ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
巨大な三体のモンスターが18階層に出現。どこかの冒険者と戦っていた模様だがモンスターの勝利で幕を下ろしたのか、光と共に消え去ったと
「―――毒は消しておいた。これで冒険者達も活動を再開できるはずだ」
「ご苦労だった」
「んや、身内に任せた俺の責任だわ。後始末をするのは当然だ」
四炬の松明のみしか光源がないギルドの地下神殿、『祈祷の間』にて報告をする一誠にギルドの真の王が凝然とした態度で蒼い瞳を眷族の子に見下ろし見つめる。
「今後異世界のドラゴンの召喚を控えてもらう」
「不測の事態じゃない限りはそうするつもりだ。普段は俺の中にいてもらっているけど、俺が動けない代わりにこいつ等に守ってもらわないと危ないからよ」
「ドラゴンがドラゴンを宿す。それも異世界では可能なのか」
「そんなことしてるのは俺ぐらいだけどな。他は魂の状態で封印されているのさ」
そうか、と異世界の可能性を知るウラノスは言伝を口にする。
「『
「へぇ、そうなんだ。どの階層に行けば会える?」
「案内役としてフェルズに任せる」
わかった、と首肯する。次は何時会いに行くべきかと思ったが直ぐに移ろうと決めた。思い立ったが吉日だからなと理由を頭の中で思い、今日の夜にした。『祈祷の間』を後にし「『
「ゼノスとは誰ですか?」
「最近発覚したことだけど、理性と理知を備えるモンスターだ。ぶっちゃけ人語を話せる異端児のモンスターってこと」
「・・・・・そんなモンスターがいるなんて信じられません」
「信じるか信じらないかは自由だ。俺は誘いに乗った奴しか連れて行かないからな」
アイズとアリサにラトラ、リヴェリアも加わる。アスナもついてくる。春姫とユエルにソシエ、レギンにレイネルやカサンドラ。この目で確かめるとアリーゼとリュー、輝夜までも誘いに乗った。シャクティにも誘いの言葉を掛けてみればアリーゼ達と同じ理由で参加する。
「それで、何時行くの?」
「思い立ったら吉日。つまり今直ぐだ」
『今直ぐ!?』
「転移の魔法で目的地の目の前に行けるから問題はない」
あ、なるほど。と納得する者や唖然とした表情を浮かべる者の反応が分かれた。それから夕餉の時間が過ぎて念のために得物を所持して会いに行く者だけ玄関先に集う。そこで腕輪の機能で転移してきたシャクティと妹のアーディと合流を果たして扉を開け蒼夜に染まった外へ出たところで、全身を隠す謎の漆黒のローブの者がそこに佇んでいた。
「・・・・・何者だ」
「俺達の案内役だ。見た目は物凄く怪しいが敵じゃないのも含め―――俺の正体も知ってる」
「お前・・・・・私達以外にも教えていたのか。あの者の素性がわからないというのに」
「素性は分からなくても・・・あいつ一言で言えばギルド側のもんなんだ」
ギルド側の者?ますます訝しむリヴェリアの胡乱な視線を受け止める黒衣の者は両手に嵌めた漆黒の
「イッセー様・・・・・あのお方は」
珍しくラトラが動揺の色を瞠目した瞳に浮かべていた。相手の気の気配を感じ取る術を持っている彼女だからこそ、一誠を除いて彼女しか分からないことがある。
「取り敢えず、今抱いている疑問は後で解消するとしてよろしくな」
「ああ、こちらこそ」
黒衣の人物が喋りアスナが小さく悲鳴を漏らす。音もなく近づいてくる謎の者に臨戦態勢や警戒するリヴェリア達だが、一誠が手で制するので警戒だけはする。
「で、どの階層に行けばいいんだ?」
「この階層の、この位置に」
とある階層の地図を懐から取り出す黒衣の人物が指定する場所に一目見て頷き、足元に転移式魔方陣を発生させて一誠は一同と共に目的の階層へ一気にジャンプする。
・・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
