ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
「・・・どうしてもダメか」
「ダメ、あれは個人的に作っただけで商売まで考えてない」
ぐぬぬ、と唸る男神ディアンケヒトに澄ました顔の面持ちで商談を拒絶する店主。彼の神は最初に他の神と同じ己の劵族に
「俺、店で忙しいの。分かる?」
「そこを、何とかッ!作れるときだけでもよい!」
「そう言われても、そっちとは契約は結んであるし契約を重複するつもりはないぞ?」
「ならば、今の契約を解消して新たに契約を結ぶ!」
それでどうだっ!と言わんばかりに目を見開き咄嗟に思い付いた考えを、唾を飛ばす勢いで述べたディアンケヒトに半目で言い返す店主。
「・・・・・そーきたか、だったらアミッドを俺の家に住まわせてもらうぞ。あの巻物の受け渡しと治療と製薬の知識を何時でも学びたいからな」
それでどうだ、と男神の要求に自分の提案を口にした店主の視界には、彼の隣に座る当の少女が入る。つぶらな瞳が信じられないと見開いて、主神に当惑した面持ちで向ければ、ディアンケヒトも彼女に顔を向けていたのだった。
「お前の家にアミッドを住まわせるだと」
「一時的な同居生活をしてもらうだけだ。【ファミリア】で学んだ知識をそのまんま俺にも教えてもらう為にな。ディアンケヒトから彼女を引き抜くわけでもないし、俺にもそんなことできるわけも無い。その辺は安心して欲しい」
「むぅ・・・・・」
眷族を店主に預けるだけで求める物が得られる。医療と製薬の知識を求める店主はまだ自分と同じ駆け出しの冒険者のアミッドが今後も知識を蓄え、立派な
「分かりました。私が望みであれば貴方の要求を受け入れます」
「よし、契約成立だな」
「待て待て!お前もだアミッドッ!?」
アミッド・テアナサーレ自身が店主の要求を呑んだ。素っ頓狂な声を上げ、神意を聞かず勝手に決断した眷族に口を開き掛けたところで彼女が真っ直ぐ主神に目を向けて遮った。
「この方が純粋に治療と製薬の知識をお求めになられているのは私が良く知っております。月に一度の訪問が住み込みですることになっただけですディアンケヒト様」
「しかしアミッド。子供の家に一人で住まわせることが・・・・・」
「ああ、別に一人じゃないぞ。ヘファイストスを始め、ロキとフレイヤ、女神達の眷族とその他大勢の他派閥の眷族達が居候の形で住んでいるから不安要素なんて何一つない」
また素っ頓狂に「な、なんだとぅっ!?」と驚きの声を上げながら見極める。嘘は―――分からない。吐いているのかそうでないのか、神の前では嘘は吐けない筈なのに店主の言葉の真意が理解できない。何故、どうしてだ?店主の言葉に嘘偽りはないのか分からないディアンケヒトは信じられないものを見る目で凝視している間にも。
「俺の提案を賛成してくれないならこの話は無かった事にさせてもらう。ディアンケヒトがそう提案してきたように他の商業系の派閥や商人達から同じ話を持ちかけてくるから、商談する相手が変わるだけであり断わり続けるのみだ」
暗にアミッドの存在が他の商業系【ファミリア】や商人達よりディアンケヒトを優位の立ち位置にいさせているんだと目の前の男神に告げ立ち上がる店主。断わるなら構わないと風に彼等の横を通り過ぎる前に焦燥に駆られ思わずと口走った。
「わ、分かった!その提案を呑む、代わりにあの回復の
「一つ50万ヴァリス」
「ぐっ・・・・・その額で買い取る」
「ん、改めて契約は成立。前の契約書を後日持って来て欲しい。契約の更新をする。アミッド、3日後まで荷物を纏めろ。迎えに行くから」
「はい、わかりました」
こうして、『幽玄の白天城』に新たな同居人が増え、3日後。アミッドをリヴェリア達に紹介させた時の反応は、精緻な人形とは掛け離れた、口をあんぐりと開けて限界まで見開いて愕然とした面持ちだったことを数年経っても皆から忘れられなかった。それから翌日の朝。今日は『異世界食堂』が休日であることを知っている金髪金目の少女から含みある視線を注いでくる目と向き合った。
「イッセー、暇?」
「ああ、やることは特に無い―――と思ったけど行きたい場所がある。ついてくるか?」
「うん、一緒に行く」
