ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚22

「ふぅ~、ようやく完成だ」

 

この世界風に則り他の商店と同じ石造。二階建てで奥行きのある建物は、西のメインストリートで構えてる他の酒場の中で一番大きく程広く建てられている。4軒分の敷地をフルに活用して創った店は比喩抜きで広い。店の看板には大きく日本語で『異世界食堂』と掛けられている。

 

「大きいのだな」

 

「三階建ても考えたけど止めた。掃除すんの面倒だしそこまで来るとは思えない」

 

「私は来ると思うよ?」

 

「手前も同感だ」

 

「あんな美味しい料理は貴方しか作れないものだしね」

 

一誠だけじゃなく同棲組も見上げて店の出来栄えに感嘆する。ただ、日本語で書かれた感じの文字は読めないらしく、五人揃って「何て書いてあるんだ?」と言われたぐらい分からなかったようだ。共通語(コイネー)の文字とは異なる文字は異世界から来たキリト達や転生者達ぐらいしか読めない。逆に読めることができるのは次元を超えた訳ありの者達だけなのだ。読めた上で自分に直接訪ねてくる人物は別世界から来た人間だと直ぐに認識できる。

 

「イッセー、陳列窓(ショーウィンドウ)もあるがあそこも店なのか?」

 

店の出入り口の左側、他に窓口があり何かを販売する為の陳列窓(ショーウィンドウ)が設けられている。椿がそれに右眼を向けながら指摘すると、一誠が「ああ」と首肯する。

 

「パンのみを販売する場所だ。どれ選んでも三個まで六十ヴァリスだ」

 

「・・・・・商売になるのか?」

 

「その分、他は割高にしてある。一番高いのは予約制でしか食べれない最高六千ヴァリスのオードブルって料理だ。肉と野菜、魚や穀物といった食材をたくさん詰め込んだ数人分もある料理で主に家族が食べるものなんだよ」

 

「そのオードブルって、私達でも食べた事のない味付けが施された料理もあるのかしら?」

 

無言で首肯する眷族の仕草に「食べたみたい」と食欲が湧き上がる。どれだけ食べても重さは変わらない超越存在(デウスデア)の体質は羨ましいと女性達から羨望されている故に後で予約しようと心に決めた。

 

「さて、店の方は終わったし残りは調理器具と食材や調味料の調達だな」

 

「私も手伝っていい?」

 

「報酬は?」

 

「コロッケ」

 

「それぐらいなら私もできよう。報酬はシーフードフライを頼んでいいか?」

 

「手前もするぞ!カレーを食べたい!」

 

「オムライスが食べたい」

 

「・・・・・私も手伝えたらよかったのだけれど」

 

鍛冶女神は惜しくも仕事があるので参加できない。少し羨ましげに眷族達へ視線を送り、それぞれ分かれて行動を開始した。その様子を少し離れた建物の屋根から見ていたヘルメスとアスフィ。心待ちにしていたと口端を吊り上げ浮かべた笑みのまま護衛兼付き添いの眷族の少女に話しかける。

 

「今夜もあの子の家で食べようかアスフィ」

 

「私に聞く必要ないでしょう。最初からそのつもりだったヘルメス様」

 

「ははは、そーいうアスフィも食べたい料理あるだろ?このヘルメスもそうさ。さて、他の神連中に教えに行こうかな。あの子の店が完成したってね」

 

翻る様に屋根からいなくなったと思えば空飛ぶ絨毯に乗ってどこかへ行く一柱と眷族。またいつもの神と眷族を集めて何時ものように食事を楽しむ。何時しかこれが習慣であるかのように日常となっていて数少ない楽しみの一つと数えている優男神は、羽付きの鍔広帽しを添えながら絨毯を飛ばす。

 

「イッセー君は本当に不思議な魅力を持っているな」

 

「はい?」

 

「いや、独り言さ。ただ、今日はあの子が改宗(コンバージョン)をする日だ。オレの【ファミリア】に来てくれると嬉しいなぁー」

 

絶対に面倒事を押しつけられて、苦労させられるから来て欲しくない半面、その苦労を分けられそうな相手が欲しいとと思っているアスフィの心は複雑だった。

 

「その願いどおりになってしまえば、神ロキや神フレイヤ辺りが潰しに来そうですがね」

 

「おいおい、怖いことを言うなよアスフィ。―――本気(マジ)でそうしかねないからあの二人は」

 

「そうですね。晴れて私も自由の身となってあの子の傍で生きるのも悪くないでしょう。今までお世話になりましたヘルメス様」

 

「ハハハ、冗談が上手いなぁ~・・・・・本当(マジ)そう思っていたりするのかな?」

 

苦笑いする主神に「さて、どうでしょう」と言い返した―――数時間後。

 

 

 

 

「さて、集まった神々からすれば今日は待ち望んだちょっとしたイベントをする日だ。ヘファイストスには世話になったけれど契約通り、俺は【ヘファイストス・ファミリア】から脱退して他の派閥に入団する。ヘファイストス、団長。色々とありがとうな」

 

あっという間に夜。『幽玄の白天城』の中では完璧に宴状態で酒や料理がたんまりと用意されている空間の中、改めて一誠は視線を一身に集めながら鍛冶神と団長に感謝の言葉を述べた。彼女等は眷族と仲間の言葉を受け取って微笑む。楽しい一年間、驚かせられた一年間があっという間に迎えたこの日が来てしまった事にちょっぴり残念そうに思いながら。

 

「どういたしまして。貴方の技術は鍛冶師(スミス)にとって大きな改革になるかもしれないけれど、結局椿は貴方の技術を盗めれなかったわね」

 

「代わりに大いに料理をごちそうになったぞ!」

 

鍛冶師(スミス)としてどうなんだ?と思う発言であるが誰も突っ込まない。

 

「そしてこの度、神々から厚い要望で俺は『異世界食堂』という店を開くことにした。今後からはあの店でも食べに来てくれ。普段作らない料理も作るからじゃんじゃん金を落としてくれよ」

 

「それは楽しみだね、実に!」

 

「はい、ありがとうヘルメス。それじゃ、長話と無駄話は省略させてもらって―――俺イッセーこと次の派閥を決めるイベントを始める!」

 

展開した魔方陣から様々な【ファミリア】の名が書かれたルーレットが出現したその瞬間。きらりと目を光らせた神々が、いたような気がした。ルーレットを見て今回投手する女神は前回当主した女神に訪ねた。

 

「ロキ、前回もこれで私の派閥で決まったの?」

 

「せやでファイたん。今回はファイたんがダーツをするやから―――うちのところに当てるように頼んだで」

 

なに、この緊張感(プレッシャー)は・・・・・。期待の眼差しを向ける男神から女神、更には他派閥の眷族までもが鍛冶神に注目する。

 

「・・・・・因みにイッセー。外しちゃったらやり直しだったりするの?」

 

「いや?一発に一度だけだから、改宗(コンバージョン)はせず所属はそのまま」

 

「うぉいイッセー!?それうち初耳なんやけど!何でファイたん時にだけ言うんや!?」

 

「え?普通そうだろ。カジノのルーレットだってやり直しはできないじゃん。それに言ったのは聞かれたからで、聞かなかったロキの不注意に過ぎない。でも、あからさまに外したらもう一回やり直しだから」

