ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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冒険譚27

翌日の朝―――開口一番で結果を言おう。ハジメ達の【ファミリア】は空中分解、解散状態となった。主に主神に対して信用と信頼が奈落の底まで下落して、悪い神だと印象を抱いてしまった。どれだけ神を嫌っても少年少女達は主神から離れることはできない。その理由をまだ知っていない。知っていても結果は変わらないことも。

 

「これから、私達は何を生甲斐にして生きていればいいの・・・・・」

 

「元の世界に帰れねぇのかよ・・・・・」

 

「パパ、ママァ・・・・・」

 

「最悪だ・・・・・」

 

「魔王何てはじめっからいないんじゃ、戦う理由だってないんだ」

 

「俺達はここで無意味に死ぬんだな・・・・・」

 

魔王討伐のため―――自分達は勇者か選ばれし者達だからと信じていた、それを信じていた精神が脆く崩れ去ってパニック状態に陥ることもなくとことん落ち込む方向性で最悪の事態にだけはならなかった。廃墟の中で膝を抱え落ち込み、もはややる気を失って起きていても寝転がったままの少年少女達に光は無かった。元の世界では皆を先導していたリーダーシップ的な存在、天之河と言えば・・・・・そのカリスマ性を発揮できず皆を支えずにいて壁際に座り込み未だ神に騙された事実を引きずっていた。

 

大黒柱と言えるべき主神は、面白半分で語った嘘がばれて焦るどころか、皆の様子を見ておかしそうにゲラゲラと笑っていた。それを咎める小さな少女がいたが、神の心に届かず空ぶる。

 

「・・・・・おいおい、不味いってこれ」

 

「そうね・・・・・光輝ですら落ち込んでて私達じゃあどうしようもないわね。何か手を打たないと」

 

「「・・・・・」」

 

廃墟の中が重苦しく暗く、生きた屍の状態となってる学生達の光景を見て受けいれられる状況ではなかった。雫の言う通り、早急な対応を求められどうするべきか思考の海に飛び込んだ。香織は自分が皆の前であんなことを言ったからこんな状況になったのだと責任を感じて落ち込んだ。香織の側にいたハジメもこの状況をどうすればいいんだろうと自分なりに考えた。

 

「おい、お前らしっかりしやがれ!何時まで落ち込んでいたってしょうがねぇだろうがっ!」

 

龍太郎の叱咤の言葉でも学生達は無反応。頼みの綱の天之河すらあの落ち込み様だ。雫でも無理なら自分の責任だと思って皆にかける言葉がだせない。ハジメも自分では皆を元気つけることもできないこの悪循環。

 

「どうしよう・・・・・」

 

香織の呟きに顔を俯くハジメ。この状況をどうにかすることができるのはこの場にいない。なら、知り合いに頼む~~~。

 

「っ!」

 

一人、いた。頼れと神にも言われたあの人物が。脳裏に男の顔が浮かび出した瞬間にハジメは踵を返した。

 

「南雲君?」

 

「店主さんを呼んでくる」

 

「あっ!」

 

香織も察して「私も行く!」と言い出して何も分からないでいる雫と龍太郎を置いて西区へハジメと向かう。少しでも早く辿り着く思いで走り、『異世界食堂』の出入り口の扉を勢いよく開け放った。

 

「「店主さん!お願いしたいことがあります!」」

 

「・・・・・早速トラブルを背負ってきたのか」

 

料理を両手に、頭の上にも料理を持ってる状態の店主が出入り口から聞こえてくる少年少女の乞いの声に面倒臭そうに溜息を零した。客の一人が不思議そうに口を開いた。

 

「何だ店主。厄介ごとか?」

 

「さぁーな。厄介ごとかどうか、聞いてみないとわからん」

 

注文した客に料理を置いて、ミアに一時店を任して二人の下へ近づく。

 

「今度はなんだ」

 

「あの、皆を元気づけて欲しいんです」

 

「・・・・・・・・・・・・・はぁ?」

 

なんだそれは、心底意味が解らないといった面持ちで店主は二人を見下ろす。

 

「腹減って元気がないのか?」

 

「えっと、それは―――」

 

二人は皆が凄く落ち込んでしまった経緯を店主に伝えた。その上で自分達ではどうすることもできなかったから店主に頼ってきたのだと。話を聞いた店主は呆れ混じりのふかーい溜息を吐いてハジメと香織の頭を―――。

 

「アホ」

 

鈍い音がなるほど殴る(拳骨)。当然、生まれてから今まで感じたことがないぐらいの痛みに悶絶する二人は頭を抱えながらその場で膝を折って蹲る。

 

「そうなった原因はお前らが機を見誤ったせいなのは自覚しているんだろうな」

 

「「は、はいぃ・・・・・」」

 

涙声で答える痛みが晴れない二人。ならばよし、とこれからどうするか考え・・・・・適格者を選定した。

 

「(今までの借りをまだ返してもらってないな。ここで一つぐらいは返してもらいますか)」

 

そうと決まれば即断即決、即行動に移す店主だった。まだ若干痛みが晴れない二人を引き連れて、まずは自分の目で状態を把握しに案内してもらうことにした。

 

場所は東区の人気のない廃墟。昔は立派な建物であった如く石造りで形はまだ残っていたが、交戦でもしたのか今では素人では修復が不可能なほど天井や壁にいくつも大きな穴が開いていた。それで風通しがいい訳でなく、暑苦しさ、熱気が籠って廃墟の中は異様な臭いが微かにする。

 

「・・・・・カオス」

 

そして何より、外は晴天だというのに風穴から差し込む光に負けないぐらい、どんよりとした暗い闇が動く意欲すら無くなってる学生達から醸し出されていた。店主は今まで出会った異邦人と転生者と異なってるこの状況、状態に唖然としてしまった。

 

「こいつら、全員お前らの何なの?」

 

「クラスメートです。あと私達の先生が一人います」

 

「どいつだ?」

 

「―――おい、そいつは誰だ」

 

店主を招くためにいなくなった二人に龍太郎と雫が寄ってきた。ハジメは直ぐに答えた。

 

「この人は『異世界食堂』ってお店の店長さんだよ。僕達が住んでいた違う別の世界から来た異世界の人でもあるんだ」

 

「この人が・・・・・?」

 

「『異世界食堂』の・・・・・」

 

訝しい目で店主を見つめる。真紅の長髪、濡羽色と金色のオッドアイ、高身長、鍛え上げられた身体。外見だけでは日本人とは思えない男性だ。それが自分達とは違う異世界から来た異邦人?

