Roselia・Lord〜氷川 紗夜は魔王である〜   作:最弱氏

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第1話

この世界には六人の魔王がいる。

強大な力を振るい、各々の魔界を支配する畏敬の覇者。

多くの冒険者たちが彼らを打破せんと挑み、一部の者たちは魔王の力に縋りその支配に賛同する者。

 

僅か六人で、広大な世界を二色に塗り分ける黒の陣営。

 

それが六魔王と呼ばれる者たちだ。

並び立つのはいずれも劣らぬ魔人。

 

この世界では、最も名の知れた魔王が一人いる。

 

『冷徹な氷の魔王』と呼ばれる魔王サヨ。

黒の装束を身に纏い、漆黒に染まる双剣を振るう、恐ろしき悪魔の姿を持つ者。

 

 

サヨはいつものように東屋の椅子に座りながら、ギターを弾いていた。

 

「♪〜♪〜」

 

ギターの弦から聞こえる美しい音色はこの魔界を包み込んでいるかのようだ。

 

「……ふぅ」

 

サヨは一息つくと、ギターをすぐ横に置き、テーブルの上に置いてある紅茶の入ったカップを手に取り、飲んだ。

 

『オーバーワールド・ロードクロス』

通称、『OWRX』。

世間を騒がせている次世代VR型MMORPGだ。

サヨもプレイヤーの一人だ。

 

 

 

「畑の様子でも、見ようかしら」

 

サヨはそういうと、立ち上がり東屋の後ろにある自身専用の畑を見に行く。

魔王としての特権で魔界の個人フィールドがあり、その少しを畑にし、薬草やらを育ている。

 

「うん。順調のようね」

 

サヨはそう頷いた。

ゾンビやスケルトンが鍬を振るって畑仕事をしている。

すると、サヨの魔界に来客が告げるアナウンスが告げた。

 

『ギルド【Pastel*Palettes】のヒナ様のパーティの来訪を確認しました』

 

「あら、もう来たの?」

 

顔を上げてポータルの方へ顔をを向けると、自分と同じ双剣使いで軽鎧をした少女を筆頭に六人の少女たちが来た。

 

サヨと同じ水色の髪のショートカットで、白と緑で彩られた軽衣で、双剣を抜き、向けた。

 

【完壁超人】ヒナ。

魔王ほど有名ではないが、実力派のプレイヤーはMMORPGの常。

愛らしい外見と誰とでも優しく声をかける。そして、何かもが完璧すぎると、その名は結構轟いている。

ちなみに現実では……、

アイドルバンドグループ【Pastel*Palettes】で活躍している妹である。

 

「おねーちゃん!今日こそ決着をつけるよ!」

 

「ヒナ。今は魔王クエストじゃないから。私、死んでも死戻りするのだけど……。はぁー、言って聞かないでしょうけど」

 

サヨはため息をつくと双剣を抜いた。

戦うヒナを無視し、他のメンバーは東屋に移動し、用意されたお茶とお菓子を堪能していた。

 

 

「はぁー、ヒナちゃんにも困った者です」

 

「はははっ、仕方ないよ。チサトちゃん」

 

「これぞ!武士道デス!」

 

「おっ、ケルベロス!元気でしたか!」

 

「サヨさん!!頑張ってくださいー!」

 

 

 

「き、今日も……ヒナちゃ、ん。元気、ですね」

 

「うむ。さすがの元ベーターテスターだな。動きに一切の迷いがない」

 

「あれはあれで。楽しいのでは?」

 

「しかし、本当によく似てるな」

 

「それは双子だからね」

 

 

魔導を極めし魔女。古き頃から魔物を宿すフルアーマー。巨躯の竜人。闇から弓矢を射てしダークエルフ。相手を叩き潰す堕天使。

 

ここで知り合った魔王たちは、東屋でヒナのパーティたちとお茶を飲んでいた。

 

 

 

 

「いっくーーよ!!おねーちゃん!!」

 

 

「はぁ、まあ。いいでしょう。かかって来なさい、ヒナ!」

 

 

ヒナとサヨの双剣がぶつかった。

 

 

「蹂躙という名のデュエルを始めましょう!!」

 

 

夏休みに一般オープンした『オーバーワールド・ロードクロス』で初心者の私が魔王を始めて、早一ヶ月。

色々な困難もあったけど、何かと軌道に乗り、

 

 

 

 

 

今、私はこの世界を楽しんでいる!!