二人だけの会話の筈が興味を抱いた女神と数人の眷族達の耳に入って、どこに行くのか訪ねられる数秒前だった。
「おっ、おおおおおおおおおっー!?」
「にわかに信じ難い・・・・・儂はまた夢でも見ておるのか。本当に島が浮いておるわい」
「夢でも幻でもない様だよガレス。僕等は未到達空域に踏み込んだ。ダンジョンがある世界を地の世界だとしてここは空の世界と言うべきか」
「目を疑うわね・・・・・」
「うふふ、素敵よイッセー。どこまで私を魅させてくれるの?」
「・・・・・」
絶壁を登るように飛び、島を臨めれる位置まで移動してからゆっくりと降下していく姿に島の住人達は嫌でも気づく。
「おおっ、トガケの仲間が遊びに来たか」
「ビィちゃんを呼んで来なくっちゃね」
「おおきいトカゲだぁー!」
降り立った野原に集う住民達から賑やかさが湧き、連呼するトカゲの言葉に心は雨雲となった少年に銀の美神は面白いものを見る目で口唇を小さく緩めた。幼い子供達に群がられ遊び道具を提供していく。
「これはロキ様。お久しぶりですな。今日は何の用事で」
「他の島に行きたいんや。せやから別の島の方角を教えてくれへんかなーって」
「ふむ、私達は生まれも育ちもこの島で他の島の事は良く知らないんじゃ。しかしそうじゃな・・・・・西へ行ってみたらどうかな?」
島の長老から行く先を示してくれる。何でも「外輪山の上に登れば遠くの島々が見える」とのことで、その島は西にあると語ってくれた。顎に手を添えていたロキはニンマリと笑みを浮かべ、西方へ向かうことを頭の中で決めた。
「決まりや、うち等は西に行ってみるで」
「道中おきをつけて。空を飛ぶ魔物も出くわすと思いますので」
「ほー、どんな魔物がおるのか見ものや。まぁ、うちらには頼れる子供達がおるからぜーんぶ返り討ちや!」
と心配する要素は無いと真っ平らな胸を張って自慢する女神に「ほっほっほっ、それは心強いですな」と愉快気に笑う長老。
「イッセー、西に別の島があるっちゅうことで西に行くで!」
「ん、分かった」
真紅色の閃光に包まれながら巨大な龍へと至った一誠が差し伸べる手にロキ達は乗ろうと動いた。
その時、アイズと同じ年頃の金髪の少女が宙に浮く小さな竜を傍に声を上げたのだった―――。
「イッセー、何故あの子を連れてきた?」
ザンクティンゼルから離れてただ西へ移動するドラゴンの頭部の上からリヴェリアが腕を組んで素朴な疑問をぶつけながらどこか、厳しい目付きでいた。思い返すと数分前。少女が西の島に行ってみたいと乞われ、それをあっさりと了承したのだった。長老達には日が暮れる前に送り返す口約束を交わし、許可を貰った少女は咲いた花のように笑顔で小さな竜と同行した。が、結局同行を許した一誠の意図を悟れないでいるロキ達の大半は気にせず、彼女と「オイラはトカゲじゃねー!」と叫ぶ竜と会話と交流をしている。
『当然、理由があるからだ』
「何だ?」
『言葉は交わせれど、俺達は空の世界の文字を読み書きはできない』
つまり彼女は自分達の代わりに文字を読み、書いてもらう為の
「何もあの子ではなくとも他の者達でも頼めば請け負ってくれただろう」
『そうだな。だが、大人だろうが子供だろうが結局は皆一緒だ。後は自ら同行を乞う意思があるかないのかそれだけだ』
それがまだ幼い少女だったに過ぎない。一誠は自分達に必要なものが備わっていればそれで充分だった。
『それにあのビィが他の島でも受け入れられるのかも気になっていたし、丁度いい』
「・・・・・」
同じ種族同士。空と地上の人類の反応は同じかそうでないか、リヴェリアもその言葉を聞き気になった。空の世界にも魔物と言うモンスターが蔓延っている様子だが、ビィのように共存している島もあるかもしれない。一誠にとってもしかすれば安息の地になり得る可能性があるこの世界をその目で確かめたい。と思っているのか定かではないがリヴェリアはそう認識した。
「狙っていたのか?あの少女と竜が他の島に興味を持っていることを知ってて」
『狙っていたらとんでもない策士か道化だよ。会って間もない相手の気持ちを知ることなんできるか』
「異性と交流することで仲が深まる『スキル』を持っているにも拘らずか」
