ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか 作:ダーク・シリウス
ギルドがある
「呼び出しの要件はなんだ?」
「呼んだのは他でもない。列車のことだ。まだ完成に至っておらぬのか?」
「あれの製造は手間暇と時間が掛かるんだよ。それにあんたが繋げたい場所はどうせ一つや二つだけじゃないんだから、どれぐらい必要なのかその詳細だって知らないんだけど?」
「む・・・・・できるだけ多く頼んでほしい」
「正確な数を言ってくれって話だよ。それにオラリオ外の国や都市のある場所や距離も知らない。列車を作ったとして走らせる場所も確保しなくちゃいけないんだぞ?何でもかんでも俺に任せるような他力本願は勘弁してくれ」
詳細を求む一誠から追及され、ロイマンは席から立って棚に納まっている一枚の大きい紙を手に取った。随分と大きいなと思う一誠の後ろの床に広げたそれは地図だった。
「地図か。それは正確な物なのか?」
「距離まではわからん。だが、古代の冒険者達が地上に跋扈していたモンスターを駆逐する際に
「なるほど。なら俺も信用して作業を進めよう。で、この地図に載ってる国や都市用に造れってわけ?」
「帝国や
おや?と異世界から来た者として不思議な事を言うんだなと感じて質問した。
「何でだ?ラキア王国のようにあからさまに敵対しているわけじゃないんだろ?」
「奴らをオラリオに招いて内側から襲撃されては敵わんからだ。お前も知っての通り世界で唯一のダンジョンから魔石を得ているこのオラリオにとっては、他国と比べれば優位な立場で―――」
オラリオと他国との立場の関係とその需要を長々と説明しだしたが、一誠は真摯に耳を傾ける。まだ己が知らない知識や情報をロイマンが教授してくれるので聞かないわけにはいかない。
「と、いうわけだ。理解したか」
「理解した上で言わせてもらうけど、やっぱり繋げね?オラリオの発展にもつながるのに」
理解できん、という眉根を寄せるロイマン。わざわざ危険を冒してまでオラリオに敵国の人間を招く必要はどこにあるのかと思った。が、異世界から来た一誠にとって繋げる意味はあるのだとその理由を知りたくなった。
「何故だ。異世界では敵対している国と繋げる意味があるのか」
「国の発展のためだ。俺が生まれた世界では確かに世界を巻き込んだ戦争は何度もしていたが、今では互いの国の長達が手を結んで二度と戦争を起こさない為に同盟や連盟の協定を築き上げた。そのおかげでその国にはない物が流れ込んでその国に住む人間達は未踏の地のことを知りたいと、憧れを持って自分の国から飛び出して違う国に向かうようになった」
一誠もかつては敵国だった国と交流はどれだけ大切かその需要性を長々と語り、ロイマンは耳を傾けた。
「と、まぁ、そんな感じで国同士の関係は大切なんだ。ロイマンもこのオラリオを更に発展させたいなら、頭の中の片隅でもいいから考慮してくれ。取り合えずオラリオと同盟を結んでいる国だけ列車を走らせる」
「・・・・・わかった。そうしてくれ」
敵国と交流する必要性を一誠の話で改まって思考の海に飛び込むロイマン。その間一誠は執務室を後にして扉を閉めた途端に黒衣のローブの者が現れた。
「うおっ、びっくりした」
「すまない。しかし、君でも驚くのだな」
「人の気がない奴を探すのは骨が折れる。うちの幽霊が怖い仲間だったら悲鳴を上げてるぞ」
「そうか。できるだけそうならないよう努めよう。それよりウラノスが呼んでいる」