 

前回そんな設定はなかった!と異論を唱えるロキに一蹴する一誠はそれでもヘファイストスに注意する。無論、そんなことするつもりはないと名残惜しくも真面目に決めることを示し真摯な面持ちでルーレットの前に立ち、ダーツの矢を受け取って構える。

 

「それじゃ、ルーレット開始!」

 

豪快に回し始まる円盤。高まる緊張感の空気、一年に一度だけの決め合いがこの瞬間で全て掛っている。皆の視線が一身に背中に向けられている気配を感じ取りながら静かに矢を持つ手を掲げた。回り続ける円盤に文字は眷族でなければ見れない中でヘファイストスは左眼をスッと細め、凛々しい面持ちで―――矢を放った。回る円盤に真っ直ぐ飛来するその様に思わず立ち上がって見守る神がいる中、矢はルーレットに当たると掻き消えた。一体矢はどこの派閥に当たったのだろうか・・・・・注目の的は一誠の手で止められ全員で確認すると・・・・・。

 

「次の改宗(コンバージョン)先は―――【ガネーシャ・ファミリア】!」

 

「ガネーシャGETだぜぇえええええええええええええええっ!」

 

吼えるガネーシャ。対象的に残念がる神や悔しがる神がちらほらといるが「また来年がある」と次の機会まで虎視眈々と待つ姿勢の神々とうざったいほど狂喜のガネーシャとの温度差は激しい。

 

「さぁ、一緒に子供達を笑顔にしようではないか!」

 

「うーん、このテンションの神とこれから付き合うんだなぁ・・・・・」

 

「大丈夫だ。直ぐに慣れる」

 

「ハハハ・・・・・その言葉に妙に説得力というか長く連れ添った者の言葉は違うな」

 

シャクティの悟った言葉に感情が籠ってない笑いをしてしまう一誠は、不意に視界に入るオッタルへ視線を向けた。

 

「来年、フレイヤの派閥に入団したら真っ先に手合わせをしてみたいな」

 

何を言っているのだ、と一誠を知らない者の反応は間違ってない。だが、知っている者はそのま逆である。ただただ無情で一誠を見下ろす猪人(ボアズ)の武人は底知れぬ実力を見抜いていて、自分を無力化した転生者相手に打ち負かした一誠の力を、フレイヤを救いだした者を認め、こう言い返した。

 

「―――最弱。もしものその時が迎えるならば、望み通り手合わせをしてやる。逃げることは許さん」

 

「―――最強と勝負できる機会を捨てるなんてできないよ」

 

戦意の光を煌めかせて真紅のオーラを迸らせる。オッタルからも戦意(プレッシャー)と威圧を膨れ上がらせ対抗心を剥き出しにする。それを心から歓喜する銀髪の女神は頬を紅潮させ、恍惚の表情で一誠を見つめた。あの光景が最強の冒険者と真正面からぶつかって死の間際で散らす子供達の火花の最中、どんな変化を齎すのか魂を色として見る女神でも予測はできない。否、それがいいのだ。神の想像を超える実証が目の前で見れるのであれば、見なければ神ではない。

 

(ああ、楽しみ過ぎるっ。でも、お楽しみは最後にしなくちゃ勿体無いわ)

 

最初はガネーシャに譲るとしよう。来年自分の眷族となるならば、少年をたっぷりと濃厚に愛情と色情を捧げればいい。一年前、自分に啖呵切ってみせた彼の少年の言うとおりに・・・・・。

 

(貴方を全力で手に入れてみせるわ、期待していてね私のイッセー?)

 

オッタルとの睨み合いを終わらせて戦意を消しす。それからヘファイストスに寄っていく。

 

「ヘファイストス」

 

「なに?」

 

「今まで世話になった。故にこれをそのお礼として受け取ってくれ。【ヘファイストス・ファミリア】に所属してから打ち続けてきた作品の中で最高傑作の一品だ」

 

亜空間から二振りの剣を取り出す。鞘は紅と金色で意匠を凝らして長剣を収まっている一振りだけ、鍛冶神に丁寧に手渡し受け取らせる。少年に聞かず、主神として鍛冶神として長剣の出来栄えを確認しようと鞘から剣身をシャッと抜き放った。剣身は穢れを知らない輝白に菱形の赤、黄、青、緑、の魔法石が埋め込まれている。柄の部分は色違いで白色と紅色で意匠が施されていて、手に持っているだけで不思議な力を感じる。

 

「え・・・貴方、これっ・・・・・」

 

「『鍛冶』と『神秘』を併せ持つ俺しかできない芸当だ。俺も魔剣を打てることがわかったからそれに『神秘』のスキルも加えて『全力』で打ってようやく納得の一品ができたのがそれなんだ」

 

人懐っこい笑みを浮かべる彼は分かっているのだろうか。鍛冶師(スミス)の者であれば一目で瞠目する。―――神ヘファイストスが打つ作品と同等の、絶句させるほどの代物であると。現に団長の椿が大きく右眼を見開いて固まっていた。我に返ると自分も直で触れてみたいと二人に近づき、最高傑作を触れる。

 

「・・・・・これが、そうか」

 

「え、椿・・・・・?」

 

「く、くくく・・・・・っ!生きている内によもや拝める日が来るとは。しかも上級鍛冶師(ハイ・スミス)にすらなってもおらん輩に先を越される何とも痛快なことよな」

 

自嘲的な笑みを零したと思えば、隻眼の紅目を団長が認める神の領域に至った武器を作った少年へ鋭い眼差しを向ける。睨み付けるように見つめてくる椿は見た事無いと左眼を丸くする。決して敵意や殺意、怒り等の感じはせず純粋に負けず嫌いなソレに近かったような気がすると感じた。

 

「イッセー。手前はこれからもお前の家に住まわせてもらうぞ。この作品を見てしまっては【ヘファイストス・ファミリア】の団長の地位など放り捨ててお主に追いつくことに専念したくなるものだ」

 

と、そう言い残して「早速取りかかろう」等と言ってリビングキッチンを後にして言ってしまった椿をキョトンと見送ることしかできなかった少年の名を鍛冶神が呼ぶ。

 

「イッセー、まさかここまで辿り着くとは正直思わなかったわ。『神秘』のスキルもあれば(かみ)の領域に届くのかしら。それとも貴方だから・・・・・?」

 

「神の領域・・・・・?」

 

自覚が無いのね、とそれが怖いと溜息を吐く彼女は周囲の蚊帳の外の神々と眷族達を放っておいて困った様に笑みを浮かべる。

 

「貴方は『全力』で鍛冶をすれば、私が立っている領域に届いて肩を並べる程の技術なの。生まれて初めてのことよ。子供が私の領域に踏み込んでくるなんて・・・・・だから凄く嬉しい」

 

潤いに満ちた左目と紅潮する頬を晒す鍛冶神は大事そうに長剣を胸に抱える。譲ってくれるなら宝物として保管しよう。そして去る彼の後に団員達に見せびらかそう。きっと信じないだろう、無名の鍛冶師(スミス)が己の領域に踏み込むに相応しい武器を打ったのだと言われても頑なに納得せず直接確かめようとするかもしれない。しかし、【ヘファイストス・ファミリア】の方針で他人の技術を見ることも盗むことも禁じている。結局信じてもらえない団員達にどうしようもないと悟る。

