一般市民から見たボーダーの景色。   作:あなからー

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 妄想のストックが切れたら最終回です。つまりは見切り発車である う~んこの

 時系列的には(多分)遠征組が帰ってきて空閑遊真関係のバトルが終わった辺りです。

 今回は諏訪編。


21歳組②

 突然だが、”輪廻転生”という言葉を知っているだろうか。物凄く雑に言うと、死んだらその生の徳によって次の人生が決まる、というアレである。

 

 何故そんな事をいきなり聞くのか? と思う奴もいるかもしれないが、これにはれっきとした理由がある。そう、実はこの俺『上月 見守』は転生者だったのだ。因みに前世は座布団。きっと昔に沢山の人の膝や脛を救ってきたが故に今世では人の生を得られたのだろう。ふふふ、この人間としての生でも徳を積み、善く生きることが出来るように「おい」

 

 ……。善く生きることが出来るように――

 

「聞いてんのかよ」

 

「邪魔をしないでくれコータロー。俺は徳を積んでだな」

 

「お前、宗教史の講義の影響受けすぎだろ……」

 

「いや、あの授業超面白いんだって」

 

 勿論さっきまでのは大嘘である。俺は別に転生者でもないし前世が座布団であることもない。つーか輪廻転生ってフツー記憶引き継がないだろHAHAHA。ごめん嘘、そこら辺の話聞いてなかった。いやもしかしたら話してないだけかもしれない。あの先生、講義への力の入れ方が特殊だからなぁ……。

 

「それより、もし暇なら久しぶりに打ちにいかねぇか?」

 

「好きだよなぁお前も。ま、別にいいぞ。今日はバイト入れてないし」

 

「よっしゃ!そんじゃ早速行こうぜ!」

 

 さて、コータローと何の話をしているかというと、要は『麻雀打とうぜ』って話である。この男、麻雀が大好きなのだ。

 

「場所はいつもの所でいいのか?」

 

「おう。つーか、あそこ以外に入ったら騒ぎになって面倒くせぇ」

 

 まぁボーダー隊員が昼間っから雀荘ってのは騒ぎになってもしゃーない。反対派の中の過激な人間が混じっちゃうともう大変だ。多分あの人達が一番コイツらの事ヒーローだと思ってるんじゃないかってくらいルールに厳しいからな。変に選ばれちゃうと大変だって事だ。その点、俺は試験に落ちたからな!適性が云々って言ってた。多分あれは『君みたいな不真面目な奴が入ってしまうとボーダーの印象が悪くなる』みたいな感じなんだろう。あれ、どうしてコータローは受かったんだ……?

 

 

 

 

        *

 

 

 やってきたのは少し古い外観の雀荘。新しい所は若い子が多いから諏訪が入ると以下略。その点、ここなら若い子は殆ど来ないし常連の人たちともある程度の面識がある。ついでにいい台なのに安い! らしい。俺は台の事詳しくないから分からん。

 

「うぃーっす」

 

「こんちはー」

 

 扉を開けると、やはり平日の昼間だからなのか客は殆どいなかった。

 

「おぅ、ボーダーの坊主共じゃねぇか。授業はサボりかい?」

 

 店長が笑いながらコータローに受付用紙を渡した。俺も受け取って書いていく。名前やらを記入した後、コータローに一緒に渡してもらう。

 

「授業終わってすぐに来たんだよ。……よし、これで頼んますわ」

 

 受付を終わらせると、早速席へ通された。対局開始だ。

 

 

 

 

「全く、ボーダーの連中はどいつもこいつもいい子ちゃんばかりでいかん」

 

 そう言いながら牌を並べ直していく常連客のおっさん。このようなことを言っているが、この人は別にボーダー反対派じゃなくて、口が悪いだけだ。

 

「印象を良くしたいのか知らんが、真面目過ぎるンだわ。もっとガキを楽しめっちゅうに。それか諏訪みたいなのとつるんでみてもいいかもしれん」 

 

「おいおい、俺ァ真面目じゃねえってのかよ」

 

