ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚5

極東の木々に桃色の花々が満開に咲き誇り、温かな気候に包まれる春の時季を迎えたことを知らせる。穏やかな風が桜を揺らし散る花弁が宙に舞う、紅い絢爛の着物を身に包む獣人(しょうじょ)はその様子を都へ向かう馬車の駕籠から翠の双眸に映して見ていた。

 

「桜、今年も綺麗に咲き誇っているわね」

 

少女と同席していた着物姿の女神に話しかけられた。緊張気味に肯定すると安心させる笑みを浮かべ話を続けた。

 

「桜が好きなら、これからあなたが暮らすオラリオでも用意するわ。洋服も食事もね」

 

「あ、ありがとうございますアマテラス様。あ、あの・・・・・ご質問をしてもいいでしょうか」

 

何かしら?と応じる女神アマテラスにおずおずと問う。これから少女はまだ十五も歳も満たずに見ず知らずの男に嫁ぐことになっている。父親が仕えている主神と今まで過ごしていた家をとある幼い友人達と別れを告げる暇もなく後に、少女は都へ向かう最中であった。

 

「私が嫁ぐ殿方はどんなお方なのでしょうか?」

 

「タケミカヅチ達と数日間だけれど共に過ごしていたこともあるわ。そして優しくて温かくて、とても強い極東の、私の命の恩人」

 

私の大好きな子供、と心の中で付け加える女神。

 

「あとそうね。狐人(ルナール)にもなれるわ」

 

狐人(ルナール)になれる、ですか?」

 

「事情がある子供でもあるの。でも、貴方を不幸にしない。寧ろ、暇も退屈も感じさせないほど楽しくて充実した生活が送れるはずよ?あと、これが一番重要。彼の作る料理は物凄く美味しいの。甘い菓子だって作れちゃうんだから」

 

最後の部分が一番力が籠っていた。半ば圧倒された少女は「そ、そうですか」としか返すことができずにいて、アマテラスはコホンと咳をして冷静になった。

 

「だけど、私達の都合で貴方の生活を変えてしまうことは変わりないわ。ごめんなさい」

 

「い、いえっ。また故郷に帰れるなら私は気にしません女神様」

 

「ええ、それも安心して頂戴。貴方や私から伝えれば帰郷することもできるから。そしたら今までの身分や家族と気にせずお友達とも遊んでもいいわ」

 

その言葉で花のように笑い、金色の尾を揺らす少女。女神も乗せる馬車は大勢の護衛に守られながら都へ進み、オラリオへ転移する赤い鳥居へと目指す。

 

そのオラリオでは、またしても騒動の前兆が臭わせていた。去年の『アポロン・ファミリア』との戦争遊戯(ウォーゲーム)で勝利した一誠はアポロンの眷族を要求したが改宗(コンバージョン)できる期間では無かったため、一年後に先延ばした。そして一年後の今年、去年の約束を果たしてもらうために【アポロン・ファミリア】のホームへと訪れた。だが、男神の眷族に「主神は不在だ。改めて来い」と門前払いを食らい渋々―――ではなく今度は主神を連れて戻ってきたことでアポロンとの面会が叶った。

 

「さて、約束の期間だアポロン。眷族を引き抜きに来たぞ」

 

「・・・・・」

 

「彼女を渡してもらおうか」

 

勝利者として当然の要求。相手は従うのが道理。押し黙るブロンドの髪を生やす男神に何時までも答えを待ち続ける一誠も再度問うた。

 

「今さら他の要求にしてくれと言っても聞かないからな。負けたのはそっちで勝ったのはこっちだ。もしも神が約束事を反故するなら、ギルドに訴えるから」

 

「・・・・・」

 

「もう約束の一年は経ったからにはもう先延ばしにはしない。これは決定事項だ異論は認めない」

 

それでも押し黙る。流石に訝しむ一誠であったが、何かを考えていようと結果は変わりない。催促の声を掛けようと口を開いた。

 