 

「でも、何で一振りだけ?その剣は?」

 

「これは双剣のつもりで打ったんだ。そっちは紅月、こっちは白陽。兄弟、雌雄、夫婦の剣みたいに離れても絆が繋がっていると証をあげたかったんだ」

 

理由を聞くとますます鍛冶女神の顔を赤らめさせた。それはつまり、婚約指輪(エンゲージ・リング)。神々が言う、『プロポーズ』なのだ。知ってか知らずか定かではないが、純粋に繋がっている絆の証として具現化、創りだして雌の剣を女性に、雄の剣を男性の手に分けた少年に―――。

 

「(イッセーの奴は知ってて渡しおったと思うか?)」

 

「(完全に純粋からしているだけだと思うよ。「離れていても絆は繋がっている」と口にもしてしたのだからね)」

 

「(せ、せややな?こんな人前で堂々とあんなことするとは思えへん)」

 

「(・・・・・)」

 

「「「(((なのに、何でリヴェリアから魔力が見え隠れしてるっ?)))」」」

 

絶世の美しさを誇るハイエルフに戸惑う古くから付き合いのある三人。理性で堪えているが漏れる魔力はそれでも隠し切れてなかった。どこか危うさを窺わせる彼女に主神は耳打ちする。

 

「(イッセーのスキルは神々にも影響を及ぼすもんや。無意識、無自覚であろうがなかろうが色ボケ女神のように周囲を魅了してしまう。未だって無自覚でしているもんだから落ち着いてやリヴェリア)」

 

「(・・・・・わかってる)」

 

それから宴会が始まって異世界の料理を舌鼓、好みの料理をたらふく食って満足したり未知の味の料理を食べて感動する、酒の飲み比べが始まる等と賑やかな光景を静かに見守りながら腹が満たした程度で食べた一誠は―――そっといなくなって部屋に戻った。薄暗い部屋に明かりを灯して本棚に足を運ぶと一冊の本を取り出した。

 

『魔法は先天系と後天系の二つに大別することができる。先天系は言わずもがな対象の素質、種族の根底に関わるものを指す。古より魔法種族(マジックユーザー)はその潜在的長所から修行・儀式による魔法の早期習得が見込め、属性には偏りが見られる分、総じて強力かつ規模の高い効果が多い』

 

ページをめくる。

 

『後天系は『神の恩恵(ファルナ)』を媒介にして芽吹く可能性、自己実現である。規則性は皆無、無限の岐路がそこにはある。【経験値(エクセリア)】に依るところが大きい』

 

ページをめくる。

 

『魔法とは興味である。後天系にこと限って言えばこの要素は肝要だ。何事にも関心を抱き、認め、憎み、憧れ、崇め、誓い、渇望するか。引き鉄は常に己の中に介在する。『神の恩恵(ファルナ)』は常に己の心を白日のもとに抉り出す』

 

【絵】が現れた。顔がある。目がある。鼻がある。口がある。耳がある。人の顔だ。真っ黒の筆跡で編まれ描写された、瞼の閉じた人の顔。紋章の絵。

 

『欲するなら問え。欲するなら砕け。欲するなら刮目せよ。虚偽を許さない醜悪な鏡はここに用意した』

 

―――違う。【兵藤一誠の顔】だ。額から上が存在しない一誠の顔面体、

 

―――違う。【仮面】だ。一誠のもう一つの顔。一誠の知らない、もう一人の本心(じぶん)

 

『じゃあ、始めようか』

 

瞼が開いた。自分自身の声が聞こえた。文字で綴られた隻眼の瞳が自分自身(いっせい)を射抜く。短文で形成された小さな唇が言葉を紡ぐ。

 

『俺にとって魔法って何だ?』

 

一握りの人間が持つ奇跡と偶然の神秘だろうな。

 

ページをめくる。

 

『俺にとって魔法は?』

 

力だ。強い力。森羅万象、天変地異ですら起こすことが可能な絶対的な力であり奇跡でもあるし天災でもある。異常現象(イレギュラー)でもある。

 

ページをめくる。

 

『俺にとって魔法はどんなものだ?』

 

決まってる―――。奇跡と人では予想できない異常(イレギュラー)の塊だ。人間だけじゃなく、人間でもない種族ですら当然のように扱えるそんな夢みたいな現象だ。

 

『魔法に何を求める?』

 

俺が会いたい、俺を会いたい人のもとへ。

 

俺を待つ家族、待たせている家族のもとへ。

 

互いが想い焦がれる程の憧憬の如く、その気持ちを応える繋がりを欲しい。

 

どれだけ遠い次元と時空を超えた場所でも皆が顔を笑みで浮かべて、直接出迎えてくれることができる。

 

皆の前で。皆の隣で。

 

俺と一緒に今まで生きてきた皆とまた―――。

 

『それは過去?それとも現在?それとも未来か?』

 

―――――全部に決まってる。

 

どっちも俺にとっては大切な時を刻んできた。かけがえのない大切な現実をどっちか一つに選べと言われても俺は両方だと両腕を広げて言い切り、両腕で抱えて大事だと言い張る。

 

『我儘だなぁ。そして強欲だ』

 

そうだな。

 

『だが、それがお前(おれ)だ』

 

本の中の自分自身(いっせい)は、最後に微笑んだ。そしてすぐに、一誠の意識は暗転した。魔導書(グリモア)を読んだ末に・・・・・机に突っ伏して眠りに入った。背中の【ステイタス】に初めて浮かぶ魔法の名前と呪文を知らずに。

 

「―――ん・・・・・?寝てたか」

 

眠りから覚め身体を起こすと視界の端に誰かが立っていた事に気付いた。振り向くとエルフの少女が手を伸ばそうとしていた仕草の姿勢で固まっていた。寝ていた一誠を起こそうとしていたのだろうか、どうした?と視線で訊ねると「何時の間にかいなくなっていたので」と返された。

 

「部屋にいるのかと思い、勝手ながら入ってしまいましたところイッセーさんが寝ていらしたので」

 

「ああ・・・・・改宗(コンバージョン)をする前に魔導書(グリモア)を読んでおこうと思ってな」

 

魔導書(グリモア)・・・・・っ!?」

 

 

絶句する彼女を他所に「風呂に入ってくる」と言い残し、着替えを持って風呂場へ向かった一誠の背中を見つめるアリシア。真紅の長髪を揺らしながら浴室へ入って行った彼を見送ると、奇天烈(ガラクタ)と化した分厚い本を一瞥し手持無沙汰になってしまい出てくるまで何もすることも無くなった。何気なく少女は部屋の中を見渡す。豪華な天蓋付きのベッド以外至って普通の家具しかない一つ、棚に収まっている数多の本が視界に入り、勝手ながら読ませてもらおうと近づき手を伸ばす。薄い本から分厚い本まであり、長く読めれる分厚い本を棚から取り出して開いて見ると絶句した。

 

「こ、これって・・・・・魔導書(グリモア)っ?」

 

