堕天使転生   作:火影みみみ

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堕天使転生

 やあ、突然こんな辺鄙なところに連れてこられて戸惑ってると思うけど、残念なことに君は死んでしまったのさ。

 覚えがない? 死にたてにはよくあることさ、きっとすぐに思い出すよ。

 さて、君を呼び出したのにはわけがあってね。これから君に選んでもらわなくちゃいけないことがあるんだ。

 ひとつは記憶を消して元の世界に転生しなおすこと、これはまあただのやり直しだね。特に補足とかはないよ。

 ふたつめは記憶を消さないで転生すること。その際に特別な力が与えられるけど何が出るかはお楽しみ。ついでにどの世界に転生するか、もしくはどう転生するのかもランダムだ。まあ、頑張りたまえ。

 みっつめは転生しないでここで働くこと。私的にはこれがおすすめ、私の仕事が若干楽になるからね。作業内容は担当天使が教えてくれるさ。

 で君はどれにする?

 ……ほうほうふたつめをご希望とな、なかなかチャレンジャーだね。

 お仲間になれないのは寂しいけど君の旅路を陰ながら応援することにするよ。

 じゃあさっそく君に与えられる力を選ぶことにしよう。

 この箱のなかからてきとうに1枚ひいて、その紙に書かれてる内容が君の力になるのさ。

 え、近所の福引きを思いだしたって、まあ似たようなものさ、ほれさっさとひきたまえ。

 …………へぇ、それが出るなんて珍しいね。最近じゃ、アニメや漫画中心だったからひさびさにみたよ。

 え? これでどうするんだって?

 わかってないなー、これって下手に強力なモノにするよりは遥かに使い勝手がいいんだよ。

 多分それそのものは持ち込めないからよくあるゲームのように空中にメニュー画面が浮かぶ形式になると思うよ。

 詳しいことは自分で慣れていくしかないから、あとの説明は省くね。

 じゃ、よき人生を、今度は早死にしないでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ! 何かとても個性的なお姉さんにいろいろ言われた後に空中落下する夢を見たっす……」

 

 あれはいったい何だったのか、妙に現実味のある悪夢を思いだし体を震わせる。

 

「ネット小説の読みすぎっすねきっと、昨日は夜更かしし過ぎたかもしれないっす」

 

 そう結論付け立ち上がり、周囲の景色を認識した瞬間うちの思考は停止した。

 

「あれ……、ここどこっすか?」

 

 周囲を見回すが木木木の樹海のような場所にうちはいた。

 空も暗くいまが夜であることはわかるが、明かりもないのでここがどこだかさっぱりわからない。

 

「うちはいつのまにこんなところに……、しかもいつの間にかうち服も変わってるし」

 

 ふと自身へ視線を向ければきれいな白と黒のゴスロリ、正式名ゴシック&ロリータ風の衣装へと様変わりしてした。

 

「ええ……なんすかこれ、もしかしてさっきの夢って夢じゃなかったっすか? よくよく見てみれば髪も金髪に変わってるし、ちょっとどころかかなりショックなんですけどぉ…………」

 

 地面にへたりこみそのまま丸くなる。

 そうしたって目の前の現実が変わるわけでもないっすが、いまはただなにもしたくない。

 

 そうして何十分が過ぎただろうか?

 いい加減体賀しんどくなってきたのでゆっくりと体をあげるとふとした違和感に気がついた。

 

「なんか、焦げ臭くないっすか?」

 

 そう、うちの周囲に漂い始めた異臭と僅かな煙。

 それはこの近くで何かが燃えていることを示してした。

 

「…………まあ、じっとしていても始まらないっすからね」

 

 うちはそのままその火元があると思われる場所へと歩いていく。

 煙と異臭を道しるべに、ゆっくりとしかし確実にそこへ近づいていく。

 火元へとたどり着くと、そこで森は終わっていた。

 そこは森林のなかに作られた村落のようで、村の周囲の木を丹念に伐採し、その木材で家々を造り上げていたのが容易に創造できた。

 普段ならさぞかしきれいな風景や自然の恵みを堪能できただろうけど……、

 

「もっと早くに来たかったっすねぇ……」

 

 所々に元となった風景の面影らしきものを残し、森林の中に造られたその村落は見るも無残な姿になり果てていた。

 木でできたからか家々は激しく燃え盛り、田畑は荒れ果て、村のあちこちに無残な屍となった人間が転がっている。

 

「ん~、燃え盛ってるとこを見るに惨劇が起こったのはそう前じゃないはずなんすけど、悲鳴も何も聞こえないっすねぇ……」

 

 気になったうちはその村へ足を踏み入れる。

 近づくごとに焦げ臭さと血液の嫌なに臭いが濃くなってくる。

 

「うへぇ、まったくこんなことするのってどこの山賊なんすかね……、お?」

 

