ダンジョンで様々な出会いをするのは間違っているだろうか   作:ダーク・シリウス

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話題を変更させてもらいました。まだその時期じゃないような気がしまして。


結成。主神無き無所属派閥。4年~。
冒険譚35


―――ラキア王国軍、出兵。

 

その報せは近隣諸国に瞬く間に伝わった。重厚な甲冑を纏う兵士、鎧を装着された何百何千という馬、曇天の下で鈍い輝きを放つ何万という長槍・国境沿いを進軍する武装した大行列が、多くの商人、旅人達によって目撃されたのである。

 

ラキア王国。

 

大陸西部に位置する君主制国家。被治者の数は六十万を超すと言われ、王都には巨大な王城と城下町が存在する。緑豊かで肥沃な大地を有するこの区には、いわゆる『軍事国家』という野蛮な側面を持っていた。全ては君主である筈の王の上に君臨する、一柱の神の神意によるものだ。

 

『軍神アレス』。

 

事実上の一国の頂点であり、国を統べる男神。とどのつまり、ラキア王国の正体とは数ある派閥の中でも最大の規模と最大の繁雑さを持つ、国家系【ファミリア】である。兵士、軍人は全て『神の恩恵(ファルナ)』を授かった眷族、戦闘員であり、産業を営み国を支える民は非戦闘員と言える。唯一無二の主神アレスの王権神授によって歴代の王―――派閥の団長―――も選ばれてきた。アレスと僅かな団員から始まった小さな【ファミリア】は、長い時間と苦労を経て建国するまで至り、歴史ある王国として存続しているのだ。好戦的な神の意志によって王国は遥か昔日より幾度となく戦争を繰り返してきた。今回の出軍も戦好きな主神の手によって引き起こされたというのが周辺各国、他都市のもっぱらの見解であった。行軍する兵士のその数、三万。とある『魔剣』の恩恵によりかつて不敗神話さえ誇っていた軍隊が向かう先は、大陸西部から更に西へ進んだ、大陸の片隅。世界に一つしか存在しない壮大なダンジョンを保有し、今日では『世界の中心』とまで言われ発展した迷宮都市、オラリオである。巨大な市壁と天を衝く白亜の巨塔を目指し、近付いていく何万の軍靴の音。重厚な鎧に身を包んだ豪傑のエンブレム、紅の軍旗がはためく。西進を続け押し寄せてくる大群はオラリオ周辺地域でもとうとう観測された。突然のラキア王国侵攻に対し、彼の迷宮都市は―――。

 

 

 

「ロキ、あの無所属の【ファミリア】は結成できたようだよ」

 

「おー?十人揃えたんやな。ていうか、何気にうちら最大派閥並みの強さやな。人数は中堅のちょい下ぐらいとはいえイッセー一人だけで何十人何百人分以上の強さやし」

 

「そうだね。強さだけなら僕達最大派閥並みと思っても間違いじゃない。だけどもしも彼が更に団員を増やすことを望んでいるなら、僕はアイズ達の誰かを彼の【ファミリア】に入れさせたいんだがどうかな?」

 

「自分は誰を候補に入れとるんや?」

 

「そうだね。出来うる限りこちら側に引き寄せたいから有力な者が好ましい。イッセーを慕う者全員かな?他の【ファミリア】の牽制にも兼ねてさ」

 

「ちょっ、それ言うたら片手で数えきれんへんで?流石にそれはなぁ・・・・・」

 

「ロキ、彼の【ファミリア】は主神が存在しない。派閥の問題絡みは無いし、僕達に協力をしてくれる」

 

「そりゃイッセーも言っとったけど。うちらの【ファミリア】の戦力も落ちるんやで?」

 

「事実その通りだね。でも、彼は戦力を独占するような者じゃないことを解ってるはずだ」

 

「んー、そうなんけどな。フィン、こっちからアイズたん達を送って何が得られるんや?」

 

「他の【ファミリア】より有力になることは間違いないと踏んでいる。そして彼の傍に置けば彼女達は飛躍的に成長を遂げる。と、ここまでは建前的な話だけどロキ。―――アイズ達を止められる自信、あるかい?」

 

「・・・・・もしかして、そーいうことなん?」

 

何かを察したロキの一言の直後。二人がいる執務室の扉が少し開き、隙間から数人の少女達が顔半分だけ出して、訴えるような眼差しをする。ロキの頬が引き攣る。

 

「そう言うことだよ。イッセーの派閥に入りたいと僕やガレス、リヴェリアに何度も懇願してくるんだ。だが、僕らが勝手に決めていいことじゃないからね」

 

「・・・・・そ、そうやな」

 

「それにこれ以上のはぐらかしや説得は厳しくなる。今度はロキが彼女達をよろしく頼むよ。暴走をさせず嫌われないように頑張ってくれ」

 

ちょっ―――!?と執務室を去るフィンは手を伸ばすロキを置き去りに入ってきたアイズ達と入れ替わりながら扉を閉めた。

 

「フィン、結果はどうなると思う」

 

「ンー、粘った方が勝ちかな?」

 

「イッセー絡みになるとあやつらは異様な力を発揮しおるわい」

 

そうだね。と執務室から聞こえる情けない声に苦笑を浮かべるフィンと揃って壁際にいたガレスとリヴェリアは溜め息を吐いた。神の眷族の問題は主神に押しつ―――ではなく解決してもらおうと三人は決定権を有してるロキに全て丸投げした。【ロキ・ファミリア】は今日も平穏だった。

 

 

 

「「・・・・・」」

 

ところ変わって中央広場(セントラルパーク)。二人の男女が白亜の巨塔を唖然として見上げる目は凍結したように固まり思考も停止しかけていた。この二人も突然異世界に来たことに驚いた―――わけではない。

 

「もしかしなくても・・・・・あの塔って『バベル』?」

 

「だとしたら俺達は『また』来てしまったのか?」

 

二人はオラリオを知っていたからだ。

 

