ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚20

夏バテ―――熱中症になって【ディアンケヒト・ファミリア】に運ばれてくる患者を手当てするアミッド。患者の殆どが無所属(フリー)の一般人の子供だ。治療と製薬を重視する【ファミリア】であって、病を患った無所属 (フリー)の一般人に頼られることは珍しくない。だが、中には金銭がなく払えない家族がいる。そういう者がやってくれば、払えない者に薬は与えない!と情のない神ではないため、子供だけは無料に配布している故、高い人気を誇っている。しかし、何か対策をしなくてはならないのは事実である。こういう時、あの人ならどうするのだろうと異世界から来た男の顔を思い浮かべながら治療を施す同時刻。『幽玄の白天城』にフィンとガレスがやってきていた。

 

「休みのところお邪魔するよイッセー」

 

得物の長槍を片手に、フィリアとアスナに髪を弄られながらリヴェリアが隣に座りアイズとアリサを膝の上に乗せ、ラトラを対面座位で股の間に座らせている状況を視認した。

 

「随分とモテモテじゃないか」

 

「そーでもない。さっき言い合いをしてようやく落ち着かせていたところなんだからな」

 

「なんじゃ、アイズとアリサが珍しく喧嘩をしおったのか」

 

そうじゃない、とラトラの頭を撫でると幼い剣士たちが自分も撫でてほしいと頭を突き出す。二人の頭を撫でると獣人の幼女が一誠の胸辺りに頭を擦りつけて来る。

 

「いや、ラトラに触発されて、な」

 

「「ラトラ?」」

 

白い髪と赤い瞳、獣耳と尾を生やす虎人(ワータイガー)の少女を知らない二人は、ラトラの顔を見ると感嘆の息を漏らす。

 

「白い虎人(ワータイガー)は初めて見るね。目も赤いことも加味してだ」

 

「オラリオにはまずおらんのぉ」

 

「帝国から引き取ったから当然だろうな。それで、ラトラが隙あらば傍にいたり俺の膝の上に座ったり、俺のいない間布団の中に潜ったりとアイズとアリサが羨ましがることをし続けるもんだから」

 

羨ましさと嫉妬の限界がついに突破して二対一の言い合いが勃発。それどころか。

 

「武器を持たない二人に思わず殴ってな。一撃で黙らしちゃったし、流石に俺も見かねて仲裁した」

 

「・・・・・二人を一撃で?『恩恵(ファルナ)』を受けたのかい?」

 

可愛い顔をしているからロキが喜んで入団していてもおかしくないだろうと、予想して尋ねたら一誠は真顔でこう言い返した。

 

「受けてない。素でだ」

 

「・・・・・お主ではあるまいし有り得ん話じゃ」

 

異世界から来た者は素で上級冒険者異常に強い。そう言う認識をしているガレスは、この世界で生まれた獣人を見て信じなかった。予想通りの反応をするドワーフにそう思うよな?と思いながらラトラを見下ろし指示した。

 

「ちょっとあの髭のおじちゃんにもパンチしてくれるか?」

 

「儂のことか」

 

「ふふ、君以外誰もいないよこの場に」

 

一誠から降りてガレスの前に近づく。自分より縦も横も大きいドワーフを見たのは初めてなラトラは赤い目を確りと焼き付けて、「あの、いいですか?」と乞うた。

 

「おう、力いっぱい殴ってよいぞ」

 

「はい、では・・・・・」

 

身体で受け止める姿勢のガレスにラトラは大きな身体を―――別の何かを見ていることを察したフィンは小人族(パルゥム)並みの華奢な腕を突き出し、小さな拳がダンジョンで鍛え第一級まで器を昇華して得た頑丈な肉体に突き刺さった瞬間を見た。

 

「ぬうっ!?」

 

そしてガレスが極限まで目を見開き、苦痛が混じった呻きを漏らした。床に跪かないが明らかにダメージが入った反応を示し、フィンは心底不思議そうにキョトンとした顔で碧眼を老兵のドワーフに向けた。

 

「ガレス?どうしたんだい」

 

「・・・・・フィン、お前も受けてみろ。そうすればわかる」

 

言葉で伝えるより実感した方が早いガレスの言い分に、何時の間にか目の前にいたラトラの打撃を試しに身体で受けてみた直後。限界まで碧眼を見開いてガレスと同じ反応を窺わせた。

 

「『恩恵』を受けてない少女の攻撃がこれだって・・・・・?どういうことだいイッセー」

 

「お主の仕業か?」

 

