ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

9 / 129
短い間だが【ヘファイストス・ファミリア】に入った。7年~。
冒険譚1


冒険者になってから二年目の一誠が【ロキ・ファミリア】を脱退する時期が来た。本人はようやくかという思いで改宗(コンバージョン)をしてもらった際に更新した【ステイタス】の報告を受けて―――。

 

階層主を協力して撃破したことでアリサの【ランクアップ】と真逆、未だに0という数字の穴が埋まらないショックに部屋の隅で膝を抱えて落ち込む少年の背中は影を落としていた。金と銀髪幼女に慰められる光景にフィン達はそっとしておこうと配慮をする。場所は去年の続きをするかのように執務室で今日―――一誠は今度こそ【ロキ・ファミリア】を脱退する日でもある。

 

「さーて、イッセー。自分は何時でも他の派閥に改宗(コンバージョン)できるようにしてある。せやからどこに行くかもう決まっとるん?」

 

「【フレイヤ・ファミリア】以外の・・・・・んー最大派閥か商業系【ファミリア】だな」

 

「最大派閥ならうちはファイたんを推薦するで?」

 

「ファイたん?」「女神ヘファイストスのことだよ」と一誠の疑問にフィンが答える。妙なあだ名で呼ぶロキに感性に神としての威厳は本当にあるのかと不思議に思ったところ、アイズが眉根を寄せた。

 

「本当にいなくなるの?」

 

「異世界から来た俺からすれば色んな神々を直で見て聞きたいんだ。何、他の派閥に行ってても会いに行くよ」

 

「・・・・・」

 

納得できない、不満そうに見つめるアイズは行かないでと風に脚衣を掴む。それを好機とロキが誘惑する。

 

「ほれ、アイズたんが寂しいって言っとるんのにそれでも行くんかイッセー?まだここに残ってもええんやで?」

 

ニヤニヤと顔を笑ませながら少年の肩に腕を回すロキに一瞥して見上げ続ける少女に提案した。

 

「アイズとアリサ、一緒に他の派閥に行くか?そうすれば俺と一緒にダンジョン行き放題だぞ」

 

「!?」

 

「ダメやアイズたん達!イッセーの誘惑に惑わされたらあかんでぇっ!?」

 

途端に目を輝かす少女を公私混合、色んな意味で危ういと全力で止めにかかるロキを嘲笑う一誠。亜人(デミ・ヒューマン)の幹部達が感心とある興味を抱いて語り合った。

 

「抜け目ないのぅ。逆に引き抜こうとは。実際、アイズ達がそうしたいと願ったらどうする気じゃフィンよ」

 

「イッセーなら問題ないと安心して、二人の気持ちを尊重するよ。リヴェリアは?」

 

「あの子等はまだ幼い。まだ色々と教えることがたくさんある。ダンジョンばかりにカマけるようであれば私は反対だ」

 

と、三人の意見を他所に一誠は大きな道具を軽くロキの前に出していた。巨大な円盤がくっついた土台の横に催促し出す。円盤には共通語(コイネー)でオラリオに住む【ファミリア】の名前が均等に間隔を空けながら書かれてあった。

 

「んじゃロキ。ダーツをしてくれ」

 

「自分、何気なく普通にコレどっからだしたんのかを突っ込んでもええ?」

 

「そんなどうでもいい事を気にしないで、これで次の派閥を決めてくれよ」

 

「これで決めるとか自分。めっちゃ軽いわー。もうちっと考えて決めるべきなんに。でも、おもろいからやるで!」

 

次の【ファミリア】を決めるちょっとしたゲーム的な感覚に乗り気なロキは、激しく回されるルーレットを真剣な眼差しで小さなダーツの矢を豪快に、腕を後ろに引いて上半身を捻り、高らかに叫びながらビュンッ!と投げ放って円盤に当たると一瞬消えたように見えた。次第に遠心力が弱まり動きが止まる円盤を手で完全に止めて矢が刺さってるだろう【ファミリア】の名前を確認する一誠とロキ達一同。そこに書かれている次の一誠の改宗(コンバーション)先の【ファミリア】の名前は―――。

 

「ああ・・・・・次はここか」

 

北西のメインストリート、通称『冒険者通り』。多くの冒険者がダンジョンに挑む際、必要な道具(アイテム)や武具を求め闊歩することが多い大通りの中。隣接する左右の店と比べて、ふた回りほども大きい武具店。炎を思わせる真っ赤な塗装は、商店が並ぶこの大通りでも一際人目を引くその店の中にいるであろう神物に―――今、真紅の長髪の冒険者が入って行った。

 

「・・・・・まさか、本当に改宗(コンバージョン)を求めに来るなんて思わなかったわ」

 

