東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 女郎蜘蛛との戦い。

 死闘の末、何とか女郎蜘蛛に勝利。しかし、間髪入れずにチームトワイライトの薬と路異怒が現れる。

 そして路異怒との戦いが今、再び始まる。



 それではどうぞ!


第55話 勝敗は戦う前から決まってる

side裕太

 

 ロイドが殴りかかってきた。

 

 それを瞬間移動で避ける。

 

 だが、俺の後ろにいた忍冬に当たってしまう。

 

「なんで……私が……」

 しかし壁が崩れるほどの一撃を食らって平然としている忍冬さん。流石っす!マジリスペクトっす!

 

 取りあえず、さっきの戦いでかなり霊力を消耗したから温存しなくちゃいけない。

 

 しかしこいつは温存して勝てるような奴ではないというのが事実。

「ふっ。やっておしまい!灰」

 薬がそう言うとまたこっちに走ってきた。

 

 ロイドのスピードは確かに忍冬の言う通り遅く、避けやすい。

 

 そして回し蹴りを繰り出してきたからジャンプして避けるが、それが失敗だった。

 俺の真下からオーラが迫ってきていた。

 今から浮遊するための体制を整える暇もない。

「なら押し返す!冷凍《アイシクルロード》」

 そう言ってオーラに向かって手を翳す。

 

 そしてオーラに向かって掌から一直線に氷が伸びていく。

 その氷とオーラがぶつかり合う。

 氷をオーラが石化させ、その石化した部分を凍らせる。その繰り返しでどんどんぶつかり合っている部分が大きくなっていく。

 

 俺が中々押し切れないで居るとロイドを横から忍冬が蹴り飛ばした。

 それによってオーラが消える。それに合わせて俺も能力を解除し氷を消す。

 

「サンキュ。忍冬」

 

「別に……裕太。疲れたでしょ?強い路異怒は私に任せて、そっちのひょろひょろの方を頼むよ」

 と俺の体を気遣ってくれた。

 

 確かに俺の体は誰から見てもボロボロだ。片腕は無いし、服の一部が溶けてるし、至る所から血が出てる。

 確かにその気遣いは嬉しい。

 

 奴を倒せないのは悔しいが、ここは忍冬の気遣いに甘えよう。

 

「ひょろひょろとは心外だなぁ。これでも一応君の元上司なんだよ?」

 ケラケラと笑う薬。

 

 ムカつく奴だ。

 恐らく今の俺は神経質になっているのだろう。いちいちこいつの言動全てがムカついて仕方が無い。

 

「倒す!」

 そう言って片腕でファイティングポーズを取る。

 

 左腕はなくても充分だ。

「ふん。そう言っていられるのも今のうちだぜ?」

 その言葉を無視して走り出すと急に足元が爆発した。

 

 それによって右足の骨が折れてしまった。

「ぐ、は……」

 まさか……いつ爆弾なんて……

 

 そして髪を掴まれて持ち上げられて投げられる。

「がはっ!」

 こいつ何もんだ。

 

「私はトワイライト1の策士とも呼ばれています。そして君は今、策士なんて戦いの上で自分で戦うことなんて出来ないと思っているだろう」

 当たっている。滅茶苦茶俺の考えていることが読まれている。

 

「私はエリートですから。力もあるんですよ?」

 そして白衣を脱ぐとシャツがパンパンになるくらい筋肉でムキムキだった。

 こいつ、着痩せするタイプなのか。

 

「ちっ。面倒だな……」

 そう言って立ち上がる。

 

 既に俺の体は限界だった。

 だが、俺は戦う。戦って限界を超えたその先でこいつらに勝ってみせる。

 京哉や妖夢達の為にも俺は戦うんだ。

 それが俺の行動源だ。

 

 だからどれだけ打たれたって立ち上がってみせる。

「オラァっ!」

 そして殴り掛かる……が、しかし簡単に躱されて回し蹴りをお見舞される。

 

「が、は」

 血を地面に吐くものの、俺はふらつく身体にムチを打って立ち上がる。

 

「ふん。もうすぐでお前は倒せそうだな」

 そして俺はアッパーを食らって浮いた体に拳の連打を食らう。

「ぐわぁっ!」

 そして壁に思いっきり叩きつけられる。

 

「空頼君!」

 そして心配してこっちに来る忍冬。

「お前は自分のことに集中しろ」

 そう言って忍冬を追い返す。

 

 そしてまた俺は立ち上がる。

「薬。お前は俺を倒すことは出来ねぇよ」

 そう言うと「はっ」と鼻で笑ってくる薬。

 

「さっき言ってた守るもの……か。そんなもの戦う上で気持ちの問題だ。そんなものでは実力差は縮まらない」

 そして今度は薬は弓を取り出した。

 

 矢ならたいして怖くない。そして俺は走り出す。

 