直接的なダメージは皆無に等しい。だが、殴られると例え難い痛みが襲いかかって不思議で堪らない。鳩に豆鉄砲を食らったような、狐につままれたようなフィンとガレスはこの異常の究明を追究した。一誠は自分が知っていることだけを打ち明けた。

 

「ラトラは生まれてからずっと目が見えない状態で生きていたらしくてな。だから見えない状態でも相手の気配や建物の気配も感じ取れるらしくて、試しに俺も殴ってもらったら二人と同じ痛みを感じたんだよ」

 

「つまり、どういうことなのじゃ?」

 

「気配を感じるってことは、人間誰しもある気を感じ取れる、気の流れもわかるってことさ。ラトラは相手の気を、生命力のエネルギーを直接攻撃してダメージを与えている。それが例え難い痛みの原因だ」

 

口で説明しても分からないだろうと気で作った塊を具現化してラトラの前に浮かせた。それを殴ってみろと目で催促された少女は拳を握って気の塊にパンチすると、見ていて分かるほど気の塊が激しく吹っ飛んで壁に穴を開けてみせた。

 

「「・・・・・」」

 

「今見て分かると思うけど、フィンとガレスが痛みを覚えた原因はアレなわけだ」

 

幼い上に打撃の威力は微笑ましいほどない。その代わりに生命エネルギーに直接攻撃する威力はそれをカバーするように高い。全て理解したわけではないが、冒険者として確実に強くなったらラトラは今以上の脅威となるに違いないのは確かである。だからこそ上級冒険者のアイズとアリサが一撃で倒された。

 

「理解したか?」

 

「・・・・・なんとなくじゃが、お主もできるのか?」

 

「やってみせようか?」

 

「いや、遠慮しておくよ。君のその笑みを見た途端に指が震えだしたからね」

 

警戒、危険の信号代わりに何時もフィンに伝えてきた疼いた親指を指摘して苦笑しながら拒絶をして本題に移る。

 

「リヴェリアから聞いたのだけど、異世界の買い物ができるようになったんだってね?」

 

「そうだけど、なんだ、お前等も異世界の物を買いたい口なのか?」

 

「うむ、異世界の酒も買えるならば買ってみたいのじゃ」

 

槍を持つフィンと対照的にバックパックを二つ持っているだけのガレスが床に置いた。

 

「それ、もしかしなくても俺が作った魔法荷物袋(マジックバックパック)?」

 

「そうじゃ。一千万ほど金を持ってきておる」

 

異世界の酒を大量に買い込む気でいるガレスに、これから金を使い切るまで付き合わせられる数十秒後の自分の未来を想像して、床一面酒瓶や缶が酒で埋め尽くす光景が簡単に思い浮かべてしまう。

 

「一千万分の酒、一人で飲む気か?」

 

「ロキの分もあるわい」

 

「それでも二人だけで飲める量じゃないって・・・・・まぁいいや『ネットスーパー』」

 

椅子から立ち上がってフィン達の目の前で特典スキルを発動、虚空にネットスーパーのサイトを展開した。初見の二人やフィリア達は目を丸くして好奇心に擽られ興味を抱いた。

 

「ほう、これが『異世界買物覧(ネットスーパー)』とやらか。文字の方は何て書いておるのか分からんがな」

 

「それになんだか買える物は豊富そうだね。リヴェリアが言ってた通りだ」

 

横から覗きこむ小人族(パルゥム)とドワーフに挟まれながら酒覧のサイトを表示する。酒豪のドワーフが歓喜と驚嘆の声を漏らした。

 

「おおー!異世界の酒はこんなに種類があるのじゃな!イッセー、何て言う酒があるのか説明してくれるか」

 

「俺、酒の事なんて全然疎い―――と言いたいところだけど『鑑定』ができるからわかったよ。で、どれを買うんだ」

 

「無論、酒を買えるだけ買うわい」

 

「じゃあ、上から順に買いこもうか。それと保存方法は涼しいところじゃないと駄目だぞ」

 

酒を全て二本ずつ指定してカートに入れる。そうすること三十分以上経過したところで・・・・・。

 

「ガレス、全部は無理みたいだ。これ以上買うと一千万を超えるぞ」

 

「むっ、思いの他高いんじゃな異世界の酒は」

 

カートに入れ続けた酒の値段を計算し続けてきた一誠から金銭不足を告げられる

 

「作られる酒は国によって酒造方法が異なるんだ。異世界に存在する国の数は大小合わせて190以上だ」

 

「ひゃ、190じゃとっ?」

 

