一般市民から見たボーダーの景色。   作:あなからー

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 お久しぶりです。Elonaとかグラブルとかスマブラとかやってたら新年になってました 全部ガチャピンと任天堂が悪い 

 あと、相も変わらずこのお話は全て妄想で出来ておりますので悪しからず。


 ~追記~
 三上歌歩さんの名前を間違えているというご指摘を頂きました。誠に申し訳ありませんでした……!
 現在は修正しております、ご指摘ありがとうございました。

 


17歳組①

 ――当たり前だったと思っていたモノがいきなりなくなって、当たり前じゃない事に気づいた。

 

 そう、ここは三門市。四年前にあの化け物が来て、沢山の人が殺されて。そして、ボーダーという組織が出来て色々と変わっていった街。

 

 まあ、変わったといっても今は生活自体にはそこまで変化はない。立入禁止の区域があったりはするけれど、今はそれでもいわゆる”普通”の生活は出来ている。ただし、それはあくまで”三門市においての普通”であって、世間一般の普通とは違うのかもしれないけれど。相変わらず化け物は湧くし、ボーダーとかいうのがドでかい建物は建てるしで、なんとも言えない感じだ。

 もうちょっとあの建物がオシャレにならないだろうか。そんな事を考えながら昨日夜遅くまでレポートに勤しんでいた兄さんを起こした後、家を出る。

 

 学校に着いたのは大体20分くらい後。

 

「望、おはー」

「ん、おはよ。……さむ」

「寒いねー、マジで足辛い。なんで下スカートじゃなきゃ駄目なの?」

「うち変なとこで古いよね。なんとかして欲しいんだけど……」

「やー、無理じゃない? あのオバサン達頭固いし」

「いや言い方」

 

 同じクラスの子と無駄話をしながら校内へと歩いていく。女子高生は4割の無駄話、3割の恋バナ、2割の甘い物、そして残りのなんか色々で出来ているのだ。同じクラスのお嬢様が言っていたから間違いない。

 さて、それはそれとして。そろそろカーディガンを出す時期だぞ、そんなメッセージが込められたかのような冷たい風が吹く。普通にスカートを履いていると足が冷えて仕方がない。スカートの下にジャージを履くことをそろそろ許可してくれたっていいと思うんだけど、なんでもそれはイメージ的に不味いんだとか。イメージって何。JKブランドの生足を見せつけていけってやつなのだろうか。それともスカートの下にジャージは偏差値が低く見られる、みたいな感じなのだろうか。いや、イメージとかどうでもいいから温もりが欲しいんだけど。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 さて、時は流れて昼休み。

 

 

 ――ああ、そうそう。忘れてた。

 

 私、上月望(かみつき のぞみ)は紛うことなき一般人だ。何の能力も持たず、特に金持ちだとか貧乏だとかいうワケでもない正真正銘の庶民。

 敢えて普通に比べて優れていそうな所を挙げるとすれば、体力があることくらいかな。あと、何故かやたら背が高い。これは割と……いや、かなりコンプレックスだったりもするんだけども。

 

「んー?」

「一緒にお昼ご飯食べよう?」

「ん、いいよ」

 

 そしてそんな私を昼食に誘ってくれる天使のような女の子――この子は三上 歌歩(みかみ かほ)。私の同級生で、ボーダーで働いている凄い子で、そして私の大切な友達だ。あと超可愛い(とても大事なところ)。

 

 なんでも、兄さんの友人や弟の友人にもボーダー隊員が多いらしい。何か特別な縁があるのか、と聞かれることもあるけど、そんなものはない。兄さんは風間さんとは昔から仲が良かったけど、それ以外の友達は皆大学で出来たようだし。弟や私の場合も気づいたらいつの間にか交友関係が出来上がっていただけで、昔からの友人だった、といったことも一切ない。まあ、生まれた時からこの街に住んでいたら必然的にそういうことも結構多かったりするので気にしたことはあんまりなかったりする。

 

「やっぱ大変なの? ボーダー」

「楽しいけど、やっぱりちょっとね」

「ふーん……まあ、何度も言うけど無理だけはダメだよ」

「うん! ありがとう、望ちゃん」

 

 フツーのアルバイトしかしたことのない私には、学生として勉強をしつつ既にボーダーの隊員として働いている彼女の大変さが分かるわけがない。出来るのは精々、労うことと、彼女が辛い時に一緒にいてやることだけ。

 

 そもそも、他人の大変さなんてそうそう簡単に分かるものではないと思う。実際にやってもいないのに想像だけで必要以上のリアクションを取る事にどんな意味があるんだろうか。――や、我ながら理屈っぽくて面倒くさいとは思うけれど。

 

 まあそんな事を考えてしまうからこそ、いつだったか彼女に言ったことがある。私なんかと一緒にいても、楽しくないでしょう、と。

 

 それに対する彼女の返答。

 

「ううん、そんなことないよ! ……それにね、望ちゃんといるととっても落ち着くの。安心出来るっていうか、なんなのかな。えへへ」

 

 照れくさそうに、最後にニコッと笑ったところで私の記憶は途切れている。

 

 ああ……これは堕ちる。誰でも堕ちる。いや、堕ちた。ずっと謎だった(可愛いから謎ではないんだけども)、男子が彼女に次々と惚れていく理由が分かった気がした。この子、天使に見せかけた小悪魔だ。無自覚で人を堕としてきやがる。

 

 そんな無自覚な小悪魔娘は今日もニコニコと笑いながら美味しそうにお弁当を食べている。小動物みたいでとても可愛らしい。少し可愛さを分けてもらえないだろうか。代わりに身長分けるから。お世辞にも可愛いなどとは言えない自分の背の高さを思い浮かべ、なんだか哀しくなった。

