ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

133 / 134
異世界の同盟

 

質疑の問答が終わった、とそう思ったが話は続くようだ。総理に国防大臣まで出てくるとは予想外だった。

 

「単刀直入にお聞きします。我が国の自衛隊でもモンスターに対抗できるのでしょうか」

 

それに対して俺はこう言った。

 

「かなーり甘く見積もっても神の眷族にならない限り全滅だ、と言わせてもらう。理由は数メートルから十メートル、それ以上の大型のボスモンスターが一定の周期で決まった各階層のダンジョン内に出現する。ボスモンスターは産まれた階層から違う階層に移動することはないが、最強の冒険者がいる派閥でも総出で戦わないと勝てないモンスターは必ずいる。断言しよう、自衛隊の武器でも絶対に通用しないモンスターは必ずいる。またモンスターだけでなくダンジョンの地形や罠に嵌って命を落とすぞ」

 

「では自衛隊がゲートを守っている18階層は、モンスターが産まれないという情報は本当ですか?」

 

「ゲーム的用語で言わせてもらえばセーブポイントみたいな階層だ。産まれはしないが、18階層の上下の階層からモンスターが侵入してくるから比較的に安全とは言えないがな。いや、そもそもダンジョンの中には安全なんて場所は一切ないよ」

 

「冒険者が築いた街があってもですか」

 

「百回以上の襲撃を受けて、同じ数だけ復興している街だぞ? 仮にその街に自衛隊が拠点を作ろうならば必ず襲撃は受ける」

 

「その街の冒険者の協力を得ることは?」

 

「できなくはないが、冒険者の中では比較的にレベル、強さが低い方の冒険者でならず者とごろつきを雇うとしたら、法外な金額を吹っ掛けておいて自分の命が危うくなるとすぐに逃げるぞ。それと冒険者の意地と誇りはあっても責任感は全くない。おすすめはしないぞ」

 

リヴィラの街を守る意志と同業者に助けられた恩返し、モンスターに好き勝手されてたまるかって意地は持っているみたいだがな。

 

「それでは兵藤さんから協力を仰ぐこともできないのですか?」

 

「命令されるのが嫌いな冒険者ばかりだから簡単にはできない。依頼という形なら協力は得られるが、さっきも言ったように責任感はない。おまけに大金を求めてくるからそちらが望む成果になるかも怪しい」

 

「地上にいる冒険者も同じですか?」

 

「全員が全員そうではないが、長期間もダンジョンの中に居させて行動範囲を縛るのであればやはり依頼の報酬として大金は必要になるな」

 

「その多額な金額が必要なほどの神の派閥、冒険者がいるのですか?」

 

「オラリオに存在する数多の派閥の中で最も冒険者の人数が多い、冒険者の質が極めて高い、オラリオの内外では高い名声を誇っている神の派閥に依頼をするならそれぐらい必要だ。例えば、彼女達【アマテラス・ファミリア】【イザナギ・ファミリア】【イザナミ・ファミリア】に依頼する場合は特にそれだ。冒険者の命を落とす可能性を考慮してそれぐらいは当然の金額だろう? よもや、他者の命を軽んじているのか?」

                                                                                              

「いえ、決してそのような事はありません。あくまで参考にお聞かせ願ったまでです。最後に一つだけ・・・兵藤さんは魔法の道具とやらをお創りになられるそうですが、それらをこの世界に売買するおつもりはありませんか?」

 

「物によっては無いな。良くも悪くも軍事兵器に転用されかねない。例えばさっき見せたこの魔法カード、重さも大きさも関係なく一つだけなら何でも収納できる点は確かに優れた道具ではあるが、軍事利用するならばこのカードに核爆弾も収納できてカードとして持ち運びが自由にできる。そして大国の都市のど真ん中に核爆弾を出して起爆すれば都市を滅ぼすことができるぞ。はは、テロし放題だ」

 

「・・・・・」

 

