東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 令和初の投稿です!



 それでは前回のあらすじ

 人里に買い物に行った裕太。

 そんな裕太の目の前に仮面の男が現れる。

 裕太にトランプ勝負を仕掛け、そして負かした。

 その後、裕太はそんな彼と勝負する夢を見る。

 そして京哉は心の闇を打ち倒せるのか?



 令和初の話。楽しんでいってください!

 それではどうぞ!


第62話 夢殺(ゆめごろし)

side歩美

 

 次の日。

 

 お兄ちゃんならいつも起きていて庭で刀を振っている時間。

 

 だけど外を見てみても誰も居なかった。

 

 寝坊してるのかな?まぁ、お兄ちゃんでもそれくらいあるよね。

 

 そう思って廊下に出ると妖夢さんが料理を運んでいた。

 

「あ、歩美ちゃん。裕太さんを呼んできてくれる?もうすぐでご飯だから」

 そう言われたからお兄ちゃんの部屋に行ってみる。

 

 多分まだ寝ているんだろう。

 

 そう思って扉を開けると彩さんが居た。

 

 その彩さんはお兄ちゃんの胸に手を当てて霊力を送り込んでいた。

「何やってるんですか?」

 私が問いかけると切羽詰まった声色で彩さんは言った。

 

「やられた。くっ」

 

「な、何を?」

 

「無防御な時間、つまり寝込みを襲われた。今、空頼君はとても危険な状況……」

 そう言いながらも霊力を送り込むのをやめない彩さん。

 

「早くこれをした犯人を倒さないと……危ない」

 そう言って漸く立ち上がった彩さん。

「でも、宛はあるんですか?」

 

「これは夢殺《(べっと)ルーム》」

 

 このスペルはまず、かけたい対象者に対して勝負を挑み、勝てたらスペルを発動できる。

 そしてかかってしまったら最後、夢の中で三試合の内、一試合でも勝つか、本体を倒さない限り殺されてしまう。

 しかも心臓発作と言う形で

 

「賭……。お前を倒す」

 そう言って歩み出す彩さん。

 

「話は聞かせてもらいました」

 後ろから声がした。

 

 その声の主は妖夢さんだった。

「私も連れて行ってください」

 いつになく真剣な表情。いつも戦場に行かない私は見た事の無い表情。

 

 それだけお兄ちゃんのことが大切なんだ……。

 

「分かった」

 そう言って2人で出ていこうとする。

 

 このままお兄ちゃんが死ぬか助かるか見守るだけなんて……嫌だ……絶対に……

 

 私は普段戦いもしないし、何もしてない。そんな私が役に立てる事なんて無いのは分かってる。寧ろ足を引っ張る未来しか見えない。

 だけど……

「私も連れて行ってください!」

 言い放った。

 

 出ていこうとした二人にそう言った。

 

「歩美ちゃんだっけ?戦場はね危ないんだよ」

 

「分かってる」

 

「なら」

 

「だけど!」

 私は声を張り上げた。

 

「だけど私にとって……たった一人のお兄ちゃんだから……世界で一番好きな人だから。だからただ待っているのは嫌!確かに私じゃ足でまといになるかもしれないけど……だけど私も戦いたい!」

 そう言うと彩さんは短くため息をついた。

 

「兄も兄なら妹も妹って事ね」

 そう言うと少しだけ考え込む彩さん。

 

「分かった。だけど危なくなったら逃げてね」

 敵だったって聞いて少し恐怖心を抱いていたけど……。ずっと優しい人だった。

 お兄ちゃんが気に入るのも頷ける。

 

「アハハ。賭……久しぶりにリアルファイトしようか……。私の仲間に手を出したんだから……絶対に許さないよ賭博(とばく)。たとえ漠の命令だとしても」

 


 

side裕太

 

 一方、忍冬達が賭を倒しに行こうとしている時、裕太の夢は?