 

 

    *

 

 

 

「――それにしても、望ちゃんってやっぱり凄いね」

 

 授業が終わって、放課後。二人一緒に校門を出た。

 

「ん?」

「今日だってああやって年上の人に言い返してさ、とってもカッコよかったよ!」

「あー……。いや、あんまりああいうのってやらない方がいいんだけどね。ここ上下関係厳しいし、後々面倒だし」

「それでもだよ。私も望ちゃんみたいなカッコいい女の子になりたかったなあ」

「そんないいもんじゃないけどね。でもまあ、ありがと」

 

 彼女が言っているのは恐らく授業が終わって直ぐに起こった出来事だろう。出来事と言っても、教室を出た途端、一つ上の先輩に難癖をつけられたのでテキトーにあしらっただけなんだけど。

 

 私は背が高い。故に目立つし、自分で言うのもなんだけど女子ウケはいい方だといえる。しかし、そういうのが気に入らない方々も勿論存在するわけで。私に難癖をつけてくるのは、まあそういった人たちだ。曰く、「王子様になろうとしてるのが見え見え」らしい。

 先程はそんな彼女たちに「へえ、先輩は私の事を王子様みたいだと思ってくれているんですね」と返してきた。暗に「そうでもしないとそんな言葉は出てこないでしょう?」という意味を含めて。ちょっとキザな演技も忘れない。

 

 女子高生というのは「空気」や「裏の意味」を必死に読もうとする生き物だ。勿論、全員がそういうわけじゃないけど。だから、こういう風に言ってやれば直ぐに彼女たちはそれを探そうとしてもう一つの意味に気づいてくれる。後は顔を真っ赤にして喚く彼女達を無視して帰ってしまえばいい。目撃者は沢山、それも私と同じクラスの子がいるのだからどちらが有利なのかは誰だって分かる。

 当たり前だけど、私の反論なんて全く理屈じゃない。「いや、そうはならんやろ」などと冷静に返されてしまえば終わりだ。だけどこういった言い争いにおいては――これは兄さんの受け売りだけど――『正しいと一瞬でも思わせれば勝ち』なのだ。

 

 それはともかく、歌歩はこうやって私の事を褒めてくれる。それは自分が認められているって事だから勿論嬉しい。……だけど、反面複雑なところもある。私は、それこそ歌歩のように優しくて可愛い女の子になりたかったから。勿論今の私になったことに後悔はないけれど、それでもたまに彼女のことを羨ましく思ってしまう。

 

 ……さて、そんな私の性格の形成において大きい影響を及ぼしたのが兄さんの言葉だ。

 

『いいか望、信二。目ってのは口ほどに……いや、それ以上にモノを言うんだ。いくら口であれこれと言っていても、目をしっかり見てるとなんとなく「あ、これは嘘だな」ってのが分かる時がある。勿論、嘘だと分からない時だってあるけど……でも、真偽を見破る技術はあって困らないからな。普段からしっかりと人を観察しておくといい』

 

 当時は全く意味が分からなかったし、今でもそんな事を私達が小さい時に言うんじゃないと思ってるけど、今なら理解が出来る。いや、理解……というよりは実感だろうか。なんとなく目が泳いでいるのが分かったり、嘘かもと思っていたことが実際嘘だったことがあった。特にカースト上位の女子グループの会話はヤバイ。もう泥沼。しかし、それでも私はその嘘と欺瞞の中で過ごしていかなければいけない。残りの1年を我慢して無難に過ごすか、変に反抗して嫌がらせを受けるか。どちらが楽かは明白だから。

 

 その点、歌歩はそういった嘘くささというものが一切感じられない。素朴、素直、清楚。こんな言葉がよく似合う、とっても素敵な子だ。守りたい、その笑顔。

 ……だけど、その性格は厄介なものを引き寄せることもある。だから私がキチンと言っておかなければならない。

 

「歌歩は無防備すぎなの。世の中、善人ばっかりじゃないんだから自己防衛はちゃんとしないと」

 

 テレビのかっこいい占い師のお兄さんも「自己防衛」とか言ってたし。兄さんも言ってたし。

 

「う~ん……そうだよね。でも、望ちゃんが守ってくれるんだったよね?」

 

 フワ、という擬音が付きそうなくらい華やかに彼女は笑った。

 そうやって邪気のない微笑みを向けるな。そういうところだぞ、歌歩(彼氏面)。言いかけた言葉をぐっと堪える。

 

「当然。でも、もしかしたら私がいない時に危ない目に遭う時があるかもしれないから、自衛手段を教えておくよ。いい? もし変な奴に言い寄られた時はこう、足を振り上げて……」

「ちょ、道路でそんな足上げたら駄目だよっ!」

「平気平気、うん……誰もいないし。ホラ、実は下に体操ふ」

「わー! ストップストップ!」

 

 顔を赤くしながら必死に私を止めてくる歌歩をからかいながら帰り道を二人で歩く。何も起こらない平穏な、私の大好きな時間。

 

 今日もまた、無難に1日を過ごすことが出来た。明日もこんな感じで平和だといいな。




 二次創作書くの久々すぎて書き方を忘れました。

 オリジナルで女の子を書こうとするとそうあがいでもなんちゃってクール系になってしまう罠 どうすりゃいいんだ……

 あ、そうだ(唐突)。三上歌歩ちゃんは無自覚に小悪魔なところがあるんですよ(妄想)
 天使と小悪魔の二面性、とてもよろしい。ええ、よろしい。
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