「そんなことできない異世界だから作って色々なことに使ってはいるが、この世界ではそういうことができるから販売はする気など一切ない。それでもどうしてもって言うなら、取引してもいい。ま、その時はこの有用性を知ったどっかの大国が裏の部隊を派遣して強奪する可能性は大いにあるがな? てか大丈夫? 同盟国と言っても不法侵入だけでなく銃刀法違反でもある銃の持ち込みを許すなんて国の警備もゆるゆるじゃん。今夜、俺達がそういった連中に襲撃されたら日本を信用も信頼もできないからな? 襲撃して来た人間の母国もそーだけどな」

 

言いたい事だけ言わせてもらったその後は総理からも質問を投げられる。

 

「まず異世界からこの場にお越しいただき日本の代表者として誠に感謝します来賓の方々。そしてこの場を借りて質問と御願いがございます。よろしいでしょうか」

 

話だけなら聞くと意味を込めて座ったまま俺達は首肯する。

 

「まずは質問からです。この日本と特地ダンジョンと繋がったゲートのある場所はお互い国と都市の領域内にあります。この場合、どちらの領土で在るべきかお聞かせ願いますでしょうか」

 

んー・・・・・別々の世界と繋がっているだけだからゲートの所有物、所有権はどっちだって言っているようなもんだよな。その事を

聞いてみるか。

 

「総理、片方だけではこの超常現象による副産物は絶対に起こり得ないことが起きている。ゲートとはある種の海底トンネルだ。どちらもゲートを繋げたわけでも創造したわけでもない。ただ、ゲートはそこに在って、そこにどこの国のどの場所に顕現したのか、それだけの事実だ」

 

「それではゲートの所有権はどちらにあると思いますか?」

 

「二つの異世界を繋げているものだ。当然ながらそれぞれ一つのみ所有権があり、管理をする必要がある。ダンジョン内のゲートに関しては、オラリオの代表者は関心がないために日本の自衛隊に貸し与えるという形で収まっている。所有権はこちらにあるがな」

 

「では、ゲートの管理は現状維持のままで構わないということですか?」

 

「日本の問題をオラリオにまで巻き込まない限りは、オラリオもゲートの事は現状維持で構わないと、書面も預かっている」

 

発現した魔方陣から三つの巻物を召喚して大きく広げる。日本語と日本語の翻訳文字がある共通語で書き記したゲートの所有権についての説明文と既にロイマンが描いてくれたオラリオの名前とオラリオの象徴バベルの塔の徽章の判子が左右に三つもあり、片方はまだ空欄の状態だ。

 

「後はここに総理の名ではなく今後も入れ替わり続ける総理を総称として日本の名を書いて貰えば、ゲートが閉じるまでゲートの所有権と管理は双方の世界の国の物とする」

 

「そのような大切な物をお持ちとは・・・・・」

 

「念には念を入れていた。総理からゲートの所有権の話をしてくる可能性があったからな。しかし、他の各国の政府が黙ってはいなく四面楚歌となると思う。それでもこの書面に日本の名を刻む覚悟はあるかな? 別に署名しなくてもいいが、はっきりと所有権を主張したいなら、ここに日本の名前を書くべきだと思うな」

 

本位は真剣な表情で、力強く頷いた。

 

「わかりました。では、この場で署名をしましょう。よろしいでしょうか」

 

「もちろんだ」

 

魔方陣から召喚した大理石のテーブルの上で、本位は空欄に俺が用意したペンで日本の文字を巻物に刻みつけた。二つの巻物を魔法の収納カードの中に、最後の巻物は俺の手で切り裂いて“砲竜”の異名を持つ深層の竜種のドロップアイテムである巨牙を筒状に加工した物の中にオラリオ側の巻物を、もう一方の日本側の巻物を分けて入れれば本位に手渡す。

 

「これでゲートの所有権はオラリオと日本となった。仮に日本側で権利書が奪われたり紛失したとしても、オラリオ側で保管してある権利書があるから他の国の主張は無効となるが、絶対にそんなことが無いように頼むぞ?」

 

「心得ておりますイッセー殿」

 

「同時に、日本側でオラリオに対する方針やその他諸々の活動と言動をオラリオ抜きで独断で行わず、ダンジョンにいる自衛隊を介して俺に一報を入れて許可が下りるまで一切の行動はしないでくれ。もしも勝手にそんなことしたら・・・・・言わずともわかるよな?」

 

「はい、勿論です。必ずイッセー殿にご報告を致します」

 

