東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 裕太とロイドの戦い。

 しかし石化している裕太一人では勝てない。

 そこで彩が駆けつけてきた。

 さあ!ここからが本当の戦いだ!



 それではどうぞ!


第49話 怒り

side裕太

 

 何が起きたのか分からなかった。

 

 一瞬のうちにしてロイドが吹っ飛んで切り傷だらけになって……

 

 でもそれは多分忍冬の奴がやったんだろう。

 

 こいつはかなりの実力者だからな。確かに一番最初に会った時も凄いスピードで迫ってきていたな。

 

「それよりも……プロジェクト路異怒?」

 聞きなれない単語が出てきた。

 

 プロジェクトってゲームの世界でしか聞いたことないぞ。

 

「うん。こいつは人造人間路異怒のはず。以前研究室に忍び込んだ際にこいつのことが書いてある紙を見た」

 

 ロイドは人造人間だったのか……と言うかこんな古風な世界でそんな技術力のある人が居るんだな。

 まぁ、漠が作ったんだろうけど……

 

「オマエ……ツヨイ。セキカ、キカナイ」

 

「へぇ……あんた結構口が軽いんだね。そんな事簡単に話すなんて」

 

「ダケド」

 そう言うと忍冬に向かって走り始めた。

 

 それを見て忍冬は拳を構える。

 

「どっちの力が強いか勝負だ!」

 そしてロイドと忍冬の拳がぶつかり合う。

 

 すると一瞬にして忍冬が反対側の壁を突き破ってかなり遠くまで飛んでいってしまった。

 それを俺は呆然と眺める。

 

「トリアエズコレデテッシュウ」

 そう言った瞬間、ロイドは消えてしまった。

 

 テレポート装置でもあったのかな?

 

 ってそんな呑気なこと考えてる場合じゃねぇ。

 

 そして慌てて忍冬の元に瞬間移動する。

 


 

「痛い……」

 忍冬の元に着くと忍冬がそう呟いた。

 

 血は出てないけど服がボロボロになっていて目のやり場に困るような感じになっていた。

 

「それにしてもすごい飛んだな」

 と元いた方を見る。10軒位突き破って飛んできていた。

 

「あいつ……なんて馬鹿力。下手したらパワーだけなら漠以上。でも頭は弱いかな?」

 と冷静に状況分析する忍冬。

 

 そんな事してる場合じゃないと思うのは俺だけですかね?

 

「スピードは無いけど攻撃食らったらおしまいだね」

 そう言って起き上がる忍冬。

 

 そして起き上がって頭にハテナを浮かべる忍冬。

 

「なんでこっち見ないの?」

 純粋な目でこっちを見てきた。

 

 そんな目で見られても困るんですが……

 

 そして忍冬は自分の姿を見てから顔を赤く染めた。

「空頼君のエッチ……」

 そう言って体を抱き抱えるようにして俺から距離を置く忍冬。

 

「ち、違うわ!見てねぇから!」

 

「私の状況知ってるってことは見てるでしょ」

 直ぐにバレてしまいました。

 

 でもあまり見てないからな!忘れられないと思うけど……

 

 するとそこに走って妖夢が来た。

 

「ゆ〜う〜た〜さ〜ん〜」

 激おこの様子である。

 

 そして俺に近づいて来る。

 その威圧感に押されて後ろに下がる。

 

 やがて俺の後ろに壁があって下がれなくなってしまう。

 

「裕太さん。ちゃんと説明してくれますよね?」

 妖夢さんの仕舞っていない刀の刃がキラリと妖しく光る。

 

「はい」

 気がついたら口が勝手にそうハッキリと返事をしていた。

 

『あはははは。はぁーおかし、くくく』

 目に見えなくとも腹を抱えて笑っているのは分かる。

 こいつ……次俺がそっち行った時覚えてろよ!

