ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚63

 

 

冒険者通りで構えている『異世界食堂』にてユエとアルトルージュの吸血鬼組が大型犬(魔獣)も加えて食べられる屋上で食事をしていた。異世界のワインと料理を舌鼓しつつ、互いの世界と一誠の話で花を咲かせる。自分達が知らないことばかりの知識や情報に興味と好奇心を抱き質問を繰り返した。

 

「イッセーの世界の吸血鬼の世界、行ってみたい」

 

「遊びに来れたなら案内してあげるわ」

 

「楽しみ。必ずイッセーと一緒に行く」

 

「待っているわ」

 

住む世界が次元レベルで異なるが同じ吸血鬼同士が出会い笑みを交わす。アルトルージュの二人の従者と白い毛並みの魔犬は静かに見守るのみ。

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

「ほー自分の世界の神々は別々の天界に住んどるとは変わっておるんやなぁ」

 

「そうかしら。私からすればあなた達も変わってると思うわよ。一つの広大な天界に住んでいるだなんて」

 

一誠の世界の美の女神フレイヤから聞かされる天界の話に耳を傾ける神々はロキの感想に同感した。それなりに大きいく小さくもない円卓の前に座り、一誠と深い交流ある神々を招いて異世界の美神から様々な話を伺った。

 

「おまけに、本当にロキとヘファイストスの性別が違うなんて見ていて面白いわ。あの子もきっと信じられなかったでしょうね」

 

「実際にそうだったわよ。本当にあなたの世界にいるヘファイストスは男なのね」

 

「そうよ。性別が変わらない神がいるみたいだけど、私が知っている容姿とは異なっているわね。あの子がこの世界の神々に興味を持つのも頷けるわ」

 

「それはオレ達も同じさ異世界の美の女神フレイヤ様。是非とも次はオレ達がイッセー君の世界に赴きこの目で異世界を見てみたいものさ」

 

「ガネーシャもだ!」

 

必然的な気持ちを一堂に集まっているこの世界の神々の気持ちを代弁したヘルメス。

 

「他に何か聞きたいことはある?」

 

「ほんじゃあ、そっちのゼウスはどういう神なんや?」

 

「ヘラと結婚したことがあるわよ。その上たくさんの女神との間に子供を作ったわ」

 

「うわぁ・・・・・あの二人がデキとるとか、マジ信じられんわ。後者は誰でも納得できるんやけどな」

 

「そうね。変態の意味でね」

 

どうやら似通った部分があるらしい反応を窺わせてくれる。異世界の美神はガネーシャに視線を移した。その仕草だけでもこの世界のフレイヤに劣らない美しさがあり、男神達は見惚れてしまっても仕方がない。

 

「この世界のガネーシャは随分と男前のようね。私が知っているガネーシャは頭が象なのに」

 

「そうなのか!」

 

「父親は破壊神のシヴァなのにね」

 

マジか。という顔をした神は何人かいたが、既知ではない神々は不思議そうに首を傾げた。

 

「ねぇフレイヤ質問。イッセーはどんな暮らしをしていたの?」

 

「そうね。大好きなアップルパイを食べている時は本当に可愛いし、鍛練の時は実力者と模擬戦をしているし物作りにも熱心だって時もあるわ」

 

挙手するアマテラスに公開する一誠の普段の私生活。中には今の生活と大して変わらないことも知った時フレイヤが問うた。

 

「そっちの世界でイッセーと男女の関係で付き合っている子供はいるのかしら?」

 

「・・・・・」

 

そんな質問を受けた美神は意味深に微笑んだ。

 

「いるわ。この私よ」

 

「嘘ね」

 

「うん、絶対嘘」

 

「それはないわー」

 

何故か他の女神も含め全女神から否定されてしまった。その理由は単純かつ至極当然なこと。

 

―――女神フレイヤの魅了を素で受けつけないからだ。

 

それを知っているのは一誠と交流ある神々な上にすでに既知としている。恐らく本気で魅了しようとしても効果がないだろう。フレイヤの美に対抗できるのは今のところ一誠だけが唯一無二の存在。この先も彼女の美に抗う人間が現れるか、それは神々もわからないことだ。

 

「ふふ、そう否定するならこの世界であの子と付き合っている女神はいるのかしら? 私はあの子と何度もデートをしたことがあるのよ?」

 

