第1節 湊「第1生存者発見!」オルガマリー「あなた誰なのよ!」
「よっと…」
「うわぁ〜こりゃ凄いや…」
「こんなとこにずっといたらお肌が荒れちゃいますぅ…」
やって来ました2004年。
聞いてた以上に聖飢魔II。ゆあっしょー。
「キャアーーーーー!」
特に当てもなくぶらぶらしていると、女性の悲鳴が聞こえてきた。
「うん?悲鳴?」
「エリザベスさんの言ってた生存者かも知れないよ?湊君、行ってみよう!」
拠点探しからやりたかったが仕方ない。
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「何なの、何なのよコイツら⁉︎なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの⁉︎」
崩壊した街をひた走る銀髪の女性。
その後ろには武器を持ったガイコツが複数。
所々煤や埃で汚れているその姿を見るに、それなりの時間この世界で逃げ回っていたのだろう。
「〜〜〜!」
時折何か呟いて、指先からエネルギー弾の様なものを飛ばしてガイコツを迎撃するが、いかんせんガイコツの数が多い。一体潰したところで事態は好転しない。
「キャアッ!」
そんな中、彼女は瓦礫に足を取られ転倒してしまう。
「もうイヤ、来て、助けてよレフ!いつだって貴方だけが助けてくれたじゃない!」
とうとう彼女はその場で立ち上がろうともせず泣き出してしまい、レフという人物に助けを求める。
…仕方ない。彼女から感じられる魔力的に、これくらいはなんとか出来ると思っていたんだけど…行きますか。
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「何なの、何なのよコイツら⁉︎なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの⁉︎」
ああ、いつだって私はついてない。
アニムスフィア家という魔術の名門に生まれた。才能だって持ち合わせていた。将来は父の跡を継ぐつもりだった。
でも、それは今すぐじゃない。私はまだ未熟だ。魔術師としてではなく人として。
でも、それは不意に訪れた。
敬愛する父の死。そのせいで私は急遽アニムスフィア家の当主となってしまった。
父の起こした事業…特務機関カルデア。
私は皆に認められようと、父の残したカルデアを引き継ぎ組織の運営に当たった。
…毎日が辛かった。誰も私を認めてくれない。誰も私を褒めてくれない。
それどころか、見つけてしまった極秘資料に記されていた非人道的な実験。
父はこんなことまでしていたの…?
全てが嫌になった。食事も喉を通らず、部下や物に当たる日々。
そんな時、支えてくれたのはレフだった。
彼だけが私を助けてくれた。
レフのおかげでどうにか持ち直し、カルデアスを観測する毎日。
だけどある日、カルデアスから文明の光が消えるという異常事態が発生した。
この緊急事態に私はすぐさまスタッフを集め原因を調査。その結果、2004年の日本の地方都市に異常が確認される。
これはチャンスだと私は思った。文明の光が消えるということは世界が滅亡したという証拠だ。この原因を取り除き、カルデアスに光を取り戻せば…
私は世界を救った英雄になれる。
亡き父の伝手まで使って揃えた一流の
レフに手伝ってもらいながらやっとの思いで完成させた
残念ながら私にはマスターとしての適性は無かったのだけれど…まぁいいわ。
(それについては、危険を冒す必要もなく成果を上げられると考えましょう)
とにかく、私に出来る限りの事はやったわ…
だけど結果はどう?
レイシフト直前で謎の爆発事故。
そして、本来適正のない私がレイシフトしていて、周りは炎と
しかも私に襲いかかってくる始末。
「〜〜〜!」
こんなはずじゃなかったのに!
ヤケになりながら魔術を使いスケルトンを迎撃し、走る。
ひたすらこれの繰り返し。
「キャアッ!」
痛いッ!なんでこんなとこに瓦礫が転がってんのよ!もう最悪!なんで私ばっかりこんな目に遭うのよ!
「もうイヤ、来て、助けてよレフ!いつだって貴方だけが助けてくれたじゃない!」
涙が止まらない。いないと分かっているのに思わずレフに助けを求める。返事など無いと分かっているのに。
結局誰も私を助けてくれない…私は諦めて目を閉じた。もうどうでもいっか…
「ハァァッ!」
ザシュッ!
…あれ?
恐る恐る目を開ける。
目の前には、怪物を斬り捨てるブレザータイプの学生服を着た少年。その隣には黄色いマフラーを身につけた少年。
スケルトンに斬りつけられると思っていたら、目を閉じた僅かな間に私の前に現れたみたい。
「レフって人じゃなくてゴメンね?チャチャっと片付けるからちょっと待ってて」
「はーい!お姉さんはマユと一緒に下がってましょうね〜?」
「⁉︎⁉︎」
急展開に頭がついてこない。
「なんだか汚れちゃってますね。ウェットティッシュ使いますか?」
私を後ろに下がらせた少女にウェットティッシュを渡される。
「あ、ありがとう。あの…あなた達は?」
「それは湊さんの戦闘が終わってからゆっくり話しましょうか?それより、今のうちに身嗜みを整えちゃいましょう!」
そういうと彼女は持っていたキャリーケースから櫛を取り出して私の髪を整え始めた。
「え?ちょっと⁉︎それくらい自分でやれるわよ!」
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マユと女性が下がったのを確認し綾時に声をかける。
「とりあえず半々で」
「了解。僕は右から叩くよ」
敵の数は10。綾時と敵の倒す数を折半し、僕は左からガイコツの群れに突っ込む。
「ふっ!」
ザシュッ!
グオォォ…
今使っている剣は''デオスクシポス''。
四大天使のミカエルが使っていたとされる神の剣だ。
その聖なる力のおかげで、特に苦労せずガイコツは塵になっていく。
「よっと」
ガアァァ…
5体目を倒し綾時の方を見ると、どうやら向こうも終わったようである。
肩慣らしにもなりゃしない。
「さて…マユー!終わったよー!」
敵を倒し、安全を確認した後、離れていたマユを呼び寄せる。
「はーい!あなた〜!お疲れ様♡」
「…助けてくれてありがとう。それで!あなた達は何者ですか⁉︎」
うん。お礼は大事。古事記にも書いてある。
正直発狂してないか心配だったけどこれなら大丈夫だろう。
「まぁ慌てないで。僕、生存者に会ったら言いたいことがあったんだ」
「なんだい湊君?藪から棒に?」
「じゃあいくよ…」
「ワクワク…!」
「えっ⁉︎ちょっと待って⁉︎私ついてけないんだけど⁉︎」
「第1生存者発見!」
「笑コラか〜い!」
「わぁ!マユ、ダーツの旅だぁい好き!」
「え?何それ?私知らないわよそんなの⁉︎それよりあなた達は何者なの⁉︎」
「…次回へ続く!」
「お願いだから私の話も聞いてー!」
チュートリアル後の10連召喚で仲間になる鯖募集中。