『・・・・・・おい流石に怒るぞ、その物言いをされるとな』
凶悪な牙の間から灼熱の炎の残滓が零れ、リヴェリアの横へ通り過ぎて消えた。好きで具現化した『スキル』ではない。その者の本質と想いが形になって様々な影響を与え、及ぼしているのであって本人の意思ではない。リヴェリアから失礼極まりない発言を言外されたと細めた眼で怒りが籠った声音を発する。
「・・・・・すまん」
黙るかそれとも苦い思いをするか別の言動と反応をするかと思えば、怒りを買うようなことになるとは思いもしなかった王族のハイエルフは直ぐに謝罪の念を口にする。
『―――今夜、覚悟しろよ』
「・・・・・っ」
何故かリヴェリアは緊張の面持ちで顔を強張らせた半面、体が期待感を覚え発火したように熱くなった。もはや惚れた弱みどころか心と体が一誠から離れなくなっている所まで絆が深まっていたのであった。
数時間後―――。ひたすら西に向かって飛んで行く最中、上を見れば雲、下を見ても雲と言う雲海だらけの旅の中で同行した少女と小さい竜、ジータとビィは初めて生まれ育った島から見る光景に目を輝かせている間に目的の場所が見えてきた。
『島が見えてきたぞ』
その一言で、皆頭部の方へ足を運んでその目で島の全貌を視界に入れた。雲の波の向こう、太陽が空の領域に照らす空の中に、小さな茶色の粒が見えてきた。近づくにつれ、大きな島とその周りを取り巻く小さな島々から成り立っていると判ってきた。
「本当に不思議ね。どうやって島が浮いているの?」
「しかも、うちら神々が気付かずにいたのがめっちゃ不思議やでー」
「でも、こうして実在しているのだから私達は現実を見ているのよね」
女神達が胸を不思議に膨らませて空に浮く島へ向かう。体を撫でるように感じる風が心地よいと目を細める一誠は大小の島々の上を旋回しながら高度を下げて、大きな島へと向かう最中。
『・・・・・』
何らかの意思を持って真っ直ぐ中央の島に壁に囲まれた街のような建造物から離れた場所へ、降下する。
青い草の上に横たわっているのは、大きな青い船だった。全体が上下の二層構造になっている。何故か船の腹から左右に伸びる翼といい、尾翼、回転翼の他にも船首を覆うトカゲの頭部を思わせる飾り付けといい、なんとなく全体が竜を思わせる外観をしていた。上層の殆どを占める青い布でできた風船のような部分には、おそらく熱い空気が入るのだろう。まるで一誠の世界の「気球」という乗り物がそうであったように。だが、浮くだけなので、船としての動力は別にあるのだろう。青い光沢のある生地で作られた上層は、太陽の光を跳ね返してまるで竜の鱗のように光っていた。一方の下層部分は水の上に浮かべる船そのものだった。形状は船首の方が細く、後方に向かってやや膨らんだ涙滴型をしている。
本来水上で動く乗り物がどうして野原に墜落した様な感じで残されているのか、地面に巨大な足跡を残しながら地鳴りを震わせつつ着地した巨大な真紅のドラゴンは不思議で堪らなかった。しかし、目の前に船にしては色々とおかしい分、珍しい物があると、
「イッセー、この船って何か分かる?」
『俺も初めて見る。実に興味深いから調べたい』
「船の上に何やら翼のような物があるのぉ。もしや飛べるのか?」
「イッセーだったらそれを可能にしてしまいそうだよ」
滑る様にドラゴンの体から降りて地面を踏みしめるフィン達。改めて青い草の上に横たわっている船を見上げ、好奇心の眼差しを向け周囲に警戒しながら気配を探る。
「人もモンスターもいないようだね」
「残念、どんなモンスターがいるのか手前は興味あったのだがなぁー。武具の素材となり得るかも知れんのだ」
「ここに巨大なモンスターがおるぞ椿よ」
『ほう、だったらその小さな体を更にフィンぐらいに潰して小さくしてやろうか』
ガレスに睨みを利かせる一誠に憶することも無く鼻で笑い「やれるものやらやってみろ」と不敵に言い返した。不毛な睨み合いは程なくして終わり、その巨大な手で下層の部分の船に挟む感じで優しく掴み持ち上げようと試みた。
「―――おい、俺の艇に何してやがるっ!」
久しく耳にする雷のように轟く「銃声」に、聞き慣れない発砲音に全員、船から離れた位置で立っているまだ若い少年へ顔と目、意識を向けた。
