東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 戦う狂の前に現れたのは謎の男だった。

 その男は狂と裕太を圧倒する強さを持っていた。

 そして殺されそうになる狂だったが、裕太が間一髪で回避する。

 組織を首になった狂はもう誰も殺さないと誓った。



 それではどうぞ!


第42話 狂

side裕太

 

 久しぶりに見たこの景色。

 真っ白で、何も無いこの空間。

 

 しかし何故だろう。何かが足りない。

 

 そして少し辺りを見回ってみる。

 

 すると急に扉が見え始めた。

 

 なんだこれ。現実の家をゆうに超えるレベルの引扉があった。

 

「なんだ?」

 そう思って空を飛んでドアノブを回す。

 

 そしてドアノブは回り切ったものの、扉が開くことはなかった。

 この扉、接着剤で固められているかのように硬いのだ。

 

 そして無理やり開けようとすると、ドアノブから電流が流れてきた。

「アガガガガ」

 今一瞬、死を連想したぜ…

 

 因みに人の生死に関わるのは電圧ではなく電流、(アンペア)の方だ。人は約1Aで死ぬらしい。

 

「イテテテ…なんだよこの扉は」

 

 そして俺は扉を開けることを断念し、その場を後にする。

 

 なんだよ。本当にここは精神世界なのか?

 

 未だに理華も目を覚まさないようだし

 

 その時、視界の端にチェーンでぐるぐる巻きにしてでかい南京錠が着いている扉があった。

 

 その周りには青い扉、赤い扉があった。

 

 そして俺は目を丸くして驚いた。

「り、理華!」

 そう、扉の前に理華が倒れていたのだ。

 

「おい!しっかりしろ理華!」

 と体を揺らす。

 

 しかし一切の反応を示さない。

 

「まさか理華…」

 理華に限ってそんなことは無いとは思うが、そんな最悪のことを思い浮かべてしまう。

 

 そして南京錠を付けた扉を見る。

 

 そして俺は南京錠まで飛んでいって触れてみた。

 

 すると色々なものが頭の中に流れてきた。

 

『人は信用するな』『他人は忌むべき存在』『信じれるのは己のみ』『誰も…俺の気持ちは理解してくれない』

 

 それは今まで俺が思っていた考えそのものだった。

 

 やめろ…今はその考えを流し込まないでくれ。

 

『もう誰も信用しない』

 

「お、俺は…」

 その時、首に強い衝撃を感じた。

 

 そしてどんどん意識が遠退いて行く。

「ふぅ…危ないところだったよ…」

 

 そして完全に意識を失った。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ん…?」

 俺は目を覚ました。

 

 目を覚まして一発目に俺の目に飛び込んできたのは理華の顔だった。

 

 そして後頭部に何やら柔らかい感触がある。

 

「あ、やっと起きた。大丈夫?気分とかは」

 

「ああ、それは全然大丈夫なんだが、なんで俺が気を失ってたかが思い出せない」

 

「そう…よかった

 何やら安心した様子だが最後の言葉が聞き取れなかった。

 

「それより理華、大丈夫だったんだな。よかった…心配したんだぞ」

 

「それより私は君がこの空間にいることが心配だよ…」

 

 それはごもっともである。何せ、俺がこっちに来るってことは俺は気を失っているってことだからな。

 

「理華が寝ている間に色々あったんだ。まぁ、何とか終わったよ」

 

 そう言うと俺の頭を撫でてくる理華。自分より見た目年齢低い人に撫でられるってのは何だかな…まぁでも疲れちゃったからもう少しこのままで良いよね?

 

「おつかれ。裕太。このままもう少し寝るなら寝てていいよ」

 そう言われ、色々あって疲れていた俺は

「ああ、そうさせてもらうよ」

 そして俺は眠りについた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

次の日

 

「知らない天井だ」

 

 なんかまた違う天井が視界に映り込んできていたんですが…

 そしてこの下にあるふかふかの感触。これはベッドだな。

 

 そして辺りを見回すと普通に生活感のある部屋だった。

 

 起き上がると身体中に痛みが走った。近くにあった大きい鏡を覗き込むと、そこには身体中に包帯をグルグルと巻いている俺が映っていた。

 

「ここはどこだ?」

 そう思って近くの窓から外を見てみる。

 

 しかしやはり知らない景色だった。

 

 木々が生い茂っていて、人の気配を微塵も感じない。

 

 そして扉から出るとそこはリビングだった。

 

 リビングにはテレビやらテーブル、ソファがあった。

 

 そしてコンコンコンと言う音が聞こえてきた。

 

 誰か居るのか?と思って俺はその音のする方へ向かう。

 

 音が大きくなっていくほど俺は警戒心を高める。

 

 そして俺がやってきたのは台所だった。そこに居た。その人物とは

「ん?あ、勇者君。おはよう」

 エプロン姿でまな板の上のキャベツをみじん切りにしている狂だった。

 

 あまりにも今までのイメージと違って危うく惚れるところだった。

 恐らくこれがキャップ萌えと言う奴なのだろう。

 

「ああ、おはよう。何してるんだ?」

 

「何って、料理に決まってるでしょ?もうすぐ出来るからリビングのソファに座って待ってて」

 そう言って再び料理に戻って行った。

 

 しかし、あれが狂なのか?しかもエプロン似合ってて可愛かったし…

 妖夢とはまた違った魅力があるな。

 

 そして言われた通り俺はソファに座って待つ。

 

 そして数分後、料理を持った狂が現れた。

 

「お待たせ」

 とどんどん俺の前に飯が置かれていく。

 

「さあ、どうぞ」

 

「こ、これは全部狂が?」

 

「そうだけど?」

 

 じ、女子力高けーっ!

 

 味噌汁に目玉焼き、さんまの味噌煮にキャベツとカニカマのサラダ。そして白米だ。

 どれも美味そうで俺の食欲をくすぐってくる。

 

「これは俺に?」

 

「そうよ。まぁ、お詫びとお礼を兼ねて腕によりをかけて作った」

 

「そ、そうか」

 全然礼なんて要らないんだけどな。全部ただの自己満なんだし

 

「まぁ、んじゃ冷める前に頂くよ」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

 そして俺は味噌汁を啜る。

 

 俺は非常に驚いている。

 朝にも食べやすいようなあっさりとした味付け、味噌汁の中に入っている昆布がいい出汁になっていて、ここまでの完璧な味噌汁はそうそう飲めるもんじゃないぞ。

 

「どう、かな?」

 と首を傾げながら聞いてくる。

 

「すげー美味い。お前すげーよ」

 

 そう言うと狂は照れながらも満足そうな表情になった。

 

 そんじゃ次はさんまの味噌煮。

 幻想郷じゃ魚介類、海藻類はあまり取れないから扱いに慣れていない人が多い。

 だが昆布の味噌汁があのクオリティだったから期待してしまう。

 

 そして一口食べる。

 

 美味い。予想以上だった。何だか懐かしいな。良く学校の給食で出たもんだよな。

 

 そして白米を口に放り込む。

 

 美味い。この一言に尽きるな。もう少し俺の食レポ力があれば良かったんだが。

 

 そして他のも食べたがどれも美味かった。

 

「ご馳走様」

 

「お粗末さまでした」

 

 そして手を合わせる。

 

「そんじゃ早速質問いいか?」

 

「いいよ」

 

「そんじゃ聞くけど、ここはどこだ?」

 そう聞くと狂は幻想郷の地図を持ってきた。

 

「ここ、この地底ってとこ。ここは私の家」




 はい!第42話終了

 今回で第二部は終了です。

 次回から第三部が始まります!

 それでは!

 さようなら

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