ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚62

一誠が子供になってしまい、異世界から一誠の家族が来訪したその日でも『異世界食堂』は開店しなければならない。制服に着替えて店に向かう店員達を見た異世界組は好奇心で尋ねれば、一誠の店で働いていると知るや否や。

 

「じゃあ、私達も手伝いましょうか。息子の店がどんなのか気になるしね」

 

「そうだな! 前回は行くこともしなかったが、息子の店はすごく興味あるぞ!」

 

という提案から数時間後。誠、一香を始め少なくはない異世界人達が『異世界食堂』に働きに出た。

 

「5番様ハンバーグステーキと500gステーキにライス大盛!」

 

「42番様カレーライス大盛にプリンアラモード、カツサンド!」

 

今日も今日とて大繁盛な『異世界食堂』の多忙に体験するのであった。制服を着ずに働いている店員が少なからずいる変化に客達から至極当然な質問が投げられた。

 

「彼女達はだれ?」

 

「本日だけ店員として体験させている方々達です」

 

質問されたら同じ返答を繰り返す従業員達。何やらはぐらかされている気もしなくはないが、まぁー目の保養が増えたと思えばいいか。と客達も気にしないようにした。異世界食堂で初めて働くにも拘らず料理の受け渡しのミスがまだ一つもないのも、テーブルに番号が設けられているのもあり、異世界の和食、洋食、中華、その他の既存の料理が馴染みあるため覚えやすい。逆に裏方の厨房では―――。

 

「あなた達、いつもこの忙しさの中を仕事しているの?」

 

「そうですにゃー。毎日がもう大変にゃー」

 

「でもこの店をイッセー君が創ったなんてすごいっす!」

 

「そうですね。彼にこんな才能があったとは知りませんでした」

 

「ずいぶんと異世界の料理や飲み物で稼いでいるみたいね」

 

 

「こぉうらっ! くっちゃべってんじゃないよアホンダラ! 手の動きが遅くなってできていないじゃないかっ! 坊主の店の評判ー落としたいのかい!」

 

 

一誠が不在の間は事実上ミアが店の店主として場を仕切っている。神でも顎を使う恐れ知らずな彼女は、例え一誠の家族だろうと変わらない言動をするので、手伝うと買ってでた異世界組がいきなりの怒声に身体を硬直させた。

 

「ごめんなさいっ!」

 

「す、すみません!」

 

「頑張りますっ!」

 

怒鳴られた女性達は深く胸に刻んだ。異世界の女ドワーフ、怖い!

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

「はははっ! 異世界にもこんな強い奴等がいるんだな!」

 

「それはこっちのセリフだ。お前、面白いぞっ!」

 

地下のトレーニングルームにて、二人の女が激しい肉弾戦を繰り広げていた。神の恩恵を受けていない異世界の女達とレベル6の女戦士がどちらも劣らず、むしろ異世界組の女、川神百代がアルガナ達四人を相手に戦い渡っているので異常だと思うのは当然の思いだろう。

 

「ンー、イッセーの世界の人類は神の恩恵無しでも強いって本当なんだね」

 

「あのアマゾネス共と渡り合っているところを見させられてはの」

 

「イッセーの両親だけでは断定できなかったが、これではっきりと判明したな」

 

観客席から見守るフィン等は、もう一組まで組手をしようとしている四人に目を向ける。

 

「さぁこい、ザルドとオッタルとか言う坊主ども!」

 

「遠慮はいらないよ。全力でおいで」

 

「異世界の神と魔王と戦える日が来るとはな。この瞬間を深く噛ましめようか」

 

「お前の出る幕はない。退け」

 

「ほざくな小僧、お前から潰すぞ」

 

神王ユーストマと魔王フォーベシィ&ザルドとオッタルまで何故か戦いだし、トレーニングルームが加速的に損傷していく光景を見て。

 

「こいつはイッセーが見たら怒るぞ。壁に大きな穴を空けおったし誰が直すんじゃアレ」

 

「イッセーの母君に頼めばなんとかなるだろう」

 

「それしかないかな? できなかったらあの四人に責任だからね」

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

「へぇ! エルフの文化って違いがあるのね! 面白いわ!」

 

「そ、そうなのか?」

 