目的地に辿り着いた一行。場所を見渡せば空間は長方形の広間である。幅は十M以上あり、頭上の高さも同様だ。天井と壁は樹皮で形作られており、ここは18階層から下の中層であることを認知する冒険者達。本来暗い筈のダンジョンの中を壁や天井に生えて発光する
「
「こっちだ」
黒衣の人物が動きだしその行動を目で追うと階層の奥、あの壁を覆う
「これを壊してくれ」
その水晶に指す黒衣の人物からそう言われ、一誠は打ち壊す。ガシャンッ、という硝子の塊が砕けるような甲高い音を撒き散らし、
「これは・・・・・」
隠れていた樹穴にリヴェリアの翡翠の瞳が驚きで見開く。自己修復するダンジョンの中でも、砕かれた
「・・・・・泉」
坂を下りきった先には、清冽な青い泉があった。大きさは奥行きの横幅、深さともに五Mといったところで、池ととも呼べる程度のものだ。
「先に君一人だけ先に進んでくれ」
「進む?」
「この泉の向こうに」
「・・・・・本当、ダンジョンって未知が溢れて面白いな」
笑みを浮かべた一誠が息を大きく吸ってから泉の中へ飛び込んでいった。冷たい泉水の感触、視界が利く澄んだ水底。そして奥へと続く横穴。水底に点々と生えた
「―――ふはっ」
水面に顔を出す一誠の視界に飛び込んでくるのは、樹洞から様変わりした鍾乳洞に似た洞窟だった。黒い岩盤で構成されており、天井や壁から生えている
「・・・・・『未開拓領域』ってやつか」
今もギルドに蓄えられているダンジョンの
『未開拓領域』。
文字通り、前人未到の領域だ。地図に記されていない行路―――【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】でさえ足を踏み入れていない
「見落としがあったってことか流石に。今度、もう一回隅々まで調べ回ってみよう」
暗闇でも目が利く一誠はそれでも後からやってくるだろうアイシャ達の為、複数の魔光をこの場に展開して深淵に繋がっているかのような暗闇の穴へと静かに歩み始めた。何が自分を待ち受けるのか、どんなモンスターが襲ってくるのか、初見の
「暗っ」
そして開けている。閉塞感からの解放、圧倒的な空間の広がり。恐らく特大の広間だ。同時に完璧な闇が支配している。きっと魔石灯の光でも深奥や細部まで届かないだろう。―――さらには。
「ふーん・・・・・?」
いる。何かがいる。気と気配を探知したら数十ものの数とその分の視線の主が。今この暗闇のどこかから息を潜め、完璧に気配を絶ち、自分を見つめている。それでも警戒や緊張感など全く顔に出さず、逆に寧ろ喜ぶ一誠は魔光を発現して視線の元へと灯した。
「・・・・・!」
その瞬間、双眸を丸くした。
『グルルルルッ・・・・・!』
『オォオォオ・・・・・!』
『ヒェアアアアッ・・・・・!』
「武装した・・・・・モンスター・・・・・」
「・・・・・俺をどうしてここに一人で行かせたのか何となくわかったな」
武装したモンスターと戦う気分は何とも言えない新鮮さを覚える。
「この中にゴブリンのレットはいるか?」
そんな問いかけをする一誠の言葉に呼応する一体の赤い帽子を被ったゴブリンが武装したモンスターの中から前に出てきた。
「お久しぶりです。ミスター・イッセー」
「お、いたな。ってことはこいつ等がお仲間の『
「はい、そうです」
嬉しそうに笑う
「お前がレットが言ってた、異世界の人型ドラゴンってモンスターなんだな?」
「・・・・・普通に話しかけられると驚きとを通り越して新鮮さを感じるぜ」
「ハハハ、オイラだけじゃなくて他の連中もフェルズから聞いた話しの人物と会ってみたくて楽しみに待っていたんだぜぃ?」
フェルズ、という名前の知らない人物はおそらくあの黒衣の人物の事なのだろう。人語を流暢に操る
「なぁなぁ、お前がモンスターになるところをオイラ達に見せてくれねぇか?」
「それで信用してくれるなら」