「俺の大切な仲間を渡さないぞ」

 

一誠の考えを遮る男の声が聞こえたと思えば、開けられる扉の向こうから全身甲冑を着こむ少年が入ってきた。後ろ姿、銀の長髪の女神を見た瞬間、

 

「っ、フレイヤ・・・・・ここに何の用だっ」

 

「私は彼の付添よ?去年、アポロンの子供達に勝利したこの子の主神だからついてきただけ」

 

「この俺を受け入れず仲間を引き抜きに来ただと?ふざけるな!そんなこと俺が許さないぞ!」

 

怒る眷族―――転生者にして自称勇者に関心を捨てたフレイヤは密着する風に一誠に寄り添い、今度は美の女神も目の前の男神に話しかけた。

 

「アポロン、この子の言うことを利かないならあなたの【ファミリア】を潰すわよ?それから貴方の子供を引き抜くのもアリだから」

 

絶対的な地位と名声、組織の勢力を有する女神の発言で瞳が揺れたアポロンを見つめる二人。四つの眼差しで見つめられる男神・・・・・ようやく口を開いた、と思えば。

 

「『異世界食堂』の店主、もう一度ゲームをしてくれ」

 

「「・・・・・」」

 

何を言うかと思えば・・・・・二人は冷めた目付きでアポロンを見つめる。

 

「その理由は?まーさか、チートな眷族を手に入れたから『あ、今ならイケるんじゃね?』的な考えで言ってるんじゃないだろうな?」

 

「もしもそうだったら今すぐ潰してあげるわ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ、と重圧の擬音が聞こえそうなぐらい威圧を発する二人。それでも頑なに乞う男神に対して話にならないと呆れる―――不意にあることを思いつき、一誠はニィと良からぬことを企む悪者のような笑みを浮かべだした。

 

「アポロン、提案がある。それを飲むならリベンジを叶えてやる」

 

その提案を口に出た内容の意図は・・・・・オラリオを巻き込む戦争遊戯(ウォーゲーム)であることをフレイヤとアポロンはまだ知る由もなかった。

 

「んで?うちやイロボケ女神に頼みたいって何や?」

 

「ん、他の神々を集めて神会(デナトゥス)を開いてもらいたい」

 

「臨時の?何でまたなんや?」

 

「またアポロンとゲームをするからだ」

 

朱色の目が開き「は?」と耳を疑ったような反応をしてフレイヤに目を向ける。「彼が言っていることは本当よ」と言う美の女神の言葉に胡乱な目で二人を見つめる。

 

「なんでアポロンとまたゲームするんや?去年自分、勝ったんやないか」

 

「負けた神がリベンジがしたいって頑なに言うんだから仕方が無いだろ」

 

「あの阿呆神、イッセーが本気も出さずに勝ったと言うのにまだわかっておらへんのか?」

 

「ぶっちゃけ、転生者を眷族にしたから前のようにはならないって感じじゃね?」

 

ある意味納得できる理由でアホらしい、と深い溜息を吐いたロキにその気持ちは分かると一誠は頷いた。

 

「で、当然アポロンとこの転生者には勝つんやろうな?」

 

「個人的になら当然。だけど、俺が考えているゲームはオラリオを巻き込むゲームだから五分と五分かな?」

 

「何やて?イッセー、一体何を考えておるんや?」

 

「それは俺の店でいつものように神会(デナトゥス)をしてくれれば教えてやるよ」

 

だからお願いな。と腕輪の宝玉が点滅したのを目にすると二人を残してどこかへ行ってしまったため、ロキとフレイヤは顔を見合わせて首を傾げる。

 

巨大な木々と青と白の水晶(クリスタル)の道標を背後に立ち、巨大な石壁の壁を開けていた一誠の濡羽色と金色のオッドアイは、廃墟の教会を始め人が寄りつかない寂れた区画の風景を目にするだけじゃなく、三柱の男神と女神、小さな三人の獣人の少女達も視界に映る。目を見開き呆然とした表情に開いた口が塞がらないでいるその反応に微笑む一誠は口を開いた。

