今回から少しストーリーが進む予定です。
それではどうぞ!
第14話 囮大作戦
side裕太
俺はいつも通りに朝飯を食べた後、なぜかしら朝飯を食べない妖夢を心配しておにぎりを作って持っていってやった。
そして、妖夢は一人で鍛練をしていたのを中断し、俺からおにぎりを受け取って食べる。
そしてそのおにぎりを妖夢が食べ終わるのを合図として稽古を開始する。
そう…今日も
カキィィィン!
と、金属同士がぶつかり合う甲高いおとが鳴り響く。
「良いですよ。最初と比べて攻撃の鋭さが格段に上がっています!」
と、誉めてくれる妖夢
やっぱ誉めてもらえると強くなっていってるって実感が持てて嬉しい。
そして剣を合わせている時に横から紫が出てきた
「あ?紫か…どうした?」「紫さま?どうなされたのですか?」
と、俺と妖夢は同じタイミングでそう言った。
すると、紫は深刻そうな表情でこう言った。
「例のやつが現れたわ」
例のやつって…辻斬り!?
つてことは被害者が出たのか!
「そうですか…いつものように見廻りをしますか?」
と、妖夢が言うと紫は首を振った。
「すでに私たちの顔は世間的に割れている。そんな中私たちが見廻ると警戒される可能性が大きい。だから裕太。お願いできる?」
と、紫が聞いてきた。
確かに顔が割れてる人よりも最近来た俺が行った方が警戒されにくいだろうけど…もしそうだとしたら…あれ?これって…
「俺は完全なる
俺がそう言うと、紫は「そうとも言うわね」と言った。
そうとしか言わねーよ!なんだよ!聞こえの良い言葉を並べやがって!要は囮だろ?
まぁ、俺はこれのために
何だってやるよ。仕方ないから。
「奴は一度現れてから二・三人に被害をもたらしてから再び姿を消す。だから、実行は今夜」
と、紫が俺に言ってくる。
作戦としてはこうだ。
俺が少し大きめのマントを羽織り、その中に刀を忍ばせる。
奴が俺に釣られて攻撃を仕掛けてきたら俺と妖夢で応戦
後から来れたら霊夢達も来ていっせいに攻撃
だそうだ。
と言うか来れたらってなんだよ!来れたらって!はっきりしろよ!
「じゃあ、そんな感じでよろしく」
「いや、よろしく出来ねーよ」
不安要素しかない
霊夢さん。お願いします!来てください!今度賽銭を入れにいきますので!
「でもまぁ…囮と言ったら…ねぇ?幽々子」
すると、幽々子が扉を勢いよく開けてこっちに来た。
ものすごい嫌な予感がするのは俺だけじゃないはず…
「幽々子…言いたいこと…分かるわよね?」
「例の物は?」
「もちろん。この私に抜かりはないわ」
と、怪しげな会話を繰り広げる二人
妖夢はと言うと、苦笑いをしながらかわいそうな人を見る目でこっちを見てきた。
やめて!妖夢さん!そんな目で俺を見ないで?
「さぁ、裕太?」
「覚悟は良い?」
「い、い、いやぁぁぁぁぁぁっ!」
この時、冥界全体に裕太の叫び声が響き渡ったと言う。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
俺は夜の人里を歩いていた。
例の事件も相まってか、昼間あんなに賑やかだった人里も、しんと静まり返っていて寂しい町へと変貌を遂げていた。
だが今、重要なのはそこじゃない。
一番重要なのは俺の服装だと思う。
俺は今、女装をさせられている。
「はぁ…どうしてこうなった…」
─※─※─※─回想─※─※─※─
「い、い、いやぁぁぁぁぁぁっ!」
その叫びもむなしく、紫と幽々子に連れられていってしまった。
いや、連れられて行ったと言うよりはスキマの中に落とされたが正しい。
周りは目玉ばかりの薄気味悪い場所
「ようこそ!私のスキマの中へ~!」
と、紫もスキマの中に入ってきた。
「お、俺をどうするつもりだよ!」
「それはもちろん!」
と、紫はどこから取り出したのか分からないレディースの服を一式差し出してきた。
「は?」
と、俺は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
「やっぱり、襲われる人と言ったら
「いや、意味わからん…どうしてそうなった!」
「いや、これは常識中の常識よ!」
「そんな常識捨てちまえ!」
ったく、俺を女装させるくらいなら最初から女子を連れてくれば良かったじゃねーかよ…
と、急に足がスースーしだした。
俺は驚き下を見ると、紫の手元には俺の元着ていた服、俺の服は紫が持っていた服にチェンジしてしまっていた。
「え!?あ、え!?」
いまいち状況が掴めない…どゆこと?
「私にかかればちょちょいのちょいよ。境界をこう…弄って」
「変なことに能力を使わないで下さい!」
そしてスキマから追い出され、妖夢達に見られたのだが…
「に、似合ってますよ!」
と、妖夢
悲しい…女性用の服が似合ってるって言われても悲しいだけだよ。
「案外良いわね。ちょっと目付きは悪いけど、その銀色の髪の毛が良い味を出してるわ」
そんな冷静に感想を言わないで?
─※─※─※─回想 終─※─※─※─
そんなことがあって、今は女装をしているのだ。
ったく。女だからってそうそう釣られるバカ居ねーだろ。
ガタン
………と、思っていた時期が俺にもありました。
うわぁ…絶対背後に誰かが居る。
そう思って後ろを振り返る。
すると、そこには小さい女の子が居た。
なんだ?あの子。こんな時間帯に…
その時
シャキン
と、真横で剣を抜かれるおとがした。
しかし横を見ても誰もいない。
「きゃっ!」
と、背後から聞こえてきたので後ろをジト目で振り返る。
そこには転けた女の子が倒れていた。
なにやってんだ?あの子
「フッフッフ…やるわね辻斬り魔。さすが数々の辻斬りをこなしてきた人物なだけあるわ。だけど今度こそあなたの息の根が止まる…はずよ!」
は?
なんか盛大にこの子勘違いをしていらっしゃる気がします。
第一、何で俺を辻斬り魔だと思ったんだよ!あと、最後の言葉は自信持てよ!いや、俺のところにも似たような奴が居るけど…(キレヌモノナドアンマリナイ)
とにかくこの誤解は解かなくちゃな。
「いや、俺は辻斬り魔じゃないぞ?ってか何で攻撃したんだ?危ないぞ?」
「フッフッフ。私は他の人より少し強いはずなのだ!だから怪しいマントを羽織ってフードを被って女装をしている奴には先制攻撃を仕掛けるのは当然なのよ!」
ふーん…と言うか少し強いはずってだからもう少し自信を持てよ!何でそこで保険かけちゃうの?
って言うか、怪しいマントを羽織ってフードを被って女装をしている奴なんてどこに…
そこまで考えてから自身の服装を思い出す。
無理やり着させられた服。恥ずかしいから羽織ったマント。そして同じく被ったフード。
あれ?これ俺じゃね?ってか今思い返して見れば俺…怪しくね?
怪しすぎんだろ!
すみません!この俺が怪しい服装なんてしたせいで盛大な勘違いを!本当にすみません!
その時
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
と、女性の叫び声が
「こっちか!」
と、俺は声のした方向へ走る。
「まてーっ!辻斬り魔!」
はい!第14話終了
次回はついに辻斬り魔登場!?
それでは!
さようなら