「その艇に触れるな!」
巨大な魔物を前にしても恐れず果敢に船を守ろうとする少年の意思と心の強さ。持ち上げようとした手を離し、彼の少年の方へ一歩足を前に出して上半身を倒しながら迸る一瞬の閃光が消えたと同時に人型に戻った一誠が訊ねた。
「あれはお前の船なのか?」
「・・・・・・」
「おい?」
「あ、ああ、そうだ。けどその前に、お前は何なんだ。魔物なのかよ」
呆けていた少年は我に返り肯定、次に疑問をぶつけた。その疑問に対して素直に首肯する。
「まあ、魔物なのかな。元人間だけど」
「はっ?何訳の分からないことを・・・・・それより、俺の船をどうしようとした」
「ただの好奇心。何でこんな場所に船があるのと、何で船に翼や尾翼があるのか不思議で調べたかったんだ。それに―――」
左眼を輝かせ、素早く少年の手に持っている得物を両手で包み込み。
「この銃、どこで手に入るんだっ!?めっちゃくちゃ欲しいんだけど、くれ!」
「いきなり何を言い出すんだ!?」
ぎゃーぎゃーと勝手に賑やかな雰囲気を作り出され、ロキ達は半ば置いてけぼりにされてしまい溜息を吐いて介入するヘファイストスが動くまで一誠と少年は喧騒を繰り広げていた。
「俺はイッセーって言うんだ。お前は?」
「ラカムだ。で、そいつらは?」
少年―――ラカムの目は不審人物を見る様な目でロキ達に視線を注ぎ、代弁する感じで一誠は口を開く。
「俺の連れだ。あの小さなトカゲとその傍にいる少女はザンクティンゼルからお願いして連れてきた者以外、俺達は地上から来たんだ」
「地上?別の島の連中か?」
「いや、言葉通り空の下から俺達は来たんだ」
「・・・・・待て待て、笑えねぇ冗談だぞ。《空の底》から来た人間なんて聞いたこともねぇよ」
ラカムは信じられないと首を横に振って否定的な態度をする。信じてもらえないなら信じてくれるようにすればどうすればいい?言葉より行動で示せとよく人は言う。故に一誠はニヤリと口唇を三日月のように吊り上げた。
「じゃあ今から一緒に空に落ちて俺達の住む世界に連れてってやろうか。それで信用は得られる」
「マジで言ってんのかお前!?死ぬぞ!二度とこの島に戻って来られなくなって!」
「本気と書いてマジだ。時間も惜しいからやろうか。信用と信頼を得られるまでな」
迅速的な行動で以って相手の首の襟を掴み、ずるずると引きずって島の外へと行こうとし出す一誠に「こいつ本気かっ!?」とラカムは激しい危機感を覚え、一先ず同感の意を示した。
「わかった、わかったからこの手を離せ!お前等が地上から来たってことにするから!」
「するからじゃあ、俺が納得するとでも思うか?」
「信じなかった俺が悪かった!さっきの魔物にでもなれば《瘴流域》の一つや二つ簡単に超えれるよな!」
半ばやけっぱちな発言の中で「《瘴流域》?」と気になる単語を耳に拾って立ち止まり、ラカムに何だそれはと問い掛けた。
「行ったことは無いが、この空の世界は瘴気の満ちた汚れた空間で分断されているんだ。いま俺達がいるファータグランデ空域もそういった《瘴気流》に囲まれた空域なんだ」
「・・・・・《瘴気流》。ああ、分厚く覆われた雲の中で常に乱気流が渦巻いているあれがそうか」
解放されたラカムから「本当に《空の底》から来て何も知らずに突っ込んできたのかよ」と呆れと畏怖の念を抱いたような呟きが聞こえた。
「で、あの船は何なんだ?」
「・・・・・本当に《空の底》から来た―――無言で俺の襟を掴んで空に落とそうとしないでくれ!説明ができないだろうが!」
とうとう第三者の手でラカムは守られ、彼等の要求を応じる。
「艇の名前は『グランサイファー』だ。あれは、他の空域に点在する島々へ行く為に必要不可欠な乗り物なんだ」
「『グランサイファー』が全ての船の名称か?」
「そりゃ違う。あれは昔旅人から聞いた艇の名前だ。色んな島を行き来し空の旅をする者は『騎空士』、団体が乗れば『騎空団』、騎空団が乗っている艇は『騎空艇』って呼び方がされるんだ。空に住む者なら常識なことだぜ?」
一誠はロキ、ヘファイストス、フレイヤへ「知ってたか?」と風に目で訴えると三人揃って首を横に振った。
「あれは本当に飛ぶのか?この空の世界ではそうかもしれないが、空の底・・・地上の世界は空飛ぶ船は無いんだ。広大な海を航海する船ならあるけど」