 すると俺の上目掛けて矢を射った。

 どこを射ってるんだ?と思ったが直ぐに理由が分かった。

 

 その直後真上から岩が落ちてきた。その岩に反応出来ずに押し潰される。

 その岩を凍らせて鞘を上手く使って粉々に割って脱出する。

 さすが策士、ここまで考えていたんだろうな。

 

「何が君をそこまでさせる」

 

「さっきも言っただろ。守るもののためだ!」

 そう言ってフラフラしながら歩く。

 

「ふ、足元を見ろ」

 そう言われて足元を見る。

 

 すると焼け残ったガソリンがそこに溢れていた。

 そして薬はマッチを取り出して火をつけてからこっちに投げてきた。

 そしてそのマッチの火はガソリンに燃え移って俺が燃える。

「あ、あぁっ!」

 熱い……実際に燃えているのだからそりゃそうだ。

 

「焼け死ね!」

 

「空頼君!」

 ったく……こいつ、自分のことに集中しろって言ったのに……。

 

「まぁ、こんな事も出来るんだけどな。氷符《アイスロック》」

 すると炎が凍りついた。

「見ろよ。世にも珍しい凍った炎だ」

 そう言って炎を砕いて奴に投げ渡す。

 

 すると薬はキャッチした。元がなんなのかと言うことも考えずに

「解除」

 すると炎が溶けて再び燃え始めた。

 

「ぐあっ!」

 それにより薬が火達磨(ひだるま)になった。

 

「焼け死ぬのはお前だ。薬」

 

「くっ。しかし残念だな。私はこの程度じゃ死なない」

 そう言って水を頭から被る薬。

 

「なぁ、知っているか?」

 

「なんだ」

 

「俺もお前と同じく策士なんだ」

 そう言って手を下におろす。

 

 もう戦う意思がないとでも言うように。

「なんだ?逃げ出すのか?」

 しかし俺は無視してその場に座り込んで再び炎を凍らせて砕いて手に持つ。

 

「ふん。そんなもの。ずぶ濡れの今の私は燃えにくいんだ」

 

「そうか……」

 そう言ってまた薬に向かって凍った炎を投げつける。

 

 それをご丁寧にまたキャッチする薬。

 

「外の世界にはこんな言葉がある勝負は戦う前から(・・・・・・・・)始まっている(・・・・・・)。そして戦う前から(・・・・・)勝敗は決まってん(・・・・・・・・)()

 

 そして炎をお手玉のように交互に投げる。

「お前は直ぐにこんな言葉を吐くさ。『すみませんでした。私が悪かったので命だけは助けてください』とね」

 そう言って炎を握りつぶして粉々に割る。

 

「ふん!それを言うのはお前だ!」

 

「そうか……」

 その瞬間俺は氷を解除する。

 するとさっきより勢いよく薬は燃え上がった。

「な、なぜだぁぁっ!」

 

 燃え盛る中薬は叫んだ

「お前は自分から可燃性物質を被ったんだよ」

 

「ど、どういう」

 

「お前がさっき被ったのはガソリンだ」

 と言い放った。

 最初からその中に入っていたのは水ではなくガソリンだ。俺の能力なら容易いことだ。

 

「どういう事だ。さっきは消えたじゃないか」

 ごもっともですな。

 だが、これにもちゃんと理由がある。

 

「俺はガソリンが当たる直前に炎を凍らせたんだ。さっき見たんだが、俺の氷ってな。なんでも水分にて当たれば溶けてしまうんだ」

 さっき俺が炎を凍らせた時に溶けていってる部分が見えた。それによって面倒な工程がひとつ減った。

 

「何故そんなことを……そのままにしておけば直ぐに俺を殺せただろ」

 

「そのまま殺しても面白くないからな。一番屈辱的なやり方で殺す」

 そして俺は立ち上がる。

 

「しっかし……この炎を作ったのはお前だ。策士、策に溺れるって奴だな」

 そういって薬が燃える姿を眺める。

 

「く……す、すみませんでした。私が悪かったので命だけは助けてください……」

 言った。予言通りこいつは一語一句間違えることなく言った。

 

 だが

「俺は最初からお前の事を許す気は無い」

 俺がそう言うと薬は絶望的な表情になった。

 

「まぁ、燃えて死ぬのは辛いだろう」

 そう言ってアイスロックを発動させる。

 

「か、体が動かなく!」

 こいつを炎ごと凍らせた。

 

 そして完全に凍らせて放置する。

 恐らく急速冷凍されたことにより仮死状態になっているだろう。

 

「じゃあな……トワイライトの策士」

 そう言って脱力して倒れる。

 

 後は任せた。忍冬




 はい!第55話終了



 次回の東方魂愛想は?

 彩対路異怒。

 果たして彩は路異怒に勝てるのか?そして

─────何故我が力を欲す

 次回、第56話『空斬剣』



 それでは!

 さようなら

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