「勉強終わった後直ぐに打ちに来る奴が真面目なもんかい」

 

 うわぁ、これは正論ですね間違いない。少なくとも真面目な奴は昼下がりから麻雀をしないだろう。

 

「そらそうよ。見た目からしても、真面目には見えんわぁ」

 

 もう一人の対局相手である、関西弁っぽい訛の雀荘メンバーが同意を示したことで、数的にはコータローが不利になった。俺? いや、別に俺もコータローが真面目だと思った事ってあんまりないし。庇う理由が特に見つからないのに庇いはしない。

 

「けっ、悪かったよ」

 

 悪態をつく諏訪、その顔は顰めっ面に見えるがしかし、作っているように見える。あ、これ多分速いわ。

 

「ちゃうちゃう、別に悪口言ってんのとちゃうって。アレやろ? この人が言いたいんは『お前みたいなンがおらんと、綺麗過ぎて取っ付きにくい』って事やろ?」

 

 成る程、確かに。嵐山隊の面々とか、清楚系の集まりって感じがする。隊長の嵐山くんとかもう風貌からして爽やかイケメンだし、木虎ちゃんだって『清楚』『高潔』みたいな佇まいしてるもん(曖昧)。でも俺は時枝くんにはちょっと親近感覚えちゃうんだけどね。一番メディア露出が高いのは彼らだろうし、まあそう見えても仕方ないよなあ。コータローのフォローついでに同意しておくか。

 

「あー、ちょっと分かります。俺だって、コータローと会う前は『ボーダー隊員は全員ストイックで生真面目』ってイメージありましたもん。こいつと会って安心しましたよ」

 

 そのイメージの一番大きな原因は蒼也です。あいつ隙あらば鍛錬だからな。俺も流されてジム通いすることになったし。まあ運動になるからいいんだけどね。

 

「いや知らんけど」

 

「おい」

 

 急な手のひら返しに思わず自分の牌を崩しそうになってしまった。俺のフォロー台無し。今までの納得を返してくれ。

 

「そんな他人の考えなんか分かる訳ないやん、僕の想像やよ。……ん、リーチ」

 

「おぉ、兄ちゃん速えな。うーむ……」

 

 おっさんが唸りながら暫く考えた後打牌。その後こう続けた。

 

「まァ諏訪がテレビ出てこの雀荘みたいな態度取ってたら俺はボーダーの応援止めるけどな」

 

 それは間違いない。俺だって多分そうする、ごめん嘘絶対そうする。何故かって、やっぱり第一印象って大事なんだよ。言っちゃ悪いから言わないけれど、コータローは見た目だけだとかなり悪人面してるしなぁ。そう考えると、結局嵐山隊とかが適任なんだよな。

 

「どいつもこいつも張本人の前で言いやがって。もう許さねえ、オラァ! 追っかけリーチだ!」

 

 そんな事を考えていると、いつの間にかコータローも牌を曲げていた。ほれ見ろ、やっぱり速かった。……あー、無理。一旦考えるの中断、オワオワリですし逃げまーす!

 

 

 

       *

 

 

 

 時は流れて夕暮れ。俺の横を歩くコータローは、見事なまでのニヤケ顔であった。

 

「いやぁ、今日はツイてたぜ。あの二人の鼻も明かせたし最高だ」

 

「俺は友達から毟られないかドキドキだったよ」

 

 今日のコータローにはとてもツキがあったようで、終わってみれば彼の一人勝ちだった。彼の初めの親番で倍満をツモってからというもの、後の局もその次の半荘もずっとコータローがペースを握り続けて4連トップ。文句なしの大勝だ。

 

「そんなこと言っといて4半荘で一度も放銃してねえじゃねーか。嫌な奴だなァ」

 

「おいおい勘弁してくれ、逃げるので精一杯だっただけだ。ほら、トップ一回も取ってないだろ?」

 

「ラスも取ってねぇじゃねえか」

 

「そこはほら、ラス回避って奴だよ」

 

 俺の成績は2位が2回、3位が2回の実質±0だった。実際はちょっとだけマイナスだったけど、それくらいは些細なことだと思いたい。

 

 二人で歩いていると、歩道橋の階段で困っているお婆さんを見つけた。階段を登っている姿を見るに、どうやら荷物が重そうだ。大変そうだなぁ。他人事みたいになっちゃって申し訳ないけど――? あれ、コータローがいない。……って!