 

「で、お前らの担任はどいつだ?」

 

「雫ちゃん。見当たらないようだけどどこか行っちゃったの?」

 

「ええ、皆が落ち込んだままで何も食べていないから元気づけようっと一人で」

 

「一人で?土地勘もないのに?・・・・・絶対に迷子になるぞ」

 

また面倒が増えたと嘆きそうになる店主は「連れ戻してこい」と指摘する。

 

「この町にはならず者やゴロツキが腐るほどいる。そいつらに絡まれたら助からないぞ」

 

「「嘘!?」」

 

「一応、オラリオの秩序と平和を守る【ファミリア】は存在しているが、その【ファミリア】の団員達は俺ですらお前らの担任の顔すら知らない。だから、お前らが連れ戻してこい今すぐ」

 

「で、でも、どこに行ったのか私達だって・・・・・それに香織や南雲君よりまだこの町に慣れていないから」

 

雫の言い分に溜息を吐き、店主は徐にグイっと雫を一瞬で荷物のように脇で抱える。

 

「こいつを借りるぞ」

 

「「え?」」

 

「「は?」」

 

そのまま外へ出て一気に数メートル離れた先の建物の屋根の方へ跳躍する。一拍遅れて少女の悲鳴が聞こえてきて三人は唖然とした風に感想を述べた。

 

「雫ちゃんが悲鳴を上げてる」

 

「何なんだよアイツ・・・・・」

 

「大丈夫かな・・・・・」

 

南雲達の担任を探し求め東区を回った。脇に抱えられてる雫から訊き出した特徴に当てはまる人物は路地裏でも見当たらず、南区の方へ移動する。

 

「・・・・・あなた、冒険者なの?」

 

「そうだが?」

 

「じゃあ、あなたみたいな冒険者っているの?」

 

「俺と他の冒険者と比べたら連中が可哀想だ。俺は冒険者になる前から元々強いから」

 

どういうこと?と疑問を抱くよりも視界が次々と急に変わり続けてそれどころではない。人を軽々と抱え素早く動く彼の者の身体能力は異常すぎる。冒険者は強くなればこんなことができるのかと考えた。

 

「異世界から来たって、本当?」

 

「だとしたら?」

 

「今のあなたのレベルってどのぐらい?」

 

「2だ」

 

自分達よりたった1レベルだけの差。数字だけで判断すればまだ弱いレベルのはずしかし、冒険者のレベルは数年かけてようやく上がるという話を聞いたばかりだ。それはどうしてなのかと抱えられながら訊いたら。

 

「よくある話だが、ゲームしたことは?」

 

「・・・・・ないわ」

 

「そうか。ま、ゲームだけに限った話じゃないがな。必要な技術を完璧に人が自分の物にするためには何事も経験が必要だろ。要は俺達冒険者の背中に刻まれた神の恩恵こと『ファルナ』に経験値『エクセリア』ってのが必要でゴブリンやコボルト程度のモンスターを千匹も倒しても直ぐにレベルが上がるわけない。だからレベルの【ランクアップ】は時間がかかるんだよ。元から強い俺でも三年は掛かった」

 

「もっと早い冒険者はいる?」

 

「ああ、一年だ。今じゃあLv.3だぞ」

 

早っ―――!と雫が衝撃を受けた矢先に店主の動きが止まった。どうしたのかと店主を見上げようとした視線が大通りに留まり視界に映るは―――数人のならず者に絡まれてる子供の女の子。

 

「あ、愛子先生!」

 

「・・・・・どいつだ?」

 

「あの男達に達絡まれている人よ!」

 

どう見ても未成年にしか見えない人が『担任』なのだと雫は店主に言う。店主は違う世界でもあんなのがいるのかと他人事のように思いながら建物から彼女の担任の後ろに降り立った。

 

「先生!」

 

「え、八重樫さんどうしてここにいるんですか?」

 

「どうしても何も土地勘のない場所で一人だけ歩くのが危険だってこの人が・・・・・」

 

雫が店主を視界に入れたときは既に複数の男達の姿は背を向けて走って行ってるところを見送った瞬間だった。いかにもならず者かゴロツキの風貌だった男達なのに、なぜ走って逃げていってしまったのだろうか。

 

「何を、したの」

 

「別に手も出してないぞ。ただ、目をつけられると酷い目に遭うってことをさっきの連中は知っているだけだ。いい判断だったよ」

 

それが何なのか雫は理解できない。場の雰囲気も元に戻り、野次馬達も穏便に事が済ませたから問題なくなったと足を動かし始める。

 

「八重樫さん、この人は・・・・・?」

 

「南雲君と白崎さんが連れて来た、異邦人の方です。話によれば私達と違う世界から来た異世界の人だとか」

 

「異世界の人、ですか?私達がいた世界のではなく?」

 

「じゃあ、質問させてもらうが。そっちに神々は実在しているか?」

 

突然の質問に女の子、百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪が特徴の愛子は目を瞬きする。

 

「神様は実在していませんよ」

 

「俺の世界じゃあ実在している。これだけでお互いの世界の違いは判る」

 

「そ、そうなんですか。では、貴方はどうしてこの世界にいるのですか?」

 

「突拍子もない話だが、いつの間にかここにいたとしか言えない。どんな方法で来たのかすら俺自身もわからない。だからしょうがなくオラリオに住んでいる」

 

何の理由も事情も目的もなく、しょうがなく生きていると述べる店主に対して二人は何とも言えない気持ちとなった。店主の話は続く。

 

「俺の事よりこの担任の話がしたい。落ち込んでる連中の為に食い物を買いに来たって?でも金は?外見だけ判断させてもらえばとても戦いに向いていそうにないが」

 

「教師として恥ずかしく情けない話ですが生徒達がちょっとずつ分けてくれていました。ですからそのお金で生徒の皆の為に美味しい物を食べさせたくて」

 

「キッチンもないのにどうやって料理を作る気でいたんだ?もしかして途中で気づいてまだ買っていなかったのか?」

 

「あう・・・・・」

 

愛子から答えは返ってこなかった。寧ろそれが是だとシュンと落ち込んでしまった。

 

「この世界のキッチンってどんな風なのかしら」

 

「さぁな。俺も他派閥のキッチンは見たことがないから何とも言えない。俺自身が作ったキッチンは火の調整ができる魔法だからな」

 

「・・・・・魔法ってそんなことできるの?」

 

「この世界で唯一、俺だからこそできる芸当だ。だから美味い料理も作れるわけだよ」

 

グゥ~・・・・・。

 

おかしな音が聞こえだした。発信源の方へ顔を向けると雫の方であって当人も自覚したのか気恥ずかしそうに頬が朱に染まっていた。

 

「飯、食ってないのか?」

 

「じゃ、じゃが丸くんって言う揚げ物なら・・・・・数個だけ」

 

また腹部から空腹だーと腹の虫が鳴って雫を恥ずかしがらせた。

 

「現代人の人間があれだけで満足するはずがないだろ。はぁ~・・・・・しょうがね、落ち込んでる連中の分も飯作ってやるか」

 

呆れて何とも言えないと頭を掻く。そんなことをしてもらえるのかと、申し訳なさそうに愛子が店主を見上げつつ謝罪する。

 

「ごめんなさい。見ず知らずの私達のために・・・・・」

 

「ギルドから押し付けられた仕事のようなもんだよ。異世界から来た連中にはある程度の援助や助力をしなきゃならないからな」

 

「もしかして、他にも私達やあなたみたいな人達がいるの?」

 

「いるぞ。知り合っただけで五十人ぐらいは」

 