 

 そう俺が精神少女に対して殺意を芽生えさせていると

「あはははは。くくく。空頼君ったら足ガタガタ震わせてんの。あははは」

 俺の視界の端で倒れ込んで腹抱えて笑っているバカが居た。完全に女の子がしてはいけない笑い方だ。

 

 それよりも

「やっぱ忍冬。お前を倒さなくちゃいけないと判断した」

 そしてサルベージで刀を取り出して忍冬に向ける。

 

「あ、殺る?殺り合いますか?私は大歓迎ですよ?」

 と言って立ち上がる忍冬。

 

「まぁ、冗談だよ。同盟を結んでいる間は戦う気は無いよ」

 俺っていつ忍冬と同盟を結んだっけ?記憶にございませんので誰か説明していただけませんか?

 

「取りあえず殴らせろ」

 そう言って足を踏み出すと誰かに掴まれた。

 

 その掴まれた手の主を睨みつけようとすると恐怖によって俺は目を丸くした。

「せーつーめーいー」

 またもや素敵な笑顔の妖夢であった。

 

 俺はすごい速さでその場で正座しようとした。

 しかし膝が石化しているため正座できない。

「妖夢。こいつは忍冬 彩っつーんだ。もうあいつらの仲間じゃないから安心していい」

 そして足を伸ばしたまま椅子に座る。

 

 そして足に触ると驚いた。

 

「若干石化が治ってきている」

 そう。先程までは足の付け根位まで石化していたのだが太ももの真ん中くらいまで石化が解けていた。

 そうか!この石化は時間で戻るのか。

 だが京哉の石化は解けてないみたいだ。霊力を感じられない。

 つまり完全に石化してしまうと解けないのか。

「くそっ!」

 と足を叩く。

 

「俺がしっかりしてれば京哉は……」

 そう言って何度も足を叩く。

 

 すると急に手を止められた。

「もうこれ以上自分を責めないでください」

 妖夢だった。

 優しく包み込む様に拳を抑えられた。

 

「裕太さんのせいじゃありません」

 妖夢はそう言ってくれるが、全く俺の気が晴れない。それどころか俺の心の天気は大荒れだぜ。

 

「空頼君。それ以上足を叩いたら壊れるよ。壊れたらもうどうしようもないよ」

 そう言ってスケボーを持ってくる。

 

「はい。だいたい膝まで解けてきたね。この分なら明日の朝には内部まで解けてるんじゃないかな?」

 それよりも

 

「目のやり場に困るしこれ着てろ」

 と俺の着てたパーカーを投げ渡す。

 

 そして冥界の自室までマイスペースを伸ばす。

 しかしさすがに自室の距離がギリギリか……

 そして自室から帽子をサルベージで持ってきて被る。

 

 普段、フードなんか被らねぇがフードが無いと落ち着かないから代わりに帽子を被るようにしている。

 

「妖夢。俺達は今、敵を倒すために動いている。しかし奴は強大だ。危険に巻き込みたくない」

 そう言って帽子のつばを掴んで深く被る。

 

「忍冬。洞窟に行くのは少し待っててくれ。京哉の奴を送り届けて少し挨拶してくる」

 さよならと言う挨拶を言いに行く。

 

 そして俺は京哉を抱えて飛び上がる。

「まって」

 忍冬に止められた。

 

「まさか……あんた。死ぬつもりじゃないよね。次にあいつに会ったら自分の命と引き換えに倒すつもりじゃないよね」

 そう言って睨みつけてくる。

 

「もしその気ならやめな。周りの人が悲しむよ」

 その忠告を俺は「ふん、」と鼻で笑ってやった。

 

「俺は元々余所者。妹は俺が居なくなったら適当な事言って誤魔化しといてくれ」

 そう言うと「ふざけないで」と言う声がボソッと聞こえた。

「ふざけないで!!」

 ボソッとした声が今度は怒声となった。

 

 その声の持ち主は普段あまりそんな声を出さない妖夢だった。




 はい!第49話終了



 それでは前回のあらすじ

「ふざけないで!!」
 怒号が響き渡る。

 そして
「あなたにどれだけ口で言っても信じないと思うので行動で示すことにしました」
 果たしてその行動とは?

「ケリを付けてきますよ。この異変に」

 次回、第50話『思い』



 それでは!

 さようなら

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