それでは前回のあらすじ
忍冬達が裕太の危険を悟る。
それによって裕太を助けるために行動を開始する。
そして裕太は刻一刻と死へのカウントダウンが進んでいく。
そして京哉の能力、『主に把握する程度の能力』が開花。
果たして漠を倒すことは出来るのか?
それではどうぞ!
side歩美
私達は幽々子さんに挨拶をして人里に来ていた。
彩さんがここに居ると言っていたから来たけど、特に怪しいことは何も無い。
それだと言うのに今も尚、彩さんは周りを見ながら歩いている。
すると路地に占いをやってそうなところがあった。
そこを彩さんはマジマジと凝視する。
「狂符《キルグレア》」
と彩さんがスペルを発動させると男の人が現れて避けた。
仮面を被っていて表情が読めない。
「いやー。彩ちゃんは流石だねぇ」
おどけた口調で言う仮面の男。
このノリは若干、お兄ちゃんと京哉さんのノリに似ているような気がする。
「彩ちゃんはやめてって言ってるでしょ?賭」
という事はこいつがお兄ちゃんをあんな風にした元凶?
「賭と言う名はあまり好きじゃないんだ。
多分、と言うか間違いなく私はこいつの仲間をあまり見た事が無いけど相当な変人だと思う。
「そう?ところであんたといつも居るあのちっこいのはどこ?」
という事はもしかしてもう1人敵が居るの!?
「ああ、あの子なら」
そう言って私たちの後ろを指す賭。
そしてその指につられてそっちを見ると小学生位の背丈の女の子が両手にナイフを持って下を向いて立っていた。
「久しぶり。狂お姉ちゃん」
ニヒヒッと笑う女の子。
パーカーを来ていてフードを目深に被っている為、顔があまり見えない。
「ねぇ。君達。このナイフ、さっき研いだばっかりなんだ〜試したいよね」
嫌な予感がする。
隣を見ると無言で妖夢さんは刀に手を掛けていた。
「君達で試してあげる!」
と前を向いた瞬間の風圧でフードが
するとその瞬間、突風が吹き荒れてきた。
そう。なんの音沙汰もなく急に吹いてきたのだ。
「いきなり飛ばすねぇ。あやちゃん。ゾクゾクしちゃう!」
と賭は体を抱きしめて体をうねうね動かず。正直いって気持ち悪い。
これだけで分かった。この人変な人だ!
「変態。こいつらを倒せたら後で蹴ってあげる」
「ありがとうございます!」
と賭があいちゃんと呼んだ子がそう言うと賭はお礼を言って敬礼をした。
何このやり取り。気持ち悪い
「へ、変態だ……」
私がそう呟くと彩さんが「いつもの事よ」と言った。
これがいつもの事なのか……。と私はドン引きする。
慣れたくない。絶対に彩さんみたいに
「んじゃ、あいちゃんからのご褒美を貰うために僕も頑張っちゃおうかな?」
そう言って手袋をする賭。
「改めて。僕はコードネーム『賭』。本名は笹沼 賭博。で、こっちの可愛い子はコードネーム『厄』。本名は
そう言うと厄は賭に近づいてお腹を思いっきり蹴って飛ばした。
「あ、りがとう……ございます」
どうしよう。本気で気持ち悪い。
戦う前に戦意喪失させるってどんな奴だよ。
「全く……本名まで言わなくていい!」
「ごめんごめん。僕はあまりコードネームは好きじゃないんだ」
コードネーム嫌いの人って居るんだ!?
私はコードネームってなんかかっこよくて憧れるけど。
「それよりも、裕太さんの為にあなた方を斬らせていただきます」
そう言って刀を構えて突っ込む妖夢さん。
そして斬撃を厄に何度も繰り出す……だがしかし、全て両手のナイフによって防がれてしまった。
「あはっ」
その瞬間フードがふわりと舞い上がった。
「魂魄!そいつの目を見ちゃダメ!」
その瞬間、急に妖夢さんが苦しみ出した。
「ありゃりゃ。病気にかかっちゃったみたいだよこの子」
そう言ってこっちまで妖夢さんを蹴っ飛ばす厄。
あれが厄の能力。
「実は私にも何が起こるか分からないんだ」
自分自身でも操れない能力。
目を見てしまったら最後、能力にかかってしまう。
「魂魄は戦えないね。ここはいいから歩美ちゃん、魂魄を連れて逃げて」
逃げる?逃げたらどうなる?