今度は真の方か。先に行くフェルズを追いかけ、ギルドの職員達に見つからないよう気配を殺して地下の『祈祷の間』へ進む。床に敷き詰められた石板。天井は高く、暗闇に塞がれており、壁の石材からは積み重ねられた年月を感じさせる。まるで忘れ去られた『古代』の神殿のようだ。四巨の松明でしか灯りをともしていないその中で石造りの神座に座ってる老神と久しく会った。
「久しいな、イッセー」
「久しぶり、ウラノス」
かつての眷族の子と再会の言葉は短めで終わり、呼んだ理由を述べる。
「いくつか聞きたいことがある」
「なんだ?」
「数ヵ月前にダンジョンに異変が起きたことは知ってるか」
「・・・・・あー、もしかして新種のモンスターのことか?」
話を察した一誠に肯定と重々しく頷くウラノス。それなら知っているが、知らないと曖昧な返事でした。
「階層を越えて揺れるほどの爆発が起きたまでは知っている。あの魔石のないモンスター『ジャガーノート』の出現は多分、過度なダンジョンの破壊に呼応して生まれ落ちたんだと思ってるけど」
「直接戦ったか」
「戦った。で、フィンとガレスにオッタルにも戦わせたら問題なく倒せた。ああ、これが例のモンスターの姿だ」
魔方陣からジャガーノートの全貌を立体的な映像として見せつけた。
「装甲を展開すると俺の魔法でも反射して弾き返し、今まで屠ってきたモンスターの中でも俊敏で第二級冒険者達が気を抜いたり隙を見せたら爪と牙、尾で殺される」
「・・・・・ダンジョンがそんなモンスターを生み出すとは、今までになかった例だ」
「また過度な階層破壊をしたらこいつが出てくるか、それとも別のモンスターが出てくるのか不明だ」
「その場に居合わせた【ファミリア】は?」
「【アストレア・ファミリア】と
見えなかったジャガーノートの事の顛末を知り得ることができた。映像を消す一誠にもう一つ告げた。
「空の世界に繋げる件についてはどうだ」
「問題ない。装置はもうすぐ完成するけど、あの『未到達領域』はこれからも冒険者に発見されないでいるとは思えないから少し懸念するが」
「何故だ?リド達はそのあたりは万全な態勢で警戒しながらダンジョンの中を徘徊しているが」
「冒険者だから、だよフェルズ。何事も挑戦をするのが本職だろ?あの中層の
冒険者の行動の可能性を考慮している一誠の懸念の話がわからないフェルズではなかった。フェルズもその可能性は考えていなかったわけではない。細心の注意を払ってでもリド達は冒険者と相対し、交戦を何度もしてきた。一誠の考えもそれに当てはまり顎の部分に
「それでも今日か明日か見つかる話じゃないから一応大丈夫だと思う。その装置を作るにあたって他の装置も作ろうと思ってるし、目を逸らすことはできるだろ」
「どんな装置何だい?」
「各階層ごとに地上へ戻る転移装置」
固まるフェルズ。ロキ達からすれば「まーたとんでもない物を作ろうとしてる」と感想を言うだろう。
「ウラノス。他に聞きたいことは?」
「オラリオ外から来た異邦人達のことだ」
「もう接触してる。ある程度の援助はしたから今放置中だ。今頃冒険中じゃないか?」
床を見下ろすその目は、更に下のダンジョンの中を見据える。そこで何百人の冒険者がモンスターと死闘を繰り広げ、生き残ったり死んでいたりしているだろう。ハジメ達が生きるか死ぬかどう転ぶのか神すらわからない。
「わかった。もう帰っていい」
「ん、また聞きたいことがあったら呼んでくれよ」
地上に繋がる出入り口へと踵返す一誠を見つめる蒼い瞳。その隣にかつての眷族の後ろ姿が浮かび上がり、薄く口元を緩ませるウラノスをフェルズは見た。
「ウラノス。彼の親の、貴方の眷族はどういう冒険者だった?」