一度読めば魔法を強制的に発現できる書の価値を知っているが故に瞠目して声が震えた。まだ全部読み終えていないなく幸い効能は残っている。バンッ!と焦燥で本を閉じて棚に戻しつつ恐れ戦くように呟く。

 

「まさか、全部同じ物ではないですよね?」

 

この場に一誠がいたら「そんなことはない」と言うだろう。が、読み終えた一冊も含め十冊ぐらいあると言われれば驚倒する自信はあるアリシアは恐る恐ると別の本を手にして―――途中で取れなかった。不思議そうに取れない本を調べてみて、巧妙に作られた本に似た何かだと分かり、「何でこんな本を?」と思いながら途中までしか引けれなかったその本を押して、更に奥まで押し込んでしまって作動させてしまった。沈む棚は足場となりその向こうから金色の輝きを発する口を開く空間が少女(エルフ)を出迎え、言葉を奪った。

 

「す、凄い・・・・・」

 

見た事のない膨大なヴァリス(おかね)の量の山。一生懸けても自分では稼げれない額であることは嫌でも分からされる中には化け物の宝(ドロップアイテム)までもがあった。上層から深層、ありふれたものから希少価値のあるドロップアイテムを始め、金属や鉱石、原材料として扱われている植物やダンジョンの中で採れる植物まであったり陳列窓(ショーウィンドウ)の棚の中に収納されている。まるでここは金庫というより保管庫みたいだと思わせる。ただのヒューマンではないことはあの事件から知っていたが、眼前の財宝を目の当たりにしてますます不思議と疑問が―――。

 

「何をしている」

 

「っ!」

 

聞き覚えの声が体を跳ね上がらせ、意識と共に視線を振り向かせた。片目を瞑って困った子を見る親のようにアリシアの背後に立つリヴェリアやアイズ、アリサ、ヘファイストスに椿までもがいた。

 

「リ、リヴェリア様」

 

「知らなかったとはいえ、無断で開けてしまったか」

 

「知っていたのですか?」

 

「一年もこの城に同居させて貰っているのだ。からくりの一つや二つは知ってくる」

 

出ろ、と催促し金庫から少女を出ていくのを確認した後。足場となっている棚を更に押し込むと棚が金庫へ穴を塞ぐように上昇し、元の本棚として戻った。

 

「当然だが、この事は他の団員に他言無用だ」

 

「は、はい・・・・・あの、リヴェリア様達はどうしてここに?」

 

「お前とあいつが戻って来ないから様子を見に来た。それと神ヘファイストスが聞きたい事があるそうで話を窺いにな。だが、お前は何故ここにいる。女一人、しかも夜中に男の部屋にいるとは些か無謀備ではないか。一応、あいつも男だぞ」

 

王族で副団長を務めている彼女の言葉に籠った意味深な意図を察し、翼の中で口付けをした記憶が鮮明に思い出してほんのりと朱を染た。あの口付けより先の行為・・・あれ以上の行為の知識は心得ている少女は、男と女が暗い部屋で何するか分からんでもないだろ、とも暗に言われ「あ、あの人はあのヒューマン達とは違いますっ」と言い返したその反応にハイエルフは訝しく訪ねた。

 

「アリシア・・・・・まさかだと思うが惚れてしまったか?」

 

「っ・・・!?」

 

―――硬直

 

否定の文字が頭に浮かばす、拒絶の言葉が喉の奥につっかえて出ず、押し黙るアリシアが沈黙を肯定としてリヴェリアにそう認識させた。

 

「存外、あやつは人気者であるようだな主神様よ」

 

「・・・・・ええ、そうみたいだけれど貴女もあの子のこと、どう思っているの」

 

「うむ、鍛冶師(スミス)として手前の良き好敵手(ライバル)であり良き相棒。それは間違いない」

 

ずっと共に同居していた眷族の気持ちを改めて知ろうと訊ねてみた。が、神の領域に届いた鍛冶師(スミス)の評価は勿論だが鍛冶神からすればそういうことを知りたいわけではない。純粋に異性としてどう思っているか直接訊いて―――。

 

好敵手(ライバル)として、他の鍛冶師(スミス)の男共より気に入っている半面、良い男だと思っている。ずっと隣で鍛冶をしている内に心地よさも感じたのも、今の生活の楽しさも手放したくない。そう感じて過ごしていたら何時の間にか手前は、あの至高の武器を作った男に無縁だと思っていた感情を覚えたのも否定はしない」

 

まさかの恋敵の登場に左眼を丸くして「ここからイッセーの臭いがする」と極東の女神達の登場で更に混沌と化していくのを湯に浸かってのんびりと翼を伸ばして入っている少年は気づかない。

 

一誠の浴場は逆さまの凸型だ。全身を伸ばせ、肩まで浸かるほど底は深く広い。男湯と女湯より狭い造りだが満足している。仰向けの状態で水面に浮かんでいる。今日一日張り詰めていた神経や手足の先まで凝り固まった疲労感が湯の中へ溶けていくような、そんな至福の時間を好む。何時までもこうしていたい欲求が悪魔に囁かれる耳の反対側で妥協してはダメだと天使が抑制する幻聴等、お湯の中まで浸かっている耳に届きやしない。因みに出っ張っている部分の風呂は個の湯船で四方形の部分は流れるプールのようにゆったりと渦巻き、流動体の動きをして一誠の全身を流していく。

 

「・・・・・?」

 

不意に―――。

 

閉じた瞼に広がっていた白い光が遮られ、一誠の顔が影に覆われる。不自然な暗闇に怪訝で瞼を開けた途端・・・。

 

生まれたままの姿の女神が両手を広げて水面に浮かんでいる一誠に向かって落ちてくる瞬間だった。

 

「(・・・・・はっ?)」

 

ヘファイストス達が風呂場に入ってきたと同時に水飛沫を飛ばす水柱が小規模に生じた。一体何をすれば水柱ができるのか理解ができず、静寂が再び迎えた最中。流れる湯から気砲が湧き、二つ分の真紅と黒髪の頭が浮かび上がった。

 

「ぷはっ、イザナミ、いきなり何をするんだよッ!てか、何で風呂にいる!?」

 

「イッセーがいなくなっていて、風呂にいると分かったら一緒に入ろうと思った・・・・・だめ?」

 

「・・・・・フリーダムな女神だな―――って、何で揃いも揃って皆もいるんだよ」

 

風呂場にいる異性達の存在にも気付き、湯に浸かったまま意識と視線を向ける。翼で局部を隠しながらあからさまなお約束の反応をすると、当然の否定の返しをするリヴェリア達は、それでも神々の眷族となり神々から与えられた恩恵によって、常人よりも五感が敏感になり強化したその一つ、視力が自然と肩まで浸かっている少年の体を―――。

 

「変態」

 

『違う(違います)』

 

 

入浴を中断される形で風呂から出て、着替えた少年は水気がある自分の髪を拭きながら部屋に来訪してきた女神と女性陣に囲まれる中で問うた。

 

「待て、何時の間にフレイヤまでいる」

 

「貴方と寝に来たのよ?」

 