 燃え盛る村の中をテキトーに歩くと今だ燃えうつっていない家のそば、木材の影に誰か倒れているのが見えた。

 興味本位で近づくと、それは小さな子供でわずかに胸が上下しているさまからまだ息があることがわかる。

 ただ、全身傷まみれで腹部に切り裂かれたような激しい傷が刻まれていることからほって置けば死んでしまうのは明らかだった。

 

「えっとあの人が言うにはこうやってゲームを操作するように……、おお出たっす!」

 

 うちが何もない空中で適当に手を振っていると急にゲームで見るような青いステータス画面が現れる。

 そこには魔力や耐久力、プラーナやクラス、属性やコネクションなどゲームっぽい項目が多く生前のよく見ていただけあって何がどれを現しているのかすぐに理解できた。

 

「えっとうちのクラスは使徒と転生者、レベルは5、まあこんなもんっしょ、特技特技は……お、ヒールがあるっす」

 

 適当に手をその子にかざし、ヒールと唱える。

 するとうちの手のひらから放たれた白い光がその子を包んだかと思うと、その子の傷がみるみるうちに回復していく。

 青ざめていた顔もすっかり生気を取り戻し、あとはこの子をどこか安全な場所へ移すことができればこの子が死ぬことはない。

 そう思いこの子を背負い、動き始める。

 ほかの生存者がいないか探すけれど、この子以外に生き残りはいないようであとは死体しかでない。

 

「ままならないもんっすね」

 

 村から少し離れ、木の陰にその子を寝かせる。

 

「そうは思わないっすか、あんたたちは?」

 

 うちがそう言って振り返ると、そこに最初からいたかのように不気味な集団が現れた。

 あるものは血まみれの刀を持ち、あるものは村人の死体を引きずり、またあるのは衣服のすべてが返り血でそまり赤黒く変色しているにも関わらずそれを異常でないかのように普通に着こなしている。

 そんな十人十色な彼らだったが一つだけ共通点があった。

 

 それは彼らの腰のあたりから黒い蝙蝠のよな翼が生えていることだった。

 

「ひゃっはっは! もう全員切り殺しちまったかとおもったがまだ二人も残ってやがるなんて斬りがいがあるじゃねえか!」

 

「もうだめよ、あれは私がもらうの、内臓ぐちゃぐちゃにして部屋に飾るんだから」

 

「は? 何言ってやがる、俺が殺すにきまってんだろ?」

 

「ええ~、何このシリアルキラー集団、かなりドン引きなんすけど」

 

 どうやらこの惨劇を引き起こしたのは彼らで間違いないようで、聞く手間が省けたと思った。

 

「ひゃっはー、もう我慢できねー!!」

 

 仲間内で口論していた奴らだったがそのうちの一人がしびれを切らせ、うちへと飛び掛かってくる。

 

「死にやがれえええええええええええええええええええええ!!」

 

 刀を頭上に掲げ、そのまま一気に私を両断しようと振り下ろす。

 

「ふぅ」

 

 普通なら恐怖し、体が動けなくなようなこの状況でも。

 

「雑魚はさっさと消えるっす」

 

 

 

 うちは何も感じなかった。

 

 

 

「はへ?」

 

 どちゃり、と水っぽい音が二つ響く。

 

「あれ、なんで俺? 斬られてんの?」

 

 驚愕染まるその表情、その男の下半身はすでになく、離れたところへ力なく横たわている。

 

「あ、そんな、うそぉ……」

 

 その言葉を最後に、そいつはしゃべらなくなる。

 

「まったく、あんたらはどうするんっすか? 今なら大人しく降伏してくれるとありがたいんっすけど」

 

 そう言って、手に持っている剣降り、さっきの男の血液を振りはらう。

 きっとあの男にも、そして奴らにも、うちがいつこれを取り出したのかわからなかったはずだ。うちはただ月衣からこの剣を取り出してそのまま居合いのように斬りつけただけなのに。

 斬ってみてわかったことだけど、こいつらには月衣(げっこう)がない。すなわち、侵魔(エミュレータ)でも魔法使い(ウィザード)でもないということ。

 侵魔でも魔法使いでもでないやつらではうちにはかなわない。

 残念なことに、それがあいつらには理解できなかったようで。

 

「はぁ? 何言ってんだてめえ!!」

 

「野郎ぶっ殺してやらーーー!!」

 

 挑発ととらえた彼らが一斉に襲い掛かってくる。

 

「はあ、まったく、本当に、……我慢の限界っすよ」

 

 村を荒らし、人を殺し、さらにはうちにも刃を向ける。

 なんて醜く、愚かしいことか。

 

「さあ剣よ、その力を見せるっす、フォトンコート!」

 

