ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

134 / 135
相容れない勧誘

 

 

 

俺の知識に通りなら東京のこの場所に図書館何てものはなかったはずだ。しかし、この世界にはあるようで中に入ると広くて縦長のいくつものフロアを見上げれば見える。

 

「イッセー、ここが図書館? 凄い本の数ね」

 

「オラリオにも【ロキ・ファミリア】にも沢山の本が保管してあるぞ。さすがにこの世界の図書館には負けるが」

 

「私のホームにも書物あるよ?」

 

「イザナミがそうなら二人も?」

 

「ええ、イッセーにとって面白味はないと思うけれど」

 

「見てみたいならば見せてやるが」

 

勿論興味があるからイザナギの提案には首肯した。さて、ここでアスナ達にお小遣いを渡しておくかね。

 

「一人三万円を渡す。これでオラリオに戻っても読める本を買ってこい」

 

「おっ、マジで? それなら遠慮なく買わせてもらうぜ」

 

「この世界の漫画は何があるんだろうな。面白そうなのがあるといいな」

 

「ありがとうイッセー」

 

「ふん、礼は言わん」

 

男子が渡されるのを待つが、その前に全員で肩を組んで共通語で話しかける。

 

「可能性の話をするが、俺達を狙っている世界各国の工作員、拳銃を持った外国人が近くにいるかもしれない。だから光輝と大和は一人で動いていいが、海童とカズマは二人で組んで動け。アスナ達女子組も固まってくれ。アマテラス達は俺が守る」

 

「お前、本気で思って言ってるのかよ?」

 

「この機会しかアマテラス達を拉致できないんだ。俺ならそうする」

 

「イッセーさん。自衛隊、警察とかは?」

 

「大っぴらに動けないからな。密かに俺達を見守っているしかない・・・というか、バスに乗っていた伊丹さん達が近くに潜んでいる時点でさぁ・・・・・」

 

「なるほどね。それなら私達も固まりつつ警戒しないとね。ていうか、どうして異世界で狙われなくちゃいけないのよ」

 

「そりゃ俺達は異世界人ですから」

 

「勇者である俺を狙うとは無粋な奴らだ」

 

「お前というより、お前の装備だろうがな」

 

「そこは同意する」

 

陣を解き全員にお小遣いを渡したら、みんなはそれぞれ本を制限以内で買い出しに向かった。が、大和は俺達と離れず歩を揃えて動く。

 

「大和、一緒に来るのか」

 

「一応、俺の主神様が狙われているなら眷族して守らないとな。罪滅ぼしも兼ねて」

 

「その通り、確り私達を守って働きなさい」

 

「「・・・・・」」

 

複雑極まっていそうなイザナミとイザナギが大和を見ようとしないでいる。自分達を騙し陥れようとした相手の蓋を空けてみれば、自分本位の私情で眷族を顧みず、悪戯に死なせて傷つけ、心に傷をつけただけでなく、戦火に巻き込まれ住みかを奪われ、落武者となった二人の眷族達を元凶達から守るためだったのだから。

 

「それじゃ、三人は何を読みたい?」

 

「この世界の日本の文化かしら」

 

「歴史」

 

「二人と似たようなものを」

 

三人の要望に応じるため、その本があるフロアへと目指す。

 

アスナside

 

元の世界ではないけれど、それでも女性として見てみたかった雑誌を眺めれることができる。買いたいほど欲しいかは別だけれど、いくつかの女性向けの小説でも買おうかしら。それともなにも買わずに一着ぐらいお洋服でも買おうかな? イッセーとのデートに・・・・・。

 

「アスナ、雫」

 

隣にいたシノのんが目線を本に向けたまま小さな声で私達を呼んだ。その声音はいつもより低かった。

 

「イッセーの言っていた通り、外国人に見張られているわ」

 

「「・・・・・」」

 

「このまま何も気付いていないフリをして・・・・・」

 

