東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 歩美対厄の戦いは歩美の能力が覚醒したことにより厄を倒すことに成功。

 そして彩と賭が戦い始めようとすると空から待ったコールを出しながら京哉が降ってきた。

「お前を倒す!」

 そして裕太のジジ抜きは仮面の男の圧倒的な力でねじ伏せられてしまった。

 次の戦いはトランプの数当てゲームだ!



 それではどうぞ!


第65話 勝利の女神

side彩

 

 何この男。

 

 空頼君みたいにカッコつけてるのはあるけど、空頼君みたいに安心感が無い。

 逆に不安しかないよ。

 

「僕を……倒す?」

 

 彼を驚かせちゃってるよ。賭を驚かせるなんて相当のボケ職人だ。誰かツッコミ連れてきて!

 

「そうさ。俺はお前を倒して裕太を助ける!」

 そして握り拳を作る時雨。

 

 そして太ももに付けたナイフ入れから数本のナイフを取り出した。

「同じ武器だけどあいちゃんとは違う戦い方だね」

 そして時雨は全ての手の指の間にナイフを一本づつ挟んで腕をクロスさせて構える。

 

「俺の戦い方はナイフ投げだ」

 ナイフ投げ。そんなものが賭に通用するとは思えない。

 なぜなら

「僕をただのギャンブル中毒者と思ってもらっちゃ困る」

 そう言って一枚のトランプを取り出した。

 

「ザ・ベット」

 そう言うと時雨の手からナイフが消えた。

 

「どこに!?」

 その瞬間、賭と時雨の間にナイフの入った檻が出現した。

「僕はこの石にしよう」

 こいつはロリコンギャンブル中毒者で、更に石を集める趣味がある。

 そして何故石を集めるのかと言うとここで賭ける為だ。

 

 こいつはなんでもかけて戦うことが出来る。

 相手の持ち物からなんでも

「君のナイフと僕の石を賭けて勝負だ」

 そう言ってポケットからコインを取り出した。

 

 ちなみにあのトランプは発動条件で取り出して無きゃ発動できない。

 そしてルールとしては

「下らねぇ今すぐ殺し……!?」

 何かをかけた人は動けないのだ。

 

「お前はもう俺に捕まったんだよ」

 そしてもう1つ、外部からの干渉は出来ない。

 


 

side裕太

 

 最後の戦いは運否天賦のカード当て。

 

 だが、これで勝てる気がしない。

 

 だけどこれで負けたら俺は死ぬ。

 

「死ぬ覚悟は出来たか?」

 と指を指してくる仮面の男。

 

 ムカつくが勝てる気がしないのは図星って奴だぜ。

 

「さぁ、コイントスで決めるぞ」

 またもや出てきたコイン。

 

 だが、どっちにしても勝てる気がしない。

 

 そして適当に表を選ぶ。

 すると上になったのは裏だった。

 

「俺……コインに嫌われてんのかな?」

 

「かもしれないなククク」

 腹立つ笑いをするやつだぜ。

 そして俺にトランプを渡してきた。

 

 まぁ、適当に戦って勝ったらラッキーな精神で戦うか……。

 俺は生きることを諦めた。

 

 俺にはこいつと戦う以外の選択肢は無いんだ。忍冬や妖夢、歩美には悪いことをするけど

 

 そして俺はトランプをシャッフルして手に乗せて向ける。

 

「このカードは……3だ」

 そして1番上のカードをめくってみると何と3だった。

 開始1分で絶望である。

 

 涙が出そうだ。

 こんなん……チーターだろ。勝てるわけないだろ。

 

 そして仮面の男が今度はシャッフルして手のひらに乗せて向けてきたけど

「7だ」

 答えは6。安全策じゃ勝てるわけないんだ。

 

「安全策か……それもいいだろ。だが、勇者として呼ばれたお前の最期がそれでいいのか?勝負することを怯えて安全な方を取って」

 確かに俺は勇者として呼ばれた。それは紫に言われたことだ。

 だが、今の俺はもう勇者じゃない。

 見苦しく戦うただの亡者だ。

 生にしがみついて執念深くいつまでも残して覚悟したと言っていたのに実は未練タラタラの亡者だ。

 

「でも戦わなくちゃ行けない時があるんだ」

 そして今の状況は最悪。

 

 でもここまで来たら最後の最後まで抗ってやるぜ。

「先攻後攻交代だ」

 そう言ってトランプをシャッフルして手のひらに乗せて向けてくる仮面の男。

 

 そして俺はちょっとだけ中心からずらす。

「5だ」

 そう言うと仮面の男はめくる。

 

 するとなんと4だった。

 いつも通りの1違い。

 

 負けた……。

「ククク。最期の情けだ。トランプはお前が決めろ」

 なんとそんな事を急に言ってきた。

 

 死に行く俺への最期のプレゼント……という訳か。

 

 有難く頂こうじゃないか。

 

 そして俺はトランプを受け取ってその中から数を選ぶ。

 

 そして選んだカードを手に乗せて仮面の男に向ける。

「そのカードは9だ」

 俺は固まった。

 

 固まってカードをめくることすら出来なくなった。

「なんだ?負け惜しみか?めくるのが怖いのか?」

 仮面の男が煽ってくる。

 

 煽ってくるが俺の頭の中は真っ白になって下を向く。

「めんどくせぇ。良いからさっさと見せろよ!そして散れ!」

 と俺からカードを奪い取って表面にしてからテーブルに叩きつける仮面の男。

 

 それを見て仮面の男も絶句した。

「な!?ど、どういうことだこれは。どういうことだって聞いてんだ!」

 俺は笑いが込み上げてきた。

 

 可笑しくてたまらなく、肩を震わせて笑っていたのが徐々に爆笑に変わっていく。

 なぜなら今テーブルの上にあるのが7だからだ。

 7……奴が選んだのは9……2違いだ。

 

 つまり1違いの俺の勝ちだ!

「馬鹿な……そんな事……あるはずが!」

 俺は笑い転げた。

「何をした!」

 

「分からねぇ。けど……」

 そしてテーブルの上のカードを見る。

「勝利の女神が俺に微笑んだ。いや、微笑みだしたってことなんじゃねぇか?」

 

「まぐれだ……まぐれに決まってる!」

 

 俺は初めて奴から勝利をもぎ取って1勝1敗。

 この戦いで初めての3回目の勝負に入った。

 

 仮面の男はさぞかし悔しいだろう。

 

 何せ、狙ってない所で外したんだから。

「ここから空頼 裕太の大逆転劇の始まりだぜ!」




 はい!第65話終了



 次回の東方魂愛想は?

 次回で厄&賭戦終了!

 果たして勝利の女神は最終的にどちらに着くのか?

「お前は負けたのだ……」

 次回、第66話『勝敗』



 それでは!

 さようなら

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