東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 前回、裕太が倒れたところで終わったので今回はその続きです。

 それではどうぞ!


第16話 能力と心

side裕太

 

 こ、ここは?

 

「ここはあなたの精神世界」

 

 突如どこからともなく声が聞こえてきた。

 

 高い声。恐らく女の子の声だ。

 

 真っ黒な視界の中、俺は手足の感覚もあやふやに、なりながらそんなことを考えた。

 

 こんな声、聞いたこともない。

 

 もしかして、あのとき死んだのか?

 

 俺は直前の記憶を思い出していた。

 

 俺は…そうだ、直前の事を考えたら、死んだと考えるのが一番自然じゃないか。

 

「ちょっとあなたは勘違いしているよ。あなたは死んでないし、生きている。ギリギリね」

 

「ってか誰だよ。さっきから話しかけてきているやつは!」

 

 そう言いながら目を開ける。

 

 するとそこには空のように広大に広がっている空間が見えた。

 

「これは」

 

 俺は思わず言葉を失った。

 

 俺が珍しく、脳の処理が追い付いてないのだ。

 

「さっきも言ったでしょ?ここはあなたの精神世界」

 

「いや、そう言うことじゃなく、なぜ俺はここに?」

 

 と、聞くと少女は一拍開けてから話し始めた。

 

「あなたの命が危なかったから、無理やりこの世界に引きずり込んだって感じ?まぁ、この中に居る間は外の時間は止まってるから、ギリギリ死んでない状態で留まってるよ」

 

 そうか…やっぱり生きることなんて絶望的

 

 話しを整理するとこの中から出た瞬間、俺は死んじゃうじゃないか…

 

 どのみち助からない。

 

「話しは最後まで聞く。これ常識」

 

 と、言ってからまた少女は話し始めた。

 

「あなた、仲間を助けたい?自分の命にかけても」

 

 と、問いかけてきた。

 

 そんなの答えはとっくに決まってるじゃないか?

 

 髪色の事で避けられて、相手のことが信じられなくなっていた俺を歓迎してくれた世界だ。

 

 この世界の住人は、俺の大切な仲間だと思う。

 

 だから

 

「答えはyesだ」

 

「そう。なら、今から無理やりあなたの体に負荷をかけて、能力を発現させるよ。発動中は良いけど、技を切った直後、一気に反動が来るから運が悪かったら…」

 

 と、そこで女の子は話しをやめた。

 

 その直後、俺の体がポカポカと暖かくなり始めた。

 

「じゃあ、戻すよ」

 

「待ってくれ。最後に君の名前を教えてくれ」

 

「私に名前なんて無い」

 

 その直後、俺の視界は元に戻っていた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「うぐっ!」

 

 腹部を強烈な痛みが襲う。

 

 何事にも例えがたい苦痛

 

 しかし、俺は皆を助ける。その一心で行動する。

 

「ゆ、裕太!?」

 

 皆の心配の声が聞こえる。

 

 そして、俺は怪しい人物に向かって刀を杖がわりにして近づいていく。

 

 痛みのせいで俺の中で生と死があやふやになってくる。

 

 だが、俺は歩みをやめない。

 

 俺は、ただ倒すために

 

 すると、そんな俺の姿を見て、怪しい人物は怯んだようだ。

 

 そして、数秒開けて怪しい人物は俺に向かってきた。

 

「裕太さん!」

 

 と、妖夢が俺の前に出てくる。

 

 俺を庇うつもりだ。

 

「はっ、俺は女の子に守られるしか無い。不甲斐ない男だ。だがな、ちょっとくらいは格好つけさせてくれ!」

 

 そういって、腹に生えているソレを握る。

 

「あ!裕太さん!今それを抜いちゃダメです!」

 

 しかし、そんな妖夢の声を無視し、腹に生えているソレを思いっきり抜いた。

 

 しかし、血の一滴も出ることが無かった。

 

 それどころか、逆に力がみなぎって来た

 

 もしかして、これが俺の力?

 

 動ける。

 

 そして、怪しい人物がもう一本の刀を取り出し、斬りかかってきた。

 

 そこで俺は妖夢と怪しい人物の間に入って、刀で防いだ。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 と、気合いを入れながら押し返す。

 

「ただ、守られるだけじゃなく、守りたい!本気でそう思える世界だから!守るんだ!」

 

「お前のどこにそんな力が」

 

 初めて喋った仮面の人物はは驚いたような声で喋った。

 

 恐らく、この声は男か?

 

 そしてついに押し返すことに成功し、仮面の男は後方に数m吹っ飛ぶ。

 

「ちっ、今回はこのくらいにしておいてやる。小僧、貴様の顔を覚えたからな」

 

 そういって、煙玉を投げて姿を眩ます仮面の男

 

 よっしゃ、勝てなかったけど追い返すことには成功した。

 

「あれ?視界が」

 

 視界が歪んで…意識が…

 

 その次の瞬間、俺は地面に倒れ込んでいた。

 

「裕太(さん)」

 

 そして俺は完全に意識を失った。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ここは?

 

 またあの場所だ。

 

「お帰り。裕太くん」

 

「ところで何でまたここに?」

 

「安心して。死んでないよ」

 

 と、告げる女の子

 

「あなたは気を失ったの」

 

 確かに、直前にそんなことがあったような…

 

「あなたの能力すごいね」

 

「何が?」

 

「想像以上。あなたの能力は『思いが力になる程度の能力』と、『乗り越える程度の能力』」

 

 乗り越える?

 

「詳細は、死を乗り越える度に強くなるって感じ、つまり瀕死の状態から回復すると、すごく強くなるって感じ」

 

 サ○ヤ人みたいな能力だな。

 

「そしてもうひとつ。これは常時発動してるから自分で考えてみて。敵はその類いを発動制限できるみたいだけど」

 

 そう言ってきた。

 

 常時?

 

「もしかして、常時って君が力をくれる前から?」

 

「そうだね。だいぶ前から?」

 

 ってことは妖夢との模擬戦。あの時のも能力って事なのか?

 

 バリア?透明な壁?

 

 色々可能性がありすぎて頭が追い付かない。

 

「それと、君を気に入ったよ!」

 

「え?」

 

 と、急なことに素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「君の諦めない心。仲間を守りたいと言う気持ち。それらに感服したよ」

 

 心…仲間…ねぇ…

 

「そんなものが俺にあるとは思えないんだけどな」

 

「そんなこと無いよ。だってさっき守りたいって思ったでしょ?」

 

 そう言われ、俺はハッとなった。

 

 確かにあの時…守りたいって…

 

「心を無くしたら人間じゃないよ。ただの動く人形」

 

 と、言ってきた。

 

 そうか…俺も所詮は人間。今までは心を胸の奥深くに仕舞い込んでただけで、こっちの世界に来て心が露になってきてるって事か?

 

「じゃあ、そろそろ戻すよ」

 

「ああ、」

 

 その次の瞬間、俺の視界は黒で覆い尽くされた。 




 はい!第16話終了

 次回からは暫く平和な日常に戻ると思います。

 それでは!

 さようなら

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