「我々の常識を上回り、毎日楽しそうに笑っていた。そして神々を楽しませた」
「神ロキ達も彼と交流を続けている辺り・・・・・親子なのだろうかウラノス」
「ああ、その通りなのだろう。叶うならばあの者達と一緒にいるところを見てみたい」
叶わない願いでもそう思ってもいいだろう。そんなウラノスの願いは―――思いもしなかった出来事が起きて叶い、一部の者達が中心に大騒ぎした。
ギルド本部を出てそのまま東区へ向かい、三つの城がある【ファミリア】へ足を運ぶ。門番をしている兵に出迎えられ既に伝えられているからか中を通されて赤い鳥居に集まる神々や眷族達と合流した。
「遅いでイッセー。ロイマンと何を話ししとったん?」
「ロキは女神なのにどうして見た目は男神なのか笑いながら話してた」
「絶対にそれは嘘や!うちは騙されへんで!」
「はいはい、イッセー。ロキをからかわないの。早く極東に行きましょ?」
何時ものメンバーで、何時ものように交流をして秋の季節しか入手でいない極東の食材を求め集まった。『異世界食堂』が閉店する日を狙ってミア達も一泊二日の慰安旅行という目的で同行する。
「そうだな。アマテラス、イザナギとイザナミ。極東では今の季節で美味しい料理って?」
「猪や鹿の肉をふんだんに使った料理だな。絶品であるぞ」
「魚も美味だよイッセー」
「松茸やタケノコのご飯も美味しいわ」
「―――よし、『異世界食堂』の季節限定のメニューはそれだな」
と、笑顔でそういう一誠に釣られて海童は顔を明るくした。
「松茸が食べられるのか。異世界最高じゃないか!」
「鯛も食べられるぞ。ああ、俺は大和大輔だ」
「おっ、異邦人か?俺は海童剛だ」
異邦人であり転生者同士が軽く握手を交わした。友好的に会話をする間もなく皆は赤い鳥居へと進んで消えていった。そして―――アマテラスが統べる都城に転移した。
「よぉし、二年ぶりの極東だ。思い切って秋の食材を手に入れるぞ。『異世界食堂』、頑張るぞ!」
『はい(ニャ)!』
「ガネーシャの超・有能なシャクティとアーディも頑張るのだゾウ!」
「何を張り合っているのだガネーシャ」
「でもでも、極東何て初めてきたね!」
「憂鬱です。まさか故郷に戻るとは思わなかったですわ」
「輝夜は極東出身だからね」
「あの
「春姫、ソシエ。久しぶりに帰ってきたなー。ここじゃ旦那様とは結婚したことにせなあかん話やで?」
「だ、旦那様とけ、けけけ結婚・・・・・っ」
「はう・・・・・」
「主神様よ。極東では珍しい金属や鉱石が手に入るそうだぞ」
「どっからそういう話が出てくるの?まぁ、実際にそうならどういうものか興味はあるのだけれど」
「極東かぁ~。一度来てみたかったんだよね。なぁ、アスフィ。極東の服を着てイッセー君を誘惑してくれないか?」
「なに馬鹿なことを言っているのですかヘルメス様」
「ヘルメスの言い分には道理があるな。フィルヴィス、アウラ。お前達の着物姿を見てみたい」
「わ、私にそのような物を着ても似合うはずが・・・・・」
「そうです。フィルヴィスの言う通りです」
各【ファミリア】の主神や団員達が思い思いに口にしながらアマテラスについていく最中。一誠の悪戯心が笑った。
「郷に入れば郷に従え。ということで、極東にいる間は極東の服で行動しようかな―――全員で」
「任せて、直ぐに用意してあげるわ」
「うん、ありがとうアマテラス」
ちょっ!?と一部の団員達が驚く他所にアマテラスは眷族の一人に着物の準備の手配をしてもらい一誠の要望を叶えた。その後・・・・・一同は着替えを強いられて極東の服で活動するのだった。その時の写真も当然撮っていて一誠とロキは笑みを浮かべた。
