ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

132 / 136
質疑応答2

「失礼ですが、あなたも異世界の神に甦らされて特典を手に入れた方ですか?」

 

「あーはい、一応そうなんですが俺が思っていたような異世界ライフと違う結果になりましたけど、今は楽しく過ごしています」

 

「普段はどのような生活を送っているのですか?」

 

「店主、兵藤一誠さんのお店で働いています。日本料理を始め、和風と洋風、デザートを提供している異世界食堂って料理店で。異世界、強いては日本でしか食べられない料理とデザートは異世界の人間や神様達には毎日店に通ってくれるほど大人気で大繁盛してます」

 

「異世界食堂、という店で働く切っ掛けは何だったのでしょうか?」

 

「店の扉を壊した弁償で働くことになりました。ははは、あの切っ掛けが無かったら今の生活は遅れなかったと断言できますね。こっちも事情が事情で助かってる」

 

「あなたも犯罪者なのですか」

 

「は? 違いますが。ちょっと仲間にぶん殴られた拍子で異世界食堂の扉にぶつかって壊してしまっただけですが」

 

「では、弁償金はいくらなのでしょうか?」

 

「3000万円。法外すぎるぼったくりでしょ? それがまかり通ってしまう異世界なんですよねー」

 

なんならそれがリヴィラの街では当たり前なんだから、何も知らない奴は吃驚するだろう。自衛隊達も絶対に騙される自信はある。

 

「そんな異世界に住んで海童さんは生活がし辛くはありませんか」

 

「いえ、借金がある以外はめっちゃ過ごしやすいですね。元の世界にいるような安心感と安定の生活が送れて、食べられる料理も美味しいし、異世界ならではの絶景を眺められる。たまにオラリオ以外の場所に行くこともあるんで充実していますよ」

 

「・・・わかりました。ありがとうございます」

 

次は雫が呼ばれた。

 

「八重樫さんは異世界で暮らして苦労していますか?」

 

「はい、苦労しましたね。最初は右も左も分からずクラスメートと異世界に来てしまいましたから」

 

「クラスメート? 八重樫さん以外にも同じ学校に通っている子供がいるのですか?」

 

「そうです。先生も一緒ですが、異世界で過ごす勝手がわからず衣食住には苦労しました。それに私達を異世界に召喚した神にですら騙されていました」

 

「八重樫さん達をどうやって騙したのですか?」

 

「私達を召喚したのは魔王を倒す為、手段としてオラリオで冒険者になり強くなれと言われました。最初こそその通りに従っていましたが、雨露凌ぐ廃屋の中で不衛生な生活を強いられ、しばらくの間は少ないと金で食べられたのはパンと揚げたジャガイモだけ。そんな生活をしていたある日、私達と同じ異世界から来た人と出会ってから生活環境が改善できました。今は元の世界に帰る機会を待って冒険者として生きています」

 

「騙した神は捕まっていますか?」

 

「いえ、思うところはありますが今も同居しています」

 

「なぜ八重樫さん達を騙した神と暮らしているのですか?」

 

「私達の主神であるからです」

 

なんの事だかわからず、詳細を教えてほしかったらしい幸原さんにお辞儀して席に戻ってしまった八重樫に聞くチャンスを逃した。

 

「俺は勇者、光輝勇だ」

 

「・・・光輝さんも冒険者ですか?」

 

「勇者だ。耳が聞こえなのか」

 

あ、ヒクッて頬が引き攣った。だが、嘘は言っちゃいかんだろう?  それに視線を感じて横に視線を変えると海童がこっちを見て意味深な笑みを浮かべて頷いていた。・・・・・なるほど?

 

「いやいや、言葉が足りないぞ光輝勇君! 勇者の前に自称の漢字二文字が忘れてるって。もうお年寄りじゃないのにボケちゃって」

 

「二番手の勇者はもう中古なんだよなー。実績も名声もないチートな装備だけが取り柄の自称勇者君! ・・・・・あ、光輝勇って高級って名前に聞こえるな! これからは高級な勇者君と呼ぶよ。自称だけど!」

 

「「「「「ふっ・・・・・(プルプル)!」」」」」

 

「き、貴様ら・・・・・!」

 

自分で言って何だが、何が面白かったのかアスナ達が噴いて体を震わせて笑いに耐えていらっしゃる。海童は爆笑してるが光輝はこっちに振り返って激怒している。

 

「え・・・あの、彼は勇者ではないのですか?」

 

「そう名乗っているだけの転生者だ。既にオラリオには勇者と名乗ってる有名な冒険者がいるからな。だから二番煎じなんだよそいつ。装備の方は本物だけどな。どんな物理攻撃も通用しない全身型鎧、どんな魔法も通用しない大盾、ありとあらゆる物を断ち切る大剣は最強の冒険者に匹敵する」