瞠目するガレスが持って来た金を全てチャージすること十数分。そして注文を確定すると段ボール箱が虚空に集束する光の粒子から出て来る。その数は床を埋め尽くすほどだ。呆気に取られる一誠達は段ボールの数に圧倒され静寂が訪れた。

 

「やっぱり、買い過ぎだろ」

 

「むぅ、異世界の酒は儂の思った以上にあるとは知らんかったわ。しかもまだ買えていない酒もあるのだからな」

 

「ガレスの全財産を使い果たしても異世界の酒は買えないのかいイッセー?」

 

「無理だな。一本で五千万以上の酒もあるから」

 

「そこまで高い酒があると知ってしまったら興味が湧いてしまうぞい」

 

けれど持ってきた資金は全て使い果たし、購入した酒はロキとガレスの分に分けながらそれぞれのバックパックに詰めていく。その間、ガレスに一本一本『鑑定』して酒の詳細を説明する。

 

「どれもこれも聞いたことが無い名前じゃが、異世界にもウィスキーやウォッカ、ワインにビール、極東の酒までもあるんじゃな」

 

「同じ種類の酒でも味のキレや深さ、甘さやアルコールの強弱の違いは千差万別だ。お前等に飲まれた俺が持っていた熟成された葡萄酒(ワイン)も存在するしな」

 

「イッセー、意地悪しないでやってくれ」

 

リヴェリアからの意味深な指摘に無言で肩を竦める。それからネットスーパーを閉じようとしたら、今度はフィンが異世界の物資を見てみたいという願いで眺めさせることになった。

 

「へぇ、薬まであるんだね。もしかしたら一人で【ディアンケヒト・ファミリア】みたいに治療専用の店を構えられるんじゃないかい?」

 

「無理だ。酔い止めの薬ぐらい売ることはできそうだけど」

 

と、一誠の背中にぴょんと張り付くラトラに意識を変えざるを得なかった。当然ながらやきもちを焼く二人も負けじと胡坐を掻いていた男の足に乗ってひっつく。それが何とも微笑ましい少女の行動にフィンは優しい目でアイズを見つめた。

 

「君がアイズと一緒に【ロキ・ファミリア】に入団し、それから交流するようになって今年で四年目だね」

 

「アリサもそうだけど、あの時のアイズと今のアイズと比べて全然変わったな」

 

「その変化の原因はイッセーと言う男だよ。強さ以外、他に目を向けず意識すらしようとしなかった一人の少女の感情と心を変えたんだからね」

 

女の子の扱いが長けてるからかな?とからかいが含んだ言葉に何も言い返さない一誠は、アイズの頭を撫でる。

 

「さて、ガレスの用件が終わったことだから今度は僕からもお願いをするかな。イッセー、今度の『遠征』にまた僕達と同行してもらいたい。料理人としてね」

 

「久々に誘ってきたな」

 

前回【ロキ・ファミリア】の『遠征』に付き合ったのは去年の一度だけ。それ以降は誘いに来なかったため珍しいと意味で口にした一誠に朗らかに述べるフィン。

 

「店を構えたり空の旅をしたり、遠出したりしていた君が腰を落ち着く機会を窺っていたからね。やはり、こちらで作る料理と君が作る料理の味と美味しさは別格だ。作ってもらっている彼等彼女等には悪いけれどね」

 

「そいつらを料理の発展アビリティを習得させた方が【ファミリア】のためだ」

 

「君が料理を指導してくれれば発現するかもね。もしくは君がまた【ロキ・ファミリア】に来てくれればロキも両手を挙げて喜ぶと思うよ?」

 

あの親父女神に喜ばれてもなーと微妙な気持ちを抱いてしまうのは仕方が無いだろうか?と思いながら同行することを受け入れた。

 

「ま、異世界の料理を食べたいってんなら請け負うよ」

 

「ありがとう。団員達も何時も以上気合を入れてくれそうだ。今回も『中層』まで進むつもりだからよろしく頼むよ?」

 

「あいよ」

 

『遠征』の話し合いは程なくして終わり、次はある質問を問われた。

 

「そう言えばイッセー。『ネットスーパー』のスキルを得る前はどうやって食材を確保していたのかな?異世界の食材や調味料はこの世界にない物だってあるはずだけど」

 

「あー・・・・・一ヵ月に一度、月から調達している」

 

「月・・・・・?」

 

フィン達に月に何があってそこで異世界の食材や調味料を得ていることを教える。当然ながら興味を持った二人は「行けれるなら是非とも行ってみたい」と願われて―――ついでに彼女達も連れていくかと思い立った。

 

一週間後になる明日に。

 

「―――それじゃ、準備いいな?」

 