「ロキロキ、着物姿で面白い遊びがあるんだけど知りたいか?」
「ほー?一体どんなんのや?」
「そりゃもう、ロキが一番喜びそうな遊びだ」
面白半分でその遊びをロキに伝授。途端にグヘヘッと女神が笑ってはいけない下品な顔を浮かべ、ロキの女性眷族のみに限らず他派閥の女性団員達に悪寒が走ったのを一誠は知らない。実際、ロキが教えられた遊びをしたのかどうかは別の話である。
―――†―――†―――†―――
極東に来てその日。アマテラスの居城で一泊することにして目的の食材を山や川から採り終えると自由行動が発令され、ロキ達は思い思い夕方になっても極東の町を観光してる。その間でも一人、二年前に寝泊まりした部屋で日記を書いていた。程なくして終わると日記を閉じてバックパックの中に仕舞う。
「―――イザナミの団員の諜報部隊か?俺の監視をしているのか」
誰もいない部屋の中で語りかける言葉に一誠しか感じられない気配が揺れたのを察知した。
「ちょいっと姿を見せてくれないか?できないならそのままでいいけど」
声を掛けられた相手からの返事はなかった。興味本位で見てみたいだけの提案で無理強いはしない気持ちの一誠に応えるかのように天井の板の一部が外され、部屋の中に二人が入ってきた。黒い布や狐の面で顔を隠しているヒューマンかと思ったら、獣耳に黒と白の獣の尻尾を腰から生やしていて、その尾は―――
「
「何時でも影からイザナミ様をお守りする私達は、諜報と暗殺、時には戦闘に特化した魔法とスキルがございます」
「Lv.は・・・・・5か?」
「ご明察です。我らは共に冒険者で言う第一級でございます」
顔を隠していた面と布を取り払う。長い黒髪に赤い瞳の
「イザナギと戦争を繰り広げていたから諜報部隊もそれ相応の修羅場を潜ってきたわけか」
「ええ、そうですわ。しかし、私達の気配をよくお気づきですわね。私達がイザナミ様の眷族であることも含めて」
「隙を見せても警戒はしているもんさ。お前達のことは二年前にイザナミとここの天井にいただろ?憶えていたよ」
「随分と前からまだ憶えていたとは・・・・・」
白髪の獣人が目を丸くする。直接顔を合わせたわけでもないのにイザナミと秘密裏に天井裏で身を潜めていた時からずっと憶えていてくれていた。その記憶力には驚愕と同時に称賛に値する。
「で、答えてほしいんだけどさ。どうしてここにいるんだ?」
「不要な事かと思いですが、貴方様は一国を救い、二国の戦争を調停させて三国を同盟させた重要人物です。私達は貴方様の護衛をイザナミ様から請け負っております」
「そういうわけか。理由はわかったよ。神命だろうと護衛してくれてありがとう」
「いえ、これも任務ですわ。この極東にいる間は何なりとお声をおかけくださいませ」
ほほう・・・・・何なりとお声をおかけくださいませとな?一誠の目が妖しく煌めき、この瞬間欲望に忠実になった。
「じゃあ、早速お願いしていいか?」
「何でしょう?」
「―――その耳と尻尾を、モフモフさせてくれ」
「「・・・・・はい?」」
二時間後・・・・・二人の獣人が一人の男の手によって
「はっ、はっ、はぁ・・・・・み、耳とし、尻尾をさ、触られてるだけなのに、んくっ、な・・・・・なんでぇ・・・・・」
「んはっ、はぁ、はぁ・・・こ、心まで蕩けられて・・・・・うんんっ・・・・・ひゃんっ!?」
まだまだ触ってみたいと伸ばされた一誠の手によって尻尾を愛でられ、撫でられ、幸せそうな表情を浮かべる一誠に与えられた時間が許す限り、二人は瞳にハートマークを浮かべ嬌声を上げながらずっと撫でられ続ける。そう・・・・・。