「へぇ、お前達の世界には騎空艇がないのか?そりゃあ勿体無いぜ。艇を操縦してどこまでも空を飛んでいく体験は堪らないぜきっと?」
「じゃあ、ラカムはあの艇で体験しているわけだ?俺の艇だ~!ってさっき言ってたし凄いじゃん」
年若いのに大人顔負けの操舵士の技術を持っていると踏んで、称賛の言葉を送った。しかし、
「え、いや、その、だな・・・・・」
指摘を受けた途端に歯切れ悪く、思わずといった感じで一誠から視線を逸らしたラカム。首を傾げる相手に言い辛そうに頬を掻きながら「実は・・・」と語る。
「ありゃあ、まだ飛ばせないんだ。艇の修理の他にも操舵士としての技術ももうちょい必要でな」
「見栄っ張り」
「・・・・・悪かったな」
ヘソを曲げたラカムは言い返す言葉は持っておらず、事実であると態度で認めてしまった。
「んじゃ、今度は俺の番だ。お前等は何しにこの島に来たんだ?」
「う~ん、冒険かな?俺達は冒険者なんだ」
「冒険者?」
地上の世界の常識の知識をラカムに噛み砕いて説明をして情報を共有する。地下迷宮都市オラリオ、ダンジョン、様々な人種、神等々・・・・・。
「じゃあ、あの女達は女神様ってわけなのかよ」
「そーいうわけ。で、実際に言われてから改めてみた感想は?」
「急に言われてもな・・・・・本当に女神なのか疑わしいぐらいだ。見た目はどこにでもいるヒューマンだからよ」
と、ラカムの感想に一誠は噴いた。これが他の空の世界の住人達の代表的な感想であればロキ達は神として見受けられていない、どこにでもいるただの人間であると認識されたら、神の威厳が完全に無くしたも当然だということと道理なのだ。
「あっはっはっはっ!やべぇ、空の世界の人間に対しても神の威厳が感じてもらってねぇーっ!?ロキ達が神様扱いされないってもう駄目じゃん!」
両手で腹を抱えて涙目で笑う一誠の声はしっかり三柱の女神の耳に届いていた。一頻り笑った後、一誠達はラカムに艇の中の見学を乞い、許可をもらうとアイズとアリサ、ジータを脇に抱えて一足早く艇の中へ入って徹底的に調査を始めた。
「決めたぞ、俺もこの艇のような空飛ぶ船を作る!」
「うん、私もイッセーが作った船、乗ってみたい」
「楽しみ」
「あ、あの・・・・・私もです」
「おっ、ジータもか?いいぞ。旅は道連れ世は情け。皆で乗って空を旅するのも悪くないよなー。やることは色々とあるけど」
主に元の世界に送り帰せねばならない存在達を面倒臭そうに溜息を零す中、動力室を発見し記録に残す作業を始める。それから数十分後。当たり前のようにラカムに街までの案内を頼み、ジータは翻訳者として建物に掛けられた看板やメニューの文字、空の世界の硬貨の価値等教えてもらい、角を生やした大男や小さな女のドラフ族、フィンみたく
「イッセー、イッセー!ここに空の世界の武器が売られておるぞ!ラカムが持っておった武器もある!是非是非買い占めてくれ!地上に持ち帰りたい!」
「勿論決まってるだろ。と言うことで店主。色々と買うから直ぐに集めてくれ金は山ほどあるぞ!」
始終、一誠は物凄くはしゃいで街中を駆け巡った。対して物静かであるがフィン達も未知の世界の文化と空気、人々と接触して時間が許されるまで大いに堪能した。
「あはは、本当、彼と一緒にいると驚くことばかりだよ」
「全くじゃわい。リヴェリア、お主もそう思っておるじゃろうて」
「ああ・・・・・本当に、あいつはどこまでも私達を驚かせてくれる
「ねぇ、オッタル。イッセーは凄いわ。天界に近い場所へ連れてってくれるなんて貴方でもできないことをしたわよ?」
「フレイヤ様に見初められた者の一人として当然です」
「イッセー!うちにも何か買ってくれー!特に空の世界のお酒をたんまりやー!」
「鍛冶屋、この島にあるのかしら?」
一行はポートブリーズ群島という名の島であるということを数時間後判明するものの、今の彼等彼女等には島の名前よりも目の前の光景に夢中で気にする意識はなかった。
そして空の世界から持ち込んできた情報と物資は人知れず秘匿され、イッセーという人物と交流している【ファミリア】のみがもう一つの世界の存在が明かされ知ることになる。