意外と多い人数だった。香織達も知っていることなのかと疑問を浮かんだが、それよりもするべきことがある。

 

「私も料理を手伝うわ」

 

「作れるのか?」

 

「人並みには」

 

「因みに好物の食べ物は?」

 

「和風の物なら」

 

「んじゃ、俺の店に来ても問題ないか。主にエルフに大人気のうどんとそば、てんぷらに煮物。あるからな」

 

それを聞いて、三度目の腹の虫が鳴ったのは別の話。そして雫の協力は断り愛子を廃墟へ連れて行ってもらい『異世界食堂』ではなく本城で準備に取り掛かった。

 

「本当に料理を作ってくれるのかなー」

 

「何で見ず知らずの俺達のために・・・・・」

 

「じゃあ、あなたはいらないのね。たくさんお金が稼げれるまでじゃが丸くんだけ食べてなさい」

 

冷めた雫の言葉に若干焦燥に駆られて弁解する龍太郎の話を耳に入れながら朝から落ち込んで現在昼時になっても一向に動こうとしないクラスメート達を見つめるハジメ。

 

「あれ、四人いない?」

 

「え、誰の事?」

 

香織でも人数が減っていることに気付かなかった。ハジメは何となくそう思っていたが、改めて人数を確かめ、誰がいないのか明白にする。

 

「檜山君、斎藤君、近藤君、中野君・・・・・うん、四人がいない」

 

「あ?あいつらなら昨日からいなくなっていたぞ」

 

「えええ!?坂上君、どうしてそれを先生に報告しなかったんですかぁっ!?」

 

大事な生徒が異世界の町でいなくなった!と大騒ぎする愛子に龍太郎は頭を掻いて「すみません」と謝罪する。

 

「町の探索かダンジョンの探索かのどっちかでしょ。放っておいても帰ってくるんじゃない?」

 

「八重樫さんも、それでも戻ってこなかったらどうするんですか!そんな軽く言わないでくださいよ!」

 

「あ、はい、すみません・・・・・」

 

不謹慎な発言で自分まで怒られてしまう雫も素直に謝る。

 

「もうこうなったら先生が探しに行きます!」

 

「ちょ、先生がまた町に行ったら知らない男の人に絡まれるだけですよ!?」

 

「またあの人に迷惑が掛かりますよ。えっと、もう掛けちゃってますけれどっ」

 

生徒を探しに町へ赴こうとする愛子をハジメと香織が必死に抑える。暗い雰囲気で場が沈んでいるというのに、ギャーギャーと喧騒を起こすハジメ達が生きる意欲を失っていない証でもあった。

 

「―――ここだな?」

 

と、不意に廃墟の出入り口に人影が浮かび上がった。誰だと五人が出入り口へ顔を向けた途端。

 

「俺がガネーシャだあああああああああああああっ!」

 

「「「「「誰っ!?」」」」」

 

鍛え上げられた筋骨隆々の身体の肌は褐色、象の仮面を被った謎の男の登場にハジメ達の気持ちは一つとなった。何故この場所に謎の男が現れたのか見当もつかない、理解ができず頭の中が混乱する一方。藍色の髪の女性と少女の二人が男の背後から現れた。

 

「突然の訪問に、騒がしくしてすまない。私は【ガネーシャ・ファミリア】の団長シャクティ・ヴァルマ。こちらは私の妹のアーディ・ヴァルマだ。そしてこの男神は私達の主神ガネーシャだ」

 

「よろしく!ついでに俺がガネーシャだっ!」

 

「ガネーシャ様、少し黙ってて」

 

アーディに窘められシュンと落ち込む風に黙って静かになった。なんだ、この人達はと唖然としていると。

 

「私達はイッセー、いや、『異世界食堂』の店主に頼まれてここにやってきた。君たち異邦人の話を聞いてな」

 

「店主さんが、私達に?」

 

「個人的に私達は彼に恩がある。なので彼の手伝いをしに来たのだが、まだのようだな」

 

何の手伝いを?と思いを抱いた矢先にまた訪問者が現れた。

 

「やぁ、シャクティ」

 

「フィンか」

 

黄金色の髪に碧眼の瞳、子供のような小さな体形に身の丈を超える槍を携えた小人族(パルゥム)がシャクティと朗らかに言葉を交わす背後には、腕が丸太のように太く筋骨隆々にまで鍛え抜かれた肉体に髭を蓄えている老将のドワーフと美しい緑色の長髪を伸ばす緑色を基調とした魔法衣で身に包む絶世の美女のハイエルフもやってきた。

 

「子供・・・・・?それにあなた達は・・・・・?」

 

「僕はフィン・ディムナ。【ロキ・ファミリア】の団長を務めている者だ。君達異邦人のことをイッセーから聞かされて話をしに来たんだ」

 

「【ロキ・ファミリア】、ロキ様の眷族、団長!?まだ子供なのに凄い・・・・・」

 

「あはは、まだオラリオに来て日が浅いから小人族(パルゥム)のこと知らないのかな?小人族(パルゥム)の身長は僕みたいに低くて冒険者になると老化が遅れて若く見えるんだ。これでも僕は三十代だよ」

 

嘘っ!?とハジメと香織の目が引ん剥いたほど驚いた。昨日の今日でロキの【ファミリア】の団長と出会うとは思いもしなかった。話をしに来たと言っていたが、一体何の話をしに来たのだろうか。

 

「質問を良いでしょうか?フィンさんのレベルはいくつですか?」

 

「僕を含め、この二人も第一級冒険者。Lv.6だよ。ほぼ同期で数十年かけてここまで【ランクアップ】した」

 

「「す、数十年で・・・・・」」

 

「イッセーから何も聞いていないのかい?」

 

イッセーと言われても誰の事だか皆、ピンとこないで首をかしげる。シャクティが五人の反応をフィンに代弁する。

 

「まだ碌に名乗っていないようだ。店主と言えばすぐにわかったぞ」

 

「ああ、そういうことか。これから否が応でも彼らと交流をすることになるだろうから、僕達が言うまでもないかな?」

 

「そうだな。我々はここに来た目的を果たすだけだ」

 

自分に与えられた役目を全うする姿勢でいるシャクティの発言の後、真紅の魔方陣が誰もいない空間に発現して、カッ!と光ったと同時に店主と銀髪のメイドが横長のテーブルに大釜と二つの寸胴鍋に、何十皿と数え切れないスプーンを用意した状態で現れた。

 

「ん、いいタイミング」

 

「店主さん!いま、魔方陣らしきもののところから・・・・・?」

 

「そういう知識はあるのか南雲は?その通りだ。魔方陣で家から直接ここまで転移したんだよ。作ってきた料理等を一緒に持ってくるためにな」

 

寸胴鍋の蓋を開けた時、鍋から湯気が食欲をそそる香りと共に立ち昇ってハジメ達の鼻腔を刺激する。

 

「こ、この匂いはぁ・・・・・っ!?」

 

「おう、カレーを作ってきた。こっちはフルーツヨーグルトだ」

 