「・・・・・見方が卑猥なのに、実際していることはそうでないってどういうこと」
呼びに来たアマテラスに見つかるまでは。
「イッセー、その二人は誰ですか」
「イザナミの眷族。俺の護衛にとわざわざ寄こしてくれていたようだ」
「同盟しているとはいえ、勝手に人のホームに侵入されるのは困るわ」
「今回ばかりは許してやってくれ。それで、ここに来たってことは」
ここに理由を察する一誠にアマテラスは首肯する。ならば、と骨の髄まで蕩けてる二人を瞬時に敷いた布団の上に寝かせて部屋を後にする。
「彼女達は一応、大丈夫ですか?」
「回復したら帰るだろ」
「どれぐらいあんなことをしていたのです」
「んー二時間ぐらい?」
であれば、イザナミの眷族があんな蕩けて全身に力が入っていないのは頷ける。一誠の愛撫は幸せ以上に強い快楽を得てしまい、誰もがもっと強請って求めてしまう。それが二時間ともなればどれだけ心を蕩けされて快楽を与えられていただろうか。
「・・・・・貴方にとって全ての女性の獣人は手籠めするのにわけないわね」
「仮にそうしたら何時でもモフモフできるな。ある種の楽園だ」
悟った風に感想を述べる女神に男も感想を口にする。本当に獣人の耳と尻尾が好きだなーと思いながら一緒に廊下を歩く。その時の二人の獣人が漏らした声を聞き逃していた。
「・・・・・か、加賀・・・・・私、決めましたわ・・・・・」
「き・・・・・奇遇だな。私も・・・・・あることを考えた」
「でしたら・・・・・イザナミ様に進言しましょう」
「同感だ・・・・・」
・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
「おお、極東にもてんぷらがあるのかー!」
目の前に置かれた料理の数々に海童は目を輝かせる。秋の季節しか出せない料理を惜しみなく提供してくれたアマテラスの好意を感謝する間もなく爆食いするエセ中国人の神楽を筆頭に他の面々も肩を並べて夕餉の時間を楽しむ。
「デカい魚ニャー!」
「美味いのニャー!」
見たこともない美味しく調理された状態の魚の味に魅了するアーニャ達。初めての海外旅行を満喫して始終顔は笑みで絶えず浮かんでいる『異世界食堂』の従業員達は、何時までも楽しんでいたいと思うが明日になればオラリオに戻らなければならない。他の主神と劵族達もそうであるが、明日一杯時間を使って楽しむ方針だ。
「フレイヤ、極東の料理も悪くないだろ」
「ええ、初めてたべるものばかりだけれど、高級な料理も美味しいし、見た目もとても新鮮なものばかりでお酒も美味しいわ」
「そう言ってくれるとこちらも嬉しく思うわよ」
極東の料理の称賛をもらって微笑むアマテラス。夕食の場はワイワイと騒ぎ、一部飲み比べ勝負が勃発。それを肴に、それに釣られて他の神々も交ざり騒ぐ。劵族達から呆れられつつも当人達もそんな状況の中を過ごす。
「イッセー」
その時、アマテラスが近づいてきて話がしたいと皆から離れた部屋の隅に移動。
「狙ったのか分からないけれど、明日が丁度三国が同盟を結んだ日なのよ」
「そうしたつもりはないが、何かの催しでもするのか?」
「ええ、そのつもり。だけど去年はしてなくてこれからもそうしていくわけにもいかない。だから異世界の知識を伝授してくれない?大切な日、重大な記念日に極東らしい催しをしたい」
遅れてイザナギとイザナミも寄ってきてアマテラスの話の内容に同意する。
「んー、まだ何も決めてないし準備もしてないんだろ?」
「うん、そうだよ」
「・・・・・うーん・・・・・じゃあ、来年からは朝と夜の二回、同盟した事を祝う記念日にしよう」