 

―――ギルド地下『祈祷の間』。

 

 

「―――――!?」

 

蒼い瞳が限界まで見開いて何かに弾かれるようにして立ち上がった老神。彼の男神の様子がおかしいと黒衣で身に包むフェルズは声を投げかけた。

 

「どうした、ウラノス?」

 

「・・・・・私の刻んだ恩恵を感じる」

 

「なに?どういうことだ?」

 

「―――――私の眷族の気配が感じるようになったのだ」

 

ウラノスの言葉の意味が分からず当惑の雰囲気を醸し出すフェルズは何といえばよいのか迷う末、沈黙を貫いた。

 

 

「「「出陣」」」

 

 

一方その頃。集団戦闘が長けた三つの【ファミリア】のみで初めて異国の地にて戦争を臨もうと行軍を始めていた。その数の総計は本拠地からも呼び寄せたのも含め九万。更に上空では空飛ぶ船も追従する動きを示していた。その数は五つ。

 

軍馬の嘶きが轟く。直ぐに続くのは草原を蹴りつける激しい馬蹄の音だった。オラリオから真東に三〇Kに進んだ大平原。軍旗をはためかせる無数の騎馬が驀進する。戦場の華ともいえる騎兵隊。甲冑で身を固める騎士と鎧を装備した軍馬は進路上のあらゆるものを蹴散らし粉砕する。それは多大な突破力を秘めた戦場の大槍に相違ない。槍衾の如く前方に構えられた馬上槍(ランス)が日差しを反射し銀の輝きを放つ。戦場で遭遇すれば歩兵が一様に恐怖する、そんな無敵の騎兵隊は―――愕然していた。鉄兜の下で目を見開いている騎士たちの視線の先、空に浮かぶ巨大な船が我が物顔で飛んでいるのである。

 

木造の船の上に大きな翼。船を浮かすための気球袋を備えて後部の羽根(プロペラ)によって水平に飛行している姿はドラゴンを彷彿させる。

 

飛行する謎の巨大船に目を奪われていると、船から何かが落とされた。騎士達はそれが何なのか確認する間もなく、落ちて来た物が地面とぶつかった瞬間にブワッ!と半球状の風魔法が炸裂して騎士達を吹き飛ばした。

 

『うあああああああああああああああああああああああああああああああッ!?』

 

瞬く間に混乱と化する戦場。他四隻の船からも同じものが落とされ騎馬の軍隊は成す術もなく陣形を乱れに乱れ、その隙を逃さんとばかり第一陣の敵兵の強襲によって一網打尽にされていく。騎兵隊前部が崩壊したことで後方から続く軍馬も勢いの止まった先方に次々と衝突し、転倒を繰り返していった。瞬く間に部隊総崩れとなる戦場に、空の上から投下する一誠達(分身体も含む)は、揃って意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「・・・・・私達は運が良かったのだろうな。敵対していたらあんなものまで駆り出されて戦場は滅茶苦茶にされていただろうからな」

 

「しかも巨大モンスターにもなれるのだから滅茶苦茶どころじゃないわ」

 

「全滅は免れない」

 

一誠と極東の兵士達が暴れまわる大平原から離れた広野、絶叫が引っ切り無しに飛び交う主戦場。一誠特注品の望遠鏡で戦場の様子を把握するために使い、三柱が覗き込めば攻め寄せてきた総勢三万の王国(ラキア)軍に対し、第一陣の三万が迎撃=捕縛していくのが視界に入る。

 

「丘の上に恐らく弓兵を担う兵士がいると思うが?」

 

「私の忍に向かわせている。イッセーの通信の腕輪は本当便利」

 

「本当ね。伝令を待たず直接腕輪から聞くことができたり作戦を伝えたりできるから・・・・・あ、イザナミの子供が丘を制圧したみたいね」

 

「丁度その報告を受けたところ」

 

三つの徽章(エンブレム)の団旗が風にたなびく本営もといこの神営の中、第二級の兵士数名の近衛兵を付かせ安全な場所から各部隊長に腕輪で報告を受けたり指示をいくつも飛ばして戦場を動かしていた。進行してきた敵国軍に対して、オラリオは仕方なしに応戦。管理機関(ギルド)の命令―――強制任務(ミッション)が発令され、都市に属する特定の【ファミリア】はこれの迎撃に当たっていた。初っ端から数に物を言わせる総攻撃を仕掛けてきた敵に、ひとまず団結して対応することになったオラリオ仮連合は真紅の髪の一人の男の提案によって決行されたのだった。

 

『ある意味冒険者よりも対人戦に秀でて慣れている極東の神々と俺だけ任せれば問題ないっしょ。過剰に戦力をオラリオから出すのもアレだから、他の最大派閥と冒険者はオラリオの守備を兼ねて待機ってことでよろしく』

 

ギルドはこれに無条件で受け入れ、更には極東にも抱えている眷族達を召喚する三柱の神々に圧倒された。

 

「しかし、私達だけで戦争に対応させられるとはな」

 

「適材適所と言われるでしょうけどね。でも私達が協同で戦争をするなんて思いもしなかったわ。イッセーはこれを狙っていたのかしら」

 

「可能性はある。そして、協同で戦争している私達が一国相手に負けるなんて―――」

 

「「「絶対にない」」」

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!と叫び声が本陣にまで聞こえ、眷族達の活躍が目と耳で見聞しているアマテラス達は、笑みを浮かべた。

 

だが―――一行は気づかなかった。オラリオに途轍もない化け物が大暴れしていたことを。

 

 

「・・・・・なんて輝きを放っているの」

 

バベルの最上階から、フレイヤはその銀瞳で二人組の魂の色を捉えていた。色というより輝きで魂を表しているのであった。眩しいほどではないが強く優しい光を放っている。今まで様々な魂を見てきた中で唯一一誠以外信じられない魂を見ることになるとはフレイヤ自身も驚いた。ジッと無遠慮にその魂を見ていたら―――彼女の視線に気づいたのか二人が顔を見上げた。次の瞬間。虚空に消えだして姿を暗ました二人は、女神の目の前に佇んでいた。壁張りのガラスを触れ、粉砕して中に侵入する。