次の瞬間。真紅が一誠を包みだし、次に姿を現したのは―――逆関節の二本脚、二対四枚の翼、真紅のドラゴンとして一誠は眼前のモンスター達の前に真の姿を晒す。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
『『『『『っ!?』』』』』
眼前の存在が自分達と同じ存在―――いや、明らかに異なっている姿に成った時、変貌して凄まじい咆哮に伴い衝撃波でモンスター達は広間の奥まで吹っ飛ばされたのを見て「あ、ごめん」と軽く謝って元の姿に戻る。
『大丈夫か?』
「び、びっくりしたぜぃ・・・・・っ。レットやフェルズから聞いた話じゃあ信じられなかったけど、本当にお前はモンスター何だな・・・!」
『一応な』
モンスターに変貌した一誠に近づく
「冒険者の魔法とかじゃねーんだな?」
『正真正銘の自身の身体だ』
更に身体を巨大化にして
「で、でかっ!?」
『もっと大きくなるんだが、ここは狭いからこれ以上は無理だな』
「どんだけ大きくなるんだお前ぇっ!?」
頭部の兎がオロオロと当惑。光に包まれた真紅のドラゴンが元の人形に戻った際には頭の上で器用に乗る形になったところで背後から遅れてやってくるアスナ達へ視線を向ける。黒衣の人物と共に未開拓領域に足を踏み入れた彼女達は絶句する。『上層』から『深層』、種族がバラバラなモンスター達が冒険者の自分達を相対しても襲ってこないどころか、警戒はしてても興味深く見つめてくる。
「イッセー、そのモンスター達がお前が言う
「ん、そうだ。アスナ、これ可愛いぞ」
「えっと・・・・・」
『キュー・・・・・』
赤いつぶらな瞳がアスナを見上げて見つめる。頭の角を除けば兎そのものだ。しかし、人類の天敵のモンスターだ。いくら見た目が可愛くて小さかろうとモンスターはモンスター。人類と相成れない存在だ。が、異世界から来た異邦人としてこの世界の人類との認識の違いをアスナがここで発揮する。
「可愛い」
身体を撫でてモフモフ感を堪能するアスナは微笑みを
「アリサ、そこのワンワンも可愛がってやれ!」
「うんっ」
『ガウッ!?』
いつの間にか一誠に捕まっていた
「・・・・・あの三人、自然体過ぎるではないか。こちらが逡巡しているというのに」
「元々この世界とは違う別世界から来た者達だ。認識の違いで態度も言動も違ってくるのだろう」
ハッキリとこの世界と別世界の住人達の差異を明らかにする態度をしている一誠達だった。シャクティとリヴェリアは何とも言えない神妙な面持ちで『
「おーい、お前等。せっかく貴重な体験を目前にしてるんだからお前等も体験しとけ。てか、俺を受け入れてこいつ等は受け入れ辛いか?」
「お前は別の世界のモンスターである以前に私達と付き合いが・・・・・」
「リリア、まだ教えてない連中もいるんですけれど・・・・・」
しまった、と珍しくリヴェリアが動揺する。一誠の事をモンスターだと知らない者はラトラとレギンにレイネルやカサンドラ。他アーディであるが、リヴェリアからすれば春姫にユエルとソシエ、【アストレア・ファミリア】も含める。
「イッセー様が・・・・・」
「え、イッセーってモンスター?」
「うそ・・・・・」
「「・・・・・」」
軽く衝撃を受ける少女達。ラトラ達の反応に己の失態で自分の秘密を、何時か明かすだろう順序を狂わせてしまい一誠に対する疑心暗鬼を生ませてしまったものだ。すまない、イッセー。と心中で謝罪する
「アイズ」
手招きする。なんだろう?と歩み寄る少女の前で人から龍に姿を変える。一誠の行動に瞳を丸くして三Mの距離で足を止めてしまった。
「俺はモンスターだが、こんな姿の俺でもお前は好きでいてくれるのか?」
「・・・・・あの時も言った。イッセーはモンスターだけど、私はイッセーが好き、だよ」
「・・・・・ありがとうな」
龍の、異形の手で金髪の頭を撫でられても少女は嫌がることもなく受け入れる。