「「「「「「・・・・・」」」」」」

 

肉体的な関係なら持っていると言えど、デートをした事は一度もない。苦虫を噛み潰したような女神ズの心情を酌み取ったか、美神は優越感で豊かな胸の中で膨らませた。

 

「なんやコレ・・・・・」

 

「オレ達、何を見せられているんだろうね」

 

「俺がガネーシャ、だ!(小声)」

 

「・・・・・(触れぬ神祟りなしだな)」

 

「「・・・・・(沈黙を貫くミアハとディオニュソス)」」

 

蚊帳の外に置かされた神々は不穏な気配を発するようになった女神達に畏怖して距離を置いた。

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

金髪の女性『アラクネー』は一誠は普段何しているか訊くと、物作りをしていると知り攻防に案内してもらった。ある部屋で魔法の絨毯を作る織機を見つけたアラクネーは、案内してくれたアイズから許可を貰うと布を織り始めた。

 

「上手」

 

「私はこの仕事をしているからね」

 

「イッセーに教えた?」

 

「ええ、こうしていられるのも彼のおかげだから」

 

助けてもらったの? と少女の質問に女性は否と答えた。

 

「私に人間の足を与えてくれただけよ」

 

「人間の、足?」

 

黒いロングスカートで隠れている二本の足。アイズの視線がどこに向けられているか感じたアラクネーは一誠のことを訊いた。

 

「あの子は人間じゃないことは知っている?」

 

「うん、ドラゴン」

 

「なら話が早いわ。私も人間じゃないの。蜘蛛の化け物なのよ」

 

そう言ったアラクネーの剥き出しの背中から蜘蛛の足が生えてきて、アイズの金の双眸を大きく開かせた。

 

「ね?」

 

「・・・異世界のモンスターって、人の姿になれるんだ」

 

「この世界のモンスターは?」

 

「できない。モンスターはモンスター。でも、人間と言葉を交わせるモンスターがたくさんいる」

 

言葉を交わすモンスターなら元の世界にも存在するとして女性は珍しくないと思いつつも興味を抱いた。

 

「蜘蛛のモンスターもその中にいる?」

 

「いる」

 

「いるのね。会ってみたいわ。会えるかしら」

 

「わからない。常に集団で動いているから」

 

それじゃあ会わしてほしいと願うのは酷な事だろう、と女性は思ったが。

 

「でも、連絡が出来る人? を知っているから会える、かも?」

 

「そうなの? じゃあ、お願いできる?」

 

「うん、いいよ」

 

なお、連絡を受けた黒衣のゴーストは少女相手からの連絡に珍しく思いつつ内容を聞けば、二つ返事で了承した。異世界の蜘蛛のモンスターが交流を交わすことを望んだからだ。

 

「リド、イッセーの世界にいる蜘蛛型のモンスターがレーネと話がしたいそうだ」

 

『イッセーの世界の蜘蛛のモンスター!? オレっちも興味あるから会っていいかフェルズ!』

 

「ああ、勿論だ。待ち合わせは18階層でいいか」

 

『いいぜ! じゃあ、今から行くからよ着いたら教えてくれ!』

 

活き活きとグローブの中のガラス玉から弾んだ声が聞こえてくる。黒衣のゴーストことフェルズはアイズに了承を得たことと、案内役を買って出ることを伝えアイズはアラクネを連れてダンジョンへと向かった。歩くのではなく腕輪に備わっている転移魔法で直接18階層へと。

 

「ここが、18階層って言う場所?」

 

「うん、ダンジョンの中だよ」

 

「凄いわね・・・・・」

 

地下迷宮だというのに自然豊かな光景を目の当たりにアラクネーは、驚嘆と感嘆を混濁した気持ちで胸がいっぱいになった。あの子もこの光景を見てどんな気持ちになったのだろうかと思っていたら、音もなく黒衣の人物フェルズが二人の前に現れた。

 

「待たせたか」

 

「大丈夫。この人がそう」

 

アイズが女性を紹介した。

 

「キミがイッセーの世界のモンスターと認識していいのだね?」

 

「ええ、私はアラクネー。よろしくね。あなたは?」

 