 

「こんにちは美しい女神よ。もしかして、フレイヤという名前かな?」

 

「ええ、その通りよ。貴方達は異世界から来た異邦人、それとも転生者かしら?」

 

「転生者っていうのは何なのか分からないけれど、異世界から来たものであることは間違いないね。―――この世界は二度目なのだけれど」

 

「(二度目・・・・・?)それで、私に何か用かしら?」

 

背後に控えている武人の獣人が前に出てきてフレイヤを庇う立ち位置に入る。従者、眷族の姿を一目見て男は不敵の笑みを浮かべた。

 

「そいつ、強いな?ちょっくら俺と勝負してくれないか?」

 

「この子と勝負できるほど貴方は強いのかしら。転生者でもない限り倒すことはできないわよ?」

 

「ああ、強いぜ?―――一香」

 

「しょうがないわね。ちょっとだけよ?」

 

一香と呼ばれた女性が外へ出て浮かぶと、フレイヤが虚空に消えた矢先に一香の隣にいて脇で抱えられていたのだった。その姿を見てオッタルは目の前の男を敵としてみなし、腕の筋肉を盛り上げた。

 

「フレイヤ様を解放しろ」

 

「俺と一勝負して勝ったら解放してやるよ。ただし、負けたら天界に送還しちまうかもよ?」

 

「―――させん」

 

モンスターや人体、壁を粉砕する一撃の拳を突き出したオッタルに男も拳を突き出して、完全に受け止めた。同時にオッタルの目を丸くさせた。相手の力量を察してしまったのだ。全力で振るった拳がちっとも動かずちっとも押し込めない鍔迫り合いのような状況で男がオッタルを見定めた。

 

「んー、Lv.7か?何だ、その程度なのか今のオラリオの冒険者は」

 

「貴様・・・・・何者だ」

 

「知りたかったら全力で殺すつもりで掛かってきな」

 

挑発する男に横薙ぎで足を振るう。男の横顔に迫った直後に姿勢を低くしてかわしながら足を払って体勢を崩したオッタルに手を伸ばし、脚を掴むと外へと放り投げた。空中に踊り出されたオッタルの目の前に接近する男。足場がなく踏ん張り切れなくても迎撃する動きをする前に姿を消しては背後に現れた。

 

「遅いぜ?」

 

鋭い蹴りがオッタルを突き上げ、直後に上に回り込んだ男が組んだ両手で振り下ろしてオッタルを殴って突き落とす。武人のような猪人(ボアズ)の獣人が反応すらできない速度で動く男によって空中でパチンコのように弾かれ続かれる様は、フレイヤを愕然とさせた。

 

「転生者でもないのにオッタルを・・・・・」

 

「その転生者ってどれだけ強いのかわからないけど、私達は神々と真っ向から勝負できるほど強いから、どんな冒険者でも負けることはないわ」

 

「あなた達は一体、何者なの・・・・・」

 

「ふふ、それはまだ秘密」

 

おらぁっ!と気合声と共にオッタルを北へと蹴り飛ばす。だが、あまりにも強力な蹴りだったため、どこまでも飛んで行きとある【ファミリア】に突っ込んだ。

 

 

「な、なんやぁー!?」

 

庭園へと駆け付けるロキ達。何かが落ちてきた凄まじい音の発信源の原因を確認するべく行動した結果、巌のような巨躯の大男が打撲による傷だらけの姿でクレーターを作った地面から起き上がった。武器を取りに一拍遅れて現れたフィン達がオッタルの姿を見て真剣な眼差しで問うた。

 

「オッタル、敵かい。相手は転生者か」

 

「いや、異邦人だ」

 

「君がそこまで傷を負わせる相手ならば、イッセー並の強さかそれ以上なんだろうね」

 

これは本腰を入れなくちゃ駄目のようだと空から舞い降りてきたフレイヤを抱えたままの二人組。

 

「おっと、他人のホームを壊しちまったか。後で直さなきゃな」

 

「一体何が目的でオッタルと戦っているのか教えてくれるかな」

 

「純粋な闘争だけだ。相手を全力出させるために主神を捕まえさせてもらっているぜ」

 

「悪意は無しか。話し合いの余地がありそうだがここで戦いを止めてくれることは?」

 

「残念、まだ止める気はない。しかし小人族(パルゥム)なのに強いな?そこにいるドワーフも―――」

 

母なる風よ(テンペスト)!と魔法名を発し、男に斬りかかる金髪金眼の少女の攻防の風魔法を突き破る拳一つで殴り飛ばす。風魔法は解除され人壁となってる仲間達にぶつかっていきながら吹っ飛んだ。

 

「風の魔法か?特別珍しくもまだ全然強力なもんじゃないな。彼女の魔法の方がとびっきり強いぜ?」

 

飛び掛かってきた狼人(ウェアウルフ)の少年は彼女を狙って足を突き出す。あら?と軽く手を動かして魔方陣を展開。強烈な雷の魔法を放って狼人(ウェアウルフ)の少年を食らわせ感電、麻痺状態に陥らせるだけ飽き足らず手足を氷結した。明後日の方から放たれる矢に対して女性は直せず見ずに小さな動作でかわす。

 

「無詠唱で魔方陣を発動した、だと?」

 

「ちょ、それも含めて今の容赦のない魔法ってまるでイッセーみたいやんか!」

 

オラリオにいない男と同じ魔法に驚きを禁じ得なかった翡翠の長髪の王族(ハイエルフ)の言葉にロキが思い当たる人物の名を挙げた途端、二人の反応が打って変わった。

 

「イッセー・・・・・ですって?」

 

「もしかして、真紅の長い髪に黒と金色のオッドアイの男の名前か?」

 