「一日中祭りでもするべきなのか?」
「それは朝から夕方までな。夜は別の事をする」
どんなことする。と、問われるとこれから考えると答えるしか言えなかった。ので、早々に部屋に戻りどんな催しをしようか、かつて映像を保存したパソコンから検索する。
「・・・・・んー」
どれもこれも似たような事をするばかりの映像に悩む。探して探して、様々な映像を見て決めかねては・・・・・ゴロリと背中を後ろに倒し、天井を見上げる姿勢の仰向けになったら、天井に二人の
「どうした?」
「イッセーだけいなくなったから気になった」
「懐かしい物で使って、何を見てるんだ?」
それぞれ無駄な事を言わず聞かずに尋ねられて寝転がったまま質問に答える。
「明日がアマテラスとイザナギとイザナミが同盟を結んだ日だから、異世界の知識を貸してくれって頼まれた」
「ああ、記念日ってわけか。それなら祭りにでもすればいいじゃんか」
「それだけならとっくにしてる。けど、アマテラス達は異世界で記念日の日にどんな催しをするのかそれを実践したがってるんだ。イザナギとイザナミが長らく戦争をして、アマテラスの国も含む三国が戦争をしそうになった日なんだからな。な、大和」
極東で起きた大事件の黒幕だった転生者に声をかけ、大和は苦い顔を浮かべた。その理由は一誠を除いてこの中で知っているのはアイズとアリサだけ。
「戦争が終わった日を祝う催し・・・・・黙祷?」
「できれば死んだ人の魂を形にして、祈りを捧げることをしたい。それをパソコンから探してたんだが見つからなくてな」
と、一誠の悩みを聞いた異邦人達はそんな催しはあったかと三人も悩みだす。その間にアイズとアリサがパソコンを興味本意で弄りだす。
「キャンプファイア?」
「何で宿泊学習の定番のアレを、と思ったが悪くないな」
「昔、家族とした提燈みたいなのを川に流すアレは?」
「おー、灯籠流しのことだな。それもいいな」
「うーん、ロマンチック的なことしちゃダメだよね?」
「それはどんな感じのだ?」
最後にアスナの提案は何なのか訊いた矢先。テレビで見たことがあるが名前が思い出せないアスナの視界に、アイズとアリサがパソコンを何もわからないまま操作をしている際、とある動画が飛び込んできた。
「それっ!」
「ん?・・・・・ああ―――ナイスだ、アスナ。これはアマテラス達も満足してくれる」
ヒントを与えてくれた幼い少女達の頭を撫で、上にいる二人の獣人に向かってお願いした。
「明日の同盟記念日に行う催しが決まった、とイザナミ達に伝えてくれないか?」
「「わかりました」」
『え、誰っ!?』
今初めて気づいたと驚くアスナ達。気配すら感じなかったようで、開けていた天井の板を蓋するように戻してから主神の下へ戻っていった。
「い、今の人達誰だったの?」
「イザナミの諜報部隊」
「スパイってことかよ。そんな部隊がいたなんて知らなかったぞ」
「知られたら意味がないだろ」
「そりゃそうだろうけど、敵かと思ってびっくりしたぜ」
「・・・・・私はこの部屋に入った時から上から人の気配を感じてました」
え、そうなの!?とラトラの発言でまたアスナ達は驚く態度に呆れ混じりの息を吐いた一誠は決定事項を述べた。
「・・・・・気ぃ抜きすぎだぞお前ら。帰ったら揃って修業コースを始めようか」
「うげっ!?」
「あ、あははは・・・・・」
「え、俺もなのか?」
絶望する者、諦観する者、当惑する者。三者三様の反応をしても考えは変えない一誠は明日の準備に取り掛かった。その日の夜から一誠の姿は見えず、翌朝になっても現れず事情を知らないロキ達は疑問符を浮かべた。しかし、アマテラスとイザナギとイザナミは一誠の指示に従って行動を起こしていた。