右眼を覆う特徴的な漆黒の眼帯を着ける紅髪紅眼の女神―――ヘファイストスが呆れた風に息を零す。彼女の左眼の視線は背中を晒す一誠の姿でいっぱいだった。しかし、改宗(コンバージョン)を終えるまで静かに待つ少年の背中には、ロキを当惑させた【ステイタス】とスキルが必然的にヘファイストスの左眼に映し、綺麗な柳眉を釣り上げた。

 

「ねぇ・・・・・私の眷族になってそうそう悪いのだけれど、貴方の【ステイタス】、どうなっているわけなのか教えてくれる?」

 

「やー・・・・・絶対に言えない。少なくとも今はまだ」

 

「そう・・・・・じゃあ、ロキは知っているのかは?」

 

それなら大丈夫だと首肯する。知り合いが知っているならこの疑問は別段気にしなくてもいいようだ。いや、凄くおかしなことであるから気になるが。取り敢えず、彼女が今するべきことが増えたその前に―――。

 

「あの時はありがとう。椿から聞いたわ。あなたが不思議な方法で私を見つけたってアレ、まだ残しているからね?」

 

「あ、そうなんだ?てか、綺麗にしてなくて悪かった」

 

「大丈夫よ。絨毯で敷けばそれほど気にするほどのことでもないし、また攫われるようなことがあればもう一度利用しない手は無いわ」

 

【ヘファイストス・ファミリア】の徽章が施された絨毯を尻目で見る。絨毯の下に隠された幾何学的な魔方陣。女神から見ても監禁されていた自分を探す不思議な力は感じられなかった。魔力を流して常に使用されていたものが光、一人で飛んで行ったと椿からの説明を聞き耳を疑った。

 

「ねぇ、もう一度私を見つけた方法をしてくれない?」

 

「や、近くにいるんじゃ効果は出ないんだ。できれば外に行ってくれないと」

 

「そうなの?にしても貴方自身の魔法とは思えない方法ね。【ステイタス】にも魔法は発現してないし・・・不思議ね」

 

言い辛そうに押し黙る一誠の背中を見つめ、一先ずこの疑問はロキに問い詰めて解消するべきだと判断し、話題を徐に変える。

 

「さて、私の眷族になったからには鍛冶師(スミス)を目指しつつダンジョンの探索をしてもらうけど・・・・・今の貴方の【ステイタス】の異常を見て『鍛冶』のスキルが発現できるか怪しいところだけど。それでも【ファミリア】から貴方専用の工房を―――」

 

「んと、それ、もう自分で用意しちゃったから大丈夫なんだけど・・・・・」

 

とても申し訳なさそうに待ったを掛けた少年に左眼をパチクリと瞬きする主神。自分で用意した?どういうこと?という風に。

 

「工房を借りることができないなら、自分で用意すればいいと考えてもう工房を作ったんだ。だから用意してもらわなくてもいいんだ」

 

「・・・・・嘘でしょ?全然【ステイタス】が・・・・・」

 

「【ステイタス】については触れないで!こっちはすっごく気にしているから!」

 

目も当てられないんだ!と言ったそばから落ち込む一誠にどう返していいか困惑するヘファイストス。本当にこの子はどういうことなんだとロキに対する追及の意欲は高まった瞬間、この執務室にもう一人、左眼に眼帯をつけた冒険者+鍛冶師(スミス)が入ってきた。

 

「主神様、待たせた―――むっ、おお、お主ではないか!久方ぶりであるなぁ!」

 

「あ、椿」

 

【ヘファイストス・ファミリア】の団長ことツバキ・コルブランドが嬉しそうな満面の笑みを浮かべ、近づく。共に女神を救いに行動をした者同士が握手を交わし、【ファミリア】に改宗(コンバージョン)したことを説明されてますます機嫌が好さそうに会話を弾ませる。そんな二人を見つつ、ヘファイストスは問うた。

 

「ねぇ、工房を自分で用意したってことは、何か作ったのよね?それ、まだ工房にある?」

 

「うんや、アイズ―――【ロキ・ファミリア】の俺と同期の少女に渡したが」

 

「そう、分かったわ。じゃあ、行きましょう」

 

「「え?」」

 

どこに行くのだ?と椿の疑問に対して、一誠は嫌な予感を覚えた。昨日の今日もとい数分前の数分後に、また前の【ファミリア】に戻ることになろうとは―――【ロキ・ファミリア】の正門まで同行することになろうとは思わなかった。正門に現れるロキは一誠を見て、頬を引き攣らせた。

 

「・・・・・イッセー、なんや・・・・・?どうしてファイたんと一緒におるんや?」

 

「俺が知りたい・・・・・アイズはいる?」

 

「―――アイズたんも引き抜きに来たんかファイたんっ!?」

 

「違うわよ」

 

一蹴する。

 

「『人形姫』が持っている武器を見たくなっただけよ」

 