 

「匹敵ではない、凌駕するといえ」

 

「だったらオラリオに戻ったら最強の冒険者と手合わせして勝ってこい。話はそれからだ」

 

「ふんっ、言われるまでもない! その後はもう一度貴様と再戦するからな首を洗って待っていろ!」

 

そう言ってカズマの隣の席に戻り荒々しく座った。最後はシノンとなった。

 

「シノンさんは弓を持っていらっしゃいますが、ダンジョンの中では弓を使える広さがあるのですか?」

 

「ええ、ありますよ。普段は異世界食堂で購入したライフルのローンを返済するために働いています」

 

「ライフル・・・・・銃ですか? 異世界にも銃があるのですか?」

 

「兵藤一誠さんが直接買ったのであるみたいですよ」

 

「はい、これな」

 

カードケースを取り出し、そこから選んだ一枚の収納カードから出てきた対物ライフルに似た空の世界製のライフルを見せつけた。

 

「あれです」

 

「わかりましたが、この場で銃を出さないでください。この日本では銃刀法違反になりますよ」

 

「ケチ。外国の特殊部隊が銃を隠し持って非公式で日本に潜入しているだろうに」

 

「そ、それとこれは・・・・・」

 

「何が違うのか、さっきの質問の返答と一緒に答えて貰おうか幸原議員さん?」

 

「っ・・・・・」

 

まーた黙った。つまらん議員だな。ライフルをカードに収納した。

 

「シノンさん。兵藤さんが持っているカードにライフルが消えたようですが、あれはいったい・・・・・」

 

「彼曰く魔法の道具であり、単一の物であれば何でも収納できるカードです、彼が作りました」

 

「作りました。ダンジョンの中でする長期の遠征の際はとっても重宝される優れものです。もしくは引っ越しの時に・・・・・その手の業者の仕事を廃業させてしまうものだ」

 

何人か魔法の収納カードの有用性に察した人間がいるようで、感心した風に隣人と話をする姿がちらほらと見掛ける。

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

最後は大トリと言わんばかりにアマテラス達の番になった。

 

「アマテラスさんは何をなされているのですか?」

 

「・・・・・? ―――――」

 

「え、えっと・・・・・」

 

相互理解ができていない。俺達オラリオの住民以外は共通語を理解できない。まぁ、最初はそうするように仕向けたんだがな。政府立ち上がって彼女の横で翻訳して説明する。

 

「―――、―――」

 

「あの・・・アマテラスさんは何を言っているのかわかりませんが」

 

「彼女が発している言葉は異世界の言語のひとつ。そして異なる全ての種族が相手と相互理解をするための言語、共通語という。この世界で言えば、アメリカや中国、ロシア以外の世界各国の人類が母国語でも話せるだけでなく、日本語という共通語で相手と意思疎通ができる言語だ。オラリオがある異世界に来た転移者、転生者は今のところ一部を除き言葉の相互理解が出来て会話も成立できている。文字は全員漏れなく覚えないといけない苦労はあるが」

 

「そうなんですか。それで、彼女は何と?」

 

「アマテラスは異世界では天界に住む神々の一柱、一人だ。彼女だけでなく仮面を付けている女性イザナミも、隣の男性イザナギも神だ。日本神話の国産み、神産み、それから太陽神―――初代天皇 神武天皇の先祖の神と同じ名前の存在だと言えば、政府の人間達の中でもわかる奴はいるよな?」

 

『っ!!?』

 

「ああ、だからって俺達が居る世界にも日本はないぞ。三人は極東って島国に住んでいて、江戸時代風の町並みと城を築いたそれぞれの国の統治をしている。アマテラス、これを付けてこれを口の前で持って話してくれ」

 

「―――」

 

わかりました、と俺の言う通りに耳に翻訳機能がある飾りを付けて魔石を加工+翻訳魔法を施したマイクを持ったままアマテラスが口を開いた。

 

「私の言葉が分りますか?」

 

「っ!? は、はいっ」

 

「こちらも彼が作ったこの翻訳の道具であなたの言葉を理解できます。改めて自己紹介をします。私は【アマテラス・ファミリア】の主神、アマテラスです。以後お見知りおきを」

 

ここにきてカメラのフラッシュが俺達を照らす。あとは問題なしと判断して席に戻る際にイザナギとイザナミにも翻訳の耳飾りを渡す。

 

「【アマテラス・ファミリア】とは一体何でしょうか?」

 