ルクシャナはフィルヴィス、アウラ、リュー、アリシアからこの世界のエルフの情報と知識を集めていた。それぞれエルフの森の里があり、エルフの王族ことハイエルフを崇め敬う風習をノートに書き込んでいく。傍らに戦闘教官アレインも同席している。

 

「ふんふん、異世界のエルフの暮らしぶりは私達と似通ってるわね」

 

「例えば?」

 

「蛮人、ああ人間のことね? 私が生まれた砂漠のオアシスの王都じゃその昔に人間と争ったから人間のことを蛮族って呼んでるのよ。私も呼んじゃうけど悪意で言ってるわけじゃないからね。で、基本的には蛮族と交流せず閉鎖的に暮らしてるのよ。まずそこが同じ」

 

「砂漠で生まれ育つエルフは聞いたことがないですね。そちらのエルフは?」

 

「私は秘境の地、森の中で暮らしている。人間と交流はせず閉鎖的な暮らしをしているのは同じだ」

 

「そうでしたか。でしたらどうして故郷から離れて?」

 

「「イッセーと出会ったから」」

 

異口同音、同時に答えた二人。

 

「彼に付いていけばまだ見ぬ未知の世界と文化を見られると思って強引に故郷から離れたわ」

 

「幼い頃に鍛えた彼をもう一度鍛えたい思いで一緒に暮らすことに決めた」

 

「・・・・・彼のことは異性としてどう思っていますか?」

 

「好きよ?」

 

「愛おしく感じている。ここにはいないシャルジャルとティファニアもそうだ」

 

あの完璧巨乳エルフもか、と四人は思わず複雑な気持ちを顔に出してしまった。

 

「逆に聞くけど、あなた達はイッセーのこと好き?」

 

「「っ!」」

 

「「・・・・・」」

 

「ふーん? 脈アリとそうじゃないが別れたわね。ま、その内にイッセーの魅力に惹かれて好きになるわね」

 

「時間の問題と言うことか」

 

それ以前に身体を重ねた肉体関係です。なんて言えるはずがないリーシャとリューは羞恥心に苛まれていた。

 

 

 

ゼノヴィア以外、イリナとジャンヌは軽くショッキングを受けていた。

 

「誰か俺の【ファミリア】に入らないかぁー!」

 

「【ファミリア】に入ってくれたら可愛い女の子が大歓迎してくれるぜぇー!」

 

「入ってくれるのか、ようこそ我が【ファミリア】へ!」

 

「ヨッシャーしゃー! 可愛い子供ゲットだぜ!」

 

男神達が無所属の子供達に勧誘しまくっては断られ、加入者に両手を挙げて喜ぶ。そんな光景を目の前に、神に信仰を捧げる二人からすれば人間臭いこの上にない。

 

「ジャンヌ、ゼノヴィア。この世界の神様って・・・・・」

 

「イリナ、しかっりしてください。一部の神はまともだと教えられたではないですか」

 

ジャンヌの宥めは逆効果だった。

 

「一部以外はまともじゃないってことじゃないの! ああ、この世界の神様に信仰を捧げたら私はどうなっちゃうの!?」

 

現実を受け入れがたいイリナの隣にいたゼノヴィアがポツリと。

 

「ユーストマ様とどっこいどっこいだな。オーディン様もあの中に交じっても違和感を感じない」

 

「それ言っちゃダメよゼノヴィア!? ジャンヌも否定して!」

 

「・・・・・すみません。思わず納得してしまいました」

 

その時、男神が話し掛けてきた。

 

「そこの可愛い子供達。冒険者に興味があるなら是非おれの【ファミリア】に入ってくれるか! 入ってくれたら可愛がってやるぜ! 今なら豪華なプレゼント付きだ!」

 

「いいぃーやぁあああっ!? もとの世界に帰りたいぃー!! 私の信仰が穢れちゃうー!!」

 

「あ、イリナ。天使の輪っかを出してはいけません!」

 

「信仰が強いイリナにとってこの世界は酷だったか」

 

「は? なにその頭・・・あっ、もしかして異世界から来た人類か!?」

 

 

「「「「「なに!?」」」」」

 

 

「・・・・・逃げますよ」

 

「嫌な予感だけは確実だな。というか、相変わらずイリナはプレゼントだけで欲望に葛藤するのか」

 

「ううっ、自分が恨めしい!」

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

「あらま、騒がしくなってきたわね?」

 

「どうしたのでしょうか」

 