ロキの怪訝そうな眉根を寄せる仕草。糸目の視線は一誠に向けられ、「どういうことや?」と籠めて送られ「知らん」と肩を竦め返す一誠。ヘファイストスの要望は問題ないと判断し、中庭に招けば丁度そこにフィンと模擬戦をしていたアイズやアリサがいた。

 

「おや?イッセーに珍しい客人が来たね」

 

「息災の様であるなフィン。相変わらずちっこい!抱きしめてもよいか?」

 

「ははは、遠慮させてもらうよ。それで、そちらに改宗(コンバージョン)を済ませた筈のイッセーと直接ここまで来て何か用かな」

 

「うむ、イッセーが打ったという剣を確認をしに来た所存。それか」

 

左右の目に眼帯を付けている女神と眷族の視線が、少女の手の中にある輝白に薄らと金と蒼の波紋が走っている剣身の剣を視界に入れた。そして一目で見て信じられないものを見る目で、目を丸くする。

 

「椿、貴方から見てどう評価する?」

 

「評価するも何も・・・・イッセーは下級冒険者であろう。有り得んの一言に尽きる」

 

ロキ達四人は不思議そうに小首を傾げる。アイズの剣は鍛冶を司る女神とその眷族の目にとめる程の業物か?疑心に満ちた紅い右眼をロキに注ぐヘファイストスはずっと言いたかった質問を述べた。

 

「・・・・・ねぇ、ロキ。この子の有り得ない【ステイタス】は何なのか教えてくれないかしら」

 

ギクリと全身を硬直させ、嫌な汗腺が噴出した。やっぱり見てしまったか、とこうなることを悟っていた様子のロキはヘファイストスからの追及する視線から逃れるように一誠へ反らし「絶対に教えるな」と訴える目で視線を返された。

 

「い、いくらファイたんでも教えられへん・・・・・。少なくとも、イッセーにとっても安易で公にできひん秘密を抱えておるんや。それを教えてくれたのって一年経ってからなんや・・・・・」

 

「・・・・・?どんな秘密を抱えているのよ?それを貴方が受け入れているなら問題ないのでしょう?」

 

なら、自分も聞いても問題ないと断言する鍛冶女神に下から声が掛った。

 

「いや、僕達も最初は信じられず受け入れ難い秘密だった神ヘファイストス」

 

「え?」

 

自分を見上げ視線を向けてくる碧眼の瞳。何故か表情は真剣味を帯びていて、ただの秘密ではないことを、ある種の警告を発した。

 

「イッセーの秘密はそんな単純なことじゃなかった。彼の秘密は僕とロキ、ガレスにリヴェリア、そしてこのアイズとアリサだけしか知らされてない。他の団員達には教えられない、根本的にも信じられない事実を彼は抱えている」

 

「「・・・・・」」

 

「だからロキの言うとおり。もしも彼が一年後言う気になれば教えてくれるだろう。そうでなくても知らない方が幸せだということになるね」

 

【ロキ・ファミリア】の一部しか知らない一誠の秘密。ヘファイストスと椿はまだそれを知る機会ではないとフィンに言われ、揃って一誠へ目を向ける。

 

「のう、フィンよ。お主とイッセーはどんな関係か聞かせてもらってもよいか」

 

「ああ、できればこれからずっと共にダンジョンを攻略したかった―――仲間だよ」

 

「ふむ・・・・・(ということはイッセーの強さを知っておるのか?)」

 

第一級冒険者を倒す実力を持つ下級冒険者。フィンもとっくに知っているのだろうと踏んで、これから先、同じ鍛冶師(スミス)となるやもしれない少年との交流を楽しみだと思い馳せ、口端を釣り上げた。

 

「つまり、言わせる気にさせればロキ達が知っているあの子の秘密を知れるわけね」

 

「その通りやけど・・・・・訊かない方がええで?バレたら【ファミリア】にも影響でるかもしれんし、イッセーを悲しませるともっとあかんし・・・・・」

 

「あの子が抱えるのは貴方がそこまで言うほどヤバいこと?まさか闇派閥(イルヴィス)じゃないわよね?」

 

「それだったらどれだけマシだったか。でも、ちゃうんや。それ以上のことやホンマ。取り敢えず今は何も聞かずイッセーを信用して好きにさせてぇーな」

 

ヘファイストスへの説得をするロキとそんな二柱の神の会話を隣にアイズと模擬戦を繰り広げる一誠に、それを見守る椿とフィンの図が出来上がっていた。

 

「はぁ・・・分かったわ。秘密を抱えている子供って私の眷族にもいるかもしれないし、『今』は訊かないことにするわよ。それでいいのねロキ」

 

「ん、そーいうことや」

 

「なら、もう帰るとするわ。あの子の工房を見たいし」

 

何気なく呟いた言葉は「工房?」とロキが聞き逃さなかった。

 

「私が用意しようと思ったのだけれど、自分で用意した工房で貴方の娘の剣を作ったそうじゃない。知らなかった?」

 