美の女神、フレイヤと当たり前のようにいるオッタルへ。物凄く困った面持ちでリヴェリアへ何か言いたげな視線を送るがどうすることもできないと静かに首を横に振られ、肩を落とし渋々とヘファイストスに訪ねた。

 

「こんな夜中に男の部屋に来て一体何なんだ?」

 

「覚えてない?貴方の秘密を気が向いたら教えてくれるって。今日がその一年経った日だから教えて欲しいの」

 

ヘファイストスと椿はその目的でいると伝え、リヴェリアとアイズは二人の同伴、アリシアは私的に話しをしたくている。アマテラスとイザナミは久々に接したいと言う理由でこっそり本拠地(ホーム)から抜け出した様子。

 

「ソンナコトイッタッケ?」

 

「イッセー、あからさま過ぎるぞ」

 

声音も不自然過ぎる、と呆れた風に息を吐くハイエルフだけじゃなく皆もそう感じていた。秘匿し続ける秘密とは何なのか、この場にいる殆どが知っている中でヘファイストスと椿、空気を読んで訊く姿勢のアリシア達はジッと件の少年へ視線を注ぐ時。

 

「・・・・・知らない方が幸せだって時もある。今の関係を自分から壊すようなものだから話したくないが?」

 

左眼から窺える真剣な眼差し。ふざけた秘密ではないことはリヴェリアとアイズ、アリサにアマテラスとイザナミは知っている。でも、知らない鍛冶神とその眷族の団長はそれでも、と気持ちを込めて口を開いた。

 

「貴方と私達の関係が壊れるほど、貴方の過去はとんでもないの?それがあの【ステイタス】の謎と関係しているのかしら?」

 

「過去じゃない。俺という存在自体が知られたくないという本音だ。さっきも言ったように知らなければ良かったと、知らない方が幸せだって思うほどだぞ俺の秘密は。特にヘファイストスとアリシアの心と精神的に深く衝撃を与える。だから―――生半可な気持ちと覚悟でいるなら絶対に教えない。それでも聞きたいというなら、これから見聞させる事の後、受け入れたくないと思ったら二度と俺の前に現れないことを約束しろ」

 

その方がお互いの為になる。と床に広がる魔法円(マジックサークル)が展開した。それは何の意味を成しているのか分からない彼女達は瞠目する最中、視界が真紅の光に塗られて意識が遠のいていく感覚を覚え・・・リヴェリアとアイズとアリサは二度目の侵入、その他は初めて訪れた―――青い空の彼方や大海原、大草原に広大な森が一望できる一誠の心の中。一同は周囲の景色を見渡す。

 

「ここ、は・・・・・?」

 

「ん、俺の深層心理の世界。ぶっちゃけ、俺の心の中に皆の精神体だけ引っ張って招いたんだ。ここは現実世界ではないからここで何しようが何がいようが現世に何ら影響は及ばない。勿論、自分の体もな」

 

一柱の女神は目を輝かせていたが気にせずヘファイストスの要望に応じ始める。皆の前に立ち眼前で天使化となって説明を述べる為に口を開きだす。

 

「まず最初に。俺は見ての通りヒューマンじゃない。【天使(テ・シーオ)】の姿になっているが、この姿になれる特殊な力を持っているから変身できるんだ」

 

「ヒューマンでも【天使(テ・シーオ)】でもないなら・・・・・貴方は一体何者なのですか?」

 

素朴なアリシアの質問を彼の少年は淡々と言い返す。

 

「異世界から来た化け物だよ。他の奴らと同様、異世界から来た存在。最上級冒険者を圧倒する力を持っている連中と変わらない存在だ。俺を除いてな」

 

「・・・・・異世界?イッセー、貴方、何を言ってるの?それが貴方やロキが私に打ち明けなかった秘密なの?」

 

「ああ、そうだって言いたいけどそれも含まれている秘密の要素。ただの異世界から来た存在だったら気兼ねなく言えるんだが、言っただろう?俺はヒューマンじゃないって」

 

そう意味深に言った時だった。草原が地鳴りで震え、空からは無数の巨影に太陽光を遮られどちらもこの場に近づき、ソレ等が現れた。凶暴で獰猛そうな顔、全身に綺麗な金色の体、三つ首の化け物、巨人、蛇の様な巨体、体が樹木、蒼い巨躯、羽ばたかせる白黒の翼―――。

 

姿や形は様々であるもののどれも凄まじい威圧(プレッシャー)迷宮の孤王(モンスターレックス)より誇る巨体、無情で鉄仮面を被っている如くのオッタルでさえ、錆色の瞳を丸くした。【ロキ・ファミリア】の団員以外の神々と眷族達の開いた口が塞がらなかった。自分達を取り囲むようにして現れ、化け物からあり得ない理知的な眼差しを向けてくる化け物達の他にもう一人、

 

「俺は―――俺達は―――異世界から来たドラゴンだ」

 

右眼の眼帯を外した途端、全身から発する真紅の光に包まれた少年の体は人間の殻を破り、他の化け物とは変わらない全長百Mは優にある巨大な真紅の龍、化け物と化して真の姿を晒した。モンスターだと既に知っているアマテラスとイザナミであるが、ここまで巨体を誇っていた一誠を見た事無いと愕然の心境で目を見開いた。

 

『これが、お前等が知りたがっていた俺の秘密だ。これで満足したか』

 

「「「「「―――――っ」」」」」

 

秘密の真相は、ヒューマンの皮を被ったモンスターであること。あまりにも衝撃的な事実だった。誰もが予想すら浮かべることはできない一誠が抱えていた秘密を知って、慕っていた女神やエルフからすれば夢であれば覚めて欲しいと願うばかりだった。しかし、他にも疑問するべき事がある。椿がそれに口にする。

 

「リヴェリア、お主等は何故動揺しない?」

 

「我々は既に知っているからだ」

 

眼前のモンスター達や本来の姿で秘密を明かした一誠にうんともすんともせず様子を見守る風に眺めている都市最強魔導師と小さな剣士の幼女達。驚かない方が不思議で不自然だ。都市最大派閥の眷族として絶対に反応するべき者が―――知っていた?ヘファイストスはようやく合点したとばかり、あの時のロキや一誠の言動を理解した。

 

「そう言うこと、ね。ロキが言い辛そうだったのは貴方がモンスターだったから」

 

『この世界のモンスターは人類の天敵。モンスターの俺が正体を晒してこの世界で生きていられる筈がないだろう?だから元人間として、冒険者になって元の世界に帰るその日まで正体を隠したまま生きることにしたんだ』

 

「・・・・・元人間?貴方が?」

 

『ん、そうだ。俺は以前、仮死状態で死に掛けた時にとあるドラゴン達に助けてもらってドラゴンの肉体の一部に俺の魂を定着させたんだ。その結果こうして生き長らえつつもモンスターの体で過ごしている』

 

金眼を輝かせ、ヘファイストス達に・・・・・小さな濡羽色の幼女が巨大な真紅のドラゴンと共同で仮死状態のまだ幼かった一誠をドラゴンとして復活させたその当時の記憶を見せた。

 

「これが・・・・・今の貴方の成り立ち」

 

『アマテラスやイザナミにイザナギはここまで知っていなかったが、モンスターでありながら俺という存在を受け入れてくれている。ロキとフィン、ガレスにも俺の過去を教えている』

