい」
「・・・・・」
ザルドよりもアルフィアの身内、妹・・・・・エーテリアの言葉は無視できないのか、少しばつ悪そうにして沈黙を貫くがそれがいけなかった。ずいっと距離を縮めるメーテリアが笑っていない笑みを浮かべながら。
「私を蘇らせてこれから私の子供にも会わしてくれる約束をしてくれた恩人を、悪意で言ったわけでもないのに自分が嫌だからと暴力で黙らせるなんて、流石は【ヘラ・ファミリア】の眷族の名に恥じない行動ですね。非力な私にはできないので尊敬に値しますよ」
般若だ、あそこに般若がいる!怒髪天が衝く如く怒りを見せるメーテリアは、【ヘラ・ファミリア】の眷族に恥ずかしくない怒りで【静寂】の二つ名を持つ女性を押し黙らせているではないか。
「姉さん、今も静寂が好きですか?」
「・・・・・それがどうかしたか」
「べつにどうとでもありません。静寂を得られる方法をして楽しんでもらおうかと思っただけです」
それが一体何なのか誰もわからず首を捻った。何をするつもりなのかと二人のやり取りを見守った結果。
「・・・・・」←正座
LDKの隅っこで穴二つ開けられた大きめのオリハルコン製の箱の中に隠された状態で正座をさせられたアルフィアがいた。その上に花の花瓶が置かれている状態でだ。
「思う存分に静寂を堪能してくださいね。そこでずっとです」
「・・・・・メーテリア」
「誰が喋って良いと言いました?心の底から反省するまで黙っていなさい」
有無を言わさず自分の姉にお仕置きの名ばかりとオリハルコン製の箱の中に閉じ込めるメーテリアの所業に、周囲は心からドン引きする。
「アルフィアはともかく、あいつの妹も【ヘラ・ファミリア】の眷族に恥じない事をするとはな」
「ザルドさん、知らなかったのですか?」
「怒るところは見たことが無いからな。だが、こうしてあんなところを見せられるとやはり姉妹なのだなと改めて実感する。・・・・・そもそもあのオリハルコン製の箱のようなものは何の用途の為に作られていた?」
何か、お仕置き用の物がありますか?とメーテリアからの要望で心当たりがあると主張した椿がガレスの力を借りて工房から持って来たオリハルコン製の箱だった。
「うむ、イッセーはお仕置き用の為だと言っておったぞ。確か・・・魔法で閉じ込めた者を心から後悔させるような魔法を施してあるとか。それは何なのか閉じ込められた者が特に嫌なお仕置きをするとかで・・・・・」
教えられたことを思い出しながら吐露する椿の話の途中、直ぐにお仕置き箱の効果が発揮した。お仕置き箱から謎の男性の声が聞こえだしたのだ。
『アルフィアちゃ~ん・・・・・』
「この声は・・・・・ゼウスだと?」
『アルフィアちゃ~ん・・・・・相変わらず柔らかそうなモノをお持ちで、儂が支えてやるぞぉ~い』
「何だこれは、何故変態爺の声が聞こえる。ザルド、あの神がそこにいるのか」
「いや、いない。本当だぞ」
『フォオオオオオオオオオッ!アルフィアちゃんのおっぱいいいいいいいいん!』
「【
『スーハースーハースーハー・・・・・アルフィアちゃーんの下着の匂いはラベンダーじゃー』
「【
『しかも、大人の黒色じゃああああああああっ!うっほおおおおおおっ!興奮するぅううううう!』
「【
『見よ!アルフィアちゃんの下着を頭に被せれば儂は無敵になぁああある!』
「っ!おい、本当はそこにいるのではないのか。何かに触れられる感触までするぞ」
「本当にいない。いや、本当だ」
「ふざけるなっ。でなければこんな気持ち悪い嫌悪感と雑音など感じないぞっ」