「あの、すみません。少しお話いいですかー?」

 

シノのんがなにか言いかけたところで、一緒に私達とバスに乗っていた小柄(けれど恵まれた体)な女性自衛官が私服姿で話しかけてきた。

 

「え、えっと・・・・・」

 

「異世界から来た人達だよね? 是非ともお話を聞きたいなーって思っているけれど、お時間いいかな?」

 

初めて会う人のような口調と突然の誘い、だけれど彼が言っていた味方の自衛官が動いたってことは・・・・・そういうことよね。

 

「二人はどう?」

 

「別にいいわよ。他のみんなが戻ってくるまでならね」

 

「・・・・・私もです」

 

「よっしゃ! ありがとうね! それじゃあ、下の喫茶店でお話をしよう!」

 

彼女、栗林さんが雫ちゃんの手を取って私達を喫茶店に催促した。きっと、私達だけじゃなくて他のみんなのところにも・・・・・。

 

海童side

 

「キミ、話がわかるね」

 

「オジさんもいい趣味してるじゃないですかー。すっごい共感しますよ」

 

「ここで同志が見つかるとは嬉しいねぇ」

 

店主が言ってた伊丹さん達から俺達と初めて会った風に接触を受けた。もしかして俺達を狙う工作員が近くにいるのか? 片手に可愛い女の子の同人誌の本を持って、話が盛り上がっているのを見ているしかない俺は蚊帳の外に置かれている。

 

「・・・・・」

 

そんで俺のところにガタイのいい大男の人がいるけど、何とも言えない面持ちで伊丹さんを見ていた。

 

「あの、あの人は所謂オタクって人です?」

 

「あ、ああ、趣味のために仕事をする人だよ」

 

「なるほど、何となくあの人のことがわかりました」

 

俺もちょっとだけオタクの毛がある。猫耳娘とか見たら嬉しさではしゃぐタイプに違いない。ふっ、俺も同類だな。

 

「このあと、渋谷にでも行かないか? オジさん、メイド喫茶店に案内しちゃうよ?」

 

「メイド喫茶、実在していたんですか!」

 

「しかも猫耳のメイドさんがいっぱいだ!」

 

「猫耳!」

 

カズマ、オラリオに戻ればナマの猫耳の女性店員がいることを忘れていないか? おい、なにキメポーズをしてる?

 

「だがなオジさん。オラリオにも猫耳を生やした女性やエルフの綺麗なお姉さん、犬耳の女の子、さらには褐色肌の可愛いアマゾネスちゃんもいるんだぜ?」

 

「なん、だと・・・・・! ま、まさか金髪縦ロールのお嬢様もいたりするのか!?」

 

「いや、それは見たことないけど、探せばきっと見つかるはずだ。金髪のお嬢様ってなら俺の仲間にいるけど」

 

「くぅ・・・・・! オラリオは俺の夢の聖地だったのかよ! 俺も行きてぇー!」

 

・・・・・これ以上は他の人の迷惑になるな。大男、富田さんの力も借りて回りから厳しい視線を向けてくる人達から逃げるようにして離れた。

 

 

 

「・・・・・ふーん?」

 

横長机で集めた本を置いて読書する三人といたところ、複数人のアメリカ人が俺達を囲っては、目の前に座る男がこう言い出した。

 

「合衆国に招待したい。いますぐ我々と来て欲しい」

 

アメリカンの政府も狙っているだろうなと思っていたが、やっぱりだったか。そして、彼等が工作員ということだ。彼グラハムと名乗った白人に英語で返す。

 

「悪いけど、俺達のこの世界でのスケジュールにはアメリカに行く予定はないんだ」

 

「・・・・・我々の母国語を流暢に語れるのだな」

 

「これでも小さい頃は色んな世界に旅をしたからな。数ヵ国の言葉は話せるよ。こんな順序を無視したお誘いの言葉を理解できるようにな」

 