 

「お主が異世界から来た元人間でモンスター・・・・・では、何故ダンジョンのモンスターのように手前らを襲わん?」

 

『俺がこの世界の人類と神々に襲う理由、あると思うか?椿、そんなことして俺に何の得がある?あろうがなかろうが必要じゃなかったり興味のないことをする主義じゃないんだよ』

 

呆れが籠った溜息を吐きながら言い返す。間も置かずフレイヤが銀瞳を上に向けつつ話しかける。

 

「貴方の世界はどんな世界なのかしら?」

 

『同姓―――ってわけじゃないが、俺達の世界は神々が存在している。フレイヤ、お前やヘファイストス達と同じ名前の神々がな。フレイって男神もこの世界にいるだろう?オーディンもだ』

 

「・・・子供達が知らない筈の名前を知った風に言われるとは思いもしなかったわ。じゃあ、貴方の世界の私はどんな感じなのかしら」

 

『人間の魂を色として見ていて、愛と情欲を司る女神、ロキと交流もあって鷹の羽衣を貸していたって聞いたことがあるな』

 

ほぼ、自分と変わりない異世界の自分(フレイヤ)に心底興味が湧いた。所有物の名前まで出されて無反応でいられる筈がない。

 

『因みにオッタル。お前は同じ名前の獣の猪でフレイヤに飼われていたぞ。後はたくさんの猫に台車を引かせてもいたっけ?四人の小人族(パルゥム)と肉体的な関係もあるって神話で書かれていたな』

 

その語られる話しの中には自分の眷族達まで関わっていた。ヘファイストスも気になって訊ねてみるも、名と司るものも同じであるが性別までは同じではないことを知り、凄まじい衝撃を受けた鍛冶神は半ば放心する。

 

『まぁ、俺の世界の話はおいおいするとして』

 

ドラゴンからあっという間に人の姿に戻る。一誠は指を弾き鳴らしたと思えば、目の前がグニャリと歪み意識が朦朧とする中、薄暗い部屋の中にいる自分の体に戻った事に気づく頃には、

 

「人間の皮を被ったドラゴンと、これからも交流する気、あるのか?ないなら金輪際、俺と関わるのは止めておけ。お前等が不快な思いをするだけだかんな」

 

淡々とそう言う一誠の顔を視界に入れていた。少年の心から離され現実世界に戻ってきた彼女等は、更に言い続けられる。

 

「だけど、俺が今まで言った事ややった事は心から本心だと言わせてもらう。モンスターの体でも心は生まれてからずっと人間なんだからな」

 

来る者は拒まず、去る者は追わず。と相手の気持ちを尊重する一誠の話に耳を傾けていた彼女達は心の整理をして、自分の気持ちに向き合ってどうしたいか答えを出してから訊ねた。ヘファイストスはリヴェリアに問う。

 

「【九魔姫(ナイン・ヘル)】、貴女はイッセーのことどう思っているのかしら?」

 

神の前では嘘を吐けない。リヴェリアは鍛冶神からの問いに嘘を吐かず答えた。

 

「ロキ達ともこれからずっと交流していきたいと思っている。異世界から来たモンスターだとしても我々やオラリオの害にならないなら、無理に討伐する必要も無いとも思っている、神ヘファイストス」

 

「・・・・・質問を変えるわ。【ロキ・ファミリア】の副団長が本拠地(ホーム)から離れて私の眷族の家に【剣姫】と【焔姫】一緒に同棲するほど、彼のこと異性としてどう思っているのかしら?」

 

「・・・・・」

 

ドストレートに追及され、一瞬の躊躇をするハイエルフ。皆の前で自分の恋心を曝すような真似はしたくない。神からの問い詰めに対してできれば隠し通したかった答えを目を瞑って溜息を吐いた。困った女神だと。

 

「愛している」

 

「っ・・・・・」

 

嘘は吐いていない。具体的に問い詰めずとも彼女は本心で言っている。異世界のモンスターに好意を寄せているのだと聞いた本神が信じられないものを見る目で左眼を丸くした。

 

「私もこの感情をモンスターに向けるべきではないと自覚している。だが、あいつはダンジョンのモンスターでは無い。そう認識してイッセーといると我々を驚かせ、楽しませ、美味い料理を作ってくれる人間と変わりない言動ばかりをする。とても我々人類と神々が忌避するモンスターとは思えない日々を暮らし、あの事件の時本気で私達の為に怒って救ってくれたのだ。『スキル』の影響もあるだろうが、私は・・・・・イッセーのことが好きになってしまった。愛しているのだ神ヘファイストスよ」

 

素直に現在抱いている感情を、想いを告白するリヴェリアがヘファイストスから言葉を失わせた。ハイエルフの告白にエルフの少女は戸惑いの色を顔に浮かべて一誠に訊ねた。

 

「モンスターなのに私達を助けたのはどうしてですか。リヴェリア様の為ですか?」

 

「いや、違う。単純に二年も過ごした仲間だったからこそ助けた。何より極東で体験したからな。オラリオでも似たような事は起きるかもしれないと思っていたけど、実際に起きてリヴェリア達が巻き込まれた。だから皆を助けた。それだけだ」

 

アリシアからの質問に答えている一誠も真摯に本音で語る。だから、と断言した。

 

「これは正義感じゃない、個人的な信念だ。この先もあーいう連中がオラリオに現れるかもしれない。またリリア達があんな酷い目に遭わない保証はない。異変が起きたり感じたりでもしたら全力で対処してそいつを潰す」

 

「どうしてそこまで・・・・・?」

 

「昔の俺と被ってしまうんだよ。モンスターになる前の俺は凄く弱かったから、周りから良く虐められていた。理不尽なまでにな。だから理不尽な目に遭っている、運命で生かされている奴はどうしても放っておけなくなるんだよ。アリシア、お前も好きでもない男に犯されそうになって嫌だっただろう?それが見るのが嫌なだけさ」

 

背中からドラゴンの翼、臀部辺りにモンスターの尾を生やして額からも角を生やす。

 

「俺はこの体になってモンスターに転生してから、運命という奴に抗うようになった。逆に言えば逃げてるんだよな、弱い俺を置き去りにして。それが良いのか悪いのか今でもわからない。だけど、後悔はしてないのも事実。大切な仲間を助けることができるんだからな」

 

ヘファイストス、椿にアリシアと呼んだ。

 

「こんな俺でもまだ交流をしてくれるのか?」

 

その問いを唇に転がし、顔からどこか不安と寂しさが滲んで浮かんでいた。口を閉ざして二人の答えを待っている少年を見つめ、しばらく考えた末にに最初にヘファイストスが言った。

 

「イッセー、教えて。あの時、私に告白したあの言葉に嘘偽りはない?」

 

「ない」

 

間も置かず、直ぐに答えた。だが、直ぐに返されて本心が読めず適当に言われたような気もしてヘファイストスは満足しなかった。言葉だけなら誰だって言えるのだから。

 

「言葉じゃなくて行動で示して欲しいわ」

 

二人だけの秘密の続きを、再現させようと魂胆の主神に怪訝な目で見つめる。

 