「ズルい、私もイッセーの事が好きなのに!」
遅れて駆けては軽い身のこなしで跳躍するアリサは、一誠の背中に乗って占領する。アイズと共に視線をラトラ達へ向け。
「「イッセーはあげない」」
とドヤ顔で断言する二人にムカッ!ときた
「勝った気にならないでください。イッセー様がモンスターであろうと私の気持ちは変わりません!」
駆け出してアリサの頭上を越えては鎌首に腕を巻き付けて胸に飛び込むラトラ。
「なんや、ウチらが負けてる気がしてあらへんで・・・・・妻のウチらを差し置いてどう思うユエルと春姫」
「え、えっと・・・・・」
「・・・・・」
妻(仮)の肩書を持つ獣人の少女達が初めてモンスターとして姿を見せる一誠に動揺してもユエルは、主神から前以って「秘密がある」と教えられているためか、それがモンスターであることを知っても不思議と変わらない態度で二人に尋ねたのだった。
「ユエル、俺がモンスターで何とも思わないのか?」
「そりゃ、旦那様がモンスターなんて仰天するほどびっくりしたわ。今も驚いてるし」
でもな、と言葉を紡ぐ。
「旦那様は旦那様なんやろ?」
率直的な感想を述べられた。そんなことを言うユエルにオッドアイの双眸を丸くした後に苦笑を浮かべた。
「(はははっ、そんなこと言う奴がまだいるんだな)」
自分を受け入れる少女やまだ当惑している少女等を見つめ、今度腹を割って話し合いをしようと決めた。今は『
次の瞬間―――わっっ!!と。
春姫達の体が飛び上がるほどの大音声が
「お前等、灯りをつけろ!」
モンスター達が歓喜する中、
「モンスターが、魔石灯を・・・・・」
ヒューマンが作り出した魔石製品を使いこなす怪物達に、リヴェリアは己の目を疑った。更に
「―――
「こんなやつもいたのか・・・・・」
現在地である
「地上のお片、挨拶させてください!」『ウゥ・・・・・』「ワタシモ!」
喋れる者、喋れない者、発音がたどたどしい者、多くのモンスターが一誠達の後ろに距離を置いて立っていたリヴェリア達の前へ集まっていった。第一級冒険者でも理知を備え敵意もなく近づかれるモンスター達にかなり動揺するのであった。
「ミス。握手をお願いします」
「み、ミス・・・・・?」
「アナタと、握手できて、トテモ嬉しいです」
「う、うん・・・・・」
「ワタシ、ラウラ、ヨロシクネ」
「よ、よろしくお願いします・・・・・」
『・・・・・』
「・・・・・」
ミスと呼ぶ
「君という緩衝材の存在のおかげでリド達と触れ合うことができるか」
『それでも抵抗感はありありだ。それとフェルズって名前なんだな?』
黒衣の人物は「紹介が遅れてすまなかった」と謝罪して、被っていたフードを
「―――――」
一誠、アスナ、アイズ、アリサ、ラトラ、が同時に時を止める。そこあるべき瞳がなかった。真っ黒な空洞、がらんどうな眼窩が空いている。そこにあるべき皮がなかった。生え揃えた歯が、骨格が剥き出しになっている。そこにあるべき顔が、存在しなかった。
「「『スパルトイ』・・・・・?」」
「ひぅっ!?」
『・・・・・マジでか』
まさしく目の前に存在するのは白骨化した頭蓋骨だった。目も鼻も耳も髪も存在しない。そのおぞましい死の象徴は紛れもなく人ならざる者の証だ。アイズとアリサが『深層』に棲息する骸骨のモンスター『スパルトイ』の名を、一誠は眼を限界まで見開き、戦慄するアスナの悲鳴を拾った。眼前の髑髏、フェルズは緩慢な動きで顔を横に振った。
「生憎モンスターではない。元人間だ」
「も、元人間って・・・・・一体、どういう・・・・・!?」
一誠と同じ元人間というフェルズに一アスナは唖然として頭の中が疑問で支配されている。顔に浮かぶ動揺は隠せない。頭部は勿論、首の皮や肉、喉そのものが存在しないにもかかわらず、顎骨の奥から生まれる声音は今日すら喚起してきた。動転する一誠達の疑問に、