激しく動揺する龍太郎の目は鍋に釘付け。思わず生唾を飲み込み近づいて鍋の中を覗き込むと、茶色いルーや人参、玉ねぎ、ジャガイモ、肉の塊が大量にあった。そして―――ぐぅ~!と鳴り出す。龍太郎の腹から盛大に。

 

「イッセー様、始めましょうか?」

 

「おう、ガネーシャ」

 

「任されたっ!ガネーシャも食べたい!」

 

「店で食え」

 

大釜から純白の米粒を盛った大皿をシルヴィから店主が受け取り、鍋からルーを掬ってご飯にかける。そしてアーディがお椀にフルーツヨーグルトを入れると用意したスプーンとお盆を持ったガネーシャがそれらを受け取っては龍太郎に白い歯を覗かせる笑みと共に手渡した。

 

「ガネーシャ印のカレーだ!元気いっぱいに食うんだぞ!」

 

「俺が作ったんですけどねー?」

 

まずはお前が食えとばかり受け取らされ、その場で腰を下ろした龍太郎は皿とスプーンを手にして恐る恐るとカレーライスを食べた瞬間。目から大量の(涙じゃねぇ、これは汗だっ!)滴が決壊したダムのように溢れ出た。

 

「うめぇ・・・・カレーだ、カレーの味だぁ、超うめぇえええええええええええっ!」

 

一心不乱にカレーを貪る龍太郎の他、雫もカレーを食べて幸せそうな表情を浮かべる。

 

「美味しい・・・・・間違いなくカレーの味だわ。『異世界食堂』って名前も伊達じゃないのね」

 

「でしょー雫ちゃん!店主さんのお店に行けばもっといろんな料理が食べれるよ!」

 

「僕もあのお店のおかげでダンジョンに行く気になった、かもしれない」

 

「そこは自信もって断言しろ南雲。返事は」

 

サーイエッサー!と条件反射で返事をさせられた南雲も香織と一緒にカレーを食べ幸せな気分になる。

 

「ほら、先生も」

 

「あの、先に生徒の皆に配ってください」

 

「お前が食べてる間にそうするつもりだ」

 

「さぁ、食べるのだ可愛い子供よ!」

 

こ、子供ではありません!と抗議をぶつけてもお盆を受け取らされ、渋々と食べ始めるも次第に無言で食べるので愛子も空腹だったのだろう。五人が食べてる間に配膳は幅広くなった。ガネーシャが大声で「子供達よカレーが食べられるぞー!」十八番の喧騒を発揮。

 

『・・・・・』

 

絶望するほど落ち込んでいるというのに喧しいほど騒いでいる何者かに睥睨する学生達の一人にカレーを突き出されると目を瞬きする。

 

「よく噛んで美味しく食べるんだゾウ!」

 

強引に手渡され最初は理解に追い付けなかったが、食欲をそそる臭いの現実に突き付けられ「カレー?」と自問自答し、スプーンを取ってカレーを食べた直後。目から涙が出てきた。そんな生徒が一人、また一人と増えてゆき、全員がカレーを食べた頃にはお代わりを所望する声が上がった。皿だけだったりお盆ごと持ってきたりしてリヴェリアとガレスの働きによって騒動は起こさずお代わりにも支障は出なかった。

 

「ひっく・・・ひっく・・・・・っ」

 

「美味い、この世界で食べてきた物の中で一番うめぇ・・・・・!」

 

「うわああああんっ・・・・・」

 

泣き出す学生、嗚咽するクラスメート達を見て南雲達は心底安堵した。落ち込んでいた皆が息を吹き返してよかったと食べている様子の光景を何時までも見守った。

 

「ふむ、イッセーの料理は魔法でも掛かっているかのように若造共が生気を取り戻したわぃ」

 

「フハハハッ!異世界の料理はオラリオで一番のお墨付きをもらったからな!」

 

「こういう慰め方もあるのだな。勉強になる」

 

寸胴鍋の中にあったルーは残りもご飯と共に少なくなり、結局ガネーシャの腹の中に納まるのであった。それでもまだ残ったのでこの場にいない学生達のために盛り付けてカードの中に保存する。それを愛子に渡して扱い方を教えた。

 

「さーてと、腹いっぱいになって元気出た学生諸君!これからオラリオで最強派閥の一角、【ロキ・ファミリア】の団長からお前らに話をするからよーく聞くんだぞ!」

 

積み重ねた木箱の上に立ち、見上げてくる学生達を見下ろすフィン。

 

「異世界から来た異邦人の君達にとって今回の出来事は不幸でしかないだろう。元の世界にいる家族達と生き別れをすることとなりこの世界の地で骨を埋める結果になってしまったからだ」

 

しかし、とフィンはあえて厳しく鼓舞を打つ。

 

「だからといって生きる気力を失ってはならない。君達はまだ生きている限り生きる義務を果たさなければならない。元の世界に帰れない絶望を背負いながらも今日まで生きている異邦人は君達の他にもこのオラリオに存在している。君達に料理を提供した彼もまた、異世界から来た君達と同じ境遇の一人だ」

 

店主の説明を軽く触れる。学生達は同じ境遇者の存在に意識を高める。

 

「彼がこの世界に来たのは五年も前だ。君達のように右も左もわからず、帰る場所、行く宛ても頼れる者も存在しない彼にとってこの異世界で必死に生きているんだ。君達同様、元の世界に帰れない絶望感を抱いてだ」

 

『!!!』

 

「君達も彼のようになれとは言わない。彼も君達自身もこの世界で必死に生きることを足掻いて前に進む他に道がないからだ。故に僕は君達に対して憐みも同情もしない。何故ならば君達は今の苦境を乗り越える強かさがあると信じているからね」

 

学生達を見渡しながら自信に満ちた声音で言うフィンの言葉を、少年少女達は呆けているかのように耳をずっと傾けていた。

 

「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の君達がする生きる義務だ!」

 

木箱に槍の石突きで突きながら強く猛々しく言うフィンに呼応して店主も復唱する。絶望に屈するなと、絶望に立ち向かえと、絶望に負けるなと、絶望に打ち勝てと。

 

「南雲、復唱!」

 

「え、えええええっ!?」

 

「返事が違う!」

 

「サ、サーイエッサー!ぜ、絶望に屈するな・・・・・」

 

声が小さい!と叱咤を受けた南雲。大声を出すなんて恥ずかしくてできない、と羞恥心に屈しかけたときに香織が息を吸って声を吐き出した。

 

「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の私達がする生きる義務だ!」

 

可憐な少女の口から強く凛々しい声音と言葉が出てきてハジメや学生達は目を丸くする。

 

「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の私達がする生きる義務だ!」

 

八重樫雫も香織に言い出すと。

 

「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の俺達がする生きる義務だ!」

 

坂上竜太郎も続いて叫ぶ。この瞬間、ハジメは自分が言わなきゃこの場がおかしくなってしまうと悟ってもやはり応援団のように叫ぶ行為は躊躇してしまった。しかし、ハジメの心情を読んだわけでもないのに香織が優しく手を掴んだ。

 

「大丈夫だよ」

 

一人じゃない、皆がいると何時も浮かべるニコニコとした笑顔からそう言われた気がした。励まされる自分にぐっと唇を噛みしめ、店主から静かに見つめられ、雫と龍太郎からも見られていていながら時間が停止したかのようにやけに耳に聞こえる己の心臓の動悸が五月蠅いほど激しく高鳴り―――はっと息を吐いた。

 

「ぜ、絶望に屈するな・・・・・っ」

 

これじゃ駄目だと己を叱咤する。

 

「絶望に立ち向かえ・・・っ」

 

全然駄目だ・・・・・!

