東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 突如として裕太と狂の前に現れた謎の男

 その男は狂すらも圧倒する力の持ち主だった。

 何とか退けることに成功した裕太

 そして目が覚めると狂の家に

 また新たな戦いが始まるとは知らずに平和な一時を堪能するのだった。



 それではどうぞ!


第三部 第6章 忍冬彩
第43話 忍冬


side裕太

 

「ここ、この地底ってとこ。ここは私の家」

 

 地底か…そんな所まであるんだな。

 

 まぁ冥界があるくらいだから地底や天界なんかはあってもおかしくはないだろうな。

 

 というか地底に住んでいたのか。

 

「そうか。んじゃ俺はそろそろ帰るわ」

 そう言って立ち上がったところ、隣に座っていた狂に手を掴まれて引っ張られ、ソファに再び座らされた。

 

「あんまり動いちゃだめ。暫くはここに居ること。分かった?」

 いや、帰らないとレミリアやフラン、更に妖夢まで心配かけることになるんだけど…って言っても聞く耳は持たないんだろうな…

 

「わかった」

 

「ならよし」

 と微笑む狂。

 

「もしかしてお前が運んでくれたのか?」

 

「そう。紅魔館には入りずらいからここに運んだ」

 そうか…凄い性格が違うな。見違えるほどだ。

 

「それともう一つ。何で俺はこんな和服になってんの?」

 

 そう聞くと狂は頬を染め出した。オイナゼソコデホオヲソメル

 

「いや、あのね?これはしょうがないと思うんだよ」

 

 そして俺は自分の体を抱いて狂から遠ざかる。

 

「も、もうお婿に行けない!」

 そう言うと狂は慌てた様子で

「冗談冗談!これ全部冗談だから!本当は仲のいい近所のおじいさんに頼んだんだよ!」

 そうか…焦ったよ…危うくお婿に行けなくなる所だった。

 

「私だって女の子だよ?」

 とどこからか持ってきたコーヒーを啜る狂

 

 いや、それは見れば分かるんですが

 

「に、苦い。もう少し入れて来ようかな?」

 と言ってコーヒーの入ったカップを持ってまた台所に戻って行った。

 

 暫くして戻ってきた狂のカップを見て俺は目を見開いた。

 

「し、白いのが山のように」

 そう。砂糖が溶けずにこんもりとコーヒーの上に乗っかっている。

 

 それを何食わぬ顔で混ぜ始めた。

 

「ん?どうした?飲む?」

 とカップを向けてくる狂

 

 いや、間接キス…と言うのもあるのかもしれないが、これを飲んだら確実に病気になることは確かである。

 

「せっかくだがお断りしようかな?」

 

「そう…」

 そしてシュガーヘルコーヒーを啜る。

 

「お前は甘党なのか?」

 

「うん。甘いものって美味しいよね?」

 ダメだこいつ。早くなんとかしないと

 

「そんでもってそこまでしてコーヒーを飲む意味はなんだ?」

 

「よくぞ聞いてくれたね」

 よくぞ聞いてくれたね。って言うトーンじゃないけどな。めちゃくちゃ棒読みだからな?

 

「大人の(たしな)みだよ」

 そんなに砂糖入れたら大人もクソも無いと思うのは俺だけだろうか?

 

「そ、そうか」

 とりあえず話を合わせておく。

 

「なんか最近怪我してばっかだな」

 

「そうだね」

 1回はあなたのせいですけどね。

 

「とりあえず帰りたいんだけど…ダメだよな?」

 

「ん?んー。ダメ」

 やっぱりね〜

 

「そう言えば。お互いにあまり知らなかったよね?」

 そう言えばそうだな。まともに自己紹介をしたことすらないな。

 

 狂は勇者君呼びだし、俺はコードネーム読みで定着しちゃってたからな。

 

「これから暫く一緒に暮らすんだからお互いに自己紹介でもどう?」

 

「一緒に?それってどうせイテッ!」

 俺が言い切る前に足を踏みつけられた。

 

「と言うかお前と俺が仲良くするってのは(いささ)か問題があるんじゃないか?」

 

「問題ない。つまりおふこーすって事だね」

 いや全然off courseじゃ無いんですが?

 

「んじゃまぁ、もうそれでいいわ」

 結局いつも俺が折れることになるんだよな…

 

「それじゃ自己紹介ね。私は忍冬(すいかずら) (あや)

 苗字が覚えずらいな。

 確かすいかずらって花の名前であったよな?

 だとするともしかしてすいかずらって忍冬って書くのか?

 

 まぁ、これはどうでもいいんだが。

 

「俺の名前は空頼 裕太だ。よろしくな忍冬」

 俺がそう言うと忍冬は驚いた表情になった。

 

「苗字を覚えられたのは初めて」

 なるほどな。確かに覚えにくいところはある。

 でも覚えられないってことはない。

 

「さて、忍冬。俺を逃がさないようにしてる本当の理由を教えてもらおうか」

 

「だ、だから空頼君の事がしんぱ」

「で、本当は?」

 

 でもまぁ、大体の予測は着いてるんだけどな。

 

「はぁ…君には全てお見通しって事かな?」

 参ったな…的な顔でそう言った。

 

「そうだよ。それだけが理由じゃない。それだけなら拉致らなくても別に良いからね」

 いや、人前に出にくいから拉致ったんじゃ無いのか?

 

「空頼君。お願いがあるの」

 と真剣な表情で言ってきたので俺も気持ちを切り替える。

 

 そしてこう続けた。

「付き合ってくれる?」と

 

 ひとまず整理しよう。

 

 あのー。これはどういう状況ですかね?ね?

 

 分からない。非常に分からない。なんでそんなことを言い出したのか。

 

 とりあえず

「少し考えさせてもらっても良いかな?」

 

「そ、そうだよね?こんな重要なこと直ぐに決められるわけ無いよね」

 そりゃそうだ。そんなこと直ぐに決められるわけないだろ。

 

「とりあえず、忍冬は告白するために拉致ったのか?」

 

「こ、告白?」

 頭にハテナを浮かべた。

 

 なんでそこで疑問に思う。そっちが言ったんだろ。

 

 すると顔を赤くし始めた。

 

「ち、ちがーう!わ、私が付き合って欲しいのは計画があるからその計画に付き合って欲しいのであって男女関係の方では…」

 途中で恥ずかしくなってきたのか声が小さくなっていく忍冬。

 

「そ、そうだったのか…」

 なんだ。安心した。今告白されても反応に困るしな。

 

「まぁ、付き合うか付き合わないかは内容次第だな」

 そう言うとまだほんのり赤い顔をまた真剣な顔に戻した。

 

「それは、あの殺人チーム。トワイライトを潰す事です。あの男。(ばく)を倒して」




 はい!第43話終了



 次回の東方魂愛想は?

 ついに忍冬の策が告げられる。

 その策とは?そして漠とは一体誰なのだろうか?

 そして裕太は忍冬の策に付き合うのか!?

 次回、第44話『秘策』



 それでは!

 さようなら

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