「フェルズは『賢者』さ。すげー
「『賢者』・・・・・?」
フェルズの事を知らないアスナが発した言葉に人型に戻った一誠も疑問を漏らした。
「フェルズって凄い魔術師だったのか?」
「異世界から来たイッセー、君には知らないことだろう。私は過去、永遠の命を発現させる
「うわ―――それは凄いな」
「イッセー、賢者の石って、あの賢者の石?」
アスナに問われて、肯定と頷く。
「俺の世界でも魔術師が存在している。だから魔法に関する道具もあるから『賢者の石』なんて伝説の代物も知らない方がおかしいんだよ。常識的な知識の一つだからな。でも、アスナの世界でも認知されていたんだな」
「うん・・・・・だけど、どうして賢者の石を完成できた人が骸骨に?永遠の命が得られる筈じゃあ?教えたら絶対に後世まで有名な人として偉人の一人と数えられ語られると思うけれど」
「―――石を、『賢者の石』を神に報告したら、目の前で叩きつけられ破壊されたどうしようもない
一誠とアスナの気持ちが一気に冷めた。やっぱり、神というのはどうしようもない奴等だなと再認識した。
「・・・・・なんて声を掛けたらいいか」
「気にしないでくれ。もう過去の話だ。話を戻すが、リド達のことを説明しよう。イッセー以外の者達は知っているかどうかわからないが改めて教えさせてほしい」
本題に入ろうとするフェルズは『
「理知を備えるモンスター・・・・・リド達と私が接触したのは、十五年、いや十六年ほど前のことか」
当時、ウラノスと深い繋がりがあった【ファミリア】の冒険者達が彼等を捕獲した。派閥内には徹底した緘口令が敷かれ、リド達の情報がオラリオに出回ることは防げた。彼の【ファミリア】は消滅し、現在はもう存在しない。そしてウラノスの神意に従い、以降フェルズが使者として彼等と関係を持つようになる。地上側との接触の開始だ。
「リド達の話を聞いた我々は彼等を『
「共同体、ですか?」
「ああ。ダンジョン内で生まれた『
アスナにフェルズが返答し、
「こういう
活動の中心は大体『下層』域が中心だとそこまで述べると、何かを考えていた一誠が疑問を挟む。
「この広まってモンスターは産まれないのか?」
「お、気付いていたのか、イッセー」
「こんな場所・・・・・イッセー達が
「マジで?」
「冒険者達にも勿論見つかってねえ。オレっち達は『隠れ里』って呼んでる」
喫驚する一誠達を他所に、『
「今いる『
「リドとレイとグロス?」
後に
「『
「そうだ。知られたら間違いなく非難の嵐が殺到するだろう。オラリオを創設したウラノスといえどもな」
「それでも、今の立場を覆す危険を承知の上で今まで接触、協力してきたんだよな?そこまでしてお前等は何を考えて、リド達は何を望み、求めている?」
何も知らないアスナ達の為に改めて聞かせたい為に質問をした。モンスターとの共存はできなくないと自分が言った言葉とフェルズとウラノスりの会話のやり取りを、思いだしながら。あの一件で一誠達はここまで案内され、リド達と会合の機会を与えられたのだから。
「リド達は人と『
『なっ・・・・・』
怪物が人類と地上で共存を謳う。一誠以外の面々の表情は驚きの一色で滲み浮かんでいた。そんな、馬鹿な話はあるかと喉の奥からその言葉が出そうになるもの、既に異なるが共存をして愛し合っている自分達は否定や拒絶の言葉を放つことができなかった。頭で否定しても心では肯定も否定もできず何とも歯痒く苦悩に似た葛藤を覚える。
「もしかして、俺達は期待されているのか?」
と思い上がりもいいところな発言をフェルズに向けたら、
「―――ああ」
ハッキリと頷いたフェルズ。
「イッセー、君の話を聞いて確信した。オラリオに存在する住人達とは根本的に違うと。異世界から、異種族と共存していた君だからこそ、難しいが出来ると言う言葉が出てきたんだろう。だからこそ、初めて会わせたレットを抵抗も無しに触れることができたんだろう」