『アルフィアちゃん萌え~!アルフィアちゃん儂の下の世話をしてくれんかのぉ~アルフィアちゃんのおっぱいにターッチ!』
「止めろ、触れるな!どこに手を突っ込んでいる変態爺!」
箱の中で暴れているのか激しく叩く音が聞こえてくる。しかりオリハルコン製だ。びくともしないし第一級冒険者の力でも簡単に壊れない強度でアルフィアを閉じ込め続ける。
『アルフィアちゃ~ん、アルフィアちゃん、アルフィアちゃ~ん大好き~超ラブリ~』
「五月蠅い、黙れ!―――っ!?」
「・・・・・どうした?」
「あの変態丸出しの爺の顔が蛆虫のように湧いてきているぞ!何なのだこの箱はっ!?」
うわ、それは嫌だなー。ゼウスを知る神と眷族は自然と顔を顰めた。
「~~~っ!~~~っ!!~~~っ!!!」
それからというもの、ゼウスの変態発言やアルフィアの声は動揺と絶叫、怒りの声が聞こえてくるが次第にそれも静まり返りつつあって、やがて最後は静寂になった。そして・・・・・。
「・・・・・ごめんなさい、申し訳なかった。・・・・・メーテリア、私が悪かった。この箱からどうか、どうか出してくれ・・・・・もう堪え切れない・・・・・あの子に謝罪をしたい。どうか、どうか・・・・・」
「もう二度と手を出しません?」
「おばさんと言われてもしない。だから、だから・・・・・」
切に懇願するアルフィアの泣きそうな声が箱から洩れる。ザルドからすれば面倒で、神経質で、暴君のごとくのアルフィアの口から聞くことになるとは思わなかった数々の発言に心から驚いた。
「・・・・・イッセーの
「あのヘラの眷族ですら堪え切れなかったから物だ。これがもし神に使われたとしたらどんな影響が出るのか想像が出来ないね」
「恐ろしいのぉ・・・・・」
フィン、リヴェリア、ガレスが各々と感想を述べながらお仕置き箱から解放され、心なしか覇気がなく疲れ切った表情をしているアルフィアを目にして恐れ戦いた。
「ごちである」
一人、とても満足そうにしていたが誰一人も気づかれはしなかったのは別の話であった。
「ふしゃーっ!」
「・・・・・」
アルフィアに殴られたことで完璧に敵意、自分を苛める大人だと認識を抱いてしまい近づこうと、話しかけようとすれば、威嚇をして避けられてしまうようになってしまった、アルフィアのお仕置きから数分後のこと。LDKの隅で設けた畳の上で目を覚ました一誠が皆を見るなり威嚇の声を上げるようになったのだ。
「ふしゃーっ!しゃーっ!」
「ダメだ、完璧に警戒されてる」
「・・・・・私達にまで警戒されてしまいます」
どうしたものか・・・・・。好感度が0な相手になってしまい、どうすれば機嫌を直してもらえるか苦難に強いられることになってしまった一同は苦悩の極致に至った。女性人達に囲まれ逃げ道を封鎖されている状況故か。
「ふしゃーっ!」
警戒心剥き出しにする子供にこれからどうする?どうしよう?と更なら悩みに悩まされた。
「遅れてしまってすまない、俺がガネーシャだ!」
LDKに騒々しさと共に名を名乗りながら登場するガネーシャ。シャクティとアーディも追従してアスナ達と挨拶を交わす。
「話は聞いたが、イッセーはまた面倒なことに巻き込まれたのか」
「そうです。今は・・・・・」
「ふしゃー!」
「こんな感じで警戒されています」
どうしたらそうなるのか事情を知らないシャクティとアーディは、距離を置いているアスナ達より前に出て近づいた。
「やっほー、イッセー君」
「・・・・・」
「本当に警戒しているんだねー」
警戒心剥き出しの子供を見てこれからどうする?どうしよう?と更なら悩みに悩まされた。