のんびりと探索していた黒歌と白音の猫耳が騒音を拾った。都市を案内していた同じ猫族のアキは小首を傾げた。

 

「聞こえないけどどこが騒がしいの?」

 

「あっち」

 

「西ね・・・冒険者が多く行き交いしてるメインストリートがあるから冒険者の喧嘩でもしてるのかしら」

 

「私らには関係ないけどね。さーて、適当に歩いてたら静かなとこに着いたみたい」

 

「あの、ここは?」

 

閑古鳥が鳴く大通りに来た三人。アキは二人に教える。

 

「ここは歓楽街よ。今は静かだけど夜になったら一変するわ」

 

「へぇ? じゃあ繁華街もあるのね。イッセーもここに通ってるのかしらん」

 

「度々足を運んでいるわよ。店の従業員を確保するためにね」

 

「・・・・・えっちなことのためにですか」

 

「違うわよ!? それ本人に言ったらダメだからね、絶対に落ち込むから!」

 

「にゃははは! 私達と離れちゃった間に繁華街に通うほどイッセーは色男になっちゃったのねー」

 

「・・・・・ここであの人がたくさんの見知らぬ女の人と」

 

毎晩、爛れた時間を過ごす一誠達。色男と言われても否定できない事実がある。アキも交じって一誠と熱い夜を過ごしているため、不意に思い出して朱を染めてしまったのがいけなかった。白音と黒歌の目がアキの心情を見透かすように見ていたことに気付いた時はすでに遅かった。

 

「ふーん? そうなのねー?」

 

「・・・・・詳しく教えて貰いましょうか」

 

(あ、墓穴掘った)

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

アスナの願いが叶った。違う世界でも小さな最強の剣士を探して、そこで暮らして経験したことを教えて欲しいと。アスナが知っている人物とは異なっていようとアスナが見つけたかった人物と変わりない姿で直に交流を果たした。

 

「アスナ、ここ?」

 

「うん、あなたに会わせたい人達がいるところよ」

 

【アルテミスファミリア】の拠点。二人が足を運んだホームの玄関の扉に強めでノックをした。しばらくして扉を開けたのはシノンだった。アスナを見るなり声を掛けようとしたが、ユウキを見るなり目を丸くして驚いた。

 

「こんにちはー」

 

「ユウキ・・・?」

 

「うん、そうだよ。シノのん、彼の世界から来たユウキだよ」

 

軽く自己紹介されても、とシノンの心情を露知らないアスナに片手で頭を押さえる。

 

「・・・・・アスナもイッセーみたく他人を突然驚かすようになったわね」

 

連絡も無しに突然、元の世界で亡くなった少女が女性の姿で連絡も無しにアスナが連れてきた。

連絡の一つもしなかったのはワザとであるし、最初から驚かす気でいたのも否定しないアスナはホームの中をユウキ共々招かれ。

 

「アスナ・・・・・なっ、キミは・・・!?」

 

「え!?」

 

「うそでしょ・・・・・」

 

「ユ、ユウキさん・・・・・?」

 

シノンが呼んだ一人の夫と三人の妻がユウキを見て幽霊でも見たような反応を見て微苦笑した。

 

「ア、アスナ・・・・・彼女は?」

 

「イッセーの世界から来た紺野木綿季さんだよ」

 

「初めまして! 気兼ねなくユウキって呼んでいいよー」

 

「・・・・・・声も同じだ。一誠が変身したわけじゃないんだな」

 

その一誠は現在進行中、幼児となっているためそれはあり得ない。そこまで言うつもりはないのでアスナは肯定しながら言い続けた。

 

「本当に異世界で生きている彼女はあなた達のことを全く知らない。だから一緒に異世界のことを教えてもらいましょう?」

 

「それで連れてきたのね。クライン達がダンジョンに行ってしまっているけれど、時間は大丈夫?」

 

「うーん、夜までは一度イッセーのホームに戻らないといけないからそれまではいいよ?」

 

「じゃあ、エギルの店でもいいかな。あいつにもキミのことを教えたい」

 

できるだけ仲間外れはしたくない気持ちは否定しない。アスナはユウキに尋ね了承を得ると三人の赤子も一緒に全員でエギルの店へと訪れ―――。

 

「ど、どういうことだ!?」

 

褐色肌のスキンヘッドの男も心底驚いたのは言うまでもなかった。

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