「・・・・・だとしたらお前達に何の関係がある」

 

是と答えたような言い方をするリヴェリアに二人は、歓喜を表現するかのように闘気と魔力を激しく迸らせた。

 

「そうか、そうか!あいつがいる世界だったのか!」

 

「いきなりこの世界に来てわからなかったけれど、あの子がいるならよかったわ!―――どうやら、あの子は東の方にいるみたいだから行きましょ」

 

既に居場所を把握していた二人を驚き、そうはさせるかとフィン達は取り囲んだ。

 

「彼との関係はわからないけど、行かせはしないよ」

 

「ここで大人しくしてもらうぞい」

 

「そういうことだ。今度は我々全員で全力を以て相手になろう」

 

「イッセーのところにはっ」

 

「行かせない!」

 

「負けませんっ」

 

ホームの屋根のからは弓兵が構え何時でも放てる姿勢でいる他、武器を二人に向けて臨戦態勢に入る一同に二人はほくそ笑む。

 

「いや、戦う必要はなくなった」

 

「なに?」

 

「向こうから来てくれたみたいだから」

 

その言葉が事実であるように【ロキ・ファミリア】のホームの上空に発現した真紅の魔方陣から巨大な騎空挺が出てきた。あの船に乗っているのは誰なのかフィン達は悟り。

 

「おいおい、あの船って・・・・・!」

 

「騎空挺!?まさかあの子、『空の世界』へ・・・・・!」

 

二人の男女も何故か驚愕の面持ちで目を見張ったところで船から物凄い勢いで降りて来た―――真紅の髪の男が目の前の二人を一目見た瞬間、開口一番に言った。

 

「えええええええええええええっ!?な、何で二人がこの世界にいるんだよ。父さんと母さん!」

 

『・・・・・え?』

 

『は・・・・・?』

 

お、親子ぉおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?

 

―――†―――†―――†―――

 

「はっはっはっ、そう!何を隠そう俺の名前は兵藤誠。一誠の実の父親だ!」

 

「私は兵藤一香。一誠の母親よ」

 

フレイヤを解放した後に二人は、誠と一香は名を名乗った。ほぼ放心しているロキ達は停止した思考を取り戻すのに数秒かかり、一誠に問い詰めた。

 

「イッセー、これはどういうことなんや!?自分のおとんとおかんがこの世界にいるなんて知らんかったんかい!」

 

「こっちが知りたいわっ!いや、そう臭わせる話はされたけれどまさかこの二人だとは・・・・・」

 

「色々と聞きたいことがあるが一先ず教えてくれ。本当にお前の両親なのか」

 

「正真正銘、俺の肉親だよ。俺の生みの親だよ。ロキから連絡を受けて速攻で戦争を終わらせて一足戻ってみれば二人だとは思いもしなかった。で、オッタル。父さんに負かされそうだったみたいだな」

 

「・・・・・負けてなどいない」

 

「いやいや、俺でもまだ勝てない相手にオッタルが勝てるわけないじゃん?」

 

「ンー、やっぱりキミの両親もただものじゃなかったってことなんだね」

 

「そりゃそうだろ。それ以前にこの二人、千年前にもこの世界に来たことあるみたいだしな」

 

問い詰めて話していくうちに最後とんでもない話が一誠から聞かされた。

 

「千年前ってイッセー。まだオラリオがなかった古代の時代やで?そんなわけある筈が・・・・・」

 

「へぇー、そこまで知っていたのか一誠。流石俺の息子だな。もしかしてウラノスと会ってたりしてたか?」

 

「会っていたも何も、それ以外にも二人のことを知ったよ。特にあの砂漠のピラミッドとかさ!」

 

「嘘!一誠、あそこまで行ったの?というか、攻略しちゃったわけ?さすが私の息子ね!まさか実の息子に誠と作り上げたピラミッドの迷宮を攻略するなんて夢みたいだわ!」

 

な、なんですと・・・・・?

 

「待て、ちょっと待て、色々と待ってほしいんやけど!何自分ら、まさか本当にウラノスの眷族やったんか?あのピラミッドで見た若い子供達の映像は自分等なん!?」

 

「ああ、随分と若かっただろ?どうやら一誠は俺達だということを気づいたようだがな」

 

「お主ら、本当に千年も生きておるのか?流石にそれはあり得んじゃろ」

 

「俺と一香の一族の先祖は半永久的に生き続ける種族だったからな。その血はもう殆どないと言ってもいいぐらい薄まっているが、寿命は継続してるみたいなんだ。だから千年なんて怪我や病気で死なない限りは軽く生きていられるのさ」

 

所で一誠、と話を振ってくる誠は上を指す。

 

「お前、あの騎空挺はどうしたんだ?」

 

「知っているんだやっぱり。俺も空の世界に行ってるんだよ。まさか空図という物を必要な航海もとい航空だとは思わなかったけど」

 

「あれを作り出すとは凄いことだぞ?空の世界しかない技術を良くも手に入ったもんだ」

 

息子の頭を触れて撫でる誠。数年ぶりに再会した一誠の成長を間近で見れなかったのは残念だがそれ以上に嬉しくもあった。

 

「ねぇ、イッセー。貴方の家族がウラノスの眷族ならば必然的に貴方もウラノスの眷族・団員にならないのかしら?」

 

「あ!せや、てかそれも含めてイッセーは知ってたん?」

 

「ん、知ってた」

 

知ってたんかい!と秘事を抱えていた一誠にツッコミを入れたロキに一香は訊ねた。

 

「そう言えばあなたは何て名前の女神?」

 

「うちはロキやで」

 

「・・・・・ロキ?」

 

「ロキだって?」

 

自分が知っているロキと脳裏で比べ、彼女の身体を品定めする視線で見つめ、いやいやと否定する。

 

「胸のない女神がロキって嘘でしょ?」

 