「マジで?てっきりファイたんかゴブニュんとこに特注品(オーダーメイド)したんかと」

 

元主神すら把握していなかった剣の出所。確かめに行くべきだと決意し、実務を放り出したままであることを頭の片隅に追いやって―――一誠の手から伸びる光刃でアイズとアリサに斬り掛る様子に眼を凍結させた。

 

 

「なんでロキ達まで来るんだよ・・・・・」

 

「ええやん!自分、何時の間に工房なんて用意してたんのか。うちらに黙って」

 

「教える必要もなかったと思うけど?」

 

北西と西のメインストリートに挟まれた区画、人の気配を感じさせない無人の廃墟の間を通り渋々とヘファイストス達を案内している。ただの工房に興味を持ってしまったヘファイストスの目は本気で断れないと判断し招くことになった。それに乗じてロキも見たいと護衛にフィンとアイズ、アリサまで引き連れて今に至る。静寂な空気を漂わせ、忘れ去られた場所のように破損している女性の像や誰も通うことも住まうこともない建物や道は荒れ果て、崩れていたりしていた。こんな場所に工房があるのか?とヘファイストス達はまだ使えそうな建物を見つけても素通りする彼の背中を追う中で、足を止めた。止まった一誠に釣られて止まる女神達は「どうしたの?」と声を掛ける。

 

「・・・・・なぁ、どうしても見たいのかよ。工房だぞ。ヘファイストス達からすれば何の変わり映えのない仕事場だぞ?」

 

「貴方の主神として知る必要があると思ったまでよ。他の工房と変わりないならそれはそれで構わないわ」

 

意思は変わらない。鍛冶女神の気持ちが分かるほどに一誠は辟易に似た思いを溜息として零し、諦めの色を顔に浮かべて虚空に言い放った。

 

「開け、幽玄の扉。我が名は―――」

 

超短文呪文のような言葉を呟いた。その直後。重圧な物の音が空気を響かせ、何もない虚空が両開きで別世界を覗かせながら光を漏らす。眩い光に視界は真っ白に染まり全身もその光で照らされながらも別世界は両開きで解放された。目を開ければ、最初に目に入ったのは緑豊かな森林だった。石造りの建物や石畳の大通り、地上に進出するモンスターを防ぐべく巨大な白亜の魔天楼『バベルの塔』など殆ど石で創設されたオラリオに緑豊かな場所は極めて珍しいといえよう。森の中で生活する種族、エルフからすれば懐かしい気持ちを抱かせるかもしれない。

 

「入るぞ」

 

一誠の催促に皆は我に返り、森林の中へ足を踏み入れた。完全に森の中を歩いている気分でアイズは金

眼を周囲に見渡す。自然で溢れた森の中を真っ直ぐ勝手知ったるような足取りで歩く一誠についていくその間。至る所に光り輝く水晶が森の木々に寄り添うように生えていて微弱に発光しているのを視認しつつ「すごい」と感嘆の声を漏らし歩き続けていると全長一〇〇Mの湖の前に辿り着く。

 

「む、これは・・・・・」

 

フィンが水晶にいるとある木々を興味深げに見つめ、木の正体が分かるや否や碧眼は見開いた。

 

「・・・・・白樹の葉(ホワイト・リーフ)?ダンジョンでしか採取できない原料(アイテム)を木と一緒にここで育てているのか?」

 

「ん、気づいたか。ダンジョンの植物を人工的に育てれないか一時没頭したからこの辺りはダンジョンの植物で一杯なんだ。この水晶もそうだ」

 

「ということは・・・・・」

 

「地上でも商業系【ファミリア】が欲しがるアイテムの人工栽培を成し遂げた」

 

周囲を見渡す。白大樹(ホワイト・ツリー)の他にもダンジョンで実る雲菓子(ハニークラウド)肉果実(ミルーツ)など高級、希少性の高い果実から木の実まで地面に根を張らせていた。その木のすぐ傍には巨大な台の上に膨大な液体が詰まった硝子の瓶が置かれており、ダンジョン産の木々に与える栄養ある液体なのか他にも幾つも設置されている。

 

「イッセー、ずっと留守にしておったのはこれらを作っておったからか?」

 

「初めて見たものに対して興味と好奇心、研究と観察をしたい性分でな。気が付いたら農家や植物園みたいになってた」

 

あははーと後頭部に手を回し笑う一誠にロキ達は言葉を失った。半年以上の期間の間、ただダンジョンに籠っていたのではなく、異世界しか手に入らないダンジョン原産のアイテムや果実を見て好奇心が湧いたのだろう。当時を振り返って思い出し、微笑んだ。

 

「ってことはイッセー・・・・・ここ、うちら【ロキ・ファミリア】の所有物ってことだったん?」

 

「は?ここは俺個人の家だ。【ファミリア】の物とはまた別の話だ」

 

「イッセーの家って、うちの【ファミリア】にも家があるやんかっ!」

 