「訂正させてもらうけど俺が許可を出すんじゃなくて、オラリオの代表者がするんだ。俺はその橋渡し役みたいな感じだけど報告・連絡・相談は人として大事だからな?」

 

どちらからでもなく握手を交わし合う。フラッシュが焚かれ明日の朝にはこの瞬間の写真が一面に載っているだろうな。

 

「イッセー殿。どこかに宿泊先が決めておられてないのであれば、我が家に招待しますが」

 

「いや、急なことで申し訳ないので今日はご遠慮させてもらう。でも、もしも許可をくれるならば国会議事堂の上空で寝泊まりさせて貰いたい」

 

「上空で・・・・・?」

 

どういうことなのか分からないものの、特別にと許可を貰えたので寝泊まりできる場所の確保ができた。後で驚くだろうな。

 

「最後にもう1つ質問をさせてください。イッセー殿のご両親も冒険者のようにお強いですか?」

 

「俺より強いことは確かだ。というか、俺の世界の日本は第二次世界大戦時にアメリカを打ち負かしてホワイトハウスまで乗り込んだ一族の当主だから尚更強いぞ」

 

嘘偽りなく言ったのに、どうしてだかシン・・・・・と場が静寂の包まれた。

 

「・・・・・イッセー殿のご家族が第二次世界大戦の時、日本に勝利をもたらしたというのは本当ですか?」

 

「大真面目に言っているぞ。俺の両親は天皇家だから嘘は言わない。実際に見てみたかったなー」

 

朗らかに笑うと、また静寂が場を支配する。はて? おかしなことを言ったつもりはないが。後ろから何とも言えない視線を向けられている気もする。

 

・・・・・数分後。

 

「最後は御願い事です。オラリオと日本を同盟国にし、ダンジョン内だけでなく、地上にも自衛隊の自由行動の許可、日本とオラリオの物資の売買の権利を得たいのですが」

 

気を取り直して本位から願い事、懇願された。

 

「うーん、同盟国は俺達の一存では決定できない。自衛隊の自由行動は本人達の意思で決めてもらっていいけど、命の保証はしないぞ。それと商売・・・・・異世界の言葉をマスターしてからでなら」

 

「ありがとうございます。因みに先程の翻訳を可能にする道具とマイクを売ってくださることは?」

 

「それなら後顧之憂なく売ってもいい。1つ十万円でな」

 

「買いましょう」

 

それから本当に質疑の問答会議は終わり、総理からは明日の朝に取引を行いたいと言われ日を改めることになったので。

 

「アデアット」

 

「えっ、ここでこれを?」

 

「前代未聞なことをするわね・・・・・」

 

国会議事堂の中で騎空挺グレートブルーを召喚した。アスナ達は目を丸くして、シノンの言うとおりに前代未聞なことをしようとしているのだ。

 

「どっかのホテルで泊まるよりは安心できるだろ。侵入されることも罠を仕掛けられることも無いからな」

 

「いや確かにそうかもしれないけどよ。これって木造だろ? 燃やされないか?」

 

「国会議事堂内でそんなことする外国人かいるなら、とっとと同盟関係を切っちまえって言うわ。それにそんなことされないよう高く宙に浮かせるから問題ないぞ。まだ不安要素あるなら言ってくれ」

 

『・・・・・』

 

「無いな?  それなら、乗り込むぞ。明日は必ずラーメンを食べるから安心しろよ光輝」

 

「ふん。でなければ勇者の剣の錆びにしてくれる」

 

「おいおい? 錆びにしたら切れ味が悪くなるだろうが。代わりに俺が勇者の剣を錆ではなく、明日ラーメンを食べる際にその剣と鎧に盾もニンニク臭たっぷりにしてやんよ」

 

「うわ、くっせぇー! 高級のニンニク勇者ご登場だぁー!」

 

「海童、上手いな。座布団一枚!」

 

「貴様等っ!! 首を出せ、叩き斬ってやるっ!!」

 

海童とからかうと光輝がキレて笑いながら逃げる俺達を追走してくる。ふははっ! 遅い、遅いぞ! 海童も難なく躱しているから、光輝が単純に下手糞なだけ・・・あー!! お前、船を切るんじゃねぇよ!!?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。