「それは私を含め神々は下界の子供達、全ての人類を対象に神が自分の眷族にした際に結成する組織です。個々の神が一人でも子供を自分の眷族にできたら、その神の名が付いた組織・・・派閥の名としてそう呼ばれます。神は【ファミリア】の親、大黒柱の立ち位置となり眷族の子供達が死んで天界に還るまで共に在ります」

 

「神の【ファミリア】となるためには何か条件がありますか?」

 

「私達の血、通称【神の血(イコル)】というものを媒介にしてその神の徽章のようなシンボルを子供の背中に刻み、子供の潜在能力を引き出し成長促進を促す【神の恩恵(ファルナ)】を与えます。恩恵を受けた子供は恩恵がない子供と確実に身体能力の差が分かれるほど・・・わかりやすく実際にやってみせてもらいましょうか。イッセー」

 

「うん? ああ、そういうこと」

 

幸原とアマテラスの間に立って、俺は屈伸をしてから二階にいるカメラマンのところへ跳躍して移動した。

 

「大和、アスナとシノンも来い!」

 

「二人は出来るのか? 呼ばれているけどよ」

 

「できなくはないよ」

 

「あれぐらいならね」

 

伊逹に冒険者をしていない二人も俺と同じ動きをして自身の脚で二階に跳んできた。アマテラスは満足そうに頷き、幸原はポカーンと塞がらない口と間抜け面を晒す。

 

「あのように高い場所に道具を使わず移動できるぐらい成長を促すのが【神の恩恵】で具現化する【ステイタス】です」

 

「ス、ステイタス?」

 

「日本のゲーム的な用語で言えば、力・パワー、STR。防御力、ディフェンス、VIT。敏捷、スピード、AGI。魔法力、マジック、INTの数値のことだ。それらを俺達冒険者が冒険をしながら高め、強さの殻を破りながら成長できるんだ。強さの殻の意味は強さの昇格、ランクアップ、レベルアップの意味だ」

 

カメラマンに手を振って一階に降りる。アマテラスの説明は続く。

 

「彼が言った通り、子供達は成長すればするほど【ステイタス】の各能力も増加し、何度も修羅場を潜り格上のモンスターや同じ冒険者相手に打ち勝てば、いつしか最強の冒険者として世界的にも有名になります」

 

「最強の冒険者とはどんな人物ですか?」

 

「・・・イッセー、これは説明していいのかしら」

 

「いや、しなくていい。説明したところで自衛隊以外、自衛隊ですら滅多に会えない奴を教えても実感しないだろうから」

 

「と、彼がそう言うので説明は控えさせていただきます。加えて私の【ファミリア】の子供達の詳細もです。何万人もいる眷族の子供達を説明できませんので」

 

「・・・・・では、この場でどなたか眷族にする事が可能ですか? 可能なのであれば実践してもらえませんか?」

 

あ、それはある意味爆弾発言―――!

 

「いいでしょう。では、イッセー・・・・・」

 

「待って、イッセーなら私がしたい!」

 

やっぱりここに来てイザナミが割り込んできた! アマテラスが持つマイクが彼女の声を拾って誰にでもわかる日本語として生中継中のこの状況の中でお茶の間の人達に醜聞を―――! マイクをアマテラスから取り上げて、小声で共通語でじゃんけんで勝ったら! って言うと、二人はすぐにじゃんけんして・・・・・。

 

「勝ったー!」

 

「・・・・・ッッッ」

 

―――諸手を挙げて喜ぶアマテラスと硬く握った拳を震わして悔しがるイザナミがいた。

 

「あー、因みにこの世界でもあるように優秀な人材がいたら、引き抜きやヘッドハンティングが冒険者や神の間でもよくされる。中には誘拐、拉致、監禁もしてまで欲しい他派閥の神と冒険者もいるぞ。いま幸原議員がそうしろと言ったから俺がヘッドハンティングされたがな」

 

「そ、そうですか」

 

「それと、近くで見ないとわからないのにカメラには映らないぞ眷族の儀式は。この場で実践していいんだな幸原議員?」

 

「え・・・?」

 

なお、二階にいるカメラマンは慌ただしく、どうしても受け入れ態勢でいる俺の背後に立つアマテラスの背中が邪魔になっているらしい。政府相手にジェスチャーすることもできないので撮影()ることはできないだろう。

 

「そこまで考えていなかった幸原議員が悪いということで、アマテラス。悪いがお流れだ」

 

「・・・・・糠喜びをさせてくれたわねあなた!」

 

「ひっ!? す、すみません! 質疑はこれで以上です!」

 

アマテラスが怖い形相をしたので、女神を怒らせた幸原は自ら退いたのでイザナギとイザナミの話も聞けず質疑応答の時間は終了した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。