「ははは、冗談が上手いなー。もしかして女装趣味の男神とかじゃないのか?ぺったんこな胸を隠せばそう見えなくもないからさ」

 

「・・・・・フィン、ガレス、リヴェリア、こいつらをぶっ潰してくれへん?割と本気で」

 

瞋恚の炎を見開いた糸目の瞳から窺わせつつ涙目なロキの神令に三人は拒絶の意を示した。

 

「いや、無理だよ。彼のご両親に攻撃だなんて」

 

「千年前の古代の生き残りとあらば生きた英雄じゃしのぉ」

 

「それ以前に力量は私達の遥か上だ。勝てる見込みもない」

 

「そうそう、Lv.7や6なんて千年前には珍しくないぐらい大勢いたぜ?最高Lv.の保有者は14だったからな」

 

「―――因みにそのLv.が私達なのだけれどね♪」

 

ロキとフレイヤ、フィン達は沈黙した。オラリオで唯一、世界で唯一Lv.7という数字を叩き出していたオッタルだけが歴史上おいてたった一人のみかと思っていたことが、蓋を開ければそうではなかったと事実を突き付けられた。地上に進出し跋扈していたモンスター達がどれだけ強くどれだけ溢れ出してたのか定かではないが、それ相応の冒険をしてきたということなのだろう。だからオッタルを凌駕する実力を秘めているのだ。

 

「あ、でも、今なら【ランクアップ】してると思うから15か?」

 

「恩恵も健在だから久々に更新してもらいましょ?」

 

また、強さの高みへ到達しようとしていた。

 

「・・・・・イッセーだけが規格外の範疇を超えたイレギュラーかと思ったんやけどなぁ」

 

「俺はあの二人の子供だぞ?」

 

「そう、色々と納得しちゃうわね」

 

否、そうしないと精神的に疲れるので鵜呑みしてでも納得したほうが楽と、

一誠を拉致るように連れ去る二人を見送る。

 

ギルドに案内してもらい、堂々と職員ひいてはロイマンしか入れない地下の祭壇へと進むと、四巨の松明の灯りで光源を保っている空間の中にる老神が口を開いた。

 

「・・・・・久しいな。本当に生きていたとは驚きだ」

 

「おお、ウラノス。千年ぶりだなぁっ!全然変わっちゃいないんだなー」

 

「お久しぶりウラノス」

 

千年ぶりに再会を果たした主神と眷族、そしてその輪に加わってる子供は闇の奥から現れたフェルズに詳細を教え驚かせた。

 

「キミの家族とは・・・・・異世界と行き来できる術を得ているのか?」

 

「わからない。でも、俺的には嬉しいことだよ」

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

兵藤誠と兵藤一香の異世界来訪から数時間が経ち、ラキア王国軍との戦争の後始末も終えたアマテラス達も戻り、一誠と交流ある神々と冒険者は朗らかに挨拶を交わしそして神々に対して二人は驚きを禁じ得なかった。立食パーティが開催される中で異様な緊張感を顔に浮かべる数名がいて、一誠は話しかけてみると。

 

「イッセー、挨拶したほうがいいよね?私達、その、交際しているんだし」

 

「女神とはいえ貴方のご両親なのだから・・・・・」

 

「・・・・・うむ」

 

「ん、した方がいいだろうけど今はしないでくれ。ぜってー暴走や混乱が起きるから」

 

アスナとヘファイストス、リヴェリアの気持ちを汲んで場を後程設けようと考えを伝える一誠に感謝した。が、その時だった。藍色の髪の麗人の女性が誠と一香に向かって足を運び接近した。

 

「イッセーのご両親、どうかお願いがある」

 

「なんだ?この世界にいる間ならいいぞ?」

 

「―――私達と一誠の結婚を認めてほしい。ただそれだけだ」

 

一瞬で場がざわめき出して、三人の話の会話に注視する一同の中、「やばいっ!?」と危機感を覚えた一誠が瞬時に二人の前に現れたものの。

 

「父さんと母さん、その話は待―――」

 

「息子のことが好きなのか?」

 

「恋愛はまだ疎いですが、私の妹を蘇らせてくれた恩を深く感じています。これからイッセーと恋愛を育み私の一生を彼の為に捧ぎたい」

 

「恩を感じて息子と結婚ねぇ・・・・・貴女、息子のことどこまで知ってるのかしら?いえ、あの子の全てを受け入れている上でなのかしら?」

 

シャクティは真剣な面持ちで肯定と首を縦に振った。

 

「少なくとも短く無い交流をしている。同じ派閥の者だった時もあった末に彼の秘密を知った。驚きはしたが受け入れている。イッセーの人を引き寄せる魅力を受けた一人として」

 

「「・・・・・」」

 

シャクティの話を聞き、誠と一香はお互いチラッと視線を交え口を開いた。

 

「千年後のオラリオの結婚制度はどうなってる?」

 

「他派閥同士では産んだ子供がどちらの派閥になるかによって諍いが起きる。なので恋愛は同派閥の団員か無所属(フリー)の者達としかできない」

 

「恋愛はできるって事か。じゃあ、一誠。今のお前はどこの派閥に入っている?」

 

「・・・・・無所属(フリー)だ。主神無き【ファミリア】を結成がギルドに公認されてるからが集まり次第俺の【ファミリア】が結成できるよ」

 

嫌な予感しかしない感じを覚えながら教える。言うと二人は至極不思議そうな面持ちで尋ねた。

 

「主神がいない【ファミリア】って【ステイタス】の更新とかはどうするんだ?神がいてこそ【ファミリア】だぞ」

 

「『ステータスプレート』っていう神の更新要らずな魔道具(マジックアイテム)を作ったんだ。自動的に【ステイタス】が更新できるから―――」

 

「ちょ、待ちなさい一誠。それって結構凄い物じゃないの!?今持っているなら見せてちょうだい!」

 

魔法使いとして無視できない道具を要求する母親の気迫にちょっぴり押されながら自分の『ステータスプレート』を見せると、誠と一緒に確認して驚いた。

 