 

「初めまして、俺の名前はイッセー。今日からお前達と一緒に生活をするがよろしくな?」

 

「は、初めまして・・・・・っ、わ、私はサンジョウノ・春姫と申します。よ、よろしくお願いいたしますっ」

 

「ウチはナナジョウノ・ユエル!」

 

「ウ、ウチはキュウジョウノ・ソシエ。よ、よろしゅうお頼申します・・・・・」

 

挨拶すれば金髪に翠色の瞳の獣人、濡羽色の髪に紅い瞳の獣人、水色がかかった銀髪に青い瞳の獣人の少女達も挨拶を交わしてくる。身長的に三人の中で年上なのがユエルとソシエ、年下は春姫なのが一目で分かる。そして三人には共通点が一つだけあった。狐耳と尻尾を生やしていることだ。

 

「三人共狐人(ルナール)なんだな。てっきりヒューマンかと思った」

 

「世界中探しても狐人(ルナール)の種族は極東にしか存在していないことを知らないのか?」

 

「特別な意味も含めて選抜したのが私達に仕える貴族の少女」

 

「それに貴方の人柄ならこの子達と直ぐに仲良くなれるでしょ?」

 

アマテラスが袖からアップルパイを取り出し、一誠の真上に高く放り投げた瞬間。獲物を狙う獣と化して好物へ目掛けて跳躍し、掴み取って春姫達の前に降りた頃には狐耳と九つの狐の尾を生やす小さな一誠になっていた。

 

「「え、えええええええっ!?」」

 

「め、女神様が仰ってた通りになって・・・・・」

 

驚くクロエとソシエに唖然と呟く春姫。「でしょ?」とアマテラスは微笑みながらショタ狐化した男に近づいて頭を撫でる。

 

「これから貴方達と住むこの子は私達の想像を超える秘密を抱えているの。狐人(ルナール)になれるのだってその秘密と関わりがあるわ。でも、貴方達に直接害があることじゃないから安心して頂戴ね」

 

諭す風に述べる女神の言葉に三人の狐人(ルナール)はコクリと頷き、九尾の狐人(ルナール)に寄った。

 

「ほへぇ・・・・・尻尾が九本もあるんてまるでお伽噺に出てくる九尾様みたいや」

 

「う、うん、そうやね。わ、本当に尻尾なんや・・・・・温かい」

 

「・・・・・九尾様」

 

興味津々、好奇心を目に宿してアップルパイに夢中な男を見つめ触れる春姫達。本来一本しかないはずの獣人、それも狐人(ルナール)が九本も生やすお伽噺や童話のような話が現実的になって前代未聞な存在が目の前にいる。関心が惹かないと言うのは無理な話であり、政略結婚という名の形でこの男の嫁として嫁ぎ生活をする三人はこれからも驚きの連続と色鮮やかな世界を見ることになるだろう。その後、アマテラス達がロキ達に春姫達の同棲する理由を語っている間に一誠も三人の狐人(ルナール)の存在を教え回る。それが終わると一誠は料理を作って食べさせると・・・・・。

 

「な、なんやこれ!家で今まで食べたことがない味と美味しさや!」

 

「お米でこんな美味しい料理が作れるなんて・・・・・」

 

「あ、あの・・・・・お代りしてもいいですか?」

 

例外なく胃袋を掴まれ、一誠に対する緊張感は一気に瓦解して打ち解けたのであった。ちゃっかり飯を集る極東の神々もお代りをしていて四人の様子を満足すると帰っていった。その後、春姫、ユエル、ソシエの狐人(ルナール)の新たな『幽玄の白天城』の住人としてオラリオが暗くなって迎えた夜の時間帯は歓迎会が行われた。

 

「三人共、どうだった?」

 