―――三国同盟記念日―――
東、西、南に存在する極東最大で三大派閥が統べる国が一人の英雄の調停によって戦争が終結、同盟を結んだことに対する祝いが二年の時を経ってから初めて行われる催しが各国に発令した。開催時間は夜となりアマテラス達の都の民達は主神達から告げられる催しの内容を確と耳に入れた。
「イッセー君がまた何かしようとしているなこれは」
「もしもそうなら、一体何を仕出かすんか楽しみやでー」
「ガネーシャ、超楽しみダッ!」
オラリオから来た神々は予想して期待で胸を膨らませる間、時間はやがて過ぎていく中で―――城の中で待っていたアマテラスの前に一誠が忽然と姿を現した。
「準備はできた?」
「膨大な数だったがな。はぁ・・・・・なんとかできたよ。すっごく手が疲れた」
「お疲れ様。早速なのだけれどそれは一体何なのか教えてくれるかしら」
頷いて詳細を伝える。話だけでは何とも言えないが、異世界でも行われている行事だということでこの機に自分達もその行事を取り組もうと決するのであった。
「アマテラス、この都周辺に川はあるか?」
「川?あるけれど何をするつもりなの?」
「単純な事だ。提燈を川や海に流す。死者の魂を弔う意味を兼ねてだ」
「・・・・・本当に異世界は不思議なことをするのね。でも、死んだ子供達の魂を弔うその敬う気持ちは尊敬に値するわ」
その話を同時にイザナギとイザナミのところにいる分身体の一誠から聞かされ、二柱の神達も称賛に価した。それからすぐに準備が始まった。一誠が一人で何千何万も作った天灯や灯籠をアマテラス達は眷族達の手で都に住む民や他の地方の村人にまで配り、合図が鳴ったら同時に始める姿勢に入った。
―――その時間帯を極東の民達は迎えた。地平線に沈んだ太陽と入れ替わる月が暗くなった蒼夜に浮かんだ夜。都から灯りが消え、代わりに数え切れない数の灯が都を一層明るく照らす。
「時間だな・・・・・よし、力いっぱい『鳴らせ』!」
『はいっ!』
とある場所の村に複数の松明の灯りで照らされる黄金の大鐘楼の鐘の傍に立つ一誠が村人達の協力のもと、鳴らした。とてもとても美しい鈍重でありながら極東中を鳴り響く鐘の音。
カラァー・・ン!カラァー・・・・・ン!カラァー・・・・・ン!
その鐘の音は歌声にも聞こえ、この地でなくなった死者たちに対する
「―――――輪廻の交差点でまた会おう―――」
鳴り響く鐘の音が聞こえた三つの都―――。
「さぁ、合図が鳴った!皆、天灯を空へ!今まで死んでいった者達の魂を弔う!三国はこれから手を取り合って極東を善き国にすると約束を先に死んでしまった者達に伝えるために!」
アマテラスの発令によって眷族達が次々と号令を告げて、周囲の者達に天灯を手放すよう促す。
一斉に紙袋の中で燃え続けている火が熱気球となって、人の手から離れた天灯はどんどん夜空の向こうへと浮かんで、飛んで、上昇していく様を・・・・・ロキ達は目を見開いて見惚れた。夜空を染めんばかりの朱色が地上をも照らす幻想的な光景を両目でしっかりと目に焼き付ける。
「凄い・・・・・!」
「ええ、何て幻想的な光景でしょうか・・・・・」
「うわぁ・・・・・っ!」
「こんなに綺麗なの初めて見た・・・・・」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
神々が感動し、何時までも夜空を見上げ続ける中でアスナは祈った。美しく鳴り響く鐘の音を聞きながら死んでいった死者の魂が無事に成仏できるようにと。
「ん、大成功みたいだな」