 

「絶望に負けるなっ・・・・・」

 

まだ足りない・・・・・!

 

「絶望に打ち勝てっ」

 

次こそ・・・・・!

 

「それが今の僕達がする生きる義務だ!」

 

最後―――大きく息を吸ったハジメは生まれてきて初めて大声で叫んだ。

 

「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の僕達がする生きる義務だ!」

 

『―――――っ』

 

あのハジメが、大声で言った。あのハジメができて自分達ができないなんてあり得ない、あのハジメがして自分達がしないなんて恥ずかしい、等と他の学生達の胸中に燃え盛る炎が宿り負けん気を発した。

 

「「「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の俺達がする生きる義務だ!」」」」

 

「「「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の私達がする生きる義務だ!」」」

 

「「「絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の僕達がする生きる義務だ!」」」

 

 

『絶望に屈するな!絶望に立ち向かえ!絶望に負けるな!絶望に打ち勝て!それが今の自分達がする生きる義務だ!』

 

 

拳を振り上げ、己を奮い立たせ復唱する彼等彼女等の光景を見て店主達は満足そうに頷いたり薄く微笑んだ。フィンは木箱に思いっきり槍を突き刺してハジメ達の発生を止めさせた。

 

「今の君達は最初に君達を見た時と比べるまでもなく勇気を奮い立たせている。絶望から立ち上がったそんな君達に対して僕は敬意の念を抱き尊敬した」

 

ハジメ達に向かって深く頭を垂らす。

 

「これからも何事に対して屈さず、負けずに生き抜いてくれ。きっとそれが君達自身の最高の強さとなり誇れるものになると僕は断言する。それでももしも迷いがあったり自分一人ではできない困難とぶつかってしまったら、直ぐ側にいる君達の友人と助け合って乗り越えるんだ。いいね」

 

『はいっ!』

 

気合の入った返事が異口同音でされ、フィンは自分の役目は終わったと木箱から降り立ち、店主はその木箱を拳で壊して―――中に詰まっていた亜麻袋を手に取った。

 

「紹介は送れたが、俺は『異世界食堂』っていう店を構えているイッセー、本名は兵藤一誠と言う。同じこの世界に来た異邦人の先輩としてお前達に対してある程度の援助をしてやる。他は自分達の力で解決しろ。それでもダメなら俺のところに来て助けを求めろ」

 

亜麻袋を学生の一人に向かって優しく放り投げる。受け取った瞬間にずっしりとした重みが手に伝わった学生は目を見張った。

 

「その袋の中には日本円で言う百万円相当の額が詰まってる。それで武器や防具を買うなり、服や下着を買うなり、日用品を買うなりして自分で必要な全てを買い揃えろ」

 

「そ、そんなにくれるのかよ?その金、どっから・・・・・」

 

「家に戻ればまだ数億の金が残っている。百万なんて額は俺からすればただの小銭程度だ」

 

「・・・・・私達からすれば大金に変わりないというのに、それを小銭扱いって」

 

「元の世界と違って冒険者として稼げば即時即当の時給だ。魔石やモンスターのドロップアイテム、ダンジョンの中で採取できるアイテムをギルドに換金したり商人相手に上手くさばいて売り払えば数百万は軽く稼げれるんだ。小銭扱いは当然だろ。ただし、それ相応の命の危険性はかなりあるがな」

 

そうなのか、と何となく理解した学生達の間で少なからずざわめきが生じる。それらをパンッ!と手を叩いて意識を一つにさせてから話を続ける店主。

 

「これから渡す百万はお前達の所持金となる。が、今後は自分達で生きるために稼げ。ダンジョンで稼ぐか、オラリオに存在する店で働くか、商売に自信があるなら商人として生きるのも悪くない」

 

「因みに、今言った事の殆どイッセーがしているよ」

 

「うむ、こやつの作る飯は美味いからの。『異世界食堂』は毎日商売繁盛だわぃ」

 

「自分に見合った生き方をしろとイッセーは言っている。【ファミリア】はダンジョンの探索だけが全てではないからな。寿命を全うしたいなら無理せずダンジョンに行かず、職業を手に付けて働いた方が賢明でもある。イッセーは仕事を紹介や用意することもできるので尋ねると言い」

 

フィン、ガレス、リヴェリアがそう話をし、店主がまたいう。

 

「まずはオラリオの町をできるだけ幅広く探索しろ。ただし、この町にはゴロツキやならず者といった悪者もいるから纏まった人数で各々動け。ある程度土地勘を身についたら彼女、エルフの言う通り自分に見合った生き方を模索しろ」

 

「質問、いいですか?」

 

一人の女子生徒が小さく挙手して疑問をぶつけた。

 

「この世界は日本の法律や概念は通用しないんですか?」

 

「全然しないな。でも、犯してはならない犯罪をしてしまったらギルドに属する【ファミリア】に逮捕される。その【ファミリア】、この【ガネーシャ・ファミリア】が主にな」

 

「俺がガネーシャである!」

 

奇妙な姿勢(ポーズ)をしながら名乗る男神を無視する。

 

「それと結婚制度もオラリオにない感じだよな?」

 

「ンー、そうだね。複数の女性を侍らしている【ファミリア】の男性冒険者もいなくないだろうし、オラリオの住民は一夫一妻の意識が強いだけで一夫多妻制をしてはならないわけじゃない」

 

「とまぁ、恋愛も自由ってわけだな。結婚式何て・・・・・するのかガネーシャ?」

 

「開催する式場は無いが、祝杯はするぞ!【ファミリア】内でな!それと同じ派閥内で子供ができたとしても周囲に受け入れられるだけで難しいことは一切合切しない!」

 

そうみたいだぞ、と女子生徒の質問に対して答えた。女子生徒も満足したのか感謝のお辞儀をした。

 

「お前らの中で片想いをしている、特に女子は一人の男と複数同時に結婚しても問題ないわけだ。ライバルがいたとしても相手がその気でなくても既成事実さえ握れば勝ち組も当然だ。だから女子達、頑張って恋愛をしろよ?」

 

返事はない。ただ、女子達の目が鋭くなったり怪しい光を孕ましたり意中の男子をチラチラと見たりする反応と変化で店主に返事の代わりとして窺わした。

 

「・・・・・イッセー、今の言葉、そっくり自分の首を絞めてる事を気づいているかな」

 

「ああ・・・・・理解している上で言った」

 