「めっちゃ楽しかった!故郷の家じゃあ貴族らしく優雅で慎ましい立ち振る舞いをしなさいって、散々おとんとおかんに言われかてつまらんかったんや。ここじゃ、気軽で自由にしてもええんやろ?」

 

「縛るような事はしない。ただ、ここオラリオは故郷より恐い人間が多いから気をつけてくれ。出かける時、できれば誰かと一緒に行動してくれ」

 

「「は、はい。わかりました」」

 

一誠の自室で夜を過ごすことになった三人。寝る前に会話を交わして良好な関係を築こうと極東でどんな生活をしていたのか、住んでいた場所はどんな場所なのか、話し合っていた。聞けば聞くほど異世界の極東は元の世界の極東と違い現代風ではなく、科学や食文化がまだ発展していない古代風の時代であることが分かってきた。心なしか、話す時がぎこちなく緊張しているのが見受けれる春姫とソシエ。

 

「イッセー様は普段何をしていらっしゃるのですか?」

 

春姫からの質問に「料理屋と冒険者」をしていると応えると三人共不思議そうにキョトンとした。

 

「料理屋と冒険者?なんで?」

 

「オラリオはダンジョンがある。それぐらいは知っているだろ?前者はともかく後者は冒険者になるのは必然だ」

 

「でも、冒険者なのに料理屋をするのは?」

 

「俺の料理、美味しかっただろ?それがロキ達神々の舌でも喜んでもらったけど、毎度のように料理を作る店で働かないかって言われてな。仕方なく料理屋もすることにしたんだ。そのおかげでこの辺りじゃあ俺と俺の店を知らない人はいなくなるほど有名になったよ」

 

「そ、そうだったんですか・・・・・」

 

もしかして苦労している人なのかな、と翠の瞳に乗せて見つめる金髪の獣人の少女の頭に手を置かれた。

 

「お前達は国の為に俺の嫁としてここに連れて来られたが、本当に結婚せずともただ一緒に住むだけでいい」

 

「えっ、そうなん?」

 

「好きでも嫌いでもない、ましてや見知らぬ男と結婚しろと言われて素直にしたいか?」

 

「うーん、確かにそれはちょっと嫌やかもしれへん」

 

「だろ?俺も見知らぬ女と結婚しろと言われば嫌さ。だからその辺のことはアマテラスも考慮している。基本的にユエル達は自由に生きていて構わない。ただ俺の妻である肩書だけは、アマテラス達の同盟の為に意識してくれ。極東に戻ればお前達は俺の妻として扱われるからな」

 

「え、えっと・・・この都市にいる間は普段道理に過ごして、極東に戻る時はイッセー様と結婚していることにしはるんですか?」

 

「そう言うことだソシエ。だから俺のことを好きにならずともいいからこのオラリオで自由に生活をしてくれ。それだけでアマテラス達の助けになる」

 

「なんやようわからへんけれど、本当に結婚せずともええんならちょっと安心したわ」

 

安堵で胸を撫で下ろし苦笑を浮かべるユエル。

 

「旦那様の部屋に誘われた時は初夜を過ごすんかと思って緊張してたんやけど、話を聞いてホッとしたわ。な、ソシエと春姫」

 

「う、うん・・・・・イザナミ様とイッセー様はとても優しゅうて安心した」

 

「アマテラス様もイッセー様のことを教えて下さいました。とても優しい殿方であると。だから信じて欲しいと。本当にイッセー様は私達のことを思ってくださっていることに優しさを感じました」

 

ソシエと春姫も緊張がほぐれた様子で柔和な笑みを浮かべた。釣られて笑む一誠はユエルとソシエの頭にも撫でながら耳を触れると擽ったそうに身じろがれた。

 

「あはは、旦那様擽ったいでっ」

 

「ん、ふふっ・・・・・」

 

春姫も耳を触れて擽られて笑い声を小さく漏らす。一頻り暗い部屋の中で笑い声が発する。その後、金色の羽毛に体を沈めて寝息が立った頃を見計らい、静かに扉が開き小さな影が三つ部屋に忍び込んでは金色の羽毛に眠る少女達に交ざって寝転がった。