「見た筈だぞ。俺のもう一つの姿、ヘファイストスの傷の方が可愛いと思われるほどの恐い顔を。なのに行動で示せって何を考えている?」

 

「貴方だって自分のこと醜い顔だと言った割には、正体がモンスターであって別に醜く思えなかったわ。そして、私が知っているモンスターは神の領域まで踏み込むことを許される武具を打つことはできない」

 

鍛冶神の手は伸びてそっと額の角に添えられた。手の平に伝わる温もりは、自分が知っているものと同じだ。モンスターに転生した人間等、聞いただけでは信じられない事実。こうしてその証拠と証明たる実物が存在しているからには受け入れざるを得ないヘファイストスは確かめるように角に触れる。

 

「異世界のモンスターの角って、ダンジョンのモンスターと変わらないのね」

 

「それ、訂正してくれないか?俺に肉体の一部をくれたドラゴンは、俺の世界じゃあ神や最強のドラゴンを上回る『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッドってドラゴンなんだぞ」

 

偉大なる龍をダンジョンのモンスターと一緒にするなと不快で眉根を寄せる一誠からの発言で、ヘファイストスを始め、神々から眷族達まで驚いた雰囲気を醸し出した。

 

「・・・・・そう、なの?」

 

「俺の記憶で見ただろ。真紅の龍、あのドラゴンがそうなんだよ。それと濡羽色の幼女もドラゴンで無限の体現者、無限の魔力を有する『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィスって俺と同じ人の姿をしたドラゴンだ。彼女の力も俺の中に宿っているから、俺自身高性能(ハイスペック)なんだよ。それをダンジョンのモンスター何かと一緒にされたくないし、俺に体と力をくれたドラゴン達を侮辱しているようなもんだ」

 

半目で鍛冶神を見据えて命を救ってくれた恩人もとい恩龍への侮辱は許さないと視線に籠めて訴えた。世界が違えれど、同じモンスターといえど格まで同列扱いされては黙ってはいられない少年から感じる有無を言わせない威圧は、主神に息を呑ませた。

 

「ついでに言うけれど、アリサの剣とあの二振りの剣。俺の角で打ったやつだからな」

 

「えっ!?」

 

体の一部から作製した剣。それを教えられるとおっかなびっくりをする。そんなことをして体は大丈夫なのかと気持ちが過り、今さっきまで触れていた角から手を離してしまう。

 

「角を?でも、生えているけれど・・・・・」

 

「細胞レベル的に治癒能力を爆発的に活性化、集中させれば生やせるんだよ」

 

徐に角を触れて握ったその手は、自分の意思でボギッと鈍い音を鳴らして折った。角の中まで通っていた血管からドラゴンの血を噴き出して真紅の色とは違う真っ赤な色を一誠の髪に染めていく最中、折れた角の表面が盛り上がって折られる前の角に再生した。改めて一誠という存在を思い知らされる一同。

 

「・・・・・自己再生。本当にモンスターなのね。痛くないの?」

 

「とある諸事情で痛覚が鈍くなったんだ。こう、針に刺された痛みが感じる程度にな」

 

折った角を椿に投げ渡した。

 

「俺の体はグレートレッドの肉体の一部そのもの。だから異世界に存在する全ての神より強いドラゴンの角でもある。その大きさなら短剣ぐらいは作れる筈だ」

 

異世界の偉大なドラゴンの角を素材として与えられた椿。手に収まる熱が籠った角の重さは意外と少しだけ重たかった。その重さこそが異世界のモンスターの貴重な代物だと表しているような感じを覚える隻眼の少女は手の中の角を見た後、この素材をくれた少年へ「よいのか?」と気持ちを込めた視線を送る。

 

「餞別の意味で上げたから遠慮しなくていい」

 

「・・・・・できればこれより巨大な角が欲しいところなのだが」

 

「椿、あなたねぇ・・・・・」

 

眷族が零す失礼極まりない不満に鍛冶神は額に手を当てて呆れる。贈物に文句、ケチを付けるなど例え気を許した相手だとして言っていいことと悪いことぐらいある。なので、黒髪に向かってお仕置きとばかり叩いて角を奪うように手にすると、一誠へ放り投げた。

 

「いらないそうだから返すわイッセー」

 

「待て主神様、手前はいらぬ等一言もいっておらんぞ!」

 

「贈物に不満を持つようならいらないでしょ。ましてや今日までこの家に住まわせてくれた相手にケチを言う口はこの口かしら?」

 

ムニッ、と椿の頬を摘んで引っ張るヘファイストス。それから二人の言い合いが始まり、結局答えはアリシアしか聞けなかった。

 

「リヴェリア様が、貴方のことを慕っています。信頼とそれ相応の行動を示さない限り絶対に有り得ない事です。ですから私も、貴方の事を信用をします。・・・・・それに」

 

小振りで潤った唇を指先で触れた。

 

「モンスターだと教えられて確かに衝撃を受けました。でも、それは決して悪い意味では無く純粋で・・・・・貴方を忌み嫌うような気持は抱けません」

 

「ん、そっか。受け入れてくれるだけでも嬉しい。ありがとうな」

 

心から純粋に感謝を籠めた上で微笑んだ一誠から発する言葉に、まさか感謝されるとは思っていなかったようでエルフの少女は目を丸くして面を食らった直後、頬に朱が差した。それから「明日の店の準備がある」と訴えられた女神達、正体を明かしてから数分後。一人を残して全員自室に戻り夢の中へ旅立って行ったかと思いきや。闇に紛れて鍛冶神が一誠の部屋の扉を開けて入ってきた―――。

 

「で、私に見て欲しいわけね?貴方の魔法を」

 

「ん、お願い」

 

通信でヘファイストスを自室に招き「魔導書(グリモア)を読んだ結果を知りたい」、そう乞うた一誠は言うが早いかベッドの上で上着を脱いで背中を晒す。改宗(コンバージョン)をする前に【ステイタス】の更新を求め鍛冶神は納得した。改めて背中に刻まれている交差する二つの鎚と山の『神の恩恵(ファルナ)』に神血(イコル)を走らせ施錠(ロック)から解錠(アンロック)する。そして更新する【ステイタス】に紅眼の隻眼に入る魔法名に―――溜息を吐いた。

 

「イッセー、貴方。魔法も異常ってどういうことよ」

 

「というと?」

 

「簡潔に言わせてもらうと、貴方の魔法は・・・・・」

 

ヘファイストスは口で説明した。

 

『ネオ・ワールド・ドア』

 

・移動系魔法。

 

・継続時間と大きさは魔力数値に依存、憧憬によって過去・現在・未来の異なる望む世界へ行き来できる。

 

・強い憧憬である程、成功率上昇。

 

 

「・・・・・」

 

「と、言うわけで。貴方の魔法は想いの丈によって発動の成功率が左右される感じなのよ」

 

随分と難しい魔法であるということをヘファイストスと一誠は認識した。だが、それさえ乗り越えれば異世界から来た者達を元の世界に返し、帰ることができるようになる。つまりは、一誠自身も帰れるということだ。しかし、それ以前に問題が一つあった。

 

「魔力数値に依存する・・・・・今の俺の魔力の能力値(アビリティ)って・・・・・」

 