「俺は縛られることは嫌いなんだよ。やりたいこともあるし【ファミリア】にも貢献するつもりだ。それでいいだろ」

 

「「良くない(わよ)」」

 

不意にヘファイストスまで声をそろえたのでロキは不思議そうな面持で反応する。だが、敢えて深く聞かないことにし「家はどこや?」と一番気になることを訊ねたところ。人差し指を点に衝き立てだす一誠。

 

「上」

 

「・・・・・上?」

 

何も知らない一行は思わず真上に目線を変えたら、バベルの塔の次に高いんじゃないかって思うぐらい天を穿つ白亜の巨塔のような崖の遥か天辺には同じ白亜の城が建っていた。

 

「たっかっ・・・!」

 

「あれがホーム・・・・・?でも、どうやって行くんだい?」

 

「こっち」

 

そう言って一誠がなんと、目の前の湖の上を歩いた。それに続いてアリサも。皆、目を見開く。湖の上に歩かれては度肝を抜かされたのだった。

 

「ん?ああ、忘れてた」

 

中々来ない彼女達に振り返る。その場で足をトントンと水面に叩くと淡い光が発して一筋の道が出来上がった。そこがこれから向かう場所の道標のように。安全を確認し光の道に一歩足を前に出す。足場があることで心の中の戸惑いの靄が消え、先に進んで待っている一誠がいるところまで歩き、さらに驚かせられる。足場が急に降下し始めたのだ。周囲の水は完ぺきに何かで隔てられていて水中を泳ぐ魚達を観覧できる中で一行を乗せた足場はギルド本部の様な大神殿の前に降りた。

 

「・・・・・アリサ、イッセーと住んでいる場所ってここなの?」

 

「うん、そうだよ」

 

以前聞きそびれた話の答えがようやく分かって羨望と嫉妬の眼差しをアリサに向けるアイズを他所に一誠達は神殿の中を侵入すると、魔法円(マジックサークル)が光り輝いて一行を出迎えた。その魔法円(マジックサークル)の中にまで足を踏み込んだ矢先、光に包まれ視界が真っ白に染まる。その時間はあっという間に終わりを告げる。声を掛けられ瞼を挙げた途端に飛び込む景色は―――高い場所だからこそ一望できるオラリオの町並みと青い空だった。今まで地上でしか見たことのある街並みは、一変して見たことのない街並みと化した。胴体程の高さの円形の胸壁に囲まれ、城に続く通路は一本道。その途中で巨大な黄金の鐘楼があるが、皆の意識はオラリオに向いている。

 

「おお・・・・・」

 

「凄い、オラリオが一望できる・・・・・」

 

驚嘆と感嘆、見渡せる迷宮都市を眺めている皆を置いて先に行く家主。一行が歩く先には白亜の城があり、一誠の手で鈍重な扉が開かれロキ達は中に招かれる。鍛冶の工房へ真っ直ぐ寄り道もせず向かえばヘファイストスの目的の工房の部屋へと辿り着く。

 

「ここが貴方の工房」

 

変わらないのであれば驚くこともない。そう思ったヘファイストスは椿と工房の中へと入った途端に眼を丸くするのだった。中は鍛冶の工房とは思えない程の広さだが、それは別段と可笑しくはない。中には更に扉がない部屋が幾つもあり、覗き込むと鉱石や金属、爪や牙、鱗など大量にモンスターの名前や種類ごとに分けられ収納されていた。

 

「まってまって・・・・・どうしてこんなに純度の高い金属が大量にあるのよ」

 

「むむ、確かにこの希少金属(レアメタル)の純度は高いのぉ。むむっ!これは手前でも見たことのない素材!」」

 

鍛冶師(スミス)や女神を驚嘆させる代物が目の前にあった。武具の素材となる物を手にしてマジマジと観察・鑑定している間、ロキとフィンはやっぱり惜しいと感じていた。鍛冶ができる冒険者はどの【ファミリア】にいても邪魔にならない。武具の手入れや整備、新たな装備を作る貴重な存在だ。わざわざ鍛冶師(スミス)に頼まなくとも【ファミリア】に一人でもいれば金銭的にかなり助かるのだ。そう考えているとヘファイストスと椿は部屋の中から出てくる。

 

「ねぇ貴方。まさかとは思うけど『深層』まで行ってないわよね」

 

「ん?深い階層の方が純度の高い金属は掘れるって訊くし、普通は純度の高い方が良いだろ」

 

「・・・・・どこまで行ってるわけ」

 

単独で『深層』に行っていると言外する一誠を問い詰める視線で見つめる紅髪紅眼の女神。「えっと」と今どこまで潜っているのか、思い出す風に零す。

 

「確か、階層の岩盤を貫くドラゴンがいる階層まではとりあえず進んだな」

 

「―――――っ」

 