 

『異世界食堂』

 

翌朝の昼時。ロキとフレイヤからの召集でオラリオに永住する上級冒険者の眷族を持つ神々が応じた。西方の区画では誰もが知っている料理店の二階を独占して臨時の『神会(デナトゥス)』が開催されようとしていた。皆、二大派閥から何を離すのか期待と愉快そうに同席して口を開くのを待った。

 

「うし、時間も迫ったところで話をするで。今回自分等に呼んだのは他でもない。とある派閥同士が戦争遊戯(ウォーゲーム)をおっぱじめようとしとる話や」

 

『―――――ッ!!!』

 

娯楽に飢えた神々が歓喜の声を上げた。久々の祭りだと盛り上がり、話しを催促する声も上がるとロキは淡々と進行を進める。

 

「相手は【フレイヤ・ファミリア】と【アポロン・ファミリア】や」

 

ロキの言葉で盛り上がっていた場はピタリと静まり返った。え、何その出来勝負(できレース)?と銀髪の女神にブロンドの男神を交互に視線を配る神々の中、羽付きの鍔広帽しで橙黄色の髪を隠す優男神が質問と声を漏らした。

 

「ロキ?フレイヤ様とアポロンがどうしてゲームをすることになったんだい?ゲームをせずとも勝敗は火を見るより明らかだぜ」

 

「しょうがないやん。そこのド阿呆がリベンジをしたいってちゅーから」

 

「リベンジ?・・・・・ああ、そーいうことか」

 

狩人を司る神がリベンジする相手がいるとすれば、ただ一人しかいない。その人物は今【フレイヤ・ファミリア】に所属していてアポロンがフレイヤに闘争を臨む理由も適っている。だが、それでも理解できない。

 

「フレイヤ様、よくアポロンとゲームをする気があったんだね。貴方なら断わると思っていたんだが?」

 

「私は許しただけよ。本当にアポロン達と戦いたがっているのは、あの子よ」

 

「・・・・・え?」

 

本神はその気が無かった。なのに眷族の為に許したと言う話に優男神は不思議そうに女神を見つめたところで、この店の店主が何時の間にか主神の背後に立っていた。

 

「そう言うわけだヘルメス。【アポロン・ファミリア】からのリベンジを受け入れたのは俺が考案したゲームなら受けて立つと言ったんだ」

 

「それはどういうことなんだい?それに君が考案したゲームって・・・・・」

 

「俺が考えているゲームは、オラリオ、ひいては他の【ファミリア】を巻き込んで行うゲームだ」

 

二階にいる神々全員が揃って店主に目を向ける。自分達もゲームに参加させるだと?そんなことが可能なのかと興味が惹かれた神々は彼の男に注視する。

 

「【フレイヤ・ファミリア】と【アポロン・ファミリア】。さっきヘルメスが言っていた通りゲームなんてせずとも勝敗は決している。だから、不平等を平等に且つ他の【ファミリア】も巻き込むゲームを考えた。その名は―――『運動会』」

 

「う、運動会・・・・・?」

 

一柱の神が聞いたことのない単語に目を瞬きする。演説をする風に店主は神々へ説明する。

 

「既に俺のことを察している神はいるだろう。俺自身も転生者と同じ異世界から来た存在であり、異邦人なんだ。だから異世界の催し(イベント)戦争遊戯(ウォーゲーム)に取り組ませてもらうことにした。大人から子供、神ですら参加できるゲームをな」

 

『か、神すら参加できるゲーム・・・・・だとっ?』

 

震撼する神達。手汗を握るほど期待感が一気に膨張して店主を見つめる意識が増した。

 

「それはどんなゲームなんや?運動会に関しておるんやろ?」

 