「・・・・・アメリカに来てもらえば何でも願いが融通できる」

 

融通、ね。する気が無いくせによく言うよ。

 

「グラハムさん、それは言っちゃダメだろ。何でも願いをって。あなた、その願いを果たすつ努めを全うできるのか? その権利を持っているのか? できる地位の人なのか?」

 

「・・・・・」

 

「大抵の人間はアメリカ人となって大金を欲しがったりたくさんの美女をハーレムにしたいって願いが多いし、中には殊勝な願いを叶えたい人間がいるだろうけど、どれもこれも、俺はオラリオで全て手にしているからいらないんだよ。オラリオはアメリカよりも暮らしやすいと言っても過言じゃない。なんなら、自営業だってしているほどだ。異世界の商人相手に金になる物を売っている」

 

カードから肉果実、ミルーツを出す。

 

「例えばこれ、ダンジョン内で育っているけど地上でも栽培できる高級品の果実だ。俺はこれを育てて販売している。食ってみるか? かなり美味いし、味にも驚くぞ」

 

突き付けるミルーツを受け取ったグラハム。未知の果実に緊張と興味が混ざった目を落として、少し逡巡した後にかぶりついた瞬間。

 

「―――ッ!」

 

大きく見開いた目が彼の心情を表す。

 

「味の感想は?」

 

「・・・・・。見た目に反して信じられないが、食べた時の感触が柔らかい肉そのもので、口の中に広がる牛とも豚とも鳥とも異なる肉汁の旨味・・・・・今まで食べたステーキを彷彿させるのがこんな果実だとは」

 

 「ふふん、どーやらウケがいいようで」

 

 してやったりと不敵に笑む俺は、その肉果実が詰まったリュックサックをカードから出した。

 

「さてグラハムさん。俺達から手を引くっていうなら、その果実が詰まったこのリュックサックを譲ろう。どうせ、俺達をアメリカに連れて行くプライベートジェットを用意しているんだろう?」

 

「・・・・・」

 

「アメリカには資源も軍事的利用できるもの全て提供は出来ないが、同盟国の日本から分け前を貰うつもりでいるなら、その中に希少性が高い物を交ぜてアメリカに渡してもらうよう俺からお願いしてやってもいい」

 

「希少性が高いものとは何だ」

 

「ダンジョン内でしか手に入らない物全般。その一つがこれ」

 

一本の白い動物の角をカードから出す。

 

「これはダンジョン内で極稀にしか手に入らないユニコーンの角だ。異世界じゃあこれを素材にした道具は病を治し、浄化するもの効果がある。この世界の人間にも通用するか分からないが、そこはアメリカの技術でどうにかしてくれ」

 

「・・・それらを我々に譲るというのであれば、やはり一緒に合衆国に来てもらいたい」

 

「―――まだ気づかないのか。これは譲歩の話をしているんだ」

 

ビシッ!

 

テーブルに罅を入れた。それだけで相手は緊迫の面持ちを浮かべ、俺に警戒する目で見てくる。

 

「何の成果も得られず、ただ任務の失敗に終わらせたいのなら、俺達を今力尽くで言うこと利かせてみろ。その時は、お前らの首が大統領のプレゼントになるだけだ」

 

「・・・・・アメリカと敵対しても構わないというのか」

 

「それは、今グラハムさんの言動次第とこれからの判断次第だ。あと、日本がどうなろうと生まれ育った日本じゃないから俺達には関係ない。しかし日本を占領してそのままオラリオに攻め込むって言うなら・・・オラリオの冒険者は黙ってないぞ」

 

「・・・先の未来は上が決める。お前達は合衆国に連れて行くのが我等の任務―――」

 

・・・・・交渉は決裂か。致し方ない。防音と視覚の遮断の結界を張った俺は・・・・・欲張りは身を滅ぼす、そのことを骨の髄まで味わわせてやった。命があるだけマシであると思わせる程度のな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。