「・・・・・『0』ね」

 

「―――無理じゃんっ!糠喜びさせる魔法じゃんかっ!」

 

嘆く一誠はまだ知らされていない。戦闘時のみ本来の【ステイタス】へと真価を発揮するスキルがあることを。

暗い影を落とし凄く落ち込む少年をロキも教えなかった件のスキルを教えるべきか悩むが、新たに発動した魔法も教えた後で決めようと思い、励ますつもりで豊かな胸に抱きしめた。

 

「それでも、帰れる術を手に入れただけでも喜びなさい。まだまだ貴方には時間が残されている。魔力もこれから増やせばいいだけよ」

 

「ヘファイストス・・・・・」

 

ね?と真紅の頭髪を撫でる鍛冶神の胸に埋もれる形でいる少年は、温もりと女神の体臭に包まれながらコクリと頷いた。それを満足げに微笑んだ彼女は一誠の意志で、横に寝転ばされた。体を重ね合ったまま女神の胸が潰れながらも形を変えて少年に服越し感じさせる弾力と温かさ、二人きりという状況に高鳴る心臓の鼓動を。

 

「それはそうとヘファイストス」

 

唐突に口を開く一誠。

 

「今度は俺から訊かせてもらうぞ。俺の正体を知って事故でした口付を思い返した心境をな」

 

「・・・・・気にしてるの?」

 

「能天気で生活していると思っているなら心外だな。知らずに人の皮を被ったモンスターとキスして良い感情を抱いている筈がない。この世界の常識と概念を考慮すれば、俺の正体を知ったからには心境だって変わっているはずだ」

 

この世界は人類とモンスターは天敵同士、千年も死闘を繰り広げ、血肉に飢えたモンスターから自分の全てを奪われまいと神から与えられる恩恵の力と使命を受け、命を賭してモンスターの地上の進出を完全に食い止めてからも今日まで野望と名声、富を求め戦っている人類だ。そんな人間の味方の神からすればモンスターは敵で当然だ。全て理解した上で一誠は訊ねた。真剣な眼差しを紅眼の女神へ送り返事を待つ。

 

「・・・・・」

 

ヘファイストスは、1ミリも金眼から逸らさず少年の顔を下から両手を伸ばして包むようにした。

 

「貴方は異世界から来たモンスターに転生した元人間よ。今さら手の平を返す真似なんかしないわ。ただのモンスターが私と肩を並べる武器を打てるわけがないし、貴方をモンスターだと分かっていても、とてもそういう目で見れないわ」

 

―――だから安心して、と優しい微笑みを浮かべだす。

 

「イッセーの過去を知れて安心したわ。モンスターとキスした事実を再認識した時は物凄く驚いたけれど、不快感は無かった。だから―――」

 

顔を包んでいた左手をそっと右眼の眼帯を外し、開きだす濡羽色の瞳を晒させた。とっても真っ黒い瞳だ。まるで眼球が無い眼窩の小さな穴を覗きこんでいるような感じを醸し出す。

 

「イッセー。あの時、私に告白してくれた言葉・・・・・嘘偽りないならもう一度言ってくれる?言葉だけじゃなく行動もしてほしい」

 

彼女の左の紅眼が途端に濡れたように潤いだす。期待と微かな不安を窺わせる女神と称されるほど美しい顔に曇らせる一点、天界にいた頃の彼女に神々から『醜顔』と嘲笑され侮られてきた。鍛冶女神の美貌と神の力(アルカナム)を封印していても至高の武器を打つその技術に惚れ込んで、好意を言葉にして告白した眷族達を皆、凍り付かせたほどの『醜顔』を―――一誠は彼女の要望に応じた。鍛冶神(ヘファイストス)の右眼の眼帯を取り外し、隠された『醜顔』を愛おしげに優しく触れながら温かい眼差しで言い続ける。

 

「凍りつかせるようなお前の顔を見ても(おれ)の熱は、こんな程度で冷めることは絶対に無い」

 

「他の先輩鍛冶師達が鍛冶神や女神、主神としてでなく一人の女のヘファイストスから避けるなら俺が貰う」

 

心から真剣に一言一句違わず行った少年にヘファイストスも応じる。

 

「―――永遠を生きる私達にまとわりつかれたって、損をするだけよ?家庭なんてものも作れないわ」

 

ヘファイストスもあの時の言葉を繰り返す様に口にして一風変わった愛の告白を綴る。それはさながら永遠の愛の誓いをするかのように。

 

「永遠に好きでいてくれるなら大歓迎だ。作れないなら作れるようにすればいいさ」

 

「―――本当に、私を貰ってくれるの?本気で・・・・・言ってくれているの?」

 

ああ、この先の言葉を聞いてしまったら自分は・・・・・。高鳴る心臓の動悸が激しくうるさい。これから言われる言葉を受け入れてしまったら、見つめてくる少年の前だけ何億年も女神として生きたきた自分はただの女になってしまうだろう。そんな自分が信じられない、鍛冶を司る女神でいられなくなるかもしれない不安と恐れに戸惑う鍛冶神に向けられた一言が。

 

「本気で言っている。毎日お前がしつこいって思うぐらい愛するよ」

 

「―――――ッッッ」

 

熱せられた鉄に振り下ろした鎚で散る火花のように、彼女から不安要素を全て取り除いてくれた。否、これからもヘファイストスを愛する度に取り除き形を整えながらやがて、熱く燃え盛る二人が作った金で買うことも値段を付けれない大切なものを完成させるだろう。

 

「(ああ、もう・・・・・ダメね・・・・・この子がモンスターだろうともう関係なくなっちゃう)」

 

この子を好きになる。あの絶世の美女、ハイエルフもこうして好きになってしまった時、こんな気持ちを抱いたのだろうか?定かではないが、胸が歓喜で高鳴り熱く紅潮した顔で少年を見つめ、彼女もあの時言えなかった返事をようやく口にした。

 

「・・・・・好きよ、イッセー。貴方に他の女神や他の子が慕われても負けないぐらい好き」

 

「ようやく聞けた、嬉しいよ俺は。でも、ヘファイストスには悪いが俺は求められたら全力で応じるから他にも愛おしい女を作るつもりだ。それでもいいか?」

 

「独占できないのはもう分かり切ってるつもりよ。だけど、私のことを毎日愛してくれるなら構わないわ」

 

「言っただろう。毎日お前がしつこいって思うぐらい愛するって。―――だから今日からヘファイストスの心と体を俺だけしか感じられないようにする」

 

「・・・・・言っとくけれど、私は初めてよ。その、色々と・・・・・」

 

「分かってる。だからこそ、俺だけを感じてくれヘファイストス。これから先ずっとお前が愛する者だけを求めてくれ。俺の愛しい女神様」

 

「―――っ」

 

この瞬間、ヘファイストスの中で何かが変わった。後に彼女は少年一つとなって寒さに負けない熱い夜を過ごし美しい嬌声を上げる。―――扉の隙間から覗く紅眼が見ていた事に鍛冶神は気づかずに。

 

「―――ズルいぞ主神様。手前も交ぜさせてもらうか!」

 

「つ、つば、貴女・・・・・っ!?」

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