Roselia・Lord〜氷川 紗夜は魔王である〜 作:最弱氏
買い物帰りに私は悩んでいた。
その理由は……。
「……これ、交換できないかしら?」
私の手にある福引で当てた二等のゲーム機。
「…お菓子の詰め合わせがよかったわ」
「ええっ!?おねーちゃん!この『Act Device』を手放すなんて、もったいないよ!?」
「日菜、これもう家にあるでしょ?あなたのが」
そうのゲーム機は私の家にある。
日菜がアイドルの仕事で貰ったものがあるのだ。しかも自分の専用機とか?
私はこの手ものに疎くてよくわからなかった。
「これ、売っていいかしら?」
「ダメだよ!?それにこれは売れないよ?」
「えっ?それじゃあ、今のやつと交換するのね?」
それならこれは日菜にあげた方が……、
「それも違うよ。これはおねーちゃんの専用なんだよ?つまり個人用ってこと」
「……私の?」
これを聞かされたとき、私は全く知らなかったことに少し後悔した。
「そう!これはね、VR型MMORPG対応の個人マシン。ちなみに対応してるのは、『オーバーワールド・ロードクロス』って言うゲームだよ。アカウントの管理が難しくて中古とかでは売れないんだよ」
なるほど、売れないと。それは困りましたね。
そこで私はあることに気づいた。
「そういえば、日菜も確かしてたわよね?その…えっと?」
「『オーバーワールド・ロードクロス』?」
「ええ」
「うん!仕事の関係でベータテスターとしてバンドグループと一緒にやってたよ」
日菜はそういった。
「でも、これってあれでしょう?ネトゲ?だったかしら」
「うん、やろうよ!おねーちゃん!」
私はそういったとき、日菜が頷いた。
「私はこんなことしてる暇なんてないのだけど」
私は日菜にそういったが、
「ええー。やろうよ!おねーちゃん!私、ベーター版からの転生だから、大丈夫!」
「………」
まただ。はあ、疲れる。
いつもこうだ。
だが、少し甘えてもいいだろう。
「……わかったわ。でも、あまり期待しないでよ」
日菜は何をしてもできるため、恐らくこのゲームでもすぐに発揮するでしょうね。
「大丈夫だよ?ベータテスターもレベルを始めとする成長の要素やアイテムら全部リセットされるし、持ち込めるのは己の知識経験だけだよ」
「そう。わかったわ」
私はそう返事をした。
なんだかんだ話しているうちに家に着いた。
「はあ、日菜に言われたものもどうすればいいのかしら…」
私は花咲川城学園に登校の道で考えていた。
私はゲームなどの娯楽にあまり興味はない。
いつも、自分の部屋で学校の課題やギターの練習などをしている私。
「どうしたら……あっ」
私はゲームということに心当たりがあるじゃないですか。
「白金さんに聞くしかないですね」
同じバンド『Roselia』のキーボード担当、白金 燐子に聞くことにした。
教室に着くと何人かの生徒がいる中に白金さんが椅子に座って本を読んでいた。
(よし)
私は白金さんに近づいた。
「白金さん、少しいいかしら?」
「えっ!?い、いいですけど…」
「ええ。では、単刀直入に聞きます」
「は、はい……」
「その、げ、ゲームについて教えてくれませんか?」
「えっ……?」
放課後
「なるほど。福引で当てた景品が……『Act Device』で、それが…紗夜さんの専用のなり、しかもその対応ゲームが『オーバーワールド・ロードクロス』だったと…?」
「ええ、そうです」
放課後、私と白金さんは教室に残り、話を聞いていた。
「話はわかりました。しかし、何故私が……あっ。ベータ版をしているからですね」
「はい、そうなります。前の練習のときに、宇田川さんと話しているのを聞いていましたから」
私はそういい、白金さんはクスリと笑い、説明をしてくれた。
「では、『オーバーワールド・ロードクロス』について、説明します」
「ええ、お願いします」
「通称は『OWRX』。基本はMMORRGです。アクションとかはやればわかると思います」
「そうなのですか?」
「はい。初心者プレイヤーでも違和感なく遊べるのが『OWRX』の見所なんです」
「なるほど」
そういうのもありなんですね。メモしときましょう。
「あっ、でももし攻略とかわかりませんでした、サイトを見たりするのもありですから。大丈夫ですよ」