 その言葉にこたえるように、剣が輝き粒子に包まれる。

 そして私は自然とこう叫んでいた。

 

「神炎の一撃!!」

 

 私がそう叫び剣を振り下ろすと、光は炎となり、豪雨のごとく奴らへと降り注ぎ、そのまま彼らのほとんどを物言わぬ肉塊へと変えた。

 

「げは、がはっ……、まさか上級悪魔の俺が、こんな堕天使なんかに」

 

 そう言って最後の一人も息絶える。

 

「堕天使? おお、うちにも翼があるっす」

 

 首を少し後ろへと傾けると、うちの背中に黒い翼があるのがみえた。

 さっきまでは間違いなくなかったことからこれは出し入れ自由なタイプで、さっき力んだ時に出てきたものと思った。

 

「さっきのが悪魔、そしてうちが堕天使、なら天使もいそうっすね……、にしても」

 

 その先は言葉にすることは躊躇われたが、改めて口に出す。

 

「人を殺しても、全然罪悪感がないもんなんすね」

 

 確実に生命を奪ったというのに、何も感じない。

 これも転生の影響か、それともこの体の影響かはわからない。

 

「まあとにかく、この子のことをなんとかしなとっすね」

 

 すべてを後回しにして、この子をかつぐ。

 

「……おお、思った通り飛べるっす」

 

 羽があるから飛べると思った通り、うちにはその翼で飛ぶことができた。

 

「さて、街はどこっすかね?」

 

 一人の子供を担ぎ、くらい夜の空をうちは飛ぶ。

 ここは一体どこなのか、どういう世界なのかわからないけど。

 

「ま、何とかなるっすよね」

 

 うちは不思議とそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 ただこの時のうちは知らなかった。

 今が西暦1800年代という過去にいること。

 今助けたこの子を預けた村になんやかんやあって私も10年くらいその子の姉扱いでぐだぐだと住んでしまうこと。

 宿っていた神器(セイクリッド・ギア)のせいでまた争いに巻き込まれること。

 堕天使だとばれて村を追い出されること。その5年後くらいにその子がストーカーかと思うほどの執念を見せて追いかけてくること。

 魔剣使いにクラスチェンジすること。

 人を傷つける悪魔や堕天使、エクソシストやその他なんかを適当に狩り続けていたらコカビエルとかいうのに目をつけられること。

 コカビエルを追い払ったかと思えばアザゼルという神話に疎いうちでも知ってる超大物にスカウトされかけること。

 人を助けていたらいつの間にか助けた人たちが集まって組織になっていること。

 大いなる者にクラスチェンジすること。

 堕とし子を生み出せるようになること。

 ヤバいくらいでかい赤いドラゴンに遭遇すること。

 なんか白い鎧をきたやつに喧嘩を売られ、そのまま倒してしまい、執念深く再戦を挑まれたりすること。

 勇者にクラスチェンジすること。

 いつの間にか2000年になっていて愕然とすること。

 コミケに行ったりすること。

 ふと今まで使う機会がなかった財産を確認したらとんでもない量を溜め込んでいてびっくりすること。

 オーフィスとかいうヤバいのに声をかけられたこと。その後数年後くらいにメル友になること。

 

 

 

 そんな楽しくも騒がしい200年が過ぎ、今のうちがどうしているかというと。

 

「ミッテルト、ちょっと出かけてくるわ」

 

「おや? レイナーレお姉さまどこ行くっすか?」

 

「神器を宿した高校生の始末よ、一日で終わるからあなたはここで待機してなさい」

 

「りょーかいっす!」

 

 ビシッと敬礼し、レイナーレを見送る。

 

「さて、うちも行くっすか」

 

 どうも、うちの名前はミッテルト。

 今、レイナーレっていう堕天使の下で適当にザコ堕天使演じてます。

 

 

 




・転生特典「ナイトウィザード3rdエディションのシステム」
 わかりやすく言うと、ハイスクールD×Dの世界で自身をキャラメイクできるようになる。
 レベルが上がるごとにリビルド可能。

・月衣(かぐや)
 魔法使いが常時張っている結界で、常識を遮断する力をもつ。
 これに守られているため物理法則は通用せず、たとえ大気圏から落下したとしても魔法使いにとってそれは道端でこけたのと変わらないくらいのダメージしか受けない。
 また宇宙空間や水中でも呼吸可能、結界内に持ち物を収納可能など様々な恩恵がある。

・使徒
 神の使い、天使などをあらわすクラス

・転生者
 前世の記憶や遺産などを所持するクラス

・魔剣使い
 魔剣を駆使して戦うクラス

・大いなる者
 神、もしくは神に近いものをあらわすクラス

・勇者
 勇気ある者、膨大なプラーナや特殊な使命を帯びている

・プラーナ
 灼眼のシャナの存在の力のようなもの

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