「っ、イッセー」
いつの間にか傍に立っていた一誠に振り返り、朱色に染まった顔で優しい笑顔を浮かべた。
「よかったね。灯籠流しの方は?」
「絶景だったよ。まるで龍の身体のように流れて行っている」
「キャンプファイアは?」
「ボツにした」
あれは特に意味があるとは思えん。と夜空に消えていく天灯を見上げる。
「奇麗だな。実際見るのはこれで二度目だ」
「私は初めてだよ。だからイッセーにはとっても感謝してる。こんな素敵な光景を見せてくれて」
「俺も作った甲斐があったよ。ただ、一つ懸念していることがある」
途端に疲れた顔をし出す一誠に不思議と「え?」と漏らしたアスナ。何か不都合なことがあるのかと思ったら。
「ガネーシャが・・・・・」
「イッセー!オラリオでもやってみたい!いや、絶対にやるゾウ!」
「って、こう言い出すんだもんなぁっ!」
あー・・・・・そういうこと。自棄になった一誠をそうさせるガネーシャが望まないはずがなかった。
と、他人事のように感想を抱いたアスナの目の前で、しつこく強請ってくるガネーシャに対応を強いられてる一誠にアマテラスが寄ってきた。
「天灯と灯籠流しの事。教えてくれて本当にありがとう。今日からこの二つは極東の行事にするわ。来年もまたするつもりだから、それまでとても楽しみ」
「そう言ってくれると俺も頑張った甲斐があった。天灯と灯籠の作り方の詳細は後で書いて渡すよ」
「ええ、ありがとう」
綺麗に笑うアマテラス。一誠も笑って天灯が消えゆくまで何時までも見上げ続けた後、三国同盟記念日は無事に成功したのであった。ロキ達も凄く感動したと褒めちぎり、オラリオでも見てみたいとガネーシャの気持ちを後押しするかのような言葉を頂戴した一誠は、フレイヤの願い(しないと
イッセー
Lv.2
力:SSS1349
耐久:SSS1301
器用:SSS1322→SSS1323
敏捷:SSS1389
魔力:SSS1379
幸運:I
《魔法》
『
・移動系魔法。
・継続時間と大きさは魔力数値に依存、憧憬によって過去・現在・未来や異なる世界へ行き来できる。
・強い憧憬である程、成功率上昇。
(特典)『鑑定』
・ありとあらゆるもの価値を見定める。
《スキル》
『
・戦闘時のみ発動。
『恋愛一途』
・早熟する。
・懸想が続く限り効果維持。
・懸想の丈と異性との相思相愛の情を続けることで効果向上。
『魅了成就』
・魅了する。
・異性と同性、特定の者と交流し続ける限り効果維持。
・神・老若男女、人種問わず関係が良好、異性と触れ合い魅了し続けることで効果上昇。
『三技一体』
以下の三つのスキルが一つとしてそれぞれの発動条件が満たされると一時発現する。
『
・調理道具の装備時、発展アビリティ『料理』の一時発現。
・補正効果は『器用』と『敏捷』のアビリティ数値に依存する。
『神伝鍛冶』
・鍛冶道具の装備時、発展アビリティ『鍛冶』の一時発現。
・作製した武具の品質の向上は『器用』アビリティ値に依存する。
『
・
・一定以上の
『幻想』
・
・発展アビリティ『幻想』の発現時、
『運命協同体』
・同恩恵を持つ者のみ効果を発揮。
・懸想の丈の度合いによって【
・『運命協同体』の副次効果―――懸想の丈の度合いによって良好の同恩恵を持つ以外の者も共同することで【
・
(特典)『
・ヴァリスを払うことで異世界の物資を購入可能
・
(特典)『ステイタステイカー』
・対象の【ステイタス】を奪う。
・奪った【ステイタス】の全てを上書き・蓄積し糧となる。
・
「・・・・・あんだけ作ってたった1って・・・・・(泣き)」
「気の毒にね」