白骨化した手を被せているであろう
「私達と協力して欲しい。君の力が必要だ。彼等の夢―――地上進出を叶えるために」
「・・・・・」
その手を無言で見つめ、頭の中で今後の事を考えた上で・・・・・あっさりとフェルズの手を掴み、握手に応じた。
「了解了解。未到達階層を突破するより、やり甲斐と楽しそうだ。【ファミリア】としては無理だけど、個人的には喜んで協力しよう」
満面の笑みを浮かべる一誠。
「―――ああ、よろしく頼む」
顔の表情が分からないが、きっと嬉しく笑んでいるだろうフェルズ。
「イッセー、少し質問をいいか」
改まった風にフェルズは
「君達が騎空艇で向かう『空の世界』にも『
「観光旅行気分で島をいくつか訪れているが、一匹だけ確認している。しかも小さな島であるけどその島に住む住人達との関係は良好で一緒に住んでるし」
そんなこと教えてもよいのかという視線が一誠に集中するが当の本人は問題ないと受け流し、ざわめく『
「いるのか・・・・・空の世界にも。それに共存もしているとは驚きだ。地上と空の世界の違いだからか」
「あ、あの地上のお方!そこに私達を連れていけれませんでしょうか!?」
「船には載せられないが、別の方法なら連れていけれる」
その返答にすかさずフェルズが疑問をぶつけた。
「どうやってだ?船でなければ辿りつけれない世界だと思っている。それに今の君は忙しい筈では?」
「まぁ、今は大丈夫だ。後日直接連れてってやるよ。オラリオから遠く離れた場所の地上に出て来て貰ってな。それとも明朝にでもなったら行きたいか?」
と訊けば『
「シャクティ、お前も来るか?」
「ああ・・・・・そうさせてもらう。だが、大丈夫なのかそんなことをして」
「大丈夫さ。俺はできないことを口にしない主義だ。期待を裏切る真似は絶対にしない」
不敵の笑みを浮かべ、一誠はフェルズ達と約束を交わしてアスナ達と共に未開拓領域を後にした。
「なぁ、フェルズ・・・・・本当にオレっち達は地上に出られて空の世界にいる『
「イッセーを介してであれば可能だと私は信じているよ」
「ああ、そうだな。オレっちも信じてみよう」
・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
オラリオから遥か遠く、人里がない場所。空が薄らと白みを帯びて明るく成り掛けている明朝の時間。空の世界に行く影の者達が集っていた。まだ眠っている時間帯の為に多くの者達は眠たげに眼をしょぼしょぼしている。
「ん・・・・・頃合いか」
そう呟く真紅の長髪の男の目の前に空間がポッカリと穴が開いて、どこかの濃緑色に照らされてる洞窟と繋がり穴の向こうからゾロゾロと大小・様々な種族のモンスターが地上の地面を踏みしめながら出てきた。そのモンスター達を知る者や知らない者の反応と体とが二つに分かれ、怪物達は白みを帯びている空や地面、自身の目に移る全ての景色を忙しなく見渡し始めた。
「イッセー・・・このモンスター達が『
「ああ、そうだ。襲ってこないから安心してくれ」
最後に
「これで全部だ。本当に連れていけれるのだな?」
「安心しろ。約束は守る」
静かに高く宙に浮き、全身から真紅の光を迸らせ全長百Mは優にある真紅のドラゴンと化した一誠に空いた口が塞がらないのはお約束だ。
「で、でっけええええええええええええええええええっ!?」
「喋ったぁっ!?」
「・・・・・本当に喋るモンスターなんて、いたのね。こっちはこっちで知っているけれど」
リドの絶叫にロキは驚愕、ヘファイストスが一誠を見上げながら神妙そうに呟く。
「異世界のモンスターは君ほどに大きいのか」
『俺よりデカい怪物は他にもいるぞ』
「そ、そうなのか・・・・・凄まじいな異世界とは」
それは絶対に一誠の世界だけだと神と人類側の気持ちが一つになった。その後、一同を魔法で浮かせて巨大な手の平に乗せられ真紅のドラゴンが地面から浮き真っ直ぐ空の彼方へと飛んで行った。