 

 横に向けていた視線を前に移すと、いつの間にかコータローがお婆さんの方へ走っていた。慌てて俺もその後を追う。

 

「おいばーさん、荷物持つぜ……よっ、と」

 

 そう言うと、コータローはお婆さんの荷物を背負いあげ、そのまま彼女の手を繋いで階段を登り始めた。俺も便乗してもう片方の手を取りながら、歩調を合わせて階段を登っていった。

 

 階段を登りながら考える。コータローの良い所は、ああいった人情に溢れている所だと俺は思う。悪ぶってるように見せかけて実は良い奴ってのは最近のライトノベルで幾らでもあるけれど、コイツの場合はまず根が善人だ。悪ぶってるように見せるんじゃなくて悪ぶってるように()()()タイプ。性格がガサツなのがそう見られる原因なんじゃないかな。かわいそう(他人事)

 

 

 

「お兄さん達、有難うね。助かったよ」

 

「おう、もう暗いから足元気をつけろよ」

 

「どういたしまして。それじゃ」

 

 歩道橋を渡り終えた後、お婆さんと別れてまた帰り道を歩く。流されたとはいえ、人助けをするとなんだか気分がいいな。もしかしてこれはさっき講義で習った徳 ではないだろうか。

 

 良い事をしたな、そう言おうと横を向くと、コータローは何時もと変わらない表情。――ああクソ、俺、恥ずかしいなぁ。俺が行動した発端だってコータローなのに、いつの間にか俺が良い事をした、と思い込んでいた。自らの浅ましさに腹が立った。

 そしてそれと同時に、コータローへの尊敬の念が増した気がした。うん、やっぱり、良い奴なんだよなあ。本人は惚けるだろうけどな。……などと考えていたらいつの間にか思考が顔に出ていたようだ。コータローからの視線が痛い。

 

「お前、何笑ってんだよ」

 

「んー? 何でもねえよ」

 

「なんだこいつ、気味悪ィ」

 

 さっきのコータローの行動は、今の社会においては「賞賛されるべき行動」なのだろうと思う。お年寄りを助ける事、妊婦さんに電車やバスの席を譲る事、赤ん坊を抱っこしている女性の代わりにベビーカーを持つ事……。それらが当たり前でないからこそ、「賞賛すべき行動」だと捉えられる。だけどコータロー本人にそんな気はなくて、さもそれが当然であるかのようにそれを行うのだ。そして俺はそういったところが大好きなんだろう。

 

「いやぁ、コータローは相変わらずコータローだなぁと思ってさ」

 

「あぁ?どういう意味だよ」

 

「秘密ー」

 

 本人に直接言うと絶対に照れるからな。変にそういった事を意識させたくもない。俺の我儘ではあるけれど、コータローはこれからもコータローでいて欲しいし。だから教えない。すまんね。

 

「おい、気になるだろ。教えろ」

 

「いやいや、良い意味で言っただけだ。他意なんかないって」

 

「だーっ、そういう事言われたら余計気になるんだよ! ……さあ吐け、何を考えていた」

 

「あ、蒼也のモノマネ結構上手いな。言いそう言いそう」

 

「そうだろ?……ってそうじゃねぇよ!おい――」

 

 ま、そんなこんなで三門市は今日も平和だった。明日も良い日になりますように。




 風間が麻雀をしたら鳴きをよく入れた、安くて速い手をガンガン和了って、偶にダマテン満貫とかぶち当てるタイプだと思います あとリーチされたら絶対長考が増える 「待て、どちらがより安全か判断しているんだ」って言いそう(妄想)

 妄想を超スピードで書き起こしたので多分脱字とかあると思いますゆるして
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