あっという間に翌日。今回はリヴェリア、アイズ、アリサ、アリシアを連れて行かず。代わりに『幽玄の白天城』に居座っている三人の女神にオッタル、フィン、アスナも連れて行く一誠は天使化となって六人を翼に包んで一気に地上から離れて空へと上昇する。皆、初めての成層圏を侵入し朝なのに夜と思わせる宇宙空間に進出。結界を張って全力速力で月へと向かう。宇宙空間に走る光の軌跡がどんどん月に向かい―――クレーターを作りながら辿り着くのだった。

 

「到着」

 

「・・・・・ここが月なんだね」

 

「そしてあれが俺達がいる地球だ」

 

「綺麗だわ・・・・・」

 

灰色の地面を踏みながら青い星を眺める。神々すら世界の外側から見たことが無い、地球の全貌を始めて目の当たりにして魅入って何時までも動こうとはしなかった。

 

「オラリオがある世界がこんなにデカくて綺麗なんやなぁ・・・・・。子供もうちら神も地球からすればちっぽけな存在なんやって思わされるわ」

 

「そうね・・・・・」

 

「もう、ズルいわ。こんなの見せられて嫉妬せずにはいられないじゃない」

 

壮大な世界の美しさを目に焼き付けた後は一誠が向かう樫の木の扉へ赴く。一誠を除いて一同は、目を疑う。

 

「月に、猫の扉・・・・・?」

 

「『洋食のねこや』って店の扉だ。この扉の向こうに異世界の店に繋がっているんだ」

 

「異世界と繋がっているの?でも、どうしてここにそんな扉が・・・・・?」

 

「さぁ、それは俺も知らない。きっと作った本人もこうなることは思いもしないでいると思うよ。誰だか知らないけど」

 

真鍮の取っ手を握って開け放つ先は―――どこか『異世界食堂』と似た雰囲気を醸し出している空間が一行を出迎えた。

 

「店主、おはよう」

 

「おー、おはようさんって・・・・・今度は誰を連れて来たんだ?」

 

白い髪に白い髭を生やす初老で恰幅の良い男性が厨房から出て来るや否や、ロキ達を興味深そうに見つめる。

 

「この三人の女性は俺の世界にいる神様なんだ」

 

「か、神様か・・・・・どえらい人を連れてきたな坊主」

 

「まぁな。それと彼女、アスナは俺と同じ別の世界から来た異世界の人間なんだよ」

 

「おっ、坊主が言ってた嬢ちゃんだな?俺はこの『洋食のねこや』の店主だ。異世界の人間同士よろしくな」

 

「は、はいっ。こちらこそ今日はお世話になります。何もお手伝いすることはできませんけれど」

 

好々爺らしい笑みを浮かべ「気にすんな」と一行を受け入れる店主。

 

「前々から坊主からまた連れて来るかもしれないって言ってたからな。今度はどんな異世界の人間を連れて来るのか待ってもいたんだ」

 

執事服を身に包んでいた、髪をポニーテールに結い上げてる一誠を見て何時の間に着替えたのだろうかと別の考えをしつつ、初めて見る一誠の制服姿に女性陣は新鮮さを覚える。

 

「できればフレイヤ。極力『魅了』を抑えてくれ。飯を食べるどころじゃなくなるからさ」

 

「善処するわ。それで、あなたはここで一日働くのね?」

 

「暇になると思うけれど、まあ、そこは我慢してくれ」

 

ロキ達はそれぞれ二組となって席に座り、それから一誠の働く姿を見物する。

 

 

『フィン』sied

 

彼がここで働き始めて数十分後、最初の客が入ってきた。無精髭を生やし黒髪をイッセーのように結い上げた腰には刀を佩いている男性だ。僕等のことを一瞥して接客をするイッセーに一言二言尋ねて何かを知った時の彼の顔は興味を持った者の目をしていた。そして彼が注文しただろう料理、僕達も何度も食べたことがある異世界の料理『テリヤキ』が運ばれて目の前に置かれると同時に美味しそうに食す彼を見たらまた扉が開いた。

 

『ヘファイストス』sied

 

正真正銘の異世界の店に居座っていたら白い髪と髭を伸ばした子供、杖を持ったお爺さんが入ってきた。出迎えたイッセーが注文を受け取ったら『テリヤキ』を食べてる子供の隣の席に座り、また私達のことを一瞥した。私達神が放っている神威を気付いてるのかそうでないのかわからないけれど、ここは食事をする店だから騒ぎを起こさない暗黙のルールがあるのでしょう。しばらく待っていると『ロースカツ』と『ビール』が運ばれて来て、それを美味しそうに食べ始める子供の姿を見て、何度もこの店を通っている常連客なのだと悟った。