「勿論だ。運動会とは集団で二チームに分かれて主に身体能力で競い合うのが催し(イベント)の醍醐味だ。そして戦力差が離れているなら平等に、指定されたLv.以下の冒険者のみ競い合わせれば勝敗は五分五分になる。当然、神と冒険者と競い合わせても意味が無いから神同士が競い合ってもらう。そうすればいくらフレイヤの眷族でも圧倒することはできないだろ?」

 

「そうね・・・・・オッタル達が前線に出ることを禁じられるなら、アポロンの子供に勝てるとは限らないわ。貴方の世界の催し(イベント)、面白い事を考えてしているのね?」

 

ソプラノ声で美しく微笑む美の女神に恭しく「褒め言葉として受け取らせてもらう」と頭を垂らす店主。

 

「運動会は一年に一度だけ行われる。だから今年、今回のゲームで運動会をした後は来年までしない。故に神々も全力で楽しめるゲームは今回限り。で、どうだ?【アポロン・ファミリア】のリベンジで行うゲームは運動会で構わないか?」

 

『オッケー!』

 

親指を立ててほぼ満場一致で戦争遊戯(ウォーゲーム)は運動会に決まった。皆、自分達も直接祭りに参加できるなら是が非でも参加しよう!という魂胆で了承した。神々の心理も掌握した一誠の手腕にロキとフレイヤは感嘆し、ヘルメス達は驚嘆する。

 

「ゲームをするのは二週間後にさせてもらう。オラリオの南部の外でするからフレイヤとアポロン、どっちの仲間となるかは中央広場(セントラルパーク)に設置した二つの箱の中に自分の派閥の名前を書いて入れてくれ。で、運動会に参加出来るのは神会(デナトゥス)に参加資格がある派閥のみ。指定するLv.は3以下で人数は・・・・・そうだな、初めてするから十五人までにしよう。十の派閥が集まれば百五十人も集まるわけだしそれで十分盛り上がる」

 

後もう一つ、店主は付け加える。

 

「同意の上であれば他派閥同士が運動会に乗じて、負かした【ファミリア】何でも一つだけ命令を下す罰ゲームも加えるか」

 

『・・・・・』

 

それを聞いた瞬間の神々の目が妖しく煌めいた。平等で戦えて集団で勝てば負かした【ファミリア】に命令ができる。勝敗は五分五分だが比較的安全な勝負が臨める。何て素晴らしい設定(システム)なのだろうと店主に感謝しながら疼く足を抑える。

 

「それじゃ、そろそろ運動会の会場となるステージを用意しないといけないから・・・・・ロキ、締めくくりよろしく」

 

「ほな、解散!」

 

最後まで一人の冒険者が仕切るのはアレだからと考えでロキに頼んでもらい、臨時の神会(デナトゥス)を締め括らせてもらえば、ワッ!と神々が疼く足を解放して我先へと一階へ続く出入り口へと駆け出して消えていく。二階にいまだ残っているのはいつもの神メンバーである。

 

「なぁなぁ、ほんまにうちらも参加できるんやろうなぁ?」

 

「できないなら言わないさ。ところでロキ、お前はフレイヤの味方になるのか?」

 

「ぐふふ、そりゃ聞くのは野暮やろ?ゲーム当日までは内緒や」

 

意地の悪い笑みを浮かべはぐらかす朱色の髪に糸目の元主神。つられて店主も笑いだす。その意味は・・・・・。

 

「ま、運動会が終わった後はアレも準備できてるだろうからやるけどな」

 

「イッセー君、まだ他にやろうとしているんだい?オレにも教えておくれよ」

 

「なに、運動会の後はオラリオを巻き込んだ祭りをするだけさ」

 

な?と象頭の仮面を被っている男神へ意味深に目を向ける店主に無言でニカッと白い歯を覗かせた。二人の様子を見逃さなかった女神達は「ああ、そういうこと」と納得するが何も知らない神は疑問符を浮かべるのみ。それから店主は一週間後の運動会の準備に忙しさに追われ、ギルドや他派閥、商会の協力を仰ぎ事を順調に進めた結果・・・・・あっという間に一週間後となった。

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