「わかっておるなら言わんでもよかろうに」

 

「言いたかったから仕方ないじゃんか」

 

藍色の髪の女性がジッと店主を見つめているのをフィンとガレスは気づいていながら目を向けない。ある意味店主の自爆だから、していることを自覚しているから他人としての姿勢に入る。

 

「そういえば、この中で団長・・・代表者は誰だ。担当の先生か?」

 

「え?は、はい。生徒達の代表は私ですが、生徒の中の生徒の代表では天之河光輝君が代表格なんです」

 

「天之河光輝?」

 

フィン達もむっ?と反応した。名前の部分にとある転生者と同じ名前であることを考え付いた故に。学生達の中から一人の男子生徒が前に出てきて店主と相対する。

 

「僕が天之河光輝だ」

 

「お前か・・・・・なら聞こうか。お前達は魔王討伐の為に召喚されたことは南雲と白崎から訊いた。その時自分の立場はどう解釈していた?」

 

「勇者だと思っていた」

 

・・・・・・マタユウシャカヨ。

 

「今もそう思っているのか?」

 

「・・・・・魔王がいないことを聞いて、神に騙されたと知って気付いて流石に思ってはいない」

 

安心した!凄く安心した!店主の杞憂は去ってよかったと安堵した。

 

「だが、世界中に人類を脅かすモンスターが跋扈していることだけは事実だった。僕はそれが許せない。だからこれからもダンジョンに潜って地上に進出しないよう他の冒険者達とモンスターを食い止める気だ」

 

・・・・・あれ?妙な意識をしてないかこいつ?

 

「勘違いしてないか?」

 

「勘違い?」

 

「お前、オラリオの歴史を知らないでいるな?」

 

「歴史?」

 

心底不思議そうに首をかしげる天之河光輝へ嘆息する。

 

「モンスターの地上進出は千年前の神代の時代―――古代の時、ダンジョンの穴を防いでオラリオが完成されて以降、新たに地上に出たモンスターは例外を除いて一匹もいないぞ。天界から下界に降臨した老神ウラノスの神の力でモンスター達を抑え込んでいるから俺達冒険者はダンジョンの中に入れるんだ」

 

「なっ・・・・・!?」

 

「お前やお前らの助力無くてもモンスターは出てこないし、他の冒険者もそういう理由で助けは求めない。だからお前の考えていることは殆ど的外れなんだよ。オラリオの外にいるモンスターは確かに人々を脅かせているがな」

 

自分の思い込みが違っていたことを思い知らされ半ば放心しかける。討伐するべき魔王の存在は無く、地上に進出しようとするモンスターは既に神の力で抑えられていてするまでもなく、自分の勝手な思い込みは殆ど外れてる事実を天之河光輝の首が残念そう。残念そうに力なく項垂れる。

 

「この無知なお馬鹿もそうだがお前達も何も知らな過ぎる。そんなんじゃこの世界に生きていけないぞ。オラリオの当然の常識を身につけろ」

 

「常識って、誰から教わればいいんだ?」

 

「ギルドの受付嬢に聞けばいい。俺よりも彼女達の方が知識や情報が豊富だ。俺も何度も聞きに行っているぞ」

 

彼でも頼ってるギルド。ならば行く以外手はないと何人か積極的に情報を集める気持ちを固めたところで愛子が口を開いた。

 

「兵藤さん、でしたら生徒達と一緒に暮らせる建物も受け付けてくれますか?」

 

「物件の相談もOKだ。ただ、数人ならともかく二十数人となると大きい家はたぶんないと思うぞ」

 

「あうう・・・・・そうですか・・・・・この中に何時までも住んでいたら生徒達が体調をいつ崩してもおかしくないのですよ」

 

しょんぼりと落ち込む愛子や落胆する生徒達の顔に影が差した。―――それを不謹慎ながら店主はほくそ笑んだ。無論、フィン達は「あ、何か企んでいるな?」と心境を抱いたのは言うまでもない。店主は、常識という器に収まらない存在だ。既に異邦人達の存在を知って何か考えていたに違いないと断言できるのだ。短くない長い付き合いをしていれば深意はわからずとも予測はできる。

 

「だーが、一ヵ所だけこの場にいる全員が清潔の場所で暮らせる物件を知っているぞ」

 

「え?えっ!?ど、どこですかそこ!?教えてください!」

 

「教えるが、まだ住めるように設備が整ってないしその空間もない状態だ。でも、他の物件よりはまだ天と地のさほどマシだ。それでもか?」

 

「それって後から自分達で住めれる様にすればいいってことよね?」

 

「その通りだ。まぁ、俺がした方が数日以内で終わるぞ。そこでいいなら住まわせてやってもいい。ただ条件付きだ」

 

条件付き、と加えられて訝しむ雫。良からぬ条件だったら愛子を説得して断る腹で尋ねた。

 

「条件ってなに?」

 

「働かず者は食うべからず。つまりその物件は客が利用する場所でちょっと人手が足りないんだ」

 

客が利用する物件、という特徴の答えを瞬時に導き出して雫はさらにその奥の店主の深意を口に出していた。

 

「その足りない人手を私達で補う、つまり住み込みで働けって言いたいのね」

 

「中々鋭いな、その通りだ。それと聞きたいけど、お前達はこれからも冒険者として生きるつもりか?」

 

「え?」

 

不思議そうな顔をして声を口から漏らした雫は、冒険者以外に生き方なんてあるのかと目で店主を視界に入れる。ハジメと香織は知っているがまだその話は皆に伝えていないことを完璧に忘れていた。

 

「本当に無知だな。異世界に来たならまずは情報収集をするのは当然だろ。神の【ファミリア】はな、活動方針がダンジョンの探索以外にもあるんだよ。それこそ農業、漁業、鍛冶、治療と製薬と言った生業を主に活動してる【ファミリア】がな。鍛冶と漁業を活動している【ファミリア】はダンジョンの中に探索することもあるし、海の中のモンスターと戦うこともあるから強くなっても損はない。農業と製薬は基本的に命を懸けた戦いとはほぼ無縁で人の役に立つ物を生産してる」

 

ぽかーんとそんな話は今初めて知ったばかりだと反応を窺わせる異邦人達に小さく嘆息する。

 

「冒険はするなとは言わないが、お前らを召喚して騙した神にこれ以上付き合う義理は無いんじゃないのか?」

 

「そうかもしれないけれどよ、俺達はその神の眷族だぜ?簡単に抜けれないんじゃないのか?」

 

「確かに簡単じゃない。眷族から脱退したいなら一年間待って改宗(コンバージョン)をしてもらうか、神を天界に送還する他ない」

 

改宗(コンバージョン)?天界に送還?なにそれ?」

 

―――改宗(コンバージョン)とは、別の【ファミリア】に転属すること。

 

―――天界とは神々が住んでいる別の世界であること。

 

―――送還とはこの世界をゲームの盤上として自分達がプレイヤーの感覚で生きている神々は、死に至るほどの致命傷を受けると神々が住んでいた元の世界に、天界に戻る設定になっている。下界で敗北した神々は二度と地上に、この世界に戻ってくることはできない。それが送還だ