「わかりました」
「そして、大きな特徴なのが『OWRX』には、六人の魔王ーーー六魔王が居るのです…」
白金さんは指の数を六にして、説明してきました。
「六、魔王…ですか?それはボス的なやつですか?」
「いいえ。もちろん、通常のボスモンスターもいますけど…。この六魔王は、一般プレイヤーから選ばれることがあるんです…」
「えっ?そうなのですか?何かこう、いじめ的なことが起きそうな気が……」
総プレイヤーの数が何千、何万というMMOで六人の魔王を袋叩きにするとか。怖すぎます。
「それはありません。確かに魔王打倒も目的の一つですが…、魔王は公式でチートなど呼ばれるほど強くなります。もう最強です。強すぎます」
「そ、そんなになんですか?」
「はい。特殊な固有アビリティやスキルを持ったり、最初から個人フィールドなんてものを持っているんですよ」
それはまた、すごいですね。
「ベータ版では、一対五十という戦いでも、魔王は圧倒的でした」
本当にチートですね…。
「まずは、キャラメイクからやっていきましょう……。ゲーム直前にやると時間的に無理ですからきちんと事前登録してください」
「キャラメイクというと、名前と職業とか決めるやつですか?」
ゲームに疎い私に白金さんは首を振った。
「外見登録があるんです。外見は、私たちをベースにして造るですよ…。耳の形とか髪の長さや色、肌の色や目の色も変えることができます」
「なるほど」
「体型とかは変えられることはできますが、身長とかは変えられませんので」
今のとこはそんなことはしません。
「そして、重要なのが初期クラス設定です。どうな風にプレイするか……。でも途中で変えることもできます……」
「どうのように作ればいいでしょうか?」
「そうですね……、職種を三つ選んでください。ファイターやアーチャーやセイバーやキャスターとかですね…。あとは初期武器の決定です。初期武器で系統が決まるのですけど、やっていくうちに変更することもできますが、クラスの方は変更までに時間がかかるので、慎重に選んだ方がいいと思います…。あっ、これがその職種リストです」
白金さんに職種が書いてある携帯を見せてもらった。
「結構、あるんですね。必ず三つなんですか?」
「はい、三つです。ですが、ときたま、バグで四つになることもあります。ベータ版でもありましたから」
「三つなのに、四つですか?」
「はい。百人のプレイヤーに一人がなるかならないかの。特別なバグです。でも、ほとんどの人が三つに絞っているため。四つ目の職種を取る人はそうそういませんでしたね」
「ふ〜む」
私は職種リストを見ながら、首をかしげる。
と、その時ある職種を見つけた。
「生産系というのも、あるんですね」
「はい。金属を使う鍛治師。木材を使う木工師。布系の服飾師。道具類を作ってくれるアイテムメーカー。他にもいろいろあります」
「音楽家はあるんですか?」
私は白金さんに聞いて見た。
「ありますよ。楽器を作ったり、演奏したりする音楽家。しかし、その手の職種を選ぶ人はそうそういませんでしたね。私はその職種を選びましたけど。自分で楽器を作ったるのは、楽しいですよ……」
「ギターとかも作れたりするですか?」
「はい、作れますよ。ある程度の素材が集まれば、エレキギターやアコースティックギターも作れます」
「そうですか。二つ決まりました。音楽家とアイテムメーカーにします。あとは…武器ですか」
「紗夜さんに似合う武器は……弓矢もいいですけど。双剣がいいですね。小回りも利くし、連続攻撃の手数も多い、紗夜さんにぴったりだと思いますよ?」
白金さんにそう言われた時、私は武器を双剣にすると決めた。
「では、双剣にしますね」
「はい!これで、説明は終了しますが……もし、わからなかったら、ネットとかで情報集めてもいいですし、あっ、私の携帯番号を渡しましょうか?」
白金さんにそう言われ、私は確かにその方がいいと思った。
「それでは、お願いします」
「はい…。わかりました……」
「ありがとうございます、白金さん」
「いえ、こちらこそ…。ありがとうございます」
それから白金さんと色々と話を聞き、私は『オーバーワールド・ロードクロス』の正式オープンが少し待ちどうしくなりました。