碧眼の瞳を見開くフィン。一誠が挙げた特徴の階層は、ガレスとリヴェリアとでならともかく未だに団体で進んだことのない【ファミリア】の到達階層数をあっさり越えていたのだ。ロキとヘファイストスは熟練の冒険者の小人族(パルゥム)にどの階層だと目で問うた。

 

「58階層・・・・・だよ。【ゼウス・ファミリア】達が体験と経験した上で名付けた『竜の壺』まで行ったんだねイッセー」

 

「ギルドの受け付けから地図(マップ)をくれたからなー。最大派閥の名声を借りて調べたんだ。そんで実際行ってみたら驚かされた。ま、あっさり攻略したけどな」

 

「おまっ、うちらが知らんところでそんなことしておったんかい!」

 

単独でも問題なく『深層』を踏破する一誠の底が知れない実力。異世界から来たモンスターだからか、それともまだ隠している力を持っているのか・・・・・。

 

「で、主神様。俺の工房を見て知ったんだ。これで充分だろ?」

 

ここに来た目的は達成した。そう言ってはばからない一誠に認めるヘファイストスは一度は頷き、更に求めた。

 

「イッセー、今ここで何か作りなさい」

 

「・・・・・何故に?」

 

「【ヘファイストス・ファミリア】に入団した者は自分の作品を売って、他の鍛冶師(スミス)達と腕を競い合うのが常なの。無名の鍛冶師(スミス)の一人となった貴方も私の方針に従ってもらうわよ」

 

うげ、とそこまでするのか【ファミリア】はと面倒くさそうな表情を浮かべる一誠。これならまだ好き勝手にできる【ロキ・ファミリア】の方がマシだったと後の祭りの気分を抱く。その後に疑問を抱く。

 

「俺が作った武具はどこで売るんだ?」

 

「『バベル』の中に行った事が無いのかしら?あそこにも武具店を構えている鍛冶師(スミス)達がいるのだけれど」

 

「知らなかったな。今度行ってみよ。で、今作らないと駄目なのか?」

 

鍛冶女神の首が縦に振った。今作れと言われても何を作ろうかと頭をガリガリと掻きながら悩んだ。悩んだ末、刀を打つことにして準備を始める。

 

燃え盛る炉、熱気で充満する工房。鋏で高温に熱した赤く染まった鉄床(アンビル)の上に置かれた金属に振るう鎚が叩くと、不純物が飛び散る火の粉となり、それは空中に走る真っ赤な閃光ともなる。カァンカァンと金属を叩く音が飽きるほど鳴らし、炉から漏れる火照りに顔を汗流しながらも目の前の鉄と真摯に向き合っている、長髪を結った一誠の作業姿を見守るヘファイストス達。間合いを残して静かに終わるまで待っている彼女等の存在を忘れ没頭する姿の一誠は見たこと無いとロキとフィンは目に焼き付け、背中にある輝白の剣はこうして作られたのだと知るアイズ。それらの視線など介しない少年は、カァンと最後の鎚を振り下ろしを経て、手の動きを止める。そこから一呼吸も置かず鉄床(アンビル)の上にできた刀身を鋏で持って水が張った鉄器の中へ差しこむように入れた。じゅううっ、と立ち上る湯気。研がれ、磨かれる刃。素人が傍から見ても理解が及ばない作業を長い時間を掛けて行った後、即席の柄と鍔を組み合わせ、一振りの刀が完成する―――とガレスと椿の工房に訪れた際に見た光景を再現してみせた。片手に持つその桜色の刀をまじまじと眺めて、どこか残念そうに息を吐いた。ヘファイストスに出来上がったばかりの刀を、柄の方から突き出した。受け取り左眼の観察眼で確認する。

 

「どうやーファイたん?」

 

「・・・文句無しよ。できれば『鍛冶』のアビリティが発現してくれれば文字列(ロゴタイプ)を入れてもいいわ」

 

そうロキの問いに答えるヘファイストスの口から出た言葉。椿も異論は無いと頷く程、一誠の鍛冶(スミス)の腕は立派なものなのであった。一誠はフィンに話しかける。

 

文字列(ロゴタイプ)?」

 

「【ファミリア】のブランド名のことさ。だけど神ヘファイストスが言うとおり、君が【ランクアップ】を果たして『鍛冶』のアビリティを発現しないと【ファミリア】のブランド名を自由に使えない」

 

「ふーん、今作ったのがブランドな武器になり得るほど良かったんだ」

 

どうでもよさそうな態度で理解した一誠。別に売る気は無いけどなぁと思いを浮かべてロキとヘファイストス、二柱の女神達の会話に耳を傾けていれば、訂正と椿が声を掛けた。

 

「なり得るどころではないぞ。【人形姫】が持つあの剣もお主が作ったのであろう。アレもブランド名を刻んでも主神様と手前は文句ない。お主は『鍛冶』のアビリティ無しで上級鍛冶師(ハイ・スミス)以上、手前と張り合える腕と技術を持っておる」