 

と三つの用語を説明した店主はガネーシャへ目を向けた。男神は「む?」と何か話しかけてくるのかと思ったら違った。

 

「―――試しにそこのガネーシャで試そうか?天界に送還されるところは目を奪われる光景そのものだからする価値はあるぞ?」

 

「―――ノォオオオオオオオオッ!?」

 

朗らかに軽い口調でこの場にいる男神を試そうとする店主に全力で拒む男神。無論冗談で言っているのは―――。

 

「ガネーシャを送還したら責任を取って死ぬまで養ってもらうとするかアーディ」

 

「そうだね。イッセーさんは料理が作れるから良い旦那さんになれるしね」

 

「HAHAHA!大丈夫だ、俺が本当にそんなことするはずがないだろー?(汗)お前らも冗談が上手いなーもう!」

 

本気なのは言うまでもなかった。

 

「ま、まぁ脱退できたら他の【ファミリア】に入団できるし、無所属のまま一般人として生きることもできる。お前らはこのままずっと冒険者として生きるか?それとも別の道に歩んで生きるか?」

 

「・・・・・今は何とも決めれません。今は生きることに精一杯なので」

 

そうだろうな、と愛子の答えにそれ以上は追及しなかったが、店主はハジメ達の中で一生冒険者として生きていくのか迷いが生じたのを察した。

 

「なぁ、レベル上げるのがかなり苦労するって聞いたんだが、効率的にどうやってすればレベルは上がるんだ?」

 

今まで黙っていた龍太郎からの疑問に知っている情報を公開する。

 

「他の冒険者と何ら変わりないことをするだけだ。ダンジョンの中で冒険をする。加えて己の限界を突破する、自分より強大なモンスター、格上の冒険者と相手に戦って経験値を得ていく。これだけだ」

 

「俺達より強いモンスター・・・・・」

 

「まだ駆け出しのお前達が上層域で命を落とすほどの相手と言えば、初心者殺しの『キラーアント』に11階層と12階層に出現する大型モンスター『インファント・ドラゴン』だな。仮にそいつに勝っても【ランクアップ】はしないだろうがな」

 

「ド、ドラゴン!?ドラゴンがいるんですか!?」

 

架空生物であり生物の中で最強として君臨しているモンスターの名前が出た瞬間にハジメはおっかなびっくりした。いや、ダンジョンがあるならドラゴンだっている可能性はある。ただ、思いの外浅い階層にドラゴンがいるとはハジメを始め他の学生達は知る由もないゆえに驚きは禁じ得なかった。

 

「レアなモンスターだから出会う確率は高くない方だが、見付けてしまったなら戦いを避けて逃げるのが懸命だ。命がいらないなら死に行け」

 

見も蓋もないことを・・・・・と思うが、ドラゴンに挑戦するクラスメートがいないとは限らない。店主はそう予想して忠告をしたのだ。

 

「そのドラゴンを倒したら有名になるのか?」

 

「なんねーよ。噂されたいなら中層にいるミノタウロスを一人で倒せ。死ぬがな」

 

「ミノタウロスって、あの顔が牛の化け物?」

 

「その化け物だ。貧相な装備で初心者が挑んだら即全滅だ。13層から下の階層には絶対にお前らだけで行くなよ。いいな」

 

こくりと頷くハジメと香織に一部の学生達に「それで結局」と話を戻した。

 

「住む先はどうする?できれば俺として『異世界銭湯』に住んでサービス営業をしてほしいんだけど」

 

「え、『異世界銭湯』に住む!?」

 

ざわっ!とざわめきがたった。

 

「ん、知らない奴は多いだろうけど『異世界銭湯』を改築と改装したのは俺なんだよ。でも人手が足りないから料理の提供ができない。だから料理も提供できるようになったら稼げた売上金はお前らの報酬に繋がる。この事を説明しなかったのは、お前達が総意で住み込みで働くか働かないか左右される話なんだよ」

 

事情があったんだと後頭部に手を回して掻き出す店主。別の女子生徒が質問を口にした。

 

「あのー、私達料理を作れる子はいると思いますけど兵藤さんのようにうまく作れるかどうかわかりませんよ?」

 

「そこは問題じゃない。異世界の料理を作れるかどうかが大事なんだ。無論味は凄く大事だけど即戦力になれる人材が必要なんだ。だからお前達に働いてほしいのさ」

 

「因みにどんな料理を提供するつもりなんですか?」

 

「カレーライス、焼きそば、ラーメン、餃子、チャーハン、フライドポテト、唐揚げ、枝豆、サラダ。飲み物はビールにペットボトル類の各種のジュースだ」

 

意外と少ない?『異世界食堂』で食べた時に見た大辞典ぐらい分厚いメニュー表より思いっきり少ない。

 

「兵藤さん、お店にあるメニューとは結構少ないですね」

 

「そりゃそうだ。アレを全部作るには作る料理の腕が高いコックじゃないと覚えきれないし作り切れない。だからよく健康ランドにありそうな料理だけを出すんだよ」

 

「そういうわけなんですか。でも、ラーメンってすごく大変ですよ。スープを作るために出汁をとか」

 

「スープの方はしばらくこっちで用意する。使用する麺もな。でもしばらくたったらお前達自身の手で作ってもらうぞ」

 

作れるのか、ラーメンを。店主の料理のレパートリーが豊富過ぎて圧巻する。しかし、あの銭湯の中で暮らせれるなら毎日贅沢な風呂に入れるのも悪くないかもしれない。この環境が悪い生活からおさらばできるなら、労働も受け入れよう。

 

「どうだ?あの銭湯に働けば無料で何時でも我が物顔で風呂に入れるが、脱衣所や浴室などの掃除はかなり手間がかかるその分、暮らしは快適になるぞ」

 

「そのぉ、神様抜きでその話を受けていいんでしょうか?」

 

「眷族がいなきゃ【ファミリア】は成り立たない。寧ろ今の条件を飲んだら神は喜ぶと思うぞ。苦労せず優雅な生活ができる場所を手に入るんだからな」

 

そうなのかなぁー?と思われても店主にとってその主神の事はオマケ程度でしか思っていなかった。重要なのはこの異邦人達の生活の保障なのだ。適当で快楽主義の主神に任せるのは少々不安であるからして、何時の様に放っておけない性質が発揮してしまったわけである。

 

「まぁ、それが『異世界銭湯』で働くのがどーしても嫌なら、三つ目の選択肢だな」

 

「三つ目?二つ目じゃないんですか?」

 

「一つ目はこの廃墟にこれからも変らず住み続けるかだ。二つ目はさっき言ったとおりに住み込みで『異世界銭湯』に働くで、三つ目は―――」

 

三つ目の指を立てたあと、店主は人差し指だけ立てて床に指す。

 

「この廃墟をリフォームして住むかだ」

 

「リフォーム、ですか?」

 

「全員が寝れるぐらい広い場所だ。風穴のところは防いで他は掃除すれば奇麗になって住めれる」

 