「フェルズだ。早速だが待ち合わせ場所へ案内する。こちらだ」

 

案内するフェルズについていき、それなりに歩いていると冒険者があまり来ないところまで長く歩いたら、赤いリザードマンを始め武装したモンスター達が森の奥で固まっていて、フェルズ達に気付くと赤いリザードマンが朗らかに挙手する。

 

「来たぜフェルズ! お、お前も来てくれたんだな?」

 

「・・・うん」

 

見た目はモンスター。それでも人語を操り言葉を交わしてくる異常なモンスター。その認識は決して払拭できないアイズは小さく頷いてアラクネーの後ろに立った。

 

「へぇ、本当にモンスターが喋ってる。不思議な感じだわ」

 

「そう言っている割にはオレっちを見ても平然としているんだな。イッセーの仲間だからだよな?」

 

「そうじゃなくても、異形の存在が人語を操るなんて私達の世界では珍しくないわ。この世界の人間達はそうでもないみたいだけれど」

 

「まーな。って、自己紹介をしてなかったな。オレっちはリドだ。よろしく」

 

「アラクネーよ。それで、この世界の蜘蛛のモンスターはいるのよね?」

 

「おういるぜ! おいレーネ!」

 

リザードマンのリドが呼び掛けた。モンスターの群れが道を空けるように動いて、甲冑を装備した蜘蛛型のモンスターの姿をアラクネーに見せた。

 

「そう、あなたなのね? 会えて嬉しいわ」

 

一向に近づいて来ないレーネを自ら歩み寄るアラクネー。兜で顔を隠しているレーネは言葉で突き放つ。

 

「そこで止まれ」

 

歩みを止めるアラクネーに警戒心を隠さないレーネは真実を求めた。

 

「お前が本当に人間に化けている異世界のドラゴンと同じなら、そこで証明して見せろ」

 

レーネの命令にリドは文句の一つを言おうとしたがアラクネーは「いいわよ」と軽く了承し―――彼女は、ロングスカートで隠れていた人間の足が巨大蜘蛛の異形へと変わりレーネと同じ姿になってみせた。アイズの目は驚きで見開き、フェルズ達も本当に彼女は蜘蛛のモンスターだとようやく受け入れた。

 

「これで満足?」

 

「・・・・・」

 

「今度は私の番ね。その兜を外して素顔を見せて」

 

言った傍からアラクネーが指をくいっと動かしレーネの兜を糸で剥がせた挙動は誰もが驚いた。そしてレーネの素顔を見て満足したようにアラクネーは微笑む。

 

「勿体ない。せっかくの綺麗な顔を隠すなんて」

 

「・・・・・ふざけているのか」

 

「ふざけていないわよ。なんなら時間をかけて話し合いでもしましょうか。異世界の蜘蛛の化け物同士、仲良くしましょう?」

 

必然ながら大変興味津々なリド達もアラクネーと言葉を交わし、一誠なら人の姿に変える魔法を使えることを言ったので、一誠と次会った時はお願いしてみようと決意を胸に秘めたリド達は・・・・・。

 

―――一斉に明後日の方へ振り返った。

 

「なんだこれ、ものすげぇ違和感だ」

 

「違和感・・・? 何を感じたリド?」

 

「なんていうか・・・・・例えるなら綺麗な空気を吸っていたら突然異様な濃い臭いがするようになったって感じだ。それと何故だか―――これは好きになれない何かだ」

 

目を細めるリド以外のグロス達も心境は同じか、好意的ではなく見えない何かを警戒し、威嚇を示している。フェルズはアラクネーに訪ねる。

 

「アラクネー、キミもリド達と同じく何かを感じているか?」

 

「何も感じられないわ。多分、この世界のモンスターしか感じられない類のものが偶発的に発生したと考えるべきだわ。それが人間にとって都合がいいのか悪い事なのか、調べない限りわからないけれど」

 

「・・・・・リド達がこうならば、ダンジョン内のモンスター達が『怪物祭り』を引き起こしかねないか。リド、悪いが案内してくれ。最悪、イッセーの協力が必要になるやもしれん」

 

「「・・・・・」」

 

そのイッセーは今、子供になってしまって戦力外になっていることを知らないフェルズの言葉を聞いてしまった合図とアラクネーは意味深に顔を見合わせた。

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