 

「そうか?」

 

「おう、しかし、桃色の武器を作る鍛冶師(スミス)は初めて見たぞ。一体何の意図でこうしたのだ」

 

ヘファイストスから受け取った刀に目を落とした椿に手を伸ばし、刀を取った一誠は徐に横薙ぎに振るったその直後。刀から可視化するほどの桜の花弁が一拍遅れて宙に舞い、幻想的な光景を見せて床に落ちる前に消失した。

 

「こういうこと」

 

「・・・・・」

 

魔剣の類なのか極東の花弁が振るった刀から出てきた。それには目の前で見せつけられた椿は右眼を見開き、刀を奪い取る様にして一誠の手から掴み、振るった拍子に桜の花弁が出て来て宙に舞い消失した。

 

「なんだ・・・・・この刀は、魔剣ではないのに、いや、これは魔剣なのか?花弁が出てくる武器など手前は見たこともないぞ」

 

「だからってあんまり振らないでくれるか?思いっきり振ったら・・・・・」

 

「む?どうなるのだ?」

 

振っても振っても刀から零れ落ちる様に出てくる花弁を見て、一誠の指摘を耳にした彼女の腕が思いっきり縦に振るうと比較にならない程の大量の桜の花弁が飛び出して壁た天井、床を切り刻んで削った。後に消失した花弁に残された傷跡はヘファイストス達を唖然とさせる。

 

「そうなる」

 

あと、人の工房を壊すな。と付け加えて椿の頭に拳骨を食らわせた。地味に痛かったのか頭を擦り謝罪の言葉を述べる彼女と一誠をヘファイストスはロキと一緒に見てこう言う。

 

「・・・・・ロキ、あの子が秘密を教える気にさせればいいのね」

 

「・・・・・そうなんやけど、嫌わんといてや?」

 

「彼の言動次第ね」

 

そう言って足を動かして眷族になったばかりの少年に近づく鍛冶女神。

 

「イッセー。貴方にどんな秘密があるのか分からないけれど、今は訊かないわ。話したくなったら何時でも教えてくれて構わない。だけど、私の【ファミリア】に入ったからには鍛冶師(スミス)として生きてもらうわよ?」

 

「・・・・・了解。だけど、契約は忘れるなよ」

 

「ええ、勿論。それを承知で貴方を受け入れたのだからね」

 

小さく口唇を緩ませ、手を差し伸べた。その手を掴み二人は握手を交わす。その後、鍛冶の【ファミリア】に入った一誠は数々の武器や自覚なしに作った特殊武装(スペリオルズ)を作ってはヘファイストスや幹部達を驚かせたのはまだ知らない。

 

「それじゃイッセー。貴方はここに住むなら工房と本拠(ホーム)に部屋を用意しなくてもいいわね?でも、団員達にはそれとなく教えとくけれど、私と椿だけでもいいからこの家に入れるようにしてくれる?一応、貴方は【ヘファイストス・ファミリア】の一員なのだから主神を招かなきゃいけないのだし」

 

「・・・・・考えとく」

 

「うちらも入れるようにしてーなイッセー!あ、今夜ここで食べてもええ?ダメって言っても食べさせてくれるまでうちはここにいるで!」

 

駄々をこねる元主神に物凄く嫌そうな表情を浮かべる一誠だった。苦笑いを浮かべるフィンは、ロキの命でガレスとリヴェリアを呼び出しに行かされたその日の夜。フィンの案内のもとで城まで来た二人の感想は。

 

「イッセーが長らく留守にしていた理由がよーくわかったわぃ」

 

「流石の私も驚かされたぞ」

 

以下の言葉を送った。そして渋々ながらも少なくない人数での食事会の為に作った一誠は、大きめの円卓に皿を並べた。皆々の前に置かれたそれは鼻腔を刺激し、食欲をそそる野菜や肉が茶色の液体状に白い粒上のものが皿に盛られていた。皆、見たことのない料理に不思議と興味を抱く。

 

「のぅ、これはなんじゃ?」

 

「カレーという。数多の調味料を混ぜて煮込んだ辛い料理。今回は甘くしてあるからそれほど辛くない筈だ」

 

「ほう、カレーとな。手前は初めて見る料理だ。では、いただこう」

 

椿を筆頭に銀色に輝くスプーンを持って一同は、口の中にカレーの味を知った瞬間。

 

「へぇ・・・!」

 

「何やこの味、確かにそれなりに辛いんやけめっちゃうま過ぎるで!」

 

神の舌を唸らせ、太鼓判を打たせた。

 

「ふむ、手前はもう少し辛さがあってもいいと思うのだが」

 

「儂も同感じゃ。イッセー、もう少し辛くできんか?」

 