「なに、このスキルの異様さと数・・・あ、発展アビリティに『幸運』があるのね。『絆』ってのは初めて見るけれど」

 

「マジでこのプレート一枚で【ステイタス】として成り立っているのかよ」

 

「・・・・・いる?」

 

「「あるなら欲しい。アザゼルに自慢するから!」」

 

絶対貸してもらえず躍起になって『ステータスプレート』を作りそうだなあの人はと思いつつも後で渡すことを口約束で交わす。

 

「んで、一香。どうするよ」

 

「そうねぇ・・・・・恩情から恋愛が発展する話もあるし・・・・・なにより一誠にとって気が抜けないこの世界で受け入れてくれる女の子ならね?」

 

あっ(察し)と二人の結論を悟った一誠の目は遠くなった。

 

「シャクティちゃんだったね?今の一誠はフリーだから、結婚については反対しないわ。寧ろ結婚して息子を幸せにしてくれるならこちらとして願ったり叶ったりよ?」

 

「蘇らせたって事は一誠。死者蘇生の魔法を使ったんだな?彼女はお前の失った寿命の分、一生を捧げる強い意志で結婚を申し出てるなら、女の覚悟を蔑ろにしちゃ駄目だぜ?」

 

「・・・・・っ」

 

覆せない決定に項垂れる一誠と対極的に、歓喜の雄たけびを上げるガネーシャと明るい笑顔で喜ぶアーディに安堵で胸を撫で下ろすシャクティ―――に「だけど」と付け加えた言葉が投げ掛けられた。

 

「一番最初に結婚してもらうのはキミじゃない。その後になるな」

 

「これだけは譲れないわ。それでもいいなら結婚は承諾するけどいいかしら?」

 

「・・・・・順番は拘ってないので問題ないが、イッセーは誰と最初に結婚を?」

 

「それは勿論、幼い頃から一誠を見守り愛し続けてきた元の世界にいる女達さ」

 

「特に彼女が先じゃないなんてあり得ないからね」

 

これは決定事項、異論は認めないとばかり断言、断定するので一体誰のことだろうとアスナを除いて一同疑問符を浮かべた。

 

「一誠、元の世界に繋げて見なさい。それができる魔法があるのなら可能でしょ?」

 

「発動はできるけど元の世界を映すだけしかできない状況なんだよ。別の異世界だったら行き来できるんだけどさ」

 

「じゃあ私も手伝ってあげるわ。多分、それなら可能でしょ」

 

ということで一誠は春姫の魔法の恩恵を受け、龍神化の呪文を唱えた後に魔法を発動した。光の異世界に繋がる鏡が虚空に浮かび、一誠が見慣れた景色を映す鏡に触れて通れないことを証明すると一香はその鏡に触れて魔方陣を展開した。

 

「うん?外部から別の強い力が流れてくるわね・・・・・これが邪魔しているのかしら」

 

世界一の魔法使いの名は伊達ではなかった。ちょちょいのちょいっと幾重の魔方陣を鏡の周囲に展開して、何か模索し続けて一分ぐらいすると一息ついた。

 

「これでよし、と。じゃ、ちょっと待ってて」

 

足元に魔方陣を展開すると一香は鏡の向こうへと転移して何処かへと行った。異世界の景色を始めてみるアスナを除く面々は鏡の向こうを覗き一香が戻ってくるのを待っていると、彼女は鏡の前に展開したままの魔方陣から出てきて戻ってきた。ただし彼女一人だけでなかった。長い銀髪を一本に結び白磁の肌の顔に琥珀の双眸。服装は白いブラウスと胸元に赤いリボンを結んだ膝下まで丈のある紺碧色のジャンパースカートに、その上から眺めのサロンエプロン。もう一人は濡羽色の長髪と同色の瞳に服装は黒のゴスロリで身に包みカボチャパンツを穿いて胸に×印の黒テープで張るという出で立ちの幼女。

 

「―――――」

 

一際高鳴る胸の鼓動。二人の姿を視界に入れる瞳は凍結し目の前の現実は嘘じゃないのかと、夢幻を見せつけられているのではないのかと、目を奪われたまま硬直していると彼女達が静かに動いた。

 

「今度は、直であなた様を触れることができます」

 

華奢な手が一誠の頬に手を添え、慈しみが宿った優しい眼差しをして柔らかく微笑む彼女は一つになる風に寄り添う。一誠の手はそんな彼女の背中に回し、二人は互いの体温を感じることで時空と次元を超えてまで成就する愛を実感する。

 

「ようやくまた貴方のお傍に居られることをリーラ・シャルンホルストは魂から嬉しゅうございます」

 

「・・・・・俺もだよ、リーラ」

 

「イッセー、我も」

 

濡羽色の髪の幼女がぴょんと一誠の胸に抱き着き、受け止めると幼女はすりすりと猫のように甘える仕草をする。

 

「我、イッセーの傍にいると約束した。これ、絶対」

 

「忘れてなんかないよオーフィス。久しぶり」

 

「ん」

 

完璧に三人だけの世界の空間が出来上がって、誰一人その空間に介入できないでいた。否、しない方が多かった。再会したかった元の世界にいる家族とようやく触れ合うことができる一誠の邪魔をしたくないのと、もしも邪魔したら一誠に嫌われかねない恐れがある故に。

 

家族の感動の再会に温かく見守っていた時、ふと一誠の『ステータスプレート』を見た一香は次にぎょっと目を見開いた。『ステータスプレート』が新たなスキルを発現・更新していたからだ。

 

 

イッセー

 

Lv.3

 

力:∞

 

耐久:∞

 

器用:∞

 

敏捷:∞

 

魔力:∞

 

 

幸運:∞

 

絆 :∞

 

 

《魔法》

 

 

真・異世界扉(ネオ・ワールド・ドア)

 

 

・移動系魔法。

 