「お、おおお・・・・・おおおおおおおっ!?」
モンスター達にとって初めて見る光景や景色。広大な大地、どこまでも広がる蒼い海と蒼穹の空を泳ぐように漂う白い雲。見る物全てが新鮮であり、絶対に忘れられない世界であった。
「・・・・・ここまで大きいとは、想像もしませんでしたねアリーゼ」
「Lv.に関係なく強い理由が分からされたわ。だけどそれ以上に・・・・・私達は空だけの世界に行けれる。私の大好きな空にイッセーが連れて行ってくれる。それが溜まらず嬉しいわ」
何時か空を飛んでみたいと言っていた
「空の世界に子供がいるなんて・・・・・」
「うちらも驚いたでー?今はすっかり馴染んでしもうたわ」
ゆっくりと草原に降り立ち、手の平から全員を下ろす。そして人型に戻る一誠のもとに村の住民や翼を生やす小さなモンスターが。
「おぉーい!久しぶりだなぁー!」
「お久しぶりです、皆さん!」
「おう、久しぶりだなビィとジータ。しばらく見ない間、ジータだけは大きくなったな。ビィはまだトカゲみたいだな」
「オイラはトカゲじゃねー!」
何時もの調子で交流するその光景を【アストレア・ファミリア】は言葉を失い、空の世界にいる理知を備えるモンスターを見た『
「なぁおい。今日は騎空艇で来なくてモンスターを連れてきたのかよ」
「今回は理由があってな。お前と同じ人の言葉が分かるモンスターを連れて来たんだ。仲良くしてくれれば友達になってくれるぞ」
「地上の世界のモンスターですか?凄い、こんなにたくさんいるんですね!」
感激するジータの様子を見て
「こいつはゴブリンのレットって言うんだ」
「え、地上の世界のゴブリンはこんなに可愛いんですか?」
「見た目、全然違うだろ?」
はい、と素直に頷き手を差し出す。
「私、ジータって言うの。よろしくね。こっちはビィ、私の友達」
「よろしくな!」
「レットと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」
双方握手を交わして親交を築いた。
「手の空いている人は地上のモンスターと接して下さい。手伝ってほしい人は遠慮なく声を掛けてください」
一誠を介して空の世界の、島の住民達はジータと地上のモンスターの様子を見てビィのように受け入れて『
「・・・・・地上では困難を極まるはずのものが、ここでは普通にできてしまってる」
「ま、この村にはモンスターなんて殆どいない田舎みたいなもんだ。モンスターは危険だとわかっているが、友好的なモンスターだったらビィを介して接すればあんな感じだわ」
何とも言えないフェルズから背を向け、さてと、と一誠はジータに話しかける。
「今日は他の島に行かないが、代わりに稽古でもしてやろうか?」
「はい、お願いします!」
木製の剣を手渡されてやる気が満ちた声と顔のジータは、金髪をなびかせながら体力が続く限り稽古をしてもらった。その途中、自分もしたいと参加するアイズ達ともして何時しか乱戦に勃発。魔法まで交えて防壁を張った結界の中でやらねばならない事態になってしまった。
その日の夜は―――宴会になった。人と怪物が輪を組んで飲食を楽しみ、
「・・・・・彼等にとってここが楽園なのだな」
「地上でもかなり長い目を見ればいつしかこんな光景を見れるようになるさ」
「ああ・・・・・そうかもしれない。だが、今はこの光景をウラノスにも見せたかったな」
できるぞ?と指を弾き真上の空間に穴を作り、ギルドの地下神殿に直接繋げた。ロキ達に気付かれずにウラノスも観覧させる。『
「イッセー、何時かここに件の転移の装置を作ってもらえないだろうか。リド達が喜ぶ」
「今直ぐじゃなければ必ず作ってやるよ。そんな物を作れば冒険者も生存率が高まるだろうしな」
それが後に、冒険者達にとってとてもありがたい必要不可欠な