 

『オッタル』sied

 

また誰かが入ってきた。フレイヤ様の傍でその者を見たらヒューマンでも亜人(デミ・ヒューマン)ですらなかった。高らかにこの異世界の料理店の店主に向かって『カツ丼』を頼んだ者は、獅子の顔をした二Mもある人型のモンスターだった。歴戦の猛者だと言うことを癒えた古傷に鍛えられた肉体から窺える。この店は理知を備えてるモンスターにも料理を出すようだ。俺が知っている料理店ではその逆なのだがな。

 

『アスナ』sied

 

あの人?モンスターじゃなさそうだけどモンスターなのかな。二つも椅子を使って座り出す獅子頭のお客さんの前に程なくして『カツ丼』が運ばれて来て、待ってましたとばかり手にとって一気に口の中に掻き込んでいく姿は人と変わりない食事の姿だったよ。圧倒されている私の耳に来訪者が来た合図の鈴の音が鳴りだして、今度はどんな人が来るのかと思ったら―――木の器を三つ持ったリザードマンだった。う、嘘・・・・・?

 

『ロキ』sied

 

うおおおおーいっ!?ここ、なんちゅー店なんや!?普通にモンスターまで入ってきおって飯を注文するほうも驚きなんに料理を提供するこの店も驚き満載やで!オラリオじゃ絶対にありえへん光景がうちらの前で繰り広げて蜥蜴のモンスターが頼んだ『オムライス』を持ってくるイッセーから受け取ったら、それを器用にスプーンで食べ始めるシュールにうちは言葉を失ってあんぐりと開いた口がしばらく塞がらなかったわ・・・・・。

 

『フレイヤ』sied

 

この店で見学して数時間が経過したわ。昼食用の料理を運んで来てくれたイッセーと食事をしたのだけれど、ロキ達は皆彼に質問をし続けたわ。そしたら凄いことを聞いちゃったの。

 

「この店は俺達が来た異世界とは異なる世界とまた繋がっているんだ。これからもあの扉から異世界の人間やモンスター、魔物が食べにやってくるぞ。この店じゃこんなこと一週間に一度になれば日常茶判事だ」

 

モンスターでは無く魔物。魔物と子供と共存している異世界。剣と魔法も存在していて神として崇められている六柱の竜が世界の頂点に君臨している。モンスターの竜が世界から神として崇められている事実を知って同じ神の私達はとても信じられなかったけれど・・・・・誰も来なくなった夜にその一柱の竜がやってきた。

 

 

『???』sied

 

・・・・・なんじゃあやつらは。特に三人、人間ではありえない神格を感じる。よもやあの者がいる世界の神か?もしもそうであったらどうしてここにと思うが、妾が気にすることでもない。優先的に気にするべきは二つ。妾を誘惑して止まぬ『ビーフシチュー』、そして妾を笑いながら倒した異世界の竜。何度も妾の再戦を拒み、ようやく再戦が出来たと思えば圧倒的な火力=魔法に敗北。己、何千何万も生き続けている妾が百年も満たず生きている若い竜に負けているなど屈辱極まりない。仕舞には一柱だけ除き他の六柱の竜に悟られて奴のことを興味を抱かれた。ええい、煩いったらこの上ない連中だった。これも全て妾を負かすあいつのせいじゃ!今度は妾があの若造の竜がいる世界に乗り込んで再戦を望むべきだろうか・・・!

 

 

 

「よーし、帰ろうか」

 

一週間に一度の務めを果たした一誠は皆を誘う。『ビーフシチュー』を食べていた竜からの誘いを断って店主と別れを告げ元の世界に戻る。月から見る地球は暗闇に覆われていて、強く光っている場所は国や都市、町村、里がある場所だと見受けれた。

 

「で、どうだった?特に女神ズ」

 

「フツーにモンスターが飯を食う姿を見ることになるなんて想像もし取らんかったわ!」

 

「絶対に忘れられない記憶だわ」

 

「そうね。この事を誰かに教えても信じてもらえないでしょうからアマテラス達の間だけ教えましょうか」

 

女神達の感想を聞き、一誠の翼に包まれて地球に戻る一行。神も認知していない月に異世界に繋がる扉があることを後に語り継がれようと確かめる術はたった一人しかできないため、作り話だと笑われることは多いだろう。それでも月まで来てその扉を潜った眷族と女神達は気にしない。だって事実を体験したのだから。

 

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