・継続時間と大きさは魔力数値に依存、憧憬によって過去・現在・未来や異なる世界へ行き来できる。

 

・強い憧憬である程、成功率上昇。

 

 

(特典)『鑑定』

 

・ありとあらゆるもの価値を見定める。

 

 

《スキル》

 

 

異常不明(イレギュラー・アンノウン)』 

 

・戦闘時のみ発動。階位(レベル)、『基本能力(アビリティ)』が反映・真価を発揮し、全能力の超高補正する。

 

 

『恋愛一途』

 

・早熟する。

 

・懸想が続く限り効果維持。

 

・懸想の丈と異性との相思相愛の情を続けることで効果向上。

 

 

『魅了成就』

 

・魅了する。

 

・異性と同性、特定の者と交流し続ける限り効果維持。

 

・神・老若男女、人種問わず関係が良好、異性と触れ合い魅了し続けることで効果上昇。

 

 

『三技一体』

 

以下の三つのスキルが一つとしてそれぞれの発動条件が満たされると一時発現する。

 

 

料理想達人(クッキング・マスター・シェフ)

 

・調理道具の装備時、発展アビリティ『料理』の一時発現。

 

・補正効果は『器用』と『敏捷』のアビリティ数値に依存する。

 

 

『神伝鍛冶』

 

・鍛冶道具の装備時、発展アビリティ『鍛冶』の一時発現。

 

・作製した武具の品質の向上は『器用』アビリティ値に依存する。

 

 

神秘希少(ウルトラ・レア)

 

道具(アイテム)の作製時、発展アビリティ『神秘』の一時発現する。

 

・一定以上の道具(アイテム)の製作時、スキル『幻想』が発現する。

 

 

『幻想』

 

道具(アイテム)の作製時、発展アビリティ『幻想』が一時発現する。

 

・発展アビリティ『幻想』の発現時、道具(アイテム)に関わる全ての発展アビリティ・スキルが発現・併合する。

 

 

『運命協同体』

 

・同恩恵を持つ者のみ効果を発揮。

 

・懸想の丈の度合いによって【経験値(エクセリア)】の分配が変動する。

 

・『運命協同体』の副次効果―――懸想の丈の度合いによって良好の同恩恵を持つ以外の者も共同することで【経験値(エクセリア)】の分配が変動する。

 

任意発動(アクティブトリガー)

 

 

龍殺龍者(ドラゴン・スレイヤー)

 

・竜種に対する攻撃力の超域強化。

 

・戦闘の意欲の丈によって効果が向上。

 

任意発動(アクティブトリガー)

 

 

『無限想絆想愛』

 

・絆・恋愛が成就する。

 

・成就した恋愛の丈によって効果無限大。

 

・効果が持続する限り全能力値(アビリティ)が限界突破、∞に固定。

 

『無限想絆想愛』の副次効果―――相思相愛の他恩恵、無所属(フリー)の対象が眷族となる。【ステイタス】の効力持続、自動的になる。

 

 

 

(特典)『異世界買物覧(ネットスーパー)

 

・ヴァリスを払うことで異世界の物資を購入可能

 

任意発動(アクティブトリガー)

 

 

(特典)『ステイタステイカー』

 

・対象の【ステイタス】を奪う。

 

・奪った【ステイタス】の全てが上書き・蓄積し糧となる。

 

任意発動(アクティブトリガー)

 

 

思わず、「な、なにこれ!?」と叫んでしまったので皆の意識は一香に集まる。

 

「母さん、どうした?って・・・・・もしかしなくてもまたスキルが発現したのか。もしそうだったら今年で三つ・・・・・。・・・・・・(固)」

 

母親から『ステータスプレート』を取って確認した一誠も不自然なまで動きを止めた。

 

「な、なんだこれええええええええええええええええええええええええ!?」

 

あの一誠までも叫ぶほどのスキル。神々は好奇に擽られて近寄り『ステータスプレート』を覗き込んだら一人残らず目を丸くした。

 

「な、何なんやねんコレはっ!?有り得へんで絶対にっ!」

 

「待って、コレ、どうなってるの・・・・・?」

 

「うーん、不思議な現象だね」

 

「ガネーシャ、ハイパービックリ」

 

「「「・・・・・」」」

 

「これは・・・・・」

 

「どういうことなのかしら・・・・・?」

 

神聖文字(ヒエログリフ)】を解読できない面々は理解に苦しみ、逆に解る者、特にリヴェリアは翡翠の目を見開いて開いた口が塞がらずにいた。これに神々は何て言ってよいものかと口を揃えて閉じた。そんな仕草をするロキ達と同様に一誠も何も言えず、動揺を隠しきれない面々にフィン達は首をかしげる。

 

「どうしたんだい?とんでもないスキルが発現したのかな?」

 

「私が教える」

 

「ちょ、待つんやアイズたん―――――!」

 

焦燥に駆られて金髪金眼の少女を制止するために動くが、一歩遅く新スキルの内容を皆に伝えられてしまった。

そして、アイズが口にしたことで一誠の新たなスキルの内容を知った相思相愛の椿達は・・・・・。

 

「む?つまり手前はイッセーの眷族になっておるというのか主神様よ?」

 

「「「やった!」」」

 

「ふふ、冒険者ではない私でもイッセー様の眷族に・・・・・嬉しいわ」

 

「私、も・・・・・?」

 

「「「「・・・・・」」」」

 

「私達はどうなっているんだろうねレイネル」

 

「分からないわよレギン」

 

「イッセーさんの新しいスキルは凄いの一言ですね」

 

不思議に思う者、喜ぶ者、現実を受け入れる者と反応が分かれる。

 

「はっ、まさか!?カモン、アイズたん達ぃッ!」

 

「・・・・・椿、いらっしゃい」

 

「シャクティ、アーディ。お前達も確かめるぞ!」

 

「アスフィ、念のためにね」

 