彩さんだけで戦って……二対一で勝てるような相手じゃない事は彩さんの表情が語っている。
「嫌だ」
無意識のうちに私はそう零していた。
倒せなくてもいい。足でまといでもいいから彩さんの負担を減らしたい。
だから私は戦う。
「私は逃げない」
「何馬鹿なことを言ってるの!?危なくなったら逃げるって約束したでしょ!?」
ごめんなさい。彩さん。
でももう。我慢出来ない。
お兄ちゃんの為に戦えるなら本望。
「歩美ちゃん!」
私は気がついたら厄に向かって駆け出していた。
「君、弱そうだね」
そう。私は弱い。戦ったことも無い。人を傷つけたことも無い。
だけど……。
「精一杯足掻いてみせる!」
いつもお兄ちゃんの感じていた気持ちはこんな感じだったんだろうな。
『歩美。精一杯足掻いて見せろ!』
そんな声が聞こえた気がした。
だから私は
「戦うんだァ!」
すると急に私に突風が当たらなくなった。
「か、風を弾き返している!?」
「はぁぁっ!」
そして厄に殴り掛かる。
side京哉
「まさかそんな能力が」
俺の目の前にいる奴は驚いているようだ。
でも、これが現実だ。
「お前のナイフはもう効かない。もう把握したからな」
裕太が教えてくれたやつの飲み込みが早かったのは多分、把握のおかげだろう。
この把握強い!
そして俺がナイフを手に持つと奴は回避する体勢に入る。
しかし俺は奴に向かって投げない。
なぜなら、当たるように投げると奴に回避されてしまうからだ。
だから俺は当てない。
「どうして当てに来ない」
どうして?
もう奴も分かっているだろうに。
逃げ道がもうないって事を
「なぁ。俺の技は俺が移動する以外にも引っ張る力があるんだよ」
そう言って逃げ道が無くなった奴にナイフを投げる。
すると奴は諸に俺のナイフを腹に食らってしまった。
「ぐはっ」
初めて吐血をする奴。
そして俺は糸を引くように引っ張る。
「これが引寄《フックショット》のもう一つの使い方だ!」
そして引き寄せて奴が近寄ってきたところを思いっきり殴った。
そして俺は奴を霊力の糸でぐるぐる巻きにして動かないようにした。
「もうお前は勝てないぜ」
そう言ってポケットに手を入れる。
そして引きちぎろうともがく奴だが、俺の糸は絶対に切れない糸のため無駄だ。
そして動かない奴の目の前に立つ。
「俺は裕太を恨んじゃいない。これが真実だぜ。俺」
そしてアッパーを繰り出すと奴の体が浮いた。
「お前は……」
そして俺は腹に膝蹴りを加えた。
それによってやつの体が吹っ飛んでいく。
「負けたのだ」
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
そしてそれが瞼を閉じている暗さだというのはすぐ分かった。
そして目を開けると俺の体が灰色になって石化していた。
しかし、その石化は目に見える速度で解けて行った。
直ぐに完全に解けて歩けるようになった。
廊下に出て歩いてみると静かだった。
変に感じて裕太の部屋の前を歩くと外から裕太が倒れているのが分かった。
寝ているように見えて、実際に
だけど分かる。あいつの体から誰のかは分からない霊力を感じる。
多分、その人が裕太の危険を察して霊力を送り込んだんだろう。
待ってろよ裕太。
そしてこの霊力を探ってみると人里で高ぶっているのが分かった。
「戦闘中か……待ってろよ裕太。今助けるからな」
はい!第63話終了
次回の東方魂愛想は?
歩美対厄の戦い。
果たしてどちらが勝つのか?
そして彩対賭。しかし
「待った!」
待ったコールが!?
そして
「このカードは……」
「もしかしてこれがラストチャンス?」
次回、第64話『空気の変動』
それでは!
さようなら