アイちゃんってなんでこんなに可愛いんだろう 作:ppが足りない
「……おっきぃ」
なんだ……これ……
見上げる程に巨大な壁。
上に向けすぎて首が痛くなってきそうだ、てか痛くなってきた。
「……いや、そんなまさかな……あははは……いや、違うって」
と、取り敢えず中入ろう……そうしよう。
「……人……黒い人……耳生えてる人……小さい人……これって……」
城壁の中には案外簡単に入れた。
コートで全身覆ってる怪しい奴によく声かけないな、危機感ないのか?この国は。
「や、そうか。ここ……国じゃなくて都市か……はは……」
ここまで来たら分かる。
あれだ、これ……ダンまちだっけ?それだ。
……意味わかんねぇよ……
何だよこれ……いきなり俺の身体がアイちゃんの身体になってるし知らない間によく知りもしないダンまち?の世界にいるしどうなってんだよこれ……
「もしかしてさっきのって……」
あの白い髪……あれってもしかしなくてももしかするよな?
……幸先悪いなぁおい……
「取り敢えず……歩こう」
ここで立ち止まってたら不審者扱いされる。
ただでさえ顔とか隠すためにくるまってるのにこれ以上目立ったら洒落にならん。
翼みたいのがどうしよう思ったら収納出来たから良かったとして(意外に高性能だなこの身体)ドレスがふわっふわしすぎてコートの下の部分がふわっふわしてる。
何か機械の身体なのにそんな感じしないし今の所は普通で居られるけどいつまでもボロが出ない訳じゃないし取り敢えず歩かないと。
という事でうん、歩こう。
俺は宛のない旅に出ることにした。
「これが……バベル……」
デカいなぁ。
これ高さどんくらいあんだろ?
これの頂上にあれ、えっと、フレイヤ?が住んでんだよな。
よく分からんけどあのビッチそうな見た目してるのあんま好きじゃないんだよなぁ、実際どうかは知んないけど。
「他にも見てみよ」
バベル周辺の所も見てみる事にした。
ダンまちの事は友達がギャーギャー言ってるのを聞いた位で実際あんま知んない。
ベル君のスキルチート過ぎるやろとも聞いたけど、どんなスキルかあんまし知んないのよね。
てことでダンまちの世界の地図とかも知らないんだけど……
「……広すぎる」
どこ……ここ……迷った?
……………………やべぇ、どうしよう
「どうにかしてさっきの道に戻んないとこれ以上迷ったら……あ、元からこの世界のこと知らないじゃん」
あ、そっかぁ……それならどこいっても道に迷ってるみたいなもんだから迷ってる心配しなくていいから安心だね!あははははは!
……じゃねーよ!
「ど、どうしよう……」
誰かに聞こうか……でも、なんて聞いたらいい?取り敢えず大通りに出る道聞くか?
でも出た所で詰むことに変わりはないし……
どうしたらいい?こんな時にどうするべきなんだ?
誰か異世界に転生した時のチュートリアル的なものを教えてくれよォ!
もうどうしようもなくなって自暴自棄になりかけてた時に救いの声が掛けられたのは俺が発狂して笑い出す直前だった。
「君、どうしたのかな?迷子かい?」
「……へ?」
声のした方向に目を向けてみればそこにいたのは金髪の短髪の少年だった。
そしてその後ろにいるのは多数の人達。
中でもガタイのいいおっさんと長身の女の人と銀色の目つきの悪い男と褐色肌の女二人と金髪の女の人だった。
……あっるぇー?この方達何処かで見た事があるような気が……ん?よくよく見てみればこの人達の後ろに何か建物あるぞ?
えっと、ピエロの旗マークかぁ……なかなか趣味のいい印してますねぇ。
……ロキファミリアじゃねーか……
「えっと、その……」
「……?女の子かな?もしかして僕達のファミリアに何か用があったりするのかな?」
この人の俺を心配するような視線が辛い。
そしてそれ以上に俺を見る目が完全にちっちゃい女の子を見る目で辛い。
こういう時はどうしたらいいんだろうか?
取り敢えず頷いとく?いやいや、そしたらロキファミリアに用があるって事になっちゃうでしょ。
なので違う事を示そうと口を開こうとした時に凄く荒々しい声が先に届いた。
「んだよてめぇ、ロキファミリアに何か用でもあんのか?あぁ!?」
「え、えっと……その……」
「声小さくて聞こえねぇよ!」
「ひいっ!」
や、ヤバい奴だこの人!てか声!声あれじゃん!ロリコンじゃん!ロリコンなら幼女にはもっと優しくしろよこの野郎が!!!