主神達は女性団員のみを呼んで借りた小部屋で【ステイタス】の更新を始め出して数秒後―――ロキの悲鳴が聞こえだした。しばらくして戻ってきた主神の顔は安堵だったり落ち込んでいたりの表情を浮かべていた。

 

「ア、アイズたん達がうちの眷族じゃなくなっておった・・・・・!」

 

「椿もよ。『改宗(コンバージョン)』をしてたわけじゃないのに突然過ぎて不思議だわ」

 

「アスフィに授けた『恩恵』が変わってなかった・・・・・ちょっと安心」

 

「シャクティ達は問題ない!ガネーシャ安心半面、変わっていなかったことにガネーシャ不思議」

 

「フィルヴィス達の恩恵に異常はなかった」

 

「春姫の恩恵が変わってたわ」

 

「ソシエも同様」

 

「ユエルも同じくだ」

 

「アリーゼ達の中で輝夜だけでした」

 

どう声を掛けてよいか悩む一誠。不可抗力とは言え、ロキ達から戦力を奪った事には変わらない。派閥に入っていない、『改宗(コンバージョン)』をしていないアルガナ達は別だが物凄く申し訳ないと思った時、不意にある事が思い浮かんだ。

 

「『改宗(コンバージョン)』はできないのか?」

 

「試したけれど、できなかったわ。一年後まで待たなきゃダメみたい」

 

「てことは・・・・・アミッドの恩恵も変わっている他、まだ確認していない奴や交流している無所属(フリー)の連中も俺の眷族になってる可能性が・・・・・?」

 

「多分、あり得るわよそれ」

 

ヘファイストスの肯定の言葉にがくりと肩を落とし頭を垂らす。それからすぐアイズ達に申し訳なさそうに言葉をかける。

 

「俺の眷族になってしまったからにはアイズ達。一年間だけ俺の眷族として我慢してくれるか?」

 

現派閥を変えようとも思わないでいただろうに、迷惑を掛けてしまったことに申し訳なく思っての言葉であったが、アイズ達は特に気にしてる風な感じではなかった。というか、むしろその逆だ。

 

「私、イッセーの眷族のままでいたい」

 

「「私も」」

 

「・・・・・自動的に更新するのであれば、毎度ロキに舐め回すような視線といやらしい手つきで触れられずに済むと思えばありがたい。アイズ達と同感だな」

 

「確かに・・・・・」

 

「ええ・・・・・」

 

被害者の女性団員からの拒絶の言葉を貰いガーンっ!?と凄まじいショックを受けて涙流すロキだった。同情の言葉も慰めの言葉も掛けてやれないほど、身から出た錆のような普段の行いを鑑みれば自業自得の感じであった。

 

「一誠様、どういうことでしょうか?」

 

「単純にセクハラされるのが嫌なだけだ。あの朱色の髪の女神はロキでな。性格はエロオヤジだから隙あらば、それこそ女の胸や肌を触りまくる」

 

「こちらの世界のロキ様は女性でしたか・・・・・しかも変態とは。私達の世界のロキ様が知ったら大層嘆くことになられるでしょうね」

 

まったくだと同感する。

 

「イッセー、シャクティとアーディの恩恵が変わってないのはどういうことなのだろうか。イッセーの妻となる意思があるというのに」

 

「相思相愛じゃなきゃダメって事だろ。俺が恩で妻になることを拒んでるから。勿論嫌ってるわけじゃないからな」

 

「むむむ・・・・・っ」

 

いや、むむむって悩むところじゃないだろと内心突っ込む一誠の方に、シャクティが手を乗せてきた。

 

「なら、私の事を好きになる様に努力をすればよいのだな。そうすれば相思相愛になるということだ」

 

「・・・・・もう、好きにしてくれ」

 

親公認となってしまった以上、否定や拒む気力はもはやないと投げやりになる。

 

「・・・・・話が見えないのですが、何故一誠様が結婚をすることとなっておられるのでしょうか?」

 

眼差しが絶対零度のリーラに冷や汗を浮かびそうになる。複数人以上の恋愛は寛大だが、自分の知らないところで結婚をすることは一誠を愛する一人の女として、納得できる説明をしてもらわないとダメなリーラであった。

 

「彼女の親族、妹を蘇らせた恩で消費した寿命の分、一生をかけて俺の妻になるため結婚を臨んでいる。拒んでいるが諦めてもらえないどころかリーラと結婚した後でならって父さんと母さんが認めちまったんだよ」

 

「・・・・・そういうことでしたか」

 

誠と一香に対して呆れ混じりの溜息を吐き、一誠に話しかけた。

 

「もしや、私が一誠様のところに連れられたのは一誠様と結婚をするためなのでしょうか?」

 

「ええ、その通りよリーラ」

 

一香が肯定の言葉を述べた。

 

「本当なら他の子達も誘って結婚をしてもらいたいけれど、皆それぞれ仕事をしてるし家の事情で直ぐにこの世界には誘えないしね」

 

「でも、急に結婚なんてこのオラリオには式場なんてないよ」

 

「あら、式場がなくたって場の雰囲気があればどこだってできるわよ?」

 

軽く指を弾いた一香によって一誠とリーラの服装が一変した。黒いタキシードと純白のドレスに早変わりした自分達の服装に目を丸くして、神々や冒険者達も瞠目した。

 

「さーて、始めようか。二人の婚儀を!」

 

皆の心情を気にせず我の道を突き進む誠の一言で土壇場で突拍子もなく始まってしまった結婚式。もっと雰囲気が欲しかった、と思わずにはいられないが今のこの二人に何を言っても一度決めたことを猪突猛進の如く突っ走って聞き受けてくれないだろう。そんな思いが一致して溜息をこぼす一誠とリーラは仕方なしと素直に祝福されることにした。仮初の婚儀だろうと、片方が一夜限りの合瀬でいなくなるだろうと・・・・・この瞬間を大切にしなくてはならない。

 

「愛している、リーラ」

 

「私も愛しております、我が主、一誠様」

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