 

「まずはどうする?そちらが決めてくれても良いよ」

 と俺に決定権を譲ってくる仮面の男。

 

「そっちがそれでいいなら」

 そう言ってコインを手に取って考え込む。

 

 表裏があるコインってのは重心が偏ってるんだ。

 こんな風に掘り方が違うとどちらかに偏ってしまう。

 

 となると掘ってある面積が多い方が軽くなって上に来やくなる。

 この場合、表の方が掘ってある面積が多いから軽くなる確率が高い。

 

 となるとだ。俺が選ぶのは

「「表だ」」

 

「え?」

 俺の声に被せて仮面の男もそう言った。

 

「お前ならそう言うと思ってた」

 そう言ってコインを回収する仮面の男。

「んじゃ、俺は裏だな」

 そう言ってコインを投げる男

 

 そして投げたコインは何回転かしてからいつの間にか出現していたテーブルに落ちた。

 そのコインは横向きでクルクルと駒のように回る。

 

 そしてやがてパタンとコインが倒れた。

 そのコインを見ると上をむいていた面は

「裏、だな。まずは俺の勝ちだ」

 そう言ってコインを回収する仮面の男。

 

 次も負けたら2点先取でこの試合は負けてしまう。

 負けてはいけない。そんな気がする。

「次だ。次はどっちだ?」

 

 コインは重心が偏っている。

 さっきのはたまたま裏になっただけだ。裏になる確率はそんな無いはず。

 なら次も

「「表だ」」

 またもや声が揃ってしまった。

 

 もしやこの状況、こいつの手のひらの上で転がされているのか?

「んじゃ俺もまた裏だ」

 そしてまたコインを回収して投げる仮面の男。

 

 裏になる確率は表より低いはずだ。

 

 低い……はずだよな?

 

 コインがテーブルに落ちたのを見て俺は息が止まった。

「こ、これは……」

 

 俺は何度も目を擦る。しかし現実は変わらない。

「裏だな。この勝負も俺の勝ち。先に2勝したからこの試合は俺の勝ち」

 まずは一試合取られてしまった。

 

 これで俺の負けへのカウントダウンも一つ減った。

 

「これで負けたらどうなるんだ?」

 俺は聞いた。

 

「君が負けた場合、君は死ぬよ」

 そう、あっさりとそう言った。

 

「次はこれで勝負をしようじゃないか」

 トランプを取り出してトランプを何枚か抜いていく仮面の男。

「ジョーカーと数字を1枚抜いた。ジジ抜きで勝負だ」

 ババ抜きだとどっちがババを持っているか分かってしまうからか……。

 だが、命を賭けるには軽すぎる勝負内容だ。

 

「だが、やってやるよ。ジジ抜きを」

 


 

side京哉

 

「負けない!」

 負けじと俺もナイフを投げまくる。

 

 しかし(ことごと)くナイフを避けられる。やはり奴の言っていた俺を全て知っているってのは本当なのかもしれない。

 

 だけどこれで負ける訳には行かない。こんな所で油を売っているわけには行かない!

 

「何度も言っているだろ?無駄だって」

 そして投げたナイフを一本取られる。

 

 そして

「お返しだ」

 俺にそのナイフを投げてきて腕に刺さる。

 

「グッ!」

 ここでもきっちり真っ赤な血が出る。

 

 腕からそれが流れて下げた腕を伝って拳から地面に落ちる血。

「その血が俺に勝てない事を証明しているようじゃないか」

 確かにこいつはここ数分戦っただけでも幾度となく俺の先を読んで行動し、俺を追い詰めてくる。

 

 だけど、諦めなければ勝機は見えてくるはずだ。

 

「これを食らって諦めろ」

 その時、奴が投げてきたナイフが止まって見えた。

 

 それだけじゃなく、どういう風に飛ぶかも全て分かった。

 

 その軌道を避けるように動くと完璧に避けることが出来た。

 何故だか俺は今、こいつの攻撃を把握することが(・・・・・・・)出来た(・・・)

 

「なんだと!?」

 

「これが……俺の力?」

 

「1回避けただけでいい気になるなよ」

 そして今度はいっぺんに20本位投げてきた

 

 それを全て俺はあまり動かずに回避する。

「もう、お前には負けんぞ」

 これが、俺の能力……。

 

 そうか!

 相手の攻撃を把握出来た。それが俺の能力なんだ。

 

 霊夢って人の能力は『主に空を飛ぶ程度の能力』らしい。

 

 なら俺は色々なことを把握出来る可能性があるって事で

「『主に把握する程度の能力』だ」




 はい!第62話終了



 次回の東方魂愛想は?

 歩美達が人里に行くとなんとそこには賭と厄が居た。

 戦うが厄の能力によって不利な状況に

「でもお兄ちゃんを助けるために私は足掻いてみせる」

 そして

「お前の負けだ!」
 京哉対京哉。決着

 次回、第63話『勝てなくても』



 それでは!

 さようなら

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