 

 

 

 

 

 

 

梅雨がまだある六月の半ば。

 

私ーー氷川 紗夜はバンドグループ『Roselia』の練習が終わり家に帰っている時、妹の日菜に会い仕方なく一緒に帰ることにした。

 

「えへへ〜♪おねーちゃんと一緒に帰るのるんっ♪ってくる!」

 

「そうね」

 

私は日菜の返答に普通に返す。

 

「あっ!そういえば、おねーちゃん。お母さんに買い物頼まれてなかった?」

 

「そういえば、そうだったわね」

 

私は母に言われたことを思い出し、日菜と一緒に商店街へ向かった。

 

 

「えっと?今日のご飯は…」

 

日菜はメモ用紙を取り出し、夕飯の具材を買っていた。私はそれを眺めているだけ。

今日も帰ってギターの練習をしようと私は考えていた時、急に日菜に呼ばれた。

 

 

「おねーちゃん!」

 

「っ!?ひ、日菜?」

 

私はボッーとしていて、日菜の声に驚いてしまった。

 

「どうしたの?」

 

「な、なんでもないわ…。それより、買い物は?」

 

 

「うん!ちゃんとここにあるよ!」

 

日菜はにかっと笑い、紙袋を私に見せた。

私は日菜に帰ろうといよとした時、

 

「そう。なら、帰り…」

 

「それでね!商店街のおじさんが福引券をくれたんだ!おねーちゃん、引いてみよう」

 

日菜が一枚の紙を私に見せた。その紙を見てると、『福引券』と書いてある。

 

「福引券…。あっ」

 

私はポカーンとしたが、商店街の端のある福引が設置されたテントがあったのを思い出した。

 

「そういえば、あったわね」

 

「でしょでしょ!だから!引きに行こうよ!」

 

日菜がそういうので、私は渋々了解し、福引のあるテントに向かった。

福引のテントに着いた時、何人かの主婦が回している。

大きな立て看板に景品一覧を見てみると、中々良い物があり私は思わず感心してしまった。

 

 

「金の特等は、二泊三日のハワイ旅行。結構、本気のようね」

 

私は金の特等を見てそういい、他のものを見てみる。

 

銀の一等は、有名な温泉旅館の招待券。

赤の二等は、最新のゲーム機。

緑の三等は、高級お菓子セット。

青の四等は、商店街の商品券5000円。

白の残念賞は、たわしなどの小物日用品だ。

 

私としては、緑の三等が当たって欲しいところだが…。こういう福引は中々当たらない。

福引券の枚数がたくさんあれば、いけるが……私たちは一枚。確率的に残念賞確定である。

それに、この福引の期間が六月の初旬。

今は、六月半ばのため、そろそろ上位景品が出てもおかしくはない。

私たちの番が来た時、日菜が福引券を渡した。

 

「お願いしま〜す」

 

「はい。一枚ですから、一回ですね」

 

店員さんにそう言われ、日菜が回すと思ったが…、

 

 

「おねーちゃん、回して!」

 

 

「……はぁ?」

 

私は日菜が言った言葉に目を丸くした。

 

「な、なんで、私が回さなきゃいけないの」

 

「だって、今日はおねーちゃんと一緒に帰れてるんっ♪てしてるから!そのお礼!」

 

 

どこが、お礼よ…と私は思ったが、こうなると日菜は後を引かないから私は回した。

ガラガラと数回音がなり、受け皿に出て来たのは………赤い玉。

 

 

カランカラン!と鐘がなった。

 

赤い玉。確か二等だったかしら?二等の景品は最新のゲーム機だったかしら?

 

 

 

「おねーちゃん!すごい!!!」

 

 

私の隣で日菜がそういった。

 

 

 

私は二等の景品ーー【Act Device《アクトデバイス》】。

今の最新のゲーム機である。

 

 

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