「ちょっとベート!小さい子相手になに大声出してんの!ほんとひくわぁ〜」
「なっ、ティオナてめぇ!」
「それでどうしたのかな?お姉さんに教えてくれる?」
褐色肌の胸がない方がロリコンに向けて文句言って大きい方が声をかけてきた。
……うん、これ以上黙ってたらやばそうだし返事しとこう。
「じ、実は道に「ん?どないしたーん?立ち止まって?」……あ」
何かエセ関西弁っぽい女の人の声が聞こえてきたと思ったら短い赤い髪の女の人が人ごみ掻き分けてこっちに走ってきた。
あ、なんだろ、この人ヤバい奴だ。
なんか分かる。
これこのまま逃げた方がいいわ。
「あ、あの……私はこれで……っ」
急に突風が来て思わず目をつぶってしまう。
この身体でもこういう所は変わらないんだな。
ふぅー、やっとやんだ。良かった良かった。
……あれ?皆さん何でこっち見てるの?なんで?
「か……」
「……え?」
「可愛いいいいい!!!!」
赤髪の女の人の絶叫がここら一帯にこだました。
今から遠征に向かおうとロキの見送りでホームを出た所にその子はいた。
麻布のコートで全身を覆ってるけど恐らく子供かな?
パルゥムとも考えられるけど何となくそんな気がする。
「君、どうしたのかな?迷子かい?」
「……へ?」
その子は可愛らしい高い声を出して小首を傾げて疑問口調の返事を返す。
フードを深く被っていて顔はよく見えないけど声からしてまだ子供の女の子らしい。
ロキファミリアに用事がある線も考えられるから聞いてみると言葉を濁している。
裏がある様には感じられないし恐らく純粋に戸惑っているんだろう、迷子の線が濃厚だな。
「お兄さんに「おいこらガキ」……ベート」
まだ小さい女の子相手にベートがどう見ても威嚇している様にしか見えない態度で凄んでいる。
女の子はひっと悲鳴をあげて震えている。
ほんとにベートはこれだから……
「ちょっとベート!」
「っ、ティオナ邪魔すんな!」
「大丈夫?怖くないからね、あの犬は後でお仕置きしとくから」
僕がベートに注意しようと思った時にティオナとティオネがサポートに入ってくれた。
相手が同じ女性だから安心したのか女の子が口を開こうとした時にロキが走り寄ってくる。
どうやらいつまで経っても立ち止まってる僕達に何かあったのかと見てきた様だ。
そこで今の状況を説明しようとした時、突風が吹き荒れた。
その風は目の前の女の子のフードも剥がしその顔が顕になる。
その女の子は簡単に言うならとても可愛らしかった。
右目が黄色で左目が赤いオッドアイ。
その髪は銀色でとても滑らかなのが見ただけで分かる。
その顔は美少女といっても全く差し支えなく大人になったらきっと美人になるであろう事が分かる。
気になるのはその耳に付けているものだけど……今はそれよりも不味い事がある。
「ロキ「可愛いいいいい!!!!」……遅かったか」
僕が気づいた頃には彼女の体はロキの腕に包まれていた。
「なんやこの可愛い子!どこで見つけてきたん!?フィン!」
「うん、それは説明するけど取り敢えずその子を放してあげて?ビックリしてるから」
「嫌や!こんな可愛い子を離せるわけあらへんやろ!ウチを舐めるなやぁっ!」
その瞬間、アイズが髪を靡かせてロキの身体を女の子から引き剥がした。
正確に言えば関節をキメられて投げ飛ばされていた。
「大丈夫?」
「う、うん……」
アイズの声に女の子は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにフードを深く被り直している。
それに対してアイズは……何だか優しげな表情を浮かべて嬉しそうだ。
「……可愛い」
するとアイズは満足したかのように女の子の頭を撫でている。
女の子はそれに対してもじもじしているけど拒んだりしている様子はない。
女の子の事が気に入ったのかな?
モンスターの討伐にしか目が向いていなくてどうしようか悩んでいたけど、これはいい兆候かもしれない。
この子のお陰かな。
後でお礼を言っておこう。
「!それで……どうしたの?」
「あっ、その……大通りに戻るにはどうしたらいいか……その、教えてくれませんか?」
女の子の用は思った通り道の案内だった。
それに大通りに行くなら話は早い。
「それなら僕達は今からダンジョンまで行くんだ。良かったら一緒に行かないかい?」
「!い、いいんです……か?」
「勿論」
「あうっ……そ、その……よろしく……お願いします」
よし、それじゃあ行こうか。
ちょっと遅れたけどこの位なら予定に支障はない。
「皆!それでは今から出発する!多少遅れたから少し急ぎ足で歩くぞ!」
「「おぉ!」」
皆も原因が分かってるからか文句を言ってる団員はいない。
唯一ベートは不満そうだけど他の皆は相手が小さな女の子だからか微笑ましそうな目で見ている。
「行こ?」
「へっ?あ、あの……」
「手」
「え?あ、その……はい」
アイズはこの子と手を繋いでいる。
その表情はどことなく嬉しそうだ。
「さてと、それじゃ行きますか」
ロキファミリア遠征の出発だ。
あ、それと後であの耳に付けてるものがなにか教えてくれたら聞いてみようかな。
可愛いは正義