指をパチンと弾いた店主が魔法を発動させた。風穴の部分が映像を巻き戻しているかのように穴の空間に石が敷き詰められ塞いでいき、ポケットから金属の棒の先端に青色の球状の飾りがついた棒付きの飴玉にも見えるそれを取り出した。

 

「全員、一旦外に出ろ」

 

何で?と思うもフィン達が外へ出る催促をするのでハジメ達は疑惑が晴れないまま廃墟を後にした。

 

自分以外の皆がいなくなったところで何かの道具を真上に掲げて「奇麗になれ」と金属球が一瞬光り、廃墟の空間全体に広がった。一瞬のことでフィン達も何をし出したのか理解できなかった次の瞬間。廃墟の中から吹き荒れる風が飛び出してきた。風が収まった頃になると「入ってきていいぞ」と声がかかったので入ってみれば、汚れていた床や壁、天井が一瞬の光と共に奇麗になって本来あるべき姿に変わっていた。

 

「す、凄い!中が綺麗になってるっ!」

 

「な、何でなの?」

 

「うーんと、ああ、制服が一番汚れてる男子ちょっとこい」

 

近づいてくる男子にも「奇麗になれ」と言いながら着ている制服に軽く押し当てると制服は一瞬だけ光に包まれたと思えば、目でも見て分かるぐらい黒ずんでいたり汗で黄ばんで汚れていた白い服が新品同様に綺麗になった。当の男子と服がきれいになった瞬間を目の当たりにした面々は目を丸くした。

 

「イッセー、新しい魔道具(マジックアイテム)だね?」

 

「名前は『クリーンナップ』。異世界から来た俺達にとって洗濯は道具を使って衣類を洗っていたからな。それをこの世界風の便利な道具で清潔にできないかって思って作ってな。これを使ってからうちの従業員達は『皿洗いが楽になったー!』と大絶賛だ」

 

ふふん、と自慢げに語りドヤ顔を浮かべる店主。それをもう一本、今度は赤いのもポケットから取り出して香織に放り投げた。

 

「それで服を清潔にしとけ、くれてやるよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

早速使い始める香織に女子達が自分も自分もと殺到する。瞬く間に綺麗になった服を喜び、逆に使ってみたいとはしゃぐ姿に釣られて男子学生達も使い始め出す。

 

「『クリーンナップ』か。買うとしたらいくらぐらいなのだ?」

 

「あの道具自体が『最硬精製金属(オリハルコン)』で製作したから100万ヴァリスだ」

 

「実用的なのはわかったが、希少な金属で何てことを・・・・・」

 

「でも、半永久的に使えるなら凄く便利だよ?【ファミリア】に一本は欲しいかもしれない」

 

嘆くシャクティと「取れない染みだって悩まずに済む」と合理的な考えを持つアーディは主神に乞うた。

 

「ガネーシャ様、一本買ってください」

 

「わかった!イッセー、それを買うゾウ!」

 

「ふむ、汚れだけでなく臭いも綺麗になるならお得ではないかフィン?」

 

「ふふ、ロキの酒臭さも綺麗になるなら買って損はないかな?」

 

「性格までは奇麗にならないからなー?」

 

「今更ロキの性格が真面になってしまえば団員達が混乱する」

 

フィン達も『クリーンナップ』を3本も購入することになった。ガネーシャは五本。計八百万の金が目の前で行われた売買によって動いたのをハジメは見てしまった。程なくして制服を綺麗にした学生達の顔は心なしか明るくなったところで素朴な疑問がぶつけられた。

 

「リフォーム工事ってこの世界にそういう専門の人達がいるのですか?」

 

「さぁ、いつも俺が直接手をかけて改築改装してたからわからん。フィン、ホームの修復の際には誰を頼んだ?」

 

「【ゴブニュ・ファミリア】に依頼したよ。でも、異世界風の建物を求めているなら君の方が適任かな?」

 

「だ、そうだがお前らは俺と【ゴブニュ・ファミリア】。どっちに頼む?無論、この中でこれからも住む前提で決めろ」

 

住み込みで銭湯に働くか、この建物を本格的に自分達のホームにする選択肢を愛子達に提示した。異邦人一同は目を合わせ顔も見合わせ、どっちを選ぶかざわめき立つ。

 

「工事にかかる費用については?」

 

「【ゴブニュ・ファミリア】に頼んだ場合はわからないが、俺に頼むならお前らが出す金額によってオーダー通りに作ってみる。ま、軽く一千万は掛かると思え」

 

一千万・・・・・。これからの生活費として一人百万を受け取ったばかりだ。十数人が全額支払えば足りなくもない。もしも金を使いたくなければ銭湯で住み込みして働くか・・・・・そう考えた学生達は相談し合った。

 

「ねぇ、仮に住み込みで働くとして他に働けれる店ってあるの?」

 

「あるにはあるが、その望みが叶った時に元の世界の感覚でどんな仕事をしたいか言ってみろ」

 

「花屋とか料理店とか、あと事務的な?」

 

「なるほどな。冒険者活動以外で他の生業ができるのか答えればできるぞ。神々だってバイトしてるぐらいだからな。でも、本格的に仕事をしたいなら【ファミリア】を脱退しなくちゃならない時もあるぞ。理由はさっき言った」

 

そこで異邦人達一同の頭上に疑問符が浮かんだ。

 

「神様の眷族って本当に脱退できるの?」

 

「できるぞ。てか、【ファミリア】自体が神々にとって娯楽の一つに過ぎない。眷族を集め、地位や名声に富を高め他派閥と戦争をして最強の派閥へ昇り詰めるのが神々の求める刺激。俺達異邦人からすればRPGだな。だからもしも団員が脱退したいなら抜け出せれるけど、神に脱退を拒絶されたら抜け出せないことがある」

 

「お願いしたら直ぐ脱退できる?」

 

「今すぐは無理だ。眷族になったら次の改宗(コンバージョン)まで一年間待たなきゃダメなんだ。一つだけ例外があるがな」

 

例外がある?何だそれはと聞かずにはいられない。教えてほしいと願えば店主は淡々と告げた。

 

「これもさっき言ったとおりに神に致命傷を与えて天界に送還させることだ。そうすれば主神の存在なしでは【ファミリア】は成り立たず、解散を余儀なくされる」

 

「神に致命傷って、攻撃するって事?そんなバチあたりなことを・・・・・」

 

「そういう状況だったら、皆するぞ」

 

するの!?

 

「とにかく、一年間は今の主神と一緒に住んでみろ。途中、もう嫌気がさしたら俺に言えばいい」

 

「言ったとして、どうしてくれるの?」

 

「・・・・・具体的に言ってほしいのか?」

 

意味深な笑みを浮かべる店主にハジメと香織は首を横に振った。知らない方が幸せという時もある。聞かない方がいいと店主の顔を見て遠慮した。

 

「先生、お前の答えは決まったか?」

 

愛子は皆を代表者として頷いた。店主は彼女から語られる言葉を静かに耳を傾け、わかったと頷いた。

 

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