「できるけどいいのか?」と訊かれるガレスと椿は揃って頷き、一誠は席を外して調整しに行った間にカレーを完食してお代りができるか分からない状況の中で待っていると、二つの鍋と大きな釜のようなものを台車に乗せて押して持って戻った一誠。

 

「イッセー、お代りしたい。できる?」

 

「そう言うと思って多めに炊いたから大丈夫だ」

 

皿を寄こせと言わんばかり差し伸ばす手にアイズは皿を持って一誠に近づく。受け取った皿に蓋を開けた釜から取り出す白い粒上のそれを持って、甘くしたカレーを掛けて少女に渡すと既に待ち構え列を作っていたロキ達。要望通り、ガレスと椿の二人だけは激辛のカレーのルーを掛けて、いざ二人が食べると。

 

「「からぁーっ!だが、美味いっ!」」

 

己が望んだ辛さが舌に合ったようで、辛い辛いと言いながらも笑いながら食べる。そんな二人に興味を抱くアイズは一誠に訊ねた。

 

「・・・・・ガレスが食べてるカレー、美味しいの?」

 

「止めておけ。今のアイズにはまだ食べない方が良い辛さだ。ドワーフだから食べられるようなもんだし、椿は・・・・ってヒューマンか?」

 

「違うわ。ハーフドワーフよ」

 

成程、と椿の種族を知っても気にせずカレーを食べる一誠の目を盗んで、アイズは席から降りて皿を持ったままガレスに近づいた。

 

「ガレス・・・・・」

 

「んむ?何じゃアイズ。食べてみたいのか」

 

「ん」と頷くアイズは差しだす皿にガレスから一口のカレー貰った。そして辛い辛いと言いながら美味しそうに食べる彼のカレーを「ちょっ、アイズ待て!」と制止の声を気にせず辛いカレーを口に含んだ結果。

 

「~~~~~~っ!?!?!?!?」

 

金眼がカッと見開き、口の中があまりにも辛いカレーで舌と唇が辛味で痺れ、口から火が噴くんでは無いかと錯覚を覚えた。慣れない辛さは幼女の全身を震わせぶわっと汗も湧く。仕舞には皿を落として床にゴロゴロと転がってロキにカメラを激写されつつ爆笑、「だから止めておけって言ったのに」と嘆く一誠と「まぁ、いい経験だと思うよ」と苦笑のフィンに「やれやれ・・・・・」とリヴェリア。

 

「アイズ。ほら、これを噛まずに口に含め」

 

辛さに苦痛を覚え地獄の中に仏がいた様な嬉しさがアイズ。形振り構わず口の中に入れられた瞬間、辛いだけの口の中は真逆の冷たさで占めて気持ちを落ち着かせた。とても硬くて冷たいものを舌の上で転がしていると液体―――水になったそれをちょっとずつ喉に通す。

 

「・・・・・冷たい」

 

「氷だからな。まったく興味を持ったからって食べるもんじゃないぞ。もう少し成長してから食べろな」

 

「・・・・・ん」

 

しかし、成長したアイズは甘いカレーしか食べようとしなかったのは未来の話だった。それから夜食を終えたロキ達は一誠の家を後にし、それぞれの本拠(ホーム)へ帰路する。

 

「椿、彼のことだけれど」

 

「おう、言いたいことは理解しておる主神様よ」

 

蒼い夜空に浮かぶ満月の光が、北西と西のメインストリートの区画に挟まれているはずの『バベル』の次に高い白亜の城を照らされていない虚空に目を向ける。椿の目が細まる。

 

「どんな秘密を抱えておるのか知らないが―――あやつが作る武器は至高の武器だ」

 

「ええ、ロキ達も今日まで知らなかったあの子の腕には私も驚かされたわ。椿、貴方と張り合えると言った言葉は過言ではないのでしょう?」

 

「無論だ主神様。くくっ、手前も主神様も敢えてあの場で言わないでおいたが、イッセーめ。手前らとは異なる技術で至高の武器を作りおって、血を騒がせてくれる」

 

口の端を吊り上げ、笑い声を殺したように小さく漏らしたあと。主神へ「そこでだ、主神様よ」と椿は提案する。

 

「手前をイッセーの傍に置かせてはくれぬか?」

 

「彼の技術を盗むつもり?」

 

それはいただけないと、【ファミリア】の方針を反することで左眼を細めるヘファイストスだったが「違う」と椿は首を横に振った。

 

「あやつに心底興味を持った。技術を間近で見ても手前は盗まん。手前の心を高ぶらせたイッセーの隣で共に神の領域を目指してみたい。こんな気持ちは生まれて初めてだ」

 

子供のように純粋な笑みを浮かべ、ヘファイストスは困った子のように胸の下で腕を組み息を吐いた。好敵手(ライバル)―――一誠を勝手にそう認識した椿に明日、物凄く嫌そうな顔か困った顔か、驚いた